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感染症の予防と啓発に尽力する検疫官の実体を描く

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 世界が狭くなったといわれて久しい。日本人の海外渡航者数は年間1,600万人、外国人の正規入国者数は500万人を越えている。日常の食卓には輸入食品が並び、ペット用動物さえも輸入で手に入る。そして、そうやって移動する人や物に付着して目に見えない細菌やウイルスも出入りし、従来は発生しなかった病気を生むことがある。いわゆる「輸入感染症」だ。
 検疫所は、そういった感染症の侵入を防ぐため、空港や港など海外への出入り口に置かれている。

 だが、本書で描かれた検疫官の活躍は、そういった「海外への出入り口」にしかいないというイメージを覆す。国内初の女性検疫所長である岩崎恵美子は、52歳のときに耳鼻科医から感染症専門医への転身を図った。タイで熱帯医学を学び、パラグアイでの研修中に途上国の感染症蔓延の実態を体験し、帰国した。
 知識と経験を買われて成田空港検疫所に勤務するうちに、無防備に海外へ出かけ重篤な感染症にかかる日本人を目の当たりにする。そして仙台検疫所の所長となるが、そこからの熱意とバイタリティに溢れる活躍ぶりに目を見張る。東北6県での感染症情報ネットワークの構築に奔走し、仙台検疫所のホームページを開設し、情報の提供に努める。ウガンダでエボラ出血熱が流行すれば、診療経験を積むためにと現地へ飛び込んでいく。帰国後に自らがマラリアを発症したのすら、貴重な体験として感染症予防の題材に使う。
 そして、同時多発テロと炭疽菌パニック後の2002年日韓同時開催ワールドカップ。そこでも「防疫」という立場からかかわっていった。

 大宅賞作家の小林照幸は、ひとりの検疫官の姿を描くことで、感染症の啓発を呼びかける。が、実体験をそのまま描けば、面白い読み物になるのかというと、それはまた別物だという気がする。もう少し著者からの具体的な示唆や提言がほしかった。

(青木みや/管理栄養士 http://live.pobox.ne.jp/)

【目次】
第1章 生物・化学テロ対策 —ワールドカップ宮城大会の舞台裏
第2章 熱帯医学を極めた日々 —崩れゆく顔
第3章 史上初の女性検疫所長の誕生 —感染症を水際で防ぐ
第4章 アフリカ大陸 —エボラ出血熱の現場へ
第5章 新たなる戦い —西ナイル熱への懸念
あとがき
参考文献
資料

【関連書籍】
響堂新著『飛行機に乗ってくる病原体—空港検疫官の見た感染症の現実』角川書店
マイケル・シュナイアソン、マーク・プロトキン著『もう抗生物質では治らない 猛威をふるう薬剤耐性菌』日本放送出版協会

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紙の本コーヒーの歴史

2003/02/10 18:53

人を虜にしたコーヒーの歴史は、カフェイン抜きでも興奮できる

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 コーヒーの木から採れるコーヒー豆を煎って挽いたものの浸出液。私たちの生活にもたっぷりと染みこんだコーヒーだ。
 そのコーヒー豆は、「何だかんだと言っても要するに、たかが木の実にすぎない」(15p)。が、コーヒーはただの嗜好飲料ではない。経済や文化、政治に、大きな影響を与えてきた。本書の著者は、「たかが木の実」のことを書くのに3年を費やし、500ページを超える大作に仕上げた。それだけコーヒーを巡る歴史はこみ入っている。

 コーヒーの木は、エチオピア原産である。いまのコーヒーの飲み方になったのは、16世紀頃らしい。交易によりイスラム圏に広がり、トルコからヨーロッパの人々を虜にした。カフェインの刺激は、アルコールの酔いに取って代わり、1800年代の産業革命に活気を与えた。そしてヨーロッパの入植者が、西インド諸島や中南米諸国で、コーヒー栽培を広めた。コーヒー産業の隆盛は、奴隷制度の廃止を遅らせ、社会的な不公平を拡大させた。そして、輸出の大半をコーヒーが占めるようになった中南米諸国は、コーヒーの価格の変動に一喜一憂することになった。

 圧倒された。ページ数にも「たかが木の実」の与えた影響にも。特に経済効果はすさまじい。最近のスターバックスの隆盛をあげるまでもないが、それらがコーヒー農園の過酷な労働によって成り立っているという事実。
 話題がてんこ盛りで、カフェイン抜きでも興奮できること請け合い。ところで、一般的に苦味は嫌われるのだが、コーヒーの苦味はなぜ好まれるのだろう。さしもの本書にも書いていなかった。

(青木みや/管理栄養士 http://live.pobox.ne.jp/)

【目次】
はじめに 「オリフラマ」農園のコーヒー摘み
序章 霊薬か泥水か
第1部
第1章 世界に広まるコーヒー
第2章 コーヒー王国
第3章 アメリカの国民飲料
第4章 金ピカ時代のコーヒー大戦争
第5章 ジールケンとブラジルの価格政策
第6章 麻薬のような飲み物
第2部
第7章 成長に伴う痛み
第8章 世界中のコーヒーの安全を守るために
第9章 イメージ戦略で売るジャズ時代
第10章 焼かれる豆と飢える農民
第11章 大恐慌時代のショーボート作戦
第12章 「カッパ・ジョー」—第二次世界大戦の時代
第3部
第13章 コーヒー攻撃とインスタントの不満足感
第14章 勝ち誇るロブスタ豆
第4部
第15章 熱狂的な愛好家集団
第16章 黒い霜
第17章 高品質コーヒー革命
第18章 スターバックス体験
第19章 残りかす
謝辞
訳者あとがき
参考文献
索引

【関連書籍】
ハワード・シュルツ、ドリー・ジョーンズ・ヤング著『スターバックス成功物語』日経BP社

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歴史学者から見た食の歴史

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 歴史書は産物や地域、時代ごとにテーマを分けるのが一般的だ。だが、本書は著者が食べ物の歴史上で起きた大きな変動を「革命」とし、八つに分類して、論評したものだ。著者のいう「革命」は文化的側面に比重がおかれている。
 例えば第一の革命は、「調理の発明」だ。人間が生の食べ物を「調理」することを覚えて、調理の場に人が集まり、文化が生まれた。そして食事は単なる栄養源だけではなく、親睦の場や象徴的価値、宗教的意味を持つようになった。食べ物の位置づけの変化は社会的な変容に繋がっていく。
 牧畜と農業は、偶然に頼って収集していた食べ物を「生産」するようになった二つの革命である。食糧供給が安定してきたころ、大食や高級食材を食べることで身分を誇示する革命が成り立った。高価な珍しい食材や季節はずれな食材は貿易によってもたらされることが多く、そうして遠隔地に料理や調理法が伝達され文化の変容に寄与した。また農作物が新しい地域に移植され生態系が交換された。
 人間は食べ物を食べないと生きていけない。本書を読むと、人間が「食べる」からこそ、食事は社会的な意味をもつのであり、人間の歴史と食の歴史は当然に重なってくることに気づかされる。
 しかし八つのテーマ(革命)に分けたのは面白い試みだが、ややひとつひとつのテーマの切り込みが浅く、物足りなさが残る。それぞれの革命を深く切り込んだ本を探すのも一興だろう。

(青木みや/管理栄養士 http://live.pobox.ne.jp/)

関連書:
マーヴィン・ハリス著『ヒトはなぜヒトを食べたか』(早川書房)
ジャイルズ・ミルトン著『スパイス戦争 大航海時代の冒険者たち』(朝日新聞社)
シルヴィア・ジョンソン著『世界を変えた野菜読本』(晶文社)

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