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  3. むつき ジンさんのレビュー一覧

むつき ジンさんのレビュー一覧

投稿者:むつき ジン

25 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本日輪の遺産

2002/07/03 07:25

一筋縄ではいかないミステリー

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

鉄道員やプリズンホテルで浅田次郎を知った人には、意外な作品であるかもしれない(このような言いかたはあまり好まないが)。本作は「浅田次郎」らしくないミステリーである。
物語は主人公が競馬場で出会った不審な老人から、一冊の手帳を手渡されるところから始まる。
その内容は、終戦間近、陸軍がマッカーサーから奪った時価2百兆円以上の財宝を隠したと言う驚くべき物だった。その後物語が進むにつれ、主人公は老人に関ったさまざまな人物と出会い、手帳の謎に、そして過去に惹かれて行く。
この書評の表題をミステリーとしたが、決して「日輪の遺産」は宝捜しとしての冒険物語や、財宝をめぐる憎悪劇ではない。だが、財宝に関る人物の謎、過去を一つづつ解き明かしてゆき、そこから数限り無い驚きと感動が生まれる点は、まさに(しかも上質の)ミステリーと呼べるであろう。
すべてが明らかになったときの感動が半減してしまうので、多くを語ることは出来ないが、予想できない結末に涙をこらえることは難しいはずだ。
文句なしの5つ星である。

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戦争と言う名の狂気

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 私にとって初めての手塚作品である「アドルフに告ぐ」。本作は、戦争を題材にしたサスペンス作品である。手塚治虫といえば「鉄腕アトム」などのファンタジー作品をイメージしていた私は大きな衝撃を受けた。
 物語は第2次世界大戦中のドイツ、アドルフ・ヒットラーの出生の秘密を知った日本人留学生が殺害されたことから始まる。やがてその秘密は、日本に住む幼い二人のアドルフの運命をも巻き込んでいった。
 複雑に絡み合ったストーリーを、息もつかせぬ速さで展開して行く様など、もはや漫画の域を越えているといっても過言ではないであろう。
 民族浄化と言う誤った大義名分のもと破滅へと暴走を始めたヒットラーの悲劇や、ナチスによるユダヤ人迫害の実態、また日本における戦時中の思想や言語の弾圧など、教科書が教えてくれなかった戦争の悲惨さを改めて認識させられる。
 現在の日本は平和だ。だがこの平和は、「忘れてはいけない過去」の上に成り立っている。民族・宗教を超えた、人類の真の平和とは何なのだろうか。その答えを解く鍵の一端を、この物語が担っているのかもしれない。

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紙の本プリズンホテル 3 冬

2002/07/08 19:24

浮世の垢を落としに!是非一読。

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 ヤクザの親分が経営する、通称「プリズンホテル」には今宵も変なお客がやってくる!?
 ちょっと変わった(と言うよりもむしろ異常といった方が良いかもしれない)設定と、個性豊かな登場人物が魅力のこのシリーズ。人間の暖かさが伝わってくる、全編通してぜひ読んでほしい作品であるが、個人的にはこの「冬」は一押しだ。
 本作「冬」は、命がけで人を救ってきた看護婦「血まみれのマリア」と、患者を安楽死させた医師との出会いを中心に描かれている。「命とは」「医療とは」といった難しいテーマに、木戸親分はどう取り組むのか。もちろんプリズンホテルらしいドタバタ人情物語の一面も健在だが、人としていつかは考なければならない問題を提起している。
 またこのシリーズの中心人物と言っていいであろう作家、木戸先生の性格が徐々に変わり始めるのもこの巻で、そこにまつわる人間関係が涙を誘う。
 笑い有り、涙有り。浮世の垢を落とすためにぜひ一読していただきたい。

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紙の本姑獲鳥の夏

2002/07/06 11:10

謎・登場人物・エピソード、すべてが斬新。

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憑き物落し、京極堂と作家関口との謎解きシリーズ第一作目。
あらすじはさまざまな方面で紹介されていると思うので割愛させていただく。
とにかくこのミステリーは凄い。
一つの謎が次の謎を呼び、時には登場人物の台詞にまで振り回される。
先が見えない展開に、所々挿入されている妖怪や、この世のものでないものに関するエピソードが斬新だ。
物語が進むたび主人公関口氏が混乱して行くように、読者のほうも罠にはめられて行く。
特筆すべきは、ミステリー作品に有りがちな読後の爽快感が、この作品にはない点であろう。
すべての謎が解決したとき、そこには人の世の「切なさ」が残っている。
そこが京極作品の魅力であり、数多くのファンをとりこにしてきた一つの理由なのかもしれない。
私自身まさに、京極夏彦氏に「やられた」。

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紙の本ユリイカ

2002/07/01 18:25

ユリイカ

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御存知、カンヌ映画祭で絶賛された作品のノベルス。
映画のほうは残念ながら見ていないが、この小説を読むと映画が高く評価された理由もわかる。
バスジャックや連続殺人事件のストーリー展開も非常に面白いが、何よりもこの作品が全編通して訴えている「癒し」や「再生」に関する描写がすばらしい。
「人間の再生」言葉にすると簡単だが、非常に大きく難解なテーマでも有る(実際、主人公自身もいったん重すぎる現実から逃げ出している)。
難解なテーマを取り扱っている作品であるほど、お涙ちょうだい的なお粗末な結末になってしまうが、この作品ではあえてそのことに対する答えを明確にせず、読者自身に考えさせようとする構成がすばらしく、星5つとした。

個人的には、ラスト近く、秋彦がバスから降ろされたシーンが印象に残っている。
絶対、読んで損は無い作品。

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紙の本空飛ぶ馬

2002/07/24 19:05

読後の印象がすがすがしい作品。

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ミステリーが苦手であった私が、この作品には魅せられた。
 一方的な偏見かも知れないが、ミステリー作品と呼ばれる物の大半は殺人を扱ったものが多い。私はそこに描かれる怨恨や嫉妬、人間の奥底に潜んだどす黒い部分が苦手であった。しかしこの話はミステリー作品であるのに人が死なない。私と円紫さんシリーズ全編通して言える事であるが、純粋に謎解きを楽しめる。中には赤頭巾のような、はっとする恐ろしさを含んでいる物語もあるが、それにしても読後の印象はすがすがしい。
 そして何よりも、人物の描写がすばらしい。主人公の私にしても、円紫さんにしても派手さはないがじんわりと心に染み渡るような暖かい印象を与えてくれる。きっとこのことが物語の後味を良くする事に一役買っているのだろう。
 ミステリーは、人間の負の部分を曝け出すだけではない。心が温かくなるような謎もあるのだと、これからのミステリーに対する可能性を示してくれた作品である。

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紙の本江戸川乱歩傑作選 改版

2002/07/25 09:52

王道、そして上質ミステリー&ホラー

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本作は数ある江戸川乱歩作品の中から、初期に発表された9編を収録している。
本格ミステリーである二銭銅貨やD坂の殺人事件から、現在ではホラーと分類されるであろう作品、人間椅子、鏡地獄、芋虫まで、文庫一冊であるが江戸川乱歩の魅力を十二分に味わえる本になっている。
 中でも個人的にお勧めしたいのは、赤い部屋である。事件に頼らず、言葉と雰囲気だけで背筋が凍るような恐怖を表現しており、改めて江戸川乱歩の偉大さを思い知らされた。
 名前は知っていても、まだ江戸川乱歩の作品に触れたことのない方、多数ある作品の中からどれを読めばいいのかわからない方にとって、お得な本である。

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紙の本斜陽 改版

2002/07/25 07:54

革命の為の破壊、そして没落。

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 没落していく家の中で、最後の貴婦人となった母。革命を夢見て、恋に走るかず子。麻薬中毒になり、やがて酒に溺れ自殺した直冶。流行作家でありながら、自堕落な生活を送る上原。4人4様の破滅をなぞった本作は、斜陽族という言葉まで生んだ、太宰治の代表作である。
 本作が主に取り上げているテーマ、革命とは、旧体制の破壊である。その破壊を、太宰は夕陽に喩えた。斜陽、つまり夕陽は明るい。だが夕陽がもたらす光は、やがて夜がやってくるため必ず消える。そして光が明るければ明るいほど、影は一層暗くなる。この小説に登場する4人も、革命を望みながら多くのものを失い、傷だらけになっている。
 多少難解な小説である。が、とっておきの純文学であり、是非一読していただきたい。

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紙の本スカイ・クロラ

2002/07/20 23:26

生きている、と言うことへの疑問。

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 はっとするような美しい空の写真に、衝撃的なフレーズ。
 この装丁のために本書を手に取られた方も多いかと思う。
 設定は、企業間で戦争が行われるようになった近未来である。だが本作中、描写されている世界は未来というよりも現代の世界に近い。そのため、全編に漂っているリアリティーが、人を殺すことを仕事と割り切る事が出来る主人公の異常さを浮き立たせることなくこの物語が取り上げている、生きること、へ疑問を投げかけている。
 戦争の話だ、と一言で片付けるにはあまりにも深い。死への恐怖があまりない主人公への感情移入も難しい。その点においてこの小説は、楽しめる物ではないと思う。だが、他人の命、そして自分の体を軽視する傾向にある現代社会、特に若者世代と呼ばれる人たちに読んで欲しい。

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いちげんさん

2002/07/05 17:39

外国人作家が描く古都、京都での恋。

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 京都の大学で日本文学を勉強している主人公は、アルバイトで目の不自由な女性、京子と出会う。
対面朗読を重ねるうち、二人はうちとけ、恋に落ちる。
 作者はスイス出身であるが、この作品は驚くべきことに全編日本語で書かれているのだ。
文中には外国人作家だからこそ出来るユーモラスでウイットに富んだ比喩がふんだんに使われており、二人の関係をよりさわやかに表現している。
 恋愛小説の色が強い作品だが、京都特有の「よそ者」を受け入れない雰囲気や、外国人と日本人との間の壁、身体にハンディーを持つ人と社会とのバリアなどを鋭く書き出すなど、ボーダレス社会の形成が叫ばれる今の日本が持っている問題点を考えさせられる作品だ。

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紙の本Separation

2003/08/16 17:33

身を切られるような切なさが伝わってくる作品。

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 あとがきで、作者自身がこう述べている。
「これは、たったひとり女性のために書かれた物語です」。
 おさめられている2編の恋愛小説は、両方とも切なく、悲しい。
 特に表題になっている「Separation」は女性だけでなくきっと男性も涙すると思う。
 別れる事がはっきりと判っているのに、そのときを待ちつづけなければならなかった主人公のつらさが痛いほど読者にも伝わってきて、時にはページをめくることすらためらわれるほどだ。
 作者がここまで表現できるのは、先にも述べた通り、この物語がたった一人の為に作られたものだからかもしれない。
 生きること、恋に落ちること、人を愛することは決して幸福に満ち溢れたものではない。この世の終わりと思うほどの絶望や不幸と、諸刃の刃になっている。そのことに悩み苦しみながらも、一人を愛し続けた主人公の姿がすばらしかった。
 

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紙の本海峡の光

2002/07/31 18:11

海峡の向こう側とこちら側。

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 舞台は函館。少年時代、優等生の仮面をかぶった花井修と、彼から残酷ないじめを受けた主人公は刑務所の中で再会する。監視される花井と、監視する主人公と言う逆の立場になって。
 芥川賞賞受賞作であり、辻仁成の名を世に知らしめた作品でもある。数ある彼の作品の中でも、特に読み応えのある一つであろう。
 注目したいのは自然の描写である。時に荒々しく、時穏やかな、まるで生命体のような海が、閉鎖的で非日常的な監獄をより鮮明に、より効果的に浮かび上がらせている。
 タイトルにもなった、海峡に象徴される塀を乗り越えることが出来た主人公と、塀の中でしか生きることのできない花井の姿が、読者に人生の一面を教えてくれる作品である。

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耽美という言葉がぴったりはまる。

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 ボーカリストのカノンと、ちょっと不思議で純粋な少女かめのちゃんが織り成す甘いラブストーリー。ほのぼのとした雰囲気の中に時折混ぜ込まれている、幻想的、詩的な描写が独特の世界観を生み出している。耽美と言う言葉がやたら乱用されている感の否めない現代で、この作品だけはまさに耽美である。
 この作品が独特の世界観を持っていながら、すんなりと読者に受け入れられるのはキャラクターの魅力のせいであると思う。主人公二人は勿論のことながら、周りを取り巻く人々もどこか変わっていて、それでいて憎めない。
 楠本まきワールド初心者にとって、彼女独特の世界観に入りやすい作品だと思う。

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紙の本縁切り神社

2002/07/25 00:30

決して甘くはない、だけど泣ける切ない短編集。

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 社会問題から果てはオカルトまで、今の時代を取り巻く様々な事柄を鋭い切り口で田口ランディ氏による恋愛短編集。
 恋愛は、ドラマティックなものでも甘いものでもない。常にちくちくと突き刺さるような、それでいて曖昧な痛みと戦わなければならない。その痛みは主に、どれ位相手が自分を愛しているか不安に思う所から発するのだろう。しかし大切なのは、自分がどれだけ相手の事を想っているか、なのではないか。
 例えば表題作の縁切り神社では、交際相手を信じ切れないせいで上手く自分の気持ちが伝えきれなかった哀しい恋の結末を描いている。この物語の結末は、女性読者にとっては痛いものになっているだろう。だがその痛みこそが、田口ランディが表現したかったものなのだ。
 縁切り神社もいいが、個人的には、夜と月と波が一番気に入っている。作中に出てくる三味線男の生き様がとにかくかっこいい。そして最後の一行を読んだ時、涙を流さずにはいられないだろう。
 ちなみに、表題になっている縁切り神社こと安井金毘羅宮は、縁結びの神社でもある。

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紙の本にぎやかな未来

2002/07/21 07:46

言葉の魔術師、筒井康隆。

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 これはもう、筒井康隆にやられてしまった。
 本書は、表題作を含む41編の超短編集である。
 白鼠から迫害を受ける溝鼠の話、火星に住んでいる老人の話、公共放送のCM受信料の値上げの話。どの作品も突拍子のない設定であるが、密かに現代社会の本質を見抜いてる。あながちありえないことはない狂気じみた未来への警告を、著者独特のブラックユーモアで強烈に描いていて、読者は各短編最後の2行でドキリとさせられてしまうであろう。
 平均してどの短編もたった4ページの小説だが、読後残る味わい深さは長編小説となんら変わりはない。たったひとひらの言葉で、作品をギャグにもホラーにも出来る筒井康隆マジックに脱帽である。
 細かい理屈は抜きにしても、超短編の面白さ、可能性を十二分に伝えてくれる本である。是非一度読んでいただきたい。

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