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桜井哲夫さんのレビュー一覧

投稿者:桜井哲夫

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著者コメント

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 「20世紀は『戦争の世紀』であった」と書き始めた『戦争の世紀』を出版したのは、1999年11月のことだった。その後『「戦間期」の思想家たち』(2004年3月)をだして、今回『占領下パリの思想家たち』を出すことで、私の「20世紀精神史」はひとまず完結することになる。この間、7年あまりの歳月が流れた。私も50歳から57歳になった。この三部作は、いわば私の50代を象徴する仕事になったわけである。この本で単著は19冊目(増補版、新装版除く)となるが、そのなかでもこの三部作(総ページ数は830ページになる)にはひときわ思い入れが強い。私の大学生時代から強い関心を抱いてきた第一次大戦勃発から第二次大戦終結までの、フランスを中心にしたヨーロッパ世界を描ききったからである。
 誰が主人公というわけでなく、様々な人物が入り乱れて登場するスタイルは、最初からのねらいで、時代そのものを描き出したかったからなのである。政治家、革命家、労働組合活動家、思想家、文学者、学者、ジャーナリスト、様々な人々が結びつき、別れ、対立し、戦争のなかに巻き込まれてゆく。おそらく、このような歴史叙述は、あまり試みられたことはないと思う。歴史研究があまりに細分化されすぎてしまっているからだ。今はジェネラリストがいない時代なのである。だから私は、今の時代風潮に背を向けてジェネラリストとして歴史を描こうと思ったのだ。
 今回の本は、ヒトラーのポーランド侵攻から始まって、第二次大戦終結までを描く。独ソ不可侵条約からポーランド侵攻、「奇妙な戦争」と呼ばれる戦闘のない時期を経て、パリ陥落(1940年6月)へと続く。あるものは、ニューヨークに亡命し、あるものはレジスタンス活動に入り、あるものは迎合し、唯々諾々
と占領下で過ごす。様々な物語が、次々と紡がれてゆく。「事実は小説よりも奇なり」などと言うと、陳腐な表現と思われるかも知れないが、実際、事実のほうがはるかに驚くべきことのほうが多いのである。それがどういうものかは、ここではあえて語らない。
 第二次大戦の6年間の死者(軍人、民間人)は、5500万人から6000万人と言われる。戦後その名前を知られることになる多くの思想家、作家たち(サルトル、ボーヴォワール、カミュ、マルロー、マルク・ブロック、シモーヌ・ヴェイユ、バタイユ、アンドレ・ブルトン、サン=テグジュペリ、ベンヤミン、
ハンナ・アーレント、レヴィ=ストロース、メルロ=ポンティ、アンドレ・ジッド、ジャン・コクトー、セリーヌ、フランソワ・モーリヤック、ジャン・ジュネ、マルグリット・デュラス、アーネスト・ヘミングウェイ、少年のジャック・デリダ・・)にとって、あの戦争がいかなるものであったのか。本書をじっくり
と読んでいただければ、ひとの人生の不思議さというものについて、つくづくと思い知らされると確信している。

 【本書の構成】
 プロローグ 奇妙な戦争
 第一章 パリ陥落
 第二章 占領下の人びと
 第三章 亡命者たちのニューヨーク
 第四章 暗い日曜日
 第五章 「解放」と「粛清」
 エピローグ さらば、友よ

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