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千 さんのレビュー一覧

投稿者:千 

紙の本真っ白でいるよりも

2002/05/21 14:14

説明にあふれた世界を生きる人へ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

詩を読むのがあまり好きではなかった。
詩とは感覚で感じるものである。
説明のあふれた世界に生きてきてしまった私は、
詩を読むと何を感じればいいのかわからなくて不安に陥るのである。

表題作「真っ白でいるよりも」を読んだとき、
私の不安は消えてしまった。
考える間もなく世界にひきこまれた。
誰の中にもある日常の世界を、愛という断片から描いた作品である。
詩集には空間が広がっているのだということを
体感させられてしまった。

精神世界に言葉による装飾を加えた風景が心地よく広がる。
著者のパラレルワールドを一度覗いてみてはどうだろう。

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軽い絶望の先

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

若者には軽い絶望がつきものだ。
死んでしまうほどではない。
だからこそ辛かったりする。
死んでしまうほどではないから前に進めなかったりする。
夢は現実とは違うなんて認識をもってしまったら、それは増大する。
夢と現実は融合できる、していると思い込まなければやっていけない。

主人公の啓久(ひらく)は変わらない絶望の中を生きている。
自分の妹に恋をしている。
エロビデオさながらのグロテスクな世界が展開するわけもなく
妹は妹、兄は兄なのだ。
その絶望の中を逃げまとってきた主人公が動き出す物語だ。
動き始めた、という方が適切かもしれない。
ラストになっても、物語は進行しはじめたばかりなのだ。

若者がもてあます軽い絶望をリアルに描いた作品である。

同時収録された「いちごの生活」も
乙女心を淡々と描いていて、切ないだけでは終らない何かが見えてくる。

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紙の本らんま1/2 38巻セット

2002/05/20 23:19

日常ファンタジー

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

高橋留美子は、日常の中のファンタジーを
ありありと描いてしまう。
私が初めて高橋留美子のまんがを手に取ったのは
7歳のとき、「らんま1/2」だった。
水をかぶると女になってしまう特異体質の乱馬と
その許婚あかねの(ラブ?)コメディーである。
私は高橋留美子のファンタジーに引き込まれた。
来る日も来る日も、最新刊を待ちわびていた。

必ずお決まりで落としてくれるのが好きだった。
裏切らない漫画でおもしろいというのはありそうでないように思う。
そんな数少ない作品。是非。

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心地よい人間らしさ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

欲望のままに生きてるけど、どこか間抜け、どこか小心者。
そんな印象をうけるのが中村うさぎ先生である。
浪費者としての地位を築き上げた先生のエッセイは、
人間らしくて心地いい。
買って、買って、買いまくる、でも人間らしい。

人間のよさを忘れてしまった人、読んでください。
読んだらきっと人間の愛すべき愚かさが見えてくると思います。

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紙の本落下する夕方

2002/05/19 16:23

「動」を「静」に変える魔力

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

江国さんの世界はすごく好きだ。
だけど江国さんの世界観を「癒し」という人がいたらちょっと笑ってしまう。
癒しなんかではない。
葛藤の「動」を「静」に描くのがすごくうまいのだ。
この作品はそんな中でもぬきんでていると私は思う。

三角関係の話だけれど、そこに描かれた人間がどんなに取り乱していようとも
そこには静かな空気がある。
かわらない日常がある。
対照的な景色のはずなのにしっくりくる。

自分の感情に自分がもて遊ばれている人、
ぜひ読んでください。

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紙の本ヒミズ 4 (ヤンマガKC)

2002/07/15 13:56

思想という呪縛

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

殺人を犯す少年をテーマにした作品はここ数年で死ぬほど書かれてきた。
その中の何冊かに私は目を通したが、
そこから現実を見据えられたものは一つもなかったと思う。
彼らと自分を結ぶものが見つからない。
まるで夢の中を生きているように思える。
あまりにもわからなくて、もっと自分と切り離そうとしてしまう。

ドストエフスキーは「罪と罰」で
信念の為に殺人を犯した青年を描いた。
そのラストに見えたものを、私は「普通じゃん」とはねのけた。
殺人を犯せば良心の呵責に苦しめられ、罪をつぐなう道しかないのか。

それから4年。ヒミズを読んだ。
設定はどことなく似ているがスタートは全く正反対である。
ヒミズの主人公住田は、罪と罰の主人公の思想の対極に自分を置いている。
自分が特別などとは思っていない、特別などと思っている人間が許せない。
住田は普通に生きようとする。それこそがすばらしいことなのだと信じて。
しかし自分の父親を殺してしまい、彼は自分の思想を壊し再建築しようとする。
彼は、おまけ人生を人の役にたって終えたいと願っている。
人の役にたつ。それはいらない人間を殺すことだ。

2人の殺人者に共通しているのは、
自分が裁きの神であること、
自分の観念にとらわれて身動きがとれなくなってしまっているところ、である。
前者に関しては、殺人者にはそういう素質がある、ということだろうが
後者は完全に若者特有の病気である。
彼らは自分の思想を社会に適合させる時に必ず味わう痛みを体験している。
彼らは疲れ果て、普通の夢を見る。
最後に住田が布団で寝ているシーンを読んだ時、
ドストエフスキーが「罪と罰」で描きたかったのは
罪をつぐない、罰を受けることなどではなくて
思想に忠実に生きる人間が迎える、思想の墓場。
そこに見出せるのは、誰にでも共通した幸せを求める心だ。
私は自分で突き放したが、そこには愚かで愛すべき人間の姿があった。
それに比べて住田は、最後まで呪縛から解放されない。
最後の最後まで。
私はこのラストに関しては、なんとも言い難いが
このラストを書いてしまった古谷実の心意気は称えたいと思う。

気味の悪いキャラクターがより一層、
住田の怒りを駆り立てる。
清く正しく生きることの先に、住田が見つけたものはなんだったのか。
その正体は、読者それぞれまったく違うものだろうと思う。
久々に何度も何度も読み返して、自分できちんと消化したいと思える作品にであった。

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