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  3. 由似さんのレビュー一覧

由似さんのレビュー一覧

投稿者:由似

18 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本白皙

2005/01/11 21:52

神が、ひとりの男になる。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

若手プロ棋士同士の恋愛を描いたボーイズ・ラブ小説。
 ストーリーの軸となるカップルの職業が棋士ということで、当初、堅くてとっつきにくい内容ではないかと思っていたのだが、異色の舞台が背景となっていることも手伝ってか、ストーリー展開がワンパターンにならず新鮮な作品だと感じた。

 将棋界の頂点に立つ若き天才棋士・藤沢。そんな彼に憧れてプロ棋士の世界に飛び込んだ新人棋士の嘉村。嘉村にとって藤沢は神にも等しい存在だった。二人の立っている場所は天と地ほどの隔たりがあったが、藤沢は嘉村の中に自分に共通する何かを見出し、今は遠く離れていてもライバルと認めていた。
 しかし、藤沢よりも早く嘉村の才能に気づき、近づきつつある藤沢と嘉村の間に割って入ったのが、嘉村の師であり、棋界の重鎮である蜘蛛橋永世名人だった。藤沢が名人である自分をさしおいてライバルと認めた男、嘉村。蜘蛛橋は嘉村の才能に嫉妬する本心を隠したまま、世間では自らの愛弟子と呼ばれる嘉村にこう言う。「藤沢に引きずられて道を踏み外すのはよせ」
 そして、蜘蛛橋の死によって、藤沢と嘉村を隔てていた壁が崩れる。蜘蛛橋の通夜に現れ、嘉村を捕らえる藤沢。
 「死んだ蜘蛛橋先生には申し訳ないが、こんな席でもなければ、私には君を捕まえる機会はなかっただろう」

 白皙の美貌の下に感情はなく、機械のように駒を握る藤沢の才能に嫉妬しつつ強く惹かれる嘉村。嘉村の藤沢へのそれは、愛ではなく憧憬だった。しかし藤沢が嘉村に望んだのは、棋士ではなくひとりの男に対する愛だった。男同士の恋愛、妻を持つ藤沢と嘉村の関係はただの不倫でしかない。棋士としての自分を見て欲しいと苦しむ嘉村。そして、嘉村の前ではただの恋する男になる藤沢を見るにつけ、理想と現実のギャップに苦しむのである。

 嘉村のモヤモヤとした思い、ストレートな藤沢の感情表現。どうなるのだろうと中盤ヒヤヒヤしたが、ラストは二人の間に答えが出たことによって清々しく読み終えた。

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紙の本日本列島鉄道の旅

2005/03/07 22:01

時にはローカル線に乗って時間を使った贅沢な旅を

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

手に取った時、ずっしりと重みを感じる実に分厚い本。それもそのはず、JR、私鉄、第三セクターを問わず日本各地を走る旅客鉄道が凝縮されている本なのだ。
路線のインデックス地図と目次が掲載され、目的の路線を素早く検索できるよう、随所に工夫が凝らされている。各路線の見所、地域の紹介、マニアに人気の路線、そこに四季折々の写真がちりばめられ、ページをめくる手がどんどん進む。
そしてコラム欄には、ストーブ列車など名物列車の紹介、「日本一短いトンネルは?」などの鉄道に関するさまざまな「日本一」が記述され、視点を変えて楽しむことができる。
「列車は単なる移動手段ではなく、サービス空間である」…そんな考え方に基いて「乗りたくなる列車」を目指して、個性的なデザインの車両を登場させている会社もあるというから、その発想がまた面白い。
なるほど。
確かに読んでいるだけでそこの路線を目指してみたくなる不思議な魅力を持った本だ。

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オカメインコの飼い方ってどうすればいいの?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ちょっと厚めのページ数に一瞬引いてしまいそうな値段。
初めは少し躊躇したけれど、何ページかめくってみたら、
たちまち欲しくなりました。

タイトルの通り、「オカメインコ」一色の本です。
環境の作り方、購入方法、迎え方、基本的な飼育方法、
遊び方やしつけ方についてなど、オカメインコに関する
様々なことが、写真とイラストで丁寧に書かれています。
内容も固いものではなく、オカメインコに関しては何も
知らないという人にも、一つ一つ分かりやすく説明して
くれています。
「オカメインコを飼うって楽しいんだな」と実感させられ
ます。
私はオカメインコを初めて飼い、かかりつけ医とともに、
ホームドクターとしてこの本がとても役に立っています。
オカメインコを飼い始めたら、この一冊と信頼できる
かかりつけ医があれば、十分だと思います。

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紙の本月と茉莉花

2003/07/06 23:24

漢詩の雅な世界を彷彿とさせるような…

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 久しぶりに素敵な歴史小説に出会った。
雪舟薫のカバーイラストに惹かれて手にしたのだが、
これがどうして、表紙の雰囲気そのままの美しく、荘厳さ
さえ感じさせる作品だった。

 時は、三国志の世界にも似た時代設定である。
3つの大国と6つの小国が並び立つ中原という所で、
淡という国が、荊という隣国を滅ぼした。
淡に対して危機感を感じた隣国の湘は、慌てて淡に同盟を
申し入れ、両国は同盟を結ぶが、ある日、湘は突然同盟を
破棄し、淡に攻め込み、結果、淡に滅ぼされる。

 敗国・湘の王族は、淡国の王太子・大牙によって九族連座
の刑にされてしまう。
 やがて大牙は、湘国の王族の唯一の生き残り、水月(月心)
の存在を知る。
 湘王の嫡長子でありながら、全盲ゆえに廃嫡され、
存在すら認められず、王宮の片隅に幽閉されていた水月は、
亡き父王と運命を共にしたいと大牙に申し出る。
しかし、大牙は、水月を虜囚として生かすことに決める。
やがて、優しく儚げで美しい水月に、大牙は強く心惹かれる
ようになり…。

 美麗な衣装の表現や、風雅この上ない人物描写、随所に
効果的に引用される漢詩。どれをとってもため息が出るほど
美しい作品である。また、何に対しても欲がなく、育ちの良さ
が漂う月心(水月)に対して、激しいまでの愛情を注ぐ大牙。
静かで穏やかな月心に苛立ち、自分同様の、いやそれ以上の
愛情を向けて欲しいと望む武人・大牙の情熱と不器用さ、
一途さがまた微笑ましい。
 もと敵国の王太子たる月心が、今後、大牙にどのような影響を
与えていくのか。
 素晴らしい歴史小説なだけに、政治的な駆け引きも見たいところ。
続編が楽しみである。

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紙の本目眩

2003/02/01 01:25

モテすぎて不幸な男

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 たぐい稀な美貌と明晰な頭脳を持つ光一は、父親の会社が倒産したことで、実家に仕送りするためにバーでバイトを始める。しかし、それがきっかけとなって、無理やりバーのオーナーであり、ヤクザの若頭でもある遠峰の愛人にされてしまう。 遠峰から逃げようとする光一。彼に異常とも思える執着を示す遠峰。光一に想いを寄せる男達。そして、再び逃亡した光一を前に遠峰は…?

 光一が望んでいるのは普通の生活だ。しかし、彼を取り巻く男達はそれを許してくれない。
 逃げても逃げてもいろいろな男に関係を迫られ、なぶられる彼だが、遠峰に対してだけ、ほかの男に対する思いとは違う何かを感じている。それはただ単に遠峰のセックスがうまいからだと自分を納得させる光一。しかし光一を追い詰め、独占しようとする遠峰は、自らの感情を光一を含め、まわりに読ませようとはしない。愛があるからだと言い表せばそれまでだが、それをしないのがこの作品のニクイところだ。
 遠峰の光一への執着は、愛ゆえなのか、光一に亡くした妻の面影を重ねているに過ぎないのか…? またはほかに理由があるのか…?
 この巻ではその答えは語られない。しかし、ラストで押し殺した遠峰の感情がふと垣間見えた時、本当の遠峰とは…?と考えさせられてしまう。遠峰の心が知りたい…ストーリーに伏線が多いだけに、次巻が期待される。

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紙の本まだ愛に届かない

2005/05/22 08:38

好きという気持ちが踏みにじられた時。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「好きだからこそ好きとは言えない」…ずっと想いを寄せていた相手から、思いがけず相手も同じ気持ちだと告げられたとしたら…鷺沼は、かねてから想いを寄せていた会社の後輩・千谷から真剣に愛を告白される。同性である千谷に対する恋情を自覚して以来、長い間その気持ちを心の奥底にしまいこみ、フタをしていた鷺沼は、特大級のダイヤモンドが手の中に転がりこんできたような舞い上がる気持ちを抑えきれない。しかし、鷺沼には、千谷の将来を思うからこそ、その想いに応じられない理由があった。本心とは裏腹に相手を拒絶する言葉を吐き、傷ついた相手を見て、さらに傷つく主人公。ストーリーは鷺沼の一人称で淡々と語られる。相手を想う切ない感情の機微が、ひとつひとつ丁寧に全編にわたって描かれている作品。

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思わずSLに乗りたくなる本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 各路線別にとても丁寧に解説してある読みやすい本である。今までSLに興味のなかった人、興味を持って読む人、どちらでも馴染みやすいいわゆる入門編ともいえるガイドブックだ。
 不定期運行のSLのこともびっくりするほど丁寧に解説されている。2003年の運行をもとにまとめたとあるが、2004年であっても十分活用できるほど調べ尽くされた本。また、SLの撮影ポイントなどもプロの目でアドバイスがあり、うれしい限り。写真も多く、活字が苦手な人も写真集のように読めるだろう。まずは手にとって見て欲しい。遠い昔、近くの線路を走っていたSLに思わず会いたくなるはずだ。

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刑事とヤクザ…とにかくラブラブな二人

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 東大卒で、警視庁の幹部候補生、橘行弘は、地方勤務を無事終了し、晴れて警視庁本庁に異動になった。ところが、引っ越したマンションで次々とトラブルに見舞われ、住む場所をなくし、仕方なく留置所に寝泊りを続ける羽目に。しかし、そのことが、上司の逆鱗に触れ、「一ヶ月以内にホシを挙げて、エリートの証を見せろ。できなければ僻地に左遷する」という厳命が下ってしまう。

 左遷を阻止すべく大物狙いを始めた行弘と部下の千葉。そして千葉が口にしたのが、大物すぎて警視庁も手を出せないという経済ヤクザの存在だった。「見た目はすごいけど、中身はただのヤクザです」と千葉に説明され、そのヤクザがいるビルに案内される行弘。社長と呼ばれるその男「六条成秋」に会った途端、行弘は息が止まるほどに驚く。六条は、かつて行弘と同じ大学で共に学び、突然退学した過去があった。それだけではない、退学の前日、唐突に理由も告げないで行弘にキスをして姿を消した…。

 刑事とヤクザとして再会した二人。秘め続けていた六条の行弘に対する激しい恋情。六条の思いは一方的なものだったが、行弘が六条の住むマンションに偶然?引っ越し、上と下に住むようになって、一気に二人の距離が縮まり、関係が親密になっていく。恋人でもないのに、行弘にキスをしてくる六条。そのキスに酔う行弘。「相手はヤクザだ」と心にブレーキをかけつつ、六条に傾く心を止められない。そんなある日、行弘は、六条に敵対する組の男に拉致されてしまう…。

 こういうストーリーだといかにもシリアスそうだが、作者が自分が楽しむために書いた作品というだけあって、設定がとにかく破天荒。行弘に盲目的な愛情を注ぐ六条のセリフがとにかく面白い。あばたもえくぼというが、その典型的な例といえる。学食でカレーうどんとカレーライスを頼む行弘に心惹かれた…というエピソードが何よりそれを物語っている。「何もそんな部分に惹かれなくても」と引きつつ、そんな六条に魅力を感じ、のめりこむ行弘。行弘のためなら、殺人も部下を売り飛ばすのも何とも思わない六条の熱い愛は驀進を続けるだろう。謎の大家の動向も気になるところだ。

 とにかく二人のかけあい、文章表現が単純にただただ面白い。シリーズものとのことなので、今後の展開が楽しみな作品だ。

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紙の本ブラザー・チャージ

2003/05/19 23:33

義兄弟…二人の気持ちが微妙に変化して…?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 副題が示すとおり、既刊「泣かせてみたい」シリーズの続編である。

 義兄・貴奨と不本意ながら同居をすることになった慎吾。以前は優秀な貴奨に反発するだけだったが、彼のことを知るにつけ、その仕事ぶりと人間性に強く憧れを抱くようになる。やがて、貴奨の職業、コンシェルジェという仕事に興味を持った慎吾は、当初、貴奨の恋人であり、富士美ホテルのコンシェルジェでもある高槻の下でホテルマンとして働きはじめる。が、ある日、富士美ホテルが休業することになり、貴奨の口効きで、慎吾は貴奨がいる四季グリーンホテルに勤めはじめる。

 貴奨が、恋人・高槻と別れて1年。
貴奨は外泊が多くなり、朝、シャワーを浴びるためだけに帰宅するといった日々が続くようになる。ある日、貴奨が脱ぎ捨てたネクタイに染み付いた花の香りに気がついた慎吾は、兄に新しい恋人ができたことに気がつく。マンションで一人留守番をする毎日に寂しさを感じた慎吾は、ある日、貴奨にマンションを出たいと切り出すが…。

 過保護な兄・貴奨とその庇護のもとから抜け出そうとする慎吾。外泊を続ける兄のそばにいたくない…兄の新しい恋人に嫉妬するという、この作品では、今までとは違った感情の揺れを見せている。貴奨は貴奨で、新しい恋人との現場を慎吾に目撃されたことに激しく動揺する。ひたすら慎吾を鍛え、一方で庇護してきた貴奨。そんな彼から、ひとり立ちしようとする慎吾。そんな慎吾に対する貴奨の戸惑い…。今まで、目標として追い続けた兄との関係が微妙に変わりはじめる。そして、貴奨が慎吾に対して抱いているのは、兄としての愛情だけなのか…? 既刊シリーズではどちらかというと、業界の内容にしぼったストーリーだったが、この作品は内面的な内容になっている。ストーリーが、はじめて慎吾の一人称でなくなったからかもしれない。
感情を抑えた貴奨の一挙一動から目が離せない。

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少年舞妓とオンナの闘い?!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

シリーズ4作目。
前作のラストで、舞妓として本格的にデビューすることを決めた、
少年舞妓の千代菊。
関西実業家の若きプリンス、楡崎をはじめとする祇園の超VIP三人が、
すでに後見人として名乗りをあげている。
千代菊の前途は明るいものに思えたが、ある日事件が発生する。

ある日、政治家のお座敷に招かれた千代菊は、そこで芸妓の銀華、
舞妓の毬華と一緒にお座敷をつとめることになる。
銀華は、千代菊が現れるまでは楡崎の恋人と噂され、贔屓にされていた
先輩芸妓。
そんな彼女と一緒というだけで波乱が予想されるが、お座敷の最中、
とある事件が発生する。
楡崎から銀華がもらった根付がなくなり、それが千代菊のバッグから
出てきたものだから大変!!
泥棒扱いされた千代菊は、祇園から追放されそうになる。
果たして真犯人は??

今回のテーマは、楡崎をめぐるオンナの闘い。
とはいえ、祇園が舞台だけに実に華やかだ。
今までは、舞妓としての千代菊しか見ていないと思われた楡崎の
微妙な変化と、そんな彼に揺れ始める千代菊の心情描写がドキドキする。
自分を女と思い込んでいる楡崎に、男であることを告げられないでいる
千代菊。
それもこれも祇園に超VIP楡崎を引きつけるためのやむを得ないウソ
だが、今後、そのウソがどう千代菊に影響してくるかが楽しみだ。
また、楡崎のピュアな気持ちに心を揺さぶられるのは、千代菊だけでは
ないだろう。
ラストがラストだけに、次作が待ち遠しい。

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少年舞妓は姿を消すのか?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

シリーズ3作目。
男の子であることを隠して祇園で舞妓を続ける千代菊。
しかし、贔屓の客は増える一方だ。
男であることがバレる前に、舞妓をやめることを決心した千代菊は、千代菊を女だと信じ込み、恋していると連呼する実業家の楡崎に舞妓をやめると告げる。
「千代菊のいない祇園に用はない」と言い切る楡崎。
祇園の超VIPである彼がほかの花街に行ってしまったら祇園の売上に大きく影響する。
悩む千代菊。
そんなある日、ある友禅作家と出会った千代菊は、彼の作品と人柄に強く惹かれる。
それに激しく嫉妬した楡崎がとった行動とは…。

千代菊ファンが増えるにつれ、のっぴきならない状態に。
楡崎の執着と独占欲も前作に比べるとかなり強いものに。
まさに理性を失った状態?
今回は、副題のとおり、千代菊は舞妓をやめようとする。
しかし、楡崎はそれを許さない。
千代菊と楡崎の恋の駆け引きもさることながら、微妙に揺れ動く千代菊の心情にも注目。
伊織という魅力的で強力な恋のライバルも現れるなど、波乱ぶくみの展開になっている。
とはいえ、伊織の職業である友禅についての記述がとても詳しく面白い。
恋の話とあわせて、祇園の伝統文化についてちょっとかじってみる意味でも、この作品はおすすめだ。

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紙の本目眩 2

2003/02/02 23:14

寡黙な男の本心を知った時…

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 前作「目眩」のラストで、半ば強引にヤクザの遠峰によって香港に連れて
いかれた光一。屋敷から一歩も出ず、多くの監視カメラに囲まれ、彼は遠峰
の愛人としてのみ生活することを強いられていた。なぜ、遠峰は光一を軟禁
状態にするのか? 香港に連れてきた真意は? やがて明らかになる遠峰と香港
マフィアの対立。否応なしに巻き込まれる光一。やがて光一が香港マフィア
に拉致された時、遠峰は…?

 遠峰の愛人という立場に甘んじる光一。そんな彼を哀れみ、彼に惹かれる
孝賢。相変わらずのポーカーフェイスの遠峰。前作と異なり、美貌で不運続
きというよりは、遠峰の愛人であることで、光一自身に災難が降りかかると
いう展開だ。すべてを諦め、受け入れていた光一だったが、遠峰の真意と、
自分自身の気持ちに気づいたことで、初めて自らの進む道を決める。それが
とても清々しい。
 寡黙な遠峰の心情を客観的に伝える矢沢の台詞も心に響く。遠峰が寡黙で
ありながら、こうも存在感があるのは、片腕である矢沢の存在によるところ
が大きいように思う。殆ど台詞のない遠峰。しかし、彼の行動、考えに大人
の男のかっこよさを感じる。光一ならずとも惹かれてしまうのは無理からぬ
キャラクターだ。これでストーリーは一段落した形だが、新たな関係となっ
たその後の二人の続編を熱望してやまない。

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少年舞妓の心を射止めるのは?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ピンチヒッターとしてお座敷に出たはずが人気者になり、会う客会う客をとりこにしていく…それが祇園の舞妓・千代菊。しかし、千代菊の正体は13歳の男の子。みんなはそれを知らずに心を奪われていく。そんな客の中で今頭ひとつリードなのが関西の青年実業家・楡崎。倍以上の年の差ながら、千代菊の摩訶不思議な魅力にとりつかれた彼。
そんな彼の千代菊への執着ぶりを描いたのがこの作品。
一夜にして彼を今の地位から追い落とせるという亡くなった母の恋文か、千代菊の身か。二者択一の選択で彼が出した答えは…。

千代菊が13歳というわりにちょっと考え方が大人びているかな、という感を受けなくもない。現実として32歳の大人の男がここまで13歳に夢中になるものか、と思えなくもない。
しかし、それら非現実的な設定も面白くて読み進むうちにどうでもよくなってくる。単純に祇園の舞妓さんの暮らしぶりを楽しめるのも魅力だと思う。千代菊の正体が男だと知った時、楡崎がどういう反応を示すのか楽しみである。男と知っても気持は変わらないのか、衝撃で会うのも抵抗を感じるのか(笑)、今後の展開が楽しみだ。

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紙の本30秒の魔法 2

2002/12/29 16:43

心をあたためたい時に

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

待望の2巻である。
主人公ナオとジャックの関係がかなり発展していて、いきなりベッドインという展開に。とはいうものの、ストレートのナオが、ゲイのジャックの想いにすんなりと応えられるわけがなく、この巻ではベッドインするまでのドタバタを描いている。

ストレートのナオを気遣い、「お友達から」というつきあいをはじめた二人。オフの日はお互いに都合をつけて、デート?を楽しむ二人だったが、一向に発展しないそんな二人の曖昧な関係に限界を感じたのは、想いを抑えきれなくなっていたジャックのほうだった。
ジャックは自問自答する…友情を失っても、自分はナオを抱きたいのだろうか。
答えは「イエス」。
どうしてもナオが俺を受け入れられないのなら、もう会わない…そんな覚悟を決めて、ジャックはナオに愛を告白する。そしてナオが出した答えは…。

相変わらずかっこいいジャックである。思いやりがあり、決断力があり、潔い。そんな彼が、今回はナオのことで思い悩み、取り乱す様子が描かれている。そのギャップがまたジャックを魅力的にみせている。
ナオもジャックとの関係を大切にするあまり、慎重になっている。しかし、その慎重さがジャックを悩ませている原因だとは気がついていない。
たまらなくハートフルな二人。
安易なストーリー展開が多いボーイズラブが多い中で、この二人の心の葛藤は、かなりリアリティを感じさせる。


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虚飾を捨てた男の純情

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 前作「ANSWER」の続編である。
 真芝は、愛していた男にふられ、激しい怒りを抱きながら、かと言って吐き出すこともままならず、その時、道端でたまたま出会った男、秦野が、自分をふった男と同じ名前だというだけで、怒りの矛先を秦野にぶつけた。強姦という形で。秦野を欲望のはけ口にし、自分をふった男の代わりにボロボロになるまで痛めつけるのだ。こんなひどい男がいるだろうか、読んでて腹が立って仕方がなかったのだが、ラストはなんとかハッピーエンドに治まった前作だった。

 そして、この「SUGGESTION ANSWER 2」。
 まず、別人ではないかと思えるほど変貌している真芝に驚かされる。もともと5歳の年の差があり、年上の秦野がかなり人間的に出来ているせいで、甘えたがりの真芝をうまく受け止めることができているわけだが、前作の真芝のイメージが完全に覆されているため、違和感を覚える人もいるかもしれない。

 しかし、前作ですでに触れられているが、秦野には辛く苦しい過去があり、また、それを知った真芝が、そのことを知ったうえで秦野を求めている。そして、自己中心的な怒りを秦野にぶつけたことを深く反省し、かつ、秦野自身も、真芝の本当の姿を卑劣な行為をぶつけられながらもきちんと見極めていた。それを考えると、この作品の展開は何一つ無理がなく、自然な展開ではないかと思った。

 この作品で終始繰り広げられるのは、二人の同居問題である。同居を求める真芝に対し、二人の過去にとらわれ、また二人の年の差にこだわる秦野は、素直に応じることができない。これもまた自然な展開であって、そういった感情の機微を丁寧に表現していることにとても好感を覚えた。

 前作と比較して、真芝の変貌ぶりを読者がどう受け止めるかによって、この作品は賛否両論分かれるところだと思うが、私は、逆にその変貌が効果的に感じられ、かなり面白く読むことができた。

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