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レビューアーランキング
先月(2017年8月)

植尾亜衣さんのレビュー一覧

投稿者:植尾亜衣

4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本本棚探偵の冒険

2002/04/22 22:34

爆裂!大人パワー!!!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 喜国雅彦と言えば、青年誌でフェティッシュなギャグ漫画を連載し続けるロッカー作家だ。彼が探偵小説マニアだということは、ファンなら先刻承知のはずだ。そんな喜国雅彦が古本にまつわるエッセイ集を出した。これを買わずしてなるものか。

 今時函入り、著者検印つき、更には月報まで挟まっている(初回限定版)。装幀からしてこの凝りようだ。作者のこだわりがビシバシと感じられる。肝心の内容も、まさに本棚探偵の名に恥じない活躍ぶりを見せてくれていてニンマリしてしまう。山口雅也、京極夏彦、安孫子武丸、有栖川有栖…など、ミステリファンにはお馴染みの面々が「お仲間」として登場するのもまた楽しい。

 私自身は稀少本としての古書に関心はないのだが、年数を経るに従ってコレクションの対象が「本の内容」から「本そのもの」へ移っていく作者の心理は大変興味深い。大人の財力を使って容赦なく趣味に走るとこういう結果を生み出すのだな、と妙に考えさせられる一冊である。

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森の死神

2002/04/19 01:31

絶望のユーモアミステリ

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 全身麻痺に冒されたエリーズの一人称で進められる本書は、読者にも「見えない・動けない・喋れない」の三重苦を味合わせることになるだろう。彼女の持ちうる意志伝達手段は、左手の人差し指を上げることのみである。無力な読者は、エリーズの前に入れ替わり立ち替わり現れては、好き勝手なことを喋る「容疑者」たちに翻弄される羽目に陥るのだ。

 ある日、見知らぬ少女から「森の死神」の話を聞かされたエリーズは、それが実際の連続殺人事件と符合していることに気付く。しかし、彼女には殺人犯を告発することも、少女を危険から守ってやることもできないのだ。そして、文字通り「見えない」悪意がエリーズ自身を襲い始める。やがて、事件はエリーズの過去と絡まり、ますます混迷を深めて行く…。

 テロに巻き込まれ、目の前で恋人を失い、自分自身は全身麻痺に冒されてしまったエリーズだが、幸い彼女には持ち前のユーモアと、不屈の向上心が残されていた。例え殺人鬼に命を狙われても、彼女は真っ直ぐに前を「見つめ」ている。時に絶望することがあっても、エリーズは絶望すらも笑い飛ばす。彼女にとって、思考することこそが生きることなのだ。そして、究極の安楽椅子(車椅子?)探偵が辿り着いた真実とは?

 「障害者」を主人公としながら、時に冷ややかすぎるほどの距離感をもってエリーズを見守る作者の匙加減が心地好い。生ぬるいヒューマニズムに疲れた人に、是非とも勧めたい一冊である。

 

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紙の本不可解な事件

2002/04/20 01:48

それでも理解されない人々の悲喜劇

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 七編の作品の舞台となるのは、いずれもどこにでもある、のどかな田舎町だ。主人公たちの共通点は、肥大した自我を持て余していること。彼らは、行き場を無くした憤りを、殺人という手段で一気に昇華させようと画策する。

 軽快な関西弁の会話が笑いを誘い、やがて悲劇が訪れる。誰もが抱える小さな不満が、せき止められない大きなうねりの中に飲み込まれる時、主人公たちは後戻りの出来ない場所で立ちつくすしかない。足掻けば足掻くほど、泥沼に沈んで行く彼らの姿は、むしろ哀しい。

 読者は倉阪鬼一郎の手の中で、何度も現実を切り取られ、深い喪失感を味あわされることだろう。自分には特別な才能があるのだ、と頑なに思い込み、ネットでのコミュニケーションに明け暮れる「切断」の主人公の姿にどきりとした人は、くれぐれも足下を見失わないように気を付けた方がいいだろう。

 

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紙の本夫婦茶碗

2002/04/19 20:56

崩壊する「リアル」

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 「夫婦茶碗」の主人公<わたし>は何をやっても上手くいかない。一日中、家で空想とも妄想ともつかない思考遊びに耽り、目下冷蔵庫の卵並べに執心している。ようやくありついた仕事もさっさと辞めてしまった。そんなある時、<わたし>は想像力を生かしてメルヘン小説で一山当てることを目論む—。

 しかし、愛する妻のため、守るべき家庭のために、なんとか金を稼ごうとする<わたし>の努力はどれも空回りに終わってしまう。独特の口語リズムで綴られる主人公の日常はどこかズレていて、微妙に間違った方向へと加速度的に突っ走って行く。それでいて、あくまで真摯な彼の生き様には、奇妙な可笑しみがつきまとう—。

 おそらく<わたし>が望んでいるのは「普通」の家庭だ。しかし、彼は自分の求める「普通」に確固たる形を与えることが出来ずに足掻いている。砂に呑まれるように崩壊していく「リアル」を繋ぎ止めるために、彼が起こした行動とは、日常の輪郭を描き出すことだった。ラストシーンの主人公の姿を、滑稽だと切り捨てられる者は、最早いないであろう。

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