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先月(2017年2月)

-さんのレビュー一覧

投稿者:-

7 件中 1 件~ 7 件を表示

匂いの謎に魅せられた研究者を描いた科学ノンフィクション

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 このノンフィクションの主人公は、ルカ・トゥリンという匂いの謎に魅せられた研究者だ。昔から香水の魅力に惹かれていたトゥリンは、香水ガイド本を執筆し、独特だが的確に香りを表現した香水レビューで有名になる。一方で、生理学の研究者として、彼は嗅覚の機構の謎に魅せられていく。
 世界中の香料の入った商品の匂いは、香水から洗剤まで、その多くがビッグボーイと呼ばれる六社の企業でつくられているそうだ。毎年そこでは無数の化合物を合成するが、商品化されるのはごくわずかだという。問題は、それらの化合物がどんな匂いなのか、実際に嗅いでみないとわからないことだ。研究者たちは「形状説」が嗅覚の機構を説明するとしてきたが、この説には様々な問題があった。そこで、トゥリンは生物学だけでなく、化学や物理の分野にも立ち入って、ある一つの仮説をたてる。だが、彼の説は、匂いと化合物の分子構造の関係をよく説明したにもかかわらず、なかなか受け入れられなかった。
 本書では、二つのことに焦点がおかれている。一つは、匂いの魅力と謎だ。トゥリンによる香水の匂いの大胆で印象的な描写や、彼がさまざまな場所で出会った魅力的な匂いの数々には、誰もが匂いに興味を持つようになること間違いない。もう一つは、ネイチャー誌に投稿した論文が却下されたエピソードのように、正しいかどうかではなく、有力な研究者が支持するかどうかで決められるかのような科学界への不満だ。研究者の一人として、この部分は非常に考え込まされた。本書を読む限りではトゥリンの説は正しいと思われるが、もしそれがこれまでの「常識」と大きく異なっているのなら、もっと納得しやすい形で説明する必要があったのではないだろうか。そういうところで感じたトゥリンのエキセントリックさも含めて、匂いの魅力の奥深さが十分に描き出された一冊だ。
(東方綾/東北大学 大学院 理学研究科 助手)

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紙の本ファインマンさん最後の授業

2003/12/19 17:35

ファインマンが若手研究者に語った「科学とは、研究とは」

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 リチャード・P・ファインマンがノーベル物理学賞を受賞したことを知らない人だって、彼のユーモアに溢れた自伝的エッセイ『ご冗談でしょう、ファイン マンさん』のことは聞いたことがあるに違いない。独創的で核心をつくいくつもの研究を行ってきたファインマンは、彼の研究に対する態度も生き方そのもの もユニークだった。本書は、著者がファインマンとかわした会話をメモしたり録音したりしていたものからまとめられたものだ。だが、単にファインマンとの 思い出を語っただけのものにはなっていない。
 1981年、著者レナード・ムロディナウは博士号を取りたての若い理論物理研究者で、カルフォルニア工科大学で研究する機会を与えられた。そこで、彼 はファインマンやもう一人のノーベル受賞者マレー・ゲル=マンらと研究をすることになる。著者は大きなプレッシャーを感じ、自分の能力に自信をなくし、 これから何をすべきか悩んでいた。そんなとき、彼はファインマンと話す機会を持つ。当時、ファインマンは二度目のガンの大手術の直後で、肉体的には衰え ていた。死を覚悟し、それでも、彼は新しい研究ができることを楽しんでいた。
 本書の中で、ファインマンはデカルトがなぜ虹を研究しようとしたのか知っているかと問いかける。水滴が、幾何学が、と答えようとした著者に、ファイン マンは言う。「デカルトがその気になったのは、虹を美しいと思ったからだよ」
 著者はファインマン自然の本質への深い洞察に魅せられていく。そして、彼の言葉に導かれて、自分が本当にしたいことを見つけだす。ひも理論が物理の世 界で今のように広く認められるようになる直前の活発な研究の様子とともに、ファインマンの魅力的な言葉が語られていく。科学読み物としても読みやすくお もしろいが、それだけでなく、生き方に悩む人にもぜひ一読をお勧めしたい。

(東方綾/東北大学 大学院 理学研究科 助手)

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紙の本時間旅行者のための基礎知識

2003/09/29 16:15

時間旅行の基本から最新宇宙論まで、時間と空間の謎を楽しむ一冊

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 時間旅行は不可能ではなく、現実にタイムトラベルの理論を研究する研究者もいると知ったら、多くの人は驚くのではないだろうか。しかし、これは本当のことである。本書の著者J・リチャード・ゴットはその一人、宇宙物理学を専門とする大学教授で、タイムトラベルの可能性について真剣に追求してきた研究者なのだ。
 本書は、ウェルズの『タイムマシン』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『スター・トレック』といったおなじみのSF小説、映画、テレビドラマで、時間のパラドックスやワームホールなど、タイムトラベルやそれに関係するさまざまな概念をやさしく解説するところから始められている。それから、まず、未来へのタイムトラベルをとりあげる。これはアインシュタインの特殊相対性理論がその方法を教えてくれる。光速に近い速さで宇宙旅行をすればいいのだ。強大な重力井戸を作ることができれば、移動しなくてもすむタイムマシンをつくることも可能だとか。もっとも、過去への旅は、未来方向に比べると困難だ。著者は時空のひずみ「宇宙ひも」やワームホールを用いて、過去へのタイムトラベルの可能性を検討している。
 タイムトラベルの研究では、ただ時間の不思議さが明らかになるだけではない。時間旅行の謎は、宇宙の謎でもあるのだ。著者はタイムトラベルが宇宙の始まりを説明するうえで重要な役割を担っていると考えている。著者らがかかわってきた最近のタイムトラベルと宇宙論の研究についても熱く語られているが、その様子はなかなかスリリングですらある。
 ユーモアを交えた語り口をたのしむうちに、タイムトラベルの基礎から宇宙創世の謎まで知ることができる。最新の研究も紹介されているが、数式は最小限しか登場しない。かわりに図やイラストを多用して分かりやすく概念を説明してあり、誰でも時間と宇宙の秘密に夢中になれるだろう。
(東方綾/東北大学大学院理学研究科助手)

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量子論を題材にした、不条理さも魅力的な科学哲学ファンタジー

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 ルイス・キャロルの秘密の日記には、「量子の国」でのアリスの冒険の物語が残されていた……。
 本書はそんな設定で描かれた科学ファンタジーである。この物語の中のアリスは、初めての大きなバレエの舞台を前にした少女。だが、気がつくと、彼女は不思議な「量子の国」へと迷い込んでいた。そこでは、博士たちが観測と現実の奇妙な関係を議論し、何重にも重なった「量子の浮気娘」がさまざまな可能性を模索している。波でもあり粒子でもある電子のタクシー・ドライバーはアリスを街中連れまわし、チェシャ猫のいとこのシュレディンガーの猫にひきあわせる。こうやってさまざまな登場人物たちと語りあううちに、アリスは量子論だけでなく、相対論や宇宙論や生物学をも学んでいく。
 量子論と聞くと、ふつう、物理の理論や実験の世界を想像する。しかし、本書では科学哲学の議論が多く、意外に感じるほどではないかと思う。またさまざまな概念やモデルが数多く扱われており、その中にはどちらかというと異端的なものもないわけではない。ややニューサイエンス的でスリリングな側面もあった。
 それでも、この「量子の国」は、アリスが体験するのにぴったりの不思議な世界だ。一見不条理に見えるところもある量子論の概念を、ファンタジーとして楽しむうちに、なんとなく解ったような気分にさせてくれる。
 帯には「専門知識不要、難解な数式なし。量子論入門の決定版。今世紀を代表する科学者、哲学者、芸術家15名が紡ぎだした量子の物語」とある。たしかに、専門知識がなくても楽しめるし、数式が出てくるわけでもない。だが、著者たちの紹介の欄を読む限り、「今世紀を代表する科学者、哲学者、芸術家」というのは、いささか誇張しすぎているように感じた。ちなみに、本書はもともと英語で書かれたもののようだが、ドイツ語版でのみ出版されていて、このたび日本語に翻訳されたらしい。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

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2次元世界の主人公の冒険を楽しむうちに、数学の不思議さを味わえる

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 120年ほど前のイギリスで出版されたE・A・アボットによる『2次元の世界』という本がある。これは2次元世界フラットランドの、四角形の形をした住人であるA・スクエア氏が、異次元からきた球状の訪問者スフィアによって未知の3番目の次元が存在することを知るというものだ。高い評価を受けた数学啓蒙書で、日本でもこれまでに『二次元の世界』(講談社ブルーバックス)、『多次元★平面国』(東京図書)というタイトルで邦訳されている。
 本書は、数学者イアン・スチュアートによって2001年に刊行されたその続編である。主人公は、現代のフラットランドに暮らすヴィッキー・ライン、線状の姿をしている女の子だ。彼女は、ある日、先祖のA・スクエア氏が残した日記『2次元の世界』を見つけ、異次元に興味をひかれる。そして、高次元からの訪問者スペースホッパーとともに、不思議な時空の世界への旅に出かけることになる。
 ヴィッキーたちが訪れるのは、私たちの3次元の世界やもっと高次元の世界だけでなく、フラクタルの世界や非ユークリッド幾何学的な世界、射影平面の国など、とても奇妙な幾何学世界の数々だ。彼らはトポロジー変換の国でメビウスの輪のような雌牛に会い、スパイスならぬスペース・ガールズのメンバーであるミニー・スペース(ミニーはミンコフスキーの略称)たちに今どきの因果律を教えてもらい、シュレーディンガーの猫とは波と粒子の関係についておしゃべりする。さらに、ワームホールを使ったタイムトラベルで未来の自分自身と出会い、時間をさかのぼってビックバンを目撃する。
 ユニークなキャラクターたちとともに、純粋数学的な世界から物理と数学が密接に絡み合っている領域までのさまざまな事柄が次々と登場する。元気のいい主人公ヴィッキーの冒険をおもしろくおかしく読み進んでいくうちに、数学な世界の不思議さを存分に楽しむことができるだろう。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

【関連書】
■イアン・スチュアートの本
『自然の中に隠された数学』草思社(サイエンス・マスターズ)
『対称性の破れが世界を創る 神は幾何学を愛したか?』白揚社
『数学の冒険』紀伊国屋書店
■2次元世界関連
A・K・デュードニー著『プラニバース 二次元生物との遭遇』工作舎

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宇宙の姿を解明してきた人々の歴史を描いた科学読み物

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 太古の昔から、人々は夜空を見上げ、神秘を感じてきただろう。
 昔の人々が有限な大きさの天球に惑星や星々がちりばめられていると考えていたというのは、今の私たちからすると奇妙にさえ思えるが、それだって世界を理解するようとしてきた人々の真摯な試みの結果だ。地球は太陽をまわる惑星の一つであり、太陽は銀河系を形作る恒星の一つであることが明らかにされても、神秘さが減りはしないだろう。

 本書に登場する人々も、夜空に神秘的な謎を感じていたにちがいない。ここで描かれているのは、どのように宇宙と世界の見方が変遷し、現在の宇宙観に至ったかについてである。まず、アリストテレスやプトレマイオスによる天動説ではどのように世界をとらえられてきたというところから、始められている。16世紀になってようやく、コペルニクスが天動説をとなえ、ガリレオやケプラーはそれを裏付けるような観測結果を発表した。だが、惑星が太陽をめぐる公転運動が説明されたのは、17世紀後半にニュートンが万有引力の法則を発見してからだった。そして、20世紀、アインシュタインが相対論を発表し、光だけでなくさまざまな電磁波を用いた観測により、新しい知見がもたらされるようになって、ビックバンやインフレーション宇宙などのさまざまな宇宙論が生み出されてきた。著者は、こういった現在の宇宙像をつくりあげてきた人々たちの功績を、さまざまな逸話とともに紹介している。

 人々の歴史の中での宇宙像という視点で幅広く取りあげてまとめた本書は、著者が一般向けのシリーズ講座で話した内容に基づくものだそうだ。やさしい言葉で書かれており、一般的な科学読み物として楽しめる。興味はあっても科学は難しそうだと思っている方にも、おすすめできる一冊である。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)

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カラスの生態をわかりやすく紹介し、共生を提案する一冊

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 これまで個人的にカラスに迷惑をかけられたことはないのだが、多くのカラスが近くの木立へと飛んでいくところや、電線にびっしりととまっている姿は何度も見て、すごい数に驚かされた。だから、街でゴミあさりするカラスが大問題になるのもわかる。農作物の被害や巣を作ることによる送電線事故なども、無視できない問題らしい。人がカラスに襲われたという事件もときどき聞く。どうしてそういう問題が起こるようになったのか。どう対処したらいいのだろうか。

 そんなカラスの問題を考えるときに、本書は力になるだろう。著者は神経解剖学を専門にする研究者。研究の一環としてカラスの脳を調べるうちに、カラスの生態にも興味を持つようになったという。

 本書では、まず、ゴミ収集所や田畑など、いろいろな場面でのさまざまなカラス対策の方法が紹介されていて、それらがどうして効果があるのか、どのくらい効果があるのかを説明している。また、カラスは賢いとよくいわれるが実際にどのくらい頭がいいのか、どのような嗅覚や視覚をもっているのか、どこで巣を作るのかなど、これまでの研究成果も解説されている。
 そして、対策に役立ちそうなカラスの弱点を推測する。というものの、カラスを効果的に寄せつけない方法というのは、かなり難しいらしい。たとえば、ゴミ収集所でのゴミあさりをやめさせるには、ゴミ収集の方法から考えていかないといけないようだ。

 問題を解決するには「カラスとの共生」という視点で考えなければならないだろうと、著者は述べている。そこで、本書では、これまで人がどのようにカラスとつきあってきたのか、日本だけでなく世界の伝承を交えて紹介されてもいる。ユーモアを交えた文章は読みやすく、わかりやすい。カラスに困っている人にも、カラスをかわいがってみたい人にも、興味深い一冊だろう。

(東方綾/東北大学 金属材料研究所 助手)


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