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  2. レビュー
  3. 消印所沢さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年6月)

消印所沢さんのレビュー一覧

投稿者:消印所沢

520 件中 1 件~ 15 件を表示

黒騎士物語

2003/03/03 20:25

「ばかもん!!俺のケツをなめろ!交信終了!」

7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ちっ,空気までイワン臭くなりやがった」
「いたぞ! お客さんは11時方向だ.距離を詰めろ」
「T34/85多数だ.こっちの射程距離まで食い込め」
「糞ったれ! こいつは化物だ!」
「情け無用! ファイア!」
「おい,ゲルマンスキーの国防軍発表によると,黒騎士中隊は包囲されてるぞ」
「魔女の婆さんに誓って一人ずつ殺してやる」
「中佐殿,我々は脱出すべきです」
「良心の命のままに.3日前の死守命令など,この状況下では無意味です」
「中隊長! イワンのお喋りが急に増えやがった」
 BUH-KOOOM! BTHOOOM! DOKOKOKOKOW!
「触るな! 私の部下だぞ! さっさと消えんか,犬どもめ.射殺するぞ.10数える.ひとつ!」
 中隊長の手が2回,空を切る.黒騎士中隊,前へ!
「黒騎士1より全車へ.前進しろ.さもなくば死だ」
「俺は病気なんだ! ここから出してくれ!」
「黙れ! お前も俺も戦争という病気だ.お前の病名は装填手.そしてお前がいないと,俺達は戦争ができないんだぞ!」
「ローテ小隊,ファイア!」
「ブラウ小隊,ファイア!」
「ゲルベ小隊,ファイア!」
「命中! 命中!」
「左右に構うな! 突進!」
「死人ども,立ち上がれ! 対空射撃だ!」
「気違いめ!」
『逃亡兵!!』『私は敗北主義者です』
「我々の伍長殿は西方に飽きて,今度はハンガリーに興味を示しておられる」
「なんだって!? 奴は発狂したのか!?」
「大尉殿,こちらがヒトラー・ユーゲントの戦士です」
「ガキども,イワンはこんなに甘くはないぞ! 武器を置いて家へ帰れ!」
「もう一発撃て.これでカンバンだ」
「大尉殿,殺してください.殺してくれえ〜」
「諸君,敗戦だ.後衛部隊は戦友のため,最後の義務を尽くせ.以上」
「クルツ,こいつはどうした? 盗んだのか?」
「いい買い物です.SS修理中隊が喜んで古い軍服と交換したのであります」
「エルンスト,最後の命令を与える」
「まだ1台,動く戦車があります.母上とエンゲによろしくお伝えください」
「もう戦争は終わったと思ってるな.ドイツ戦車兵精神を教育してやるか」
「黒騎士中隊突撃!」
「大尉殿,応答してください」
「お前達は充分に義務を果たした.古いドイツのために死ぬべきではない.新しいドイツのために生きろ.ジーク・ハイル!」
「フレブ・ザ・フレブ.クロフ・ザ・クロフ」
「ゲルマンスキー,戦争は終わりだ.お前の上官を埋めてやれ」

 末期の東部戦線.局地的勝利も,また虚し.著者の初単行本にして著者最高傑作,絶対買え.【関心率96.13%:全ページ中,興味あるページがどれだけあるかの割合.当方基準】

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逆手

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 昔,松平忠輝という,たぶん日本一ツイてない武将がいた.
 どれくらいツイてないかというと,いきなり家康から捨てられたくらいで,その後も配流されたり,幽閉されたりして,一生を終えている.
 そのツキのなさぶりが目に止まったのか,隆慶一郎はこれを創作の上で反転させる.
 かくて一代のスーパー・スターが紙上に誕生することとなった.

 忠輝は「鬼っ子」と呼ばれた.
 それを著者は逆手に取り,忠輝を「生まれつき鬼のように強く,敏捷」と設定した.
 7~8歳にして,鍛えられた忍者よりも高く飛びあがり,牛を持ち上げ,ろくに槍も習っていないのに,槍の師範を打ち負かす.
 荒唐無稽になりがちなこうした設定を,「鬼っ子だから」で片付けてしまう.

 もちろん「主人公がめっちゃ強い」だけでは面白い話にならない.
 強力なライバルが必要だ.
 そこで著者は,徳川秀忠をライバルに据える.
 なにしろ2代目将軍だ.
 凡人という設定(むしろだんだんアホになっていくが)だが,将軍という権力の上,直属の配下に伊賀忍者や柳生宗矩という強力な戦力を有する.
 一方,忠輝もその性格と能力とで味方を増やす.
 そして彼らの暗闘が,ストーリーの主線となる.

 さて,この時代を扱うには,どうしても避けては通れない人物がいる.
 徳川家康である.
 これも強力な人物なので,どちらかに一方的に肩入れさせると,パワー・バランスが壊れる.
 そこで脇に回らせる.
 ただし脇とは言っても,歴史的にはこちらが主線であって,その主線の影響を主人公が受けてストーリーが発展するという形にした.
 とはいえ,物語の終わりのほうになると,家康・忠輝の親子物語のようになってしまうが.

 その他.
 傀儡子を笑わせる忠輝.
 まだ子供なのに柳生の刺客を全滅させる忠輝
 長じても伊賀者を全滅させる忠輝
 柳生の道場を自ら爆破する忠輝
 大阪城に忍び込んで猿飛佐助を呆れさせる忠輝
 大阪冬の陣の最中にもやはり忍び込んで,秀頼と離別の盃を酌み交わす忠輝

 ついでに本多正信に叱られる家康という,珍しいものも見ることができる.

 オチはどことなくハッピーエンドふうに終わるが,本当はもう一つのオチ,
「……という願望のような,走馬燈のような夢を,死の床で見ていたのだった」
というエンディングがあるような気がしてならない.

 今でも,そこんじょそこらの一山いくらの凡作漫画を寄せ付けないほどの面白さ.
 絶対買え.
【関心率99.99%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】

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紙の本帝国ホテル厨房物語

2008/11/21 00:41

意欲モンスター

12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ジャンルは一切考慮せず,「村上」という名の著者の本を折に触れて読んでみるという,自称「村上シリーズ」を試している.
 そうすることで特定ジャンルに偏りがちな読書傾向を是正し,思わぬ発見ができるのではないか?という意図の下に行っているものだが,本書発見はその成功例.
 おそらく口述だろうとはいえ,名シェフは包丁捌きだけでなく,文章捌きもまた巧み.
 オチのつけかたも,きちんと心得ている.
 かつて読んだ辻静雄の著書も大変面白かったことも考えると,この分野,侮りがたし.

 一読して驚かされるのは,著者の意欲モンスターぶり.
 「フランス料理を極める」と戦略目標が明確であり,そのためには骨身を惜しまず.
 帝国ホテルへ転職してみると,見習からやり直し(p.56)
 銅鍋を独りで全て磨き上げる著者(p.57)
 「手伝え」は「よく見て覚えろ」の意(p.58)
 秘伝の調理をするときには,「飯に行ってこいよ」と人払いする先輩シェフ(p.64-65)
 その秘伝のレシピを,出征の前に餞別代わりに教えてもらった著者(p.75-76)
 メニュー書きのときに困るというので始めたフランス語学習(p.69)
 留学の話に即答する著者.
 外貨不足のため,とりあえず大使館付きの料理人に(p.117)
 留学先では「悪い点は見ないようにしながら,現地の流儀に従え」(p.129)
 コンパクト・カメラを配って,ローマで「調理場出入り御免」(p.144)
 最初は不満だったが,学ぶところが多かったNHK「きょうの料理」出演(p.145, 149)
 それまで丼勘定でやっていたところを,食材管理をシステム的に行うフード・コントローラーを導入する著者(p.168)
「『俺の料理は』と威張るのは,客が喜んでからにしろ」(p.176)
「料理はそれぞれ歴史を持ち,物語がある」(p.184)
「欲を持て」「急ぐな」(p.203)
「チャンスは練って待て」(p.227)

 他にも,著者にしか書きえないだろう興味深いエピソード多し.
 シャリアピン・ステーキ誕生の経緯(p.64)
 戦争中でも,役人の宴会のときには厨房に届く,ないと思っていた肉・魚(p.71)
 出征兵士のために縁起を担いで出した鯉とカツレツ(p.71-72)
 銅鍋疎開大作戦(p.72-75)
 牛刀・フライパンつきで入営する著者(p.80)
 厨房と軍隊とでのげんこつの違い(p.81)
 両手で作業する厨房での経験が活きて,歩兵砲でようやく適所に(p.82,90)
 戦後40年たって皮膚近くまで浮いてきたので,ようやく摘出できた砲弾の破片(p.87)
 包囲奇襲戦の直前にカレーを料理し,その匂いで敵が退却した話(p.87-89)
 自分で重営倉を作って,自分で入営倉(p.92)
 シベリア抑留.
 衛兵所でソ連兵と折半することで,堂々と捕虜収容所へ持ち込めた薪(p.97)
 少ない配給を活かすために作ったイマン団子(p.98)
 収容所近在での結婚式などで,料理人の助っ人として呼ばれる著者(p.99)
 シベリアでノウハウを蓄積した解凍技術(p.99)
 帰国直前に受けたが,すぐに忘れ去った共産教育(p.100)
 米軍に接収されていて,アメリカ料理ばかり作らされた戦後の帝国ホテル(p.108)
 帝国ホテルでのフレンチ復活のきっかけとなったソース事件(p.113)
 復員しても容貌が変わっていたが,キャベツの千切りの音で著者と分かってくれた先輩シェフ(p.110)
 柔道禁止の指令を出したGHQの本部のすぐ横で,柔道を続けていた丸ノ内警察署(p.221)
 「バイキング」命名の経緯(p.137)
 東京オリンピック.
「日本の野菜は堆肥を使うので非衛生的だ」という偏見を改めさせるため,ヨーロッパ人役員を長野に招待(p.152)
 日本のパンに不安を抱く欧米役員に試食させたところ,「ふだん食べているパンよりずっとおいしい」(p.153)
 イスラーム教徒を安心させるため,目立つところに貼っておいた,高位のイスラーム法学者による証明書(p.154)
 名選手は食事も選び方上手(p.158)
 著者所有の,オリンピックの裏方として活躍した車を,「お国のために頑張ったのだから」と整備代をタダにした整備工場(p.158)
 東京オリンピックのおかげで日本に普及した,大量調理や食材冷凍技術のノウハウ(p.161)
 客に喜ばれるためには「段取り八分」(p.162)
 客に恥をかかせないため,自分もフィンガー・ボールの水を飲んだ荒木貞夫大将(p.200-201)

 その他,社会状況等.
 日露戦争勝利の余韻で命名された食堂「万歳亭」(p.22)
「男なら(将来なりたいものは)総理大臣か大将と書くものよ」(p.30)
 出席日数不足で卒業証書を貰えなかった卒業式(p.34)
 テキヤの親分のために,警察が張り込みをしている屋敷へ,岡持ちを持って出かけ,食器を下げるふりをして財布を取ってきてあげる著者(p.46)
「学歴もない少年少女が明日に希望をもって生きることができたのは,社会にあそび,「のりしろ」のようなものがあったから」(p.47-48)

 名シェフによる文庫版の名料理,堪能せよ.
 買え.
【関心率24.90%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】

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戦乱下の開発政策

2006/01/11 21:07

実写版「拝啓ジョン・レノン」

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

♪拝啓 ジョン・レノン
あなたがこの世から去り,ずいぶん経ちますが
まだまだ世界は暴力に溢れ 平和ではありません
内戦が起こった国は 軍事費が79%増え
固定資産が40%破壊されましたね
難民の3分の2は
財産を全てなくしました

内戦 所得15%減少
内戦 貧困者30%増加
内戦 1年分のGDP60%喪失
内戦 人口の70%難民
内戦 今では犠牲者のほぼ90%は一般人
戦後も不安定が残ることで どこか外国へ資産は20%逃げた
そして今も腐敗が残り PTSD後遺症はとても長い
難民の中にいるような 鬱病患者は68%と多い

♪拝啓 ジョン・レノン
内戦中も戦後も大して変わりはしない
5年以内に再び内戦になる確率は そんな国では約44%になるからさ
拝啓 ジョン・レノン
そんな内戦を資金抑制で防止したい
天然資源も海外送金も目一杯規制しながら和平へ進む

内戦 根本原因は
内戦 経済開発の失敗
内戦 優勢な民族がある場合
内戦 起きる確率は20.9%になる.

拝啓 ジョン・レノン
そして今 石油のように
天然資源から流れてくる資金は 反乱者にとても優しい
拝啓 ジョン・レノン
麻薬資金は反乱者にとても優しい
拝啓 ジョン・レノン
反乱リーダーはとても裕福だよ


買え.
【関心率約90%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】

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偽装農家

2010/12/01 20:40

濡れ手に粟

12人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 塩津計氏の書評を読んで興味を持ち,読破.
 確かに薄い分量の割には,濃度高し.
 また,俗説打破も多数.

「食糧自給率を上げることは,実は簡単.農業補助金をばら撒き,外国産農産物を完全に閉め出せばいい」(p.8)
「バイオエタノールが必ずしも穀物生産を圧迫するとは限らない.
 茎など食用ではない部分からのエタノール生産技術が確立されれば,むしろ農家にとっては,穀物価格騰落が緩衝される」(p.8-9)
「戦後60年以上,穀物価格は下落傾向にある」(p.10-11)
「発展途上国の食糧不足は,先進国の農業補助金を原因とした穀物生産過剰と,そのダンピング輸出に起因する」(p.12-14)
 バイオエタノールは補助金制限の抜け穴(p.14-15)
 飢餓は絶対量の問題ではなく,経済力の問題(p.15-17)
 「水田フル活用」構想は,非現実的で破滅的(p.22-23)
 農業ブームを煽っている識者・マスコミは,インチキ金融会社と同じ(p.28-30)
 小売段階での利便優先を放置したままの「地産地消」「グリーン・ツーリズム」など意味無し(p.31-32)
「日本のトレーサビリティは,行政の関与が大きすぎる」(p.41)
 日本農業に最も利益をもたらしているのは,農地自体(p.42-52)
「収入を農業に頼らなくて済む兼業農家は,片手間で作れるため,米を作りたがる」(p.45)
 農地転用で濡れ手に粟の利益を待っているだけの「偽装農家」と,その悪影響(p.50-51)
 民主党と自民党のバラマキ合戦(p.54-55)
 農地制度の骨抜き(p.57-60,62-64)
 都市計画の滅茶苦茶さの悪影響(p.60-62)
 米作りを減らして欲しいのが本音の農水省(p.64-66)
「現代版検地を実行せよ」(p.68, 78-79)

 しかし,やはり薄い分量であることは,本書の弱点.
 なぜならばそのために,主張の裏づけとなるデータの類が一切割愛されており,これではその主張の根拠を問われたときに,返事に窮す.
 データ類を兼ね備えた完全版の登場が待たれる.
 また,
「自給率が高いことが,国家戦略上の強みとはならない.
 むしろ輸入慣れしていないことが,凶作のときには国家戦略場の弱みとなる」(p.7)
という主張には,確かに一定の説得力はあるものの,地球規模の気象異変という,現在起こりつつある新たな事態に対しては,必ずしも適切な主張とは言えない.

 なお,海外で芥子の代わりの換金作物として蕎麦栽培を支援しようとしたNGOを,政府が圧力をかけて潰した例(p.33)も記述されているが,アフ【ガ】ーンではない模様.
 中村医師本はおろか,伊藤和也本にも,そうした圧力の話は登場せず.
 もしアフ【ガ】ーンでそれをやれば,ペシャワール会のこと,嬉々として政府批判のタネにすること間違いなし.

 農業問題に関する基礎知識として,最低限度備えておくべき本.
 買え.
【関心率46.81%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】

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日本を滅ぼした国防方針

2009/09/16 00:27

国益<省益

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 第2次大戦の日本軍関連を調べると,「これでもかっ!」というほどダメな事実ばかり出てきて鬱になることが多いが,本書もまた,その例に漏れず.
 現代の官僚批判として「国益よりも省益優先」がしばしば聞かれるが,戦前,「国益よりも陸軍省 or 海軍省の省益優先」に,次第になっていった様子を本書は解明.

 日露戦争において日本は,状況を有利にしようとしてどんな努力を払ったのか?(p.11-12)
 「国防方針」とは?(p.13-14)
 用語(p.15-16)
 日英同盟の価値は日露戦争後,どう変わったのか?(p.20-21)
 北守から北進へ(p.22-23)
 なぜ北進へ変わったのか?(p.24)
 南北併進方針は,どこから生まれたのか?(p.24)
 そのそれぞれの論理は?(p.25-26)
 山県の考えは?(p.29)
 陸主海主論争とは?(p.30-32)
 問題点は?(p.32)
 どのようにして決められたのか?(p.32-33)
 海外攻勢戦略とは?(p.34-)
 その問題点は?(p.35-)
 当時の外交政策方針は?(p.36-37)
 50個師団構想とは?(p.38-39)
 妥当性は?(p.41-42)
 八八艦隊の「八八」は,どこから導き出されたのか?(p.43-44)
 財政上,それは可能だったのか?(p.44)
 なぜ軍事協商は行われなかったのか?(p.49)
 対華要求に対する米英の反応は?(p.51)
 石井・ランシング協定とは?(p.51)
 なぜ4ヶ国同盟はできたのか?(p.52-53)
 WW1に日本陸軍が出兵しないことで,英国で募る日本への反感(p.54-56)
 40個師団派遣案とは?(p.56)
 田中案とは?(p.58-59)
 WW1の調査研究はどう行われたのか?(p.60-61)
 報告された意見にはどんなものがあるのか?(p.62-64)
 それはどう国防政策に取り入れられたのか?(p.64-)
 軍備構想はどう変化したのか?(p.72)
 大局合意(p.75)
 根本的問題は?(p.76-77)
 対日への変化(p.80-81)
 ワシントン会議は「アメリカの勝利」(p.82)
 加藤の認識(p.83)
 対米開戦一時回避論(p.86-87)
 補助艦増強に乗り出したのはなぜか?(p.86-87)
 現状維持派とは?(p.87-89, 97-99)
 不戦論とは?(p.89-91)
 なぜ不戦を支持しなかったのか?(p.92)
 不検討(p.93)
 宇垣の思想は?(p.95)
 山梨軍縮の背景は?(p.99-100)
 山梨自身の考えかたは?(p.100-101)
 軍備整理とは?(p.102-105)
 上原一派からの反対論は,どんなものだったのか?(p.105-106)
 産業立国主義とは?(p.107-108)
 国家戦略は何故失われたのか?(p.109-110)
 大正12年方針の問題点は?(p.113-115, 119)
 兵站上の裏づけの無かった,陸軍の方針(p.116)

 そして昭和.
 軍制改革は何故頓挫したのか?(p.122-125)
 陸軍「革新」勢力の思想は?(p.125-127)
 「革新」勢力は何故皇道派と統制派とに分裂したのか?(p.127-129,132-134)
 永田鉄山の軍備構想は?(p.130-132)
 艦隊派と条約派とは,なぜ分裂したのか?(p.135-136)
 両派の国防思想は?(p.136-)
 アメリカの建艦能力を甘く見ていた艦隊派(p.140)
 論理の飛躍の見られる艦隊派(p.141)
 条約派の思想と大正12年方針との違いは?(p.145-146)
 条約派の問題点は?(p.147-149)
 なぜ艦隊派と皇道派とは提携できたのか?(p.151-152)
 条約派はなぜ衰退したのか?(p.154)
 艦隊派思想の欠陥は?(p.155)
 石原莞爾の思想は?(p.160)
 石原と福留の対立点は?(p.161-162)
 及川の意見具申の内容は?(p.162-163)
 国策要領とは?(p.164-165)
 当時の国際環境は?(p.165-166)
 改訂は何故支離滅裂な内容になったのか?(p.168-171)
 国策基準は何故妥協的内容になったのか?(p.172-173)
 5相会議の結論の問題点は?(p.174-175)
 当時の陸軍の軍備構想は?(p.176-177)
 当時の海軍の軍備構想は?(p.178-179)
 国防国策大綱とは?(p.180-181,191-193)
 国防国策大綱はどのようにして実現されようとしたのか?(p.182-186)
 なぜ石原莞爾は孤立していったのか?(p.186-187)
 石原構想はどのように失速していったのか?(p.187-188)
 石原構想には問題はなかったのか?(p.189-193)

 第2次大戦勃発.
 時局処理綱領とは?(p.196-)
 どのようにでも解釈できる文面(p.200)
 日独の政略的食い違いは?(p.201-203)
 松岡外相の誤算は?(p.203-204)
 完全に意思分裂していた,昭和15年の国策綱領(p.205-207)
 なぜ南部仏印に進駐したのか?(p.207-208)
 関特演構想の問題点は?(p.209-211)
「自ら四面楚歌の状況を作り出す愚行」(p.211)
 他力本願な帝國国策遂行要領(p.211-213)
 戦争指導要領作成に見られる混乱ぶり(p.214)
 戦争指導要領にはどんな欠陥があったのか?(p.215-218)
 なぜ杉山参謀総長は乙案に反対したのか?(p.219)
 戦争終結構想とは?(p.221-222)
 その問題点は?(p.223-225)
 陸海軍は戦争指導上,どれだけ混乱していたのか?(p.226-228)
 陸海軍の軍備構想の問題点は?(p.229-232)
 井上成美の軍備思想は?(p.233-234)
 空理空論(p.234-236)
 英米との比較(p.237)

 「戦前は自主防衛できていた」などと吹聴する,口だけは勇ましい連中(石破茂命名するところの「自慢史観」論者)が近年目立ってきているが,本書を一読するだけで,それがどんなにむなしい虚言かが理解可能.
 買え.
【関心率99%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】

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自衛隊バッシングを一蹴することのできる一冊

10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

阿部知子議員の自衛隊誹謗発言をきっかけに読む事にした本.
 薄めだが要点は全て簡潔に網羅.臨場感もたっぷり.
 地震発生時の状況.
 基地にも少なからず被害.
 近傍派遣.バイクによる偵察.
 県庁とのやりとり.
 交通渋滞.ヘリポート不足.
 足りない重機,人員.
 炊き出しにおける,「下に合わせる」悪平等主義.
 微妙な問題のあったガレキ撤去.

 派遣要請の遅れよりも重大問題だった,派遣後も続く自治体からの連絡の悪さ.

「自衛隊の出動が遅かった」(準備は早かったが,派遣要請が遅れた)
だの,
「自衛隊は役に立たなかった」(限られた人員,物資で少なからぬ成果を挙げている)
だのと自衛隊バッシングを一蹴することのできる一冊.

 機密とされている有事の作戦行動計画も,輪郭がぼんやり透けて見てるので,二重にお徳.
 買えば?
【関心率約80%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】

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必敗

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「これでは日本が負けて当たり前」
 誰でもそう思わざるを得なくなるほど,本書に示されている,米軍側の情報収集が徹底され尽くしていたことが分かる一冊.
 まず,冒頭に挙げられた皇居の平面図が,ほぼ正確で驚愕(p.10-18)
 他にも要塞情報(p.149-151),果ては伍長の証言によって作成された暗号用タイプライターの形状(p.246-263,311-315)まで筒抜け・丸裸状態.

 そのために準備されたのが,まず施設(p.21-26, 55-56)
 情報収集対象とした捕虜は2000人以上(p.30-31)
 ドイツ兵捕虜の情報収集を行っていた,英国のMI19へアルブライト海軍少佐を派遣して,そのノウハウを学び(p.39-49),
リフェルダッファー中佐(p.43,120-123)の指揮する新組織OP-16-Zの下に,チャールズ・スピンクス少佐(p.49-50)などの日本語専門家を揃え(p.243),
日本語に通じた者が少なければ,特別講座を開くと共に,民間人からも広く登用し(p.58-64),
JDCなる秘密会議を開き(p.168),
memobox recorderを用いて盗聴設備まで整え(p.44-51)
「サクラ」を送り込み(p.116-120),
得られた情報をチェックするための工程表があり(p.141-143),
陸海軍の縄張り意識を克服するため,組織内容まで工夫(p.51-53)
(それでも,前線部隊がその情報収集のため,捕虜を手放したがらず,「トレイシー」に閑古鳥が鳴いていて(p.120),ニミッツの介入で事態が解決した(p.122),などというエピソードはある)
 本書では,ある尋問官の日課を紹介している(p.64-68)が,さながら日本教育⇒尋問業務⇒日本教育⇒尋問業務といった感じ.
 その上,ベルリンの日本大使館の書類を奪取する作戦まで立てられるが,ソ連軍の進攻が早く,こちらは中止(p.176-179)
 その代わり,大島大使一行や,小島秀雄少将を連行してきて,私語を盗聴(p.268-285,288-311)
 戦後も巣鴨プリズンにおいて行われた盗聴(p.372-373)
 その上,イラク戦争に際しても,「トレイシー」が研究され,参考にされるという徹底ぶり(p.374-375)

 さらには心理学まで動員.
 だいたいにおいて日本兵捕虜は,米本土に連れてこられた時点で,その豊かさを目の当たりにして既に動揺(p.69-70)
 入国審査書類を装った「登録書」(p.71-72)
 収集情報のリクエスト(p.73-74) ハーヴィー指示書(p.143)
 捕虜になった日本兵の心理(p.79-81,98-100,107-115)
 尋問官長・ウッダード海軍大尉(p.85-87,356-359)
 盗聴器の仕組み(p.89)
 日系人からの歓迎(p.92-93)
 「飛龍」からの脱出・漂流(p.93-96)
 日記の扱い(p.104-106)
 「情報交換」まで行っての懐柔(p.126-132)
 入院体験で感銘を受ける捕虜たち(p.135-136)
 JTG(p.139-141)
 スケッチの描かせ方(p.154-165)
(余談ながら,日系人米軍兵士にも道義心の葛藤があったようで,日系人部隊が対日戦線ではなく欧州戦線に送られたのは,日本兵と戦いたくないという心理が働いたためとのこと(p.172-176))

 対する日本陸軍が,英米情報収集の部署を立ち上げたのは,開戦から半年後(p.33)だったというから,大差がついていたのは工業力や物量だけでなかったことが明白.

 心理戦はさらに,日本向け謀略放送という形でも(p.226-244)
 放送原稿をチェックする審査委員会(p.239)
 さらにまた,戦後統治でもGHQ神道指令に関し,活用される心理分析(p.360-369)

 情けないのが情報将校のはずの,沖野という日本海軍大佐(p.182-211,311-317)
 情報の大切さを知っているはずなのに,心理的動揺も手伝ってか,様々な情報を喋りまくる.
 米側から「よくしゃべる男」と評されるほど(p.208-210)
 呂号潜水艦の通信兵のほうは,そうだということを隠し抜いている(p.113)だけに,いっそう情けなさが引き立つ.
 いかに日本が情報軽視だったかが,この一件からも明白.
 後に言い訳本を出しているあたり,武人というより今日の無責任官僚に通じるような印象も.
 ワン・ウーの尋問(p.186)
 デキス・キルドイルによる心理戦(p.194-197)
 エドワード・ピアス大佐(p.196-197)
 捕虜についての認識の違いに慨嘆する沖野(p.211)
 佐藤大尉も喋りまくり(p.212-213)
 「打ち首」問題に興味津々の米軍(p.214-220)
 突然の獄舎移送(p.220-224)
 Uボート(p.264-265)

 終章は日本兵捕虜が射殺された一件(p.320-355)
 これに対する報道姿勢の違いから,戦後も決して情報の価値が見なおされたわけではない日本の姿が浮き彫りに.

 総索引が無いのは残念.
 また,日本人著者が書く,この手のものにありがちな,無意味な飾文が,この本にも多く,少々イラつかされるが,我慢できる範囲内.
 買え.
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議会制民主主義を否定していた,自称「護憲」政党

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 日本社会党の「始まりから終わりまで」を俯瞰した本.
 あのバカげた珍論「非武装中立」が,どのようなプロセスを経て登場したかも記述.
 また,社会党が決して本当の意味で「議会制民主主義」でもなければ「護憲」でもなかったという,知られざる一面も.

 労農党の分裂(p.3-5)
 国家社会主義政党の流れ(p.9-12)
 旧「反東條英機グループ」(p.13)
 怪人・徳川義親(p.14-17, 24-25)
「あまりの沙汰」(p.17-18)
 英名が和名と異なっていた理由(p.22-23)
 対立の起点(p.23)
「戦争責任をあたかも他人事のごとく声高に批判する人々」(p.26)
 左派排除要求(p.32)
 右派偏重内閣(p.34-35)
 革新官僚・和田博雄(p.36)
 反安保(p.49-50)
 専断のみに非らずの安保条約締結(p.51)
 社会党左派の機会主義(p.56-57)
 マオ派の脱党(p.59-60)
 片山・芦田連立政権の大敗(p.61-62)
 「森戸・稲村論争」の中身(p.63-64)
 用語操作癖(p.65)
 「平和3原則」の起源(p.67)
 「独青」問題(p.69)
 朝鮮戦争での国連軍の行動は,「実質支持しない」(p.72)
 再軍備反対(p.73-76)
 吉田茂との共闘(p.77)
 白青か青々か(p.81-84)
 乱闘,分裂(p.85-89)
 総評の影響(p.89)
 論理性より「カネ」(p.93-94)
 安保条約可決理由(p.95-96)
 コミンフォルム批判に振り回される共産党(p.102-103)
 左派社会党綱領(p.109-110)
 統一綱領の問題点(p.111-115)
 反警職法(p.128-130)
「西尾談話」(p.140-142)
 極東条項の「極東の範囲」という空虚な論争(p.150-154)
 引き伸ばし戦術に走る社会党(p.157-158)
 強行採決が安保闘争の転機(p.163-167)
 議会制民主主義否定(p.171-173)
 30%の壁(p.180)
 構造改革論(p.183-188)
 江田ビジョンとは?(p.189-195,198)
 通用しない思い上がり(p.193)
 ハンガリー動乱におけるソ連の軍事介入を正当化(p.194)
 「道」とは?(p.195-196)
 ニセ護憲(p.196)
 「新宣言」とは?(p.196-198)
 「平和4原則」(p.200-201)
 非武装中立へのシフト(p.201-210)
 虫の良さ(p.207)
 違憲だが,「法的存在」(p.208-210)
 中国のリアリズム(p.215-217,236-238,241-243)
 「日中共同の敵」の再確認(p.218-221)
 中ソ対立の影響(p.221-243)
 社会党の内なる「中ソ対立」(p.248-)
 レフチェンコ証言(p.255-)
 「友好商社」(p.254-255)
 自家撞着(p.226)
 竹入メモ(p.232-234)
 殆ど見るべきもののない,日中国交正常化に際して社会党が果たした役割(p.235-236)
 非武装中立を否定する側に回った中国(p.237-238)
 「覇権反対条項」を巡る中ソの綱引き(p.238-241)
 当初,ソ連にとって都合の良かった,社会党の北方領土に関する主張(p.246-247)
 ソ連側の意に沿う形の態度変更(p.247)
 「朝鮮戦争は米軍の侵略」説への変節(p.266-267)
 北韓との蜜月の始まり(p.263-271)
 社会主義インターの中での日本社会党の孤立(p.272-275)
 「アジア社会党会議」での醜態(p.276-277)
 惰性に陥った反ヴェトナム戦争運動(p.279-280)

 自民党が下野することになった93・7総選挙でも惨敗する社会党(p.291-292)
「社会党衰退の理由を全て"冷戦崩壊"に帰することは誤りである」(p.292)
 なし崩しの「非武装中立」取り下げ(p.316-321)
 ぐだぐだな末路.

 社会党の理想主義を「主観主義」とする批判(p.330-335)
 理想主義が夢想主義へ墜する危険性(p.335-344)
 西ドイツ社民党の覚醒(p.344-347)
 自民党一党支配をもたらした影の主役が,日本社会党だという逆説(p.348-349)
 人名索引,参考資料一覧,関連年表付き.

 要するに,結党当時から内部抗争の火種を抱えてしまった野合政党だったのであり,期待するだけ無駄なダメ政党だった,というそういう結論にならざるを得ず.
 左派社会党が,議会で圧倒的多数となった暁には,そこからソ連型政治体制に移行し,議会制民主主義から一党独裁へ転換,憲法も改憲し,メディアなどもコントロール下に置くことを考えていたと知るに,「潰れてくれて一安心」と,胸をなでおろさずにはいられず.

 買え.
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紙の本総員玉砕せよ!

2011/04/05 21:53

戦死者よもやま話

9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 いわずと知れた,水木しげるの戦記マンガ.
 TVドラマ化もされた,比較的有名な作品.
 巻末解説に著者の言葉として,
「戦後20年くらいは他人に同情しなかったんですよ.
 戦争で死んだ人間が一番かわいそうだと思ってましたからね」
とあるが,本書の中の人死にに関しても,過剰な同情もムード盛り上げも一切なく,淡々と描写.
 たとえば,川から落ちて鰐に食われたらしい兵士に対しても,死体を見つけたときに,「持って帰ろう」程度.
 テング熱で死んだ兵士に対しては,「死んだらしいぞ」で済まされる.
 それゆえ,かえって妙にリアリティや生々しさが.
 中でも,
「行ちまうんか」(p.79)
は強く印象に.

 また,著者にとってはよほど空腹がこたえたらしく,食い物譚も印象深し.
 昼飯はビンタ(p.46)
 バナナに熱心(p.163-164)

 米軍の上陸が近くなって以降は,とにかく無闇に死を前提とする,狂気の論理が日本軍を支配している様子が活写.
 死にがいを議論したり(p.198),玉砕を再決意するよう圧力をかけたり(p.303)する状況は,下手なホラー・マンガより数段恐怖.

 末端兵士からの視線で,日本軍を描いた書籍としては,「よもやま話」シリーズが比較的有名だが,もし戦死者が口をきき,何かを書いたとしたら,本書のような作品になるのではないかと.
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「資源は欲しい,でも資源国にケンカは売るよ」

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 さすが元石油公団理事であるだけあって,日米開戦前夜の石油を巡る日本の状況に関しては,図表データ類も含め,実に詳細.
 石油資源確保に日本が血眼になる一方,資源国に片っ端からケンカを売って回るという,コメディとも何とも言いようがない状況がよく分かる.

 木炭自動車の普及状況は?(p.14-21)
 国内油田開発状況は?(p.25)
 中東使節団の顛末(p.26-32)
 なぜ日本は満州において油田を発見することができなかったのか?(p.33-37)
 なぜ日本は樺太油田からの原油を獲得することができなかったのか?(p.38-41)
 現在の北韓(北朝鮮)と良く似た,当時の日本の石油事情(p.43-45)
 ガソリンの質の差(p.50-53)

 開戦後の状況.
 葬られた「抗戦力調査」(p.56-58)
 やはり葬られた新庄報告(p.60-61)
 石川信吾とは?(p.64-66)
 企画院の石油需給状況見積もりについては,猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』の簡略型的記述.
 船舶輸送力に関する,開戦前の指摘(p.81)
 真珠湾で見せた,米軍の高い対応能力(p.83)
 真珠湾にあった石油タンクの能力は?(p.85-87)
 日蘭会商(p.91-96)
 南方石油確保準備はいつ頃から行われていたのか?(p.95-97)
 メナド攻撃とは?(p.98-100)
 南方油田の接収時の破壊状況は?(p.100-101)
 接収状況は?(p.101-106)
 タンカーの状況は?(p.109-116)
 石油業界の犠牲者(p.116-118)
 兵員輸送状況(p.118-121)
 タンカー不足が作戦に与えた影響は?(p.136-142)
 松根油は役に立ったのか?(p.143-145)
 ガソリン研究の状況(p.146-148)
 人造石油は役に立ったのか?(p.148-152)
 国内精油所の被害(p.168)
 末期の国内状況(p.170-172, 180-182, 188)
 国内産油の状況(p.178-180)
 戦後日本の石油方針に関する米側の各種報告書(p.190-193)
 戦前と現在の石油事情比較(p.199)

 現代への提言.
 中核石油開発企業の必要性(p.206-207)
 備蓄量はじゅうぶんか?(p.210-215)
 石油専門情報機関(p.221-222)

 一部の,石油には直接関係しない記述においては,やや疑問のある部分も2箇所ほどあり.
 戦況への全般的な考察は平均的.
 いくつもの書籍で何度も既出のもの.
 一方,専門分野=石油に関しては,さすが情報量豊富.
 現在に繋がる提言にも,目新しい点,多し.

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中国,ムチャしすぎ

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 中国における核兵器開発の歴史と,その無理な開発のツケを払わせられているチベット人の状況を,えげつない秘密主義の間隙から漏れてくる情報を集成して記述.

 青海省海北チベット族自治州にある「中国のロス・アラモス」,第9研究所(西北核武器研究設計学院)(p.34-39)
 核兵器研究所にも影響が及んだ文化革命(p.40)
 1960年代,核の脅威に対して,戦略的に重要な工場・研究施設・軍事施設を四川省に移転させる計画「三線」(p.40-41)
 1970年代後半,1日400kgの低濃縮ウランを処理できる垂直分離機を備えていた第9研究所(p.41-42)
 核兵器関連施設に経済的に完全に依存している海晏県(p.45)
 青海省の最高指導者として唯一のチベット人だったが,ココノル湖沿岸の核兵器施設建設を含めた,中国政府のチベット政策に異議を唱えたため,1960年代初期に粛清されたタシ・ワンチュク(p.45)
 第1野戦軍の後援基地としての役割があるため,チベット人人口が大多数でありながら,漢人軍人が支配権を握っている青海省(p.46)
 核実験反対デモを起こして数千人が投獄されたウイグル自治区(p.81)

 短期間での核兵器開発を強いられたため,極めて杜撰に行われている核廃棄物処理(p.49-57)
 深刻な問題になっている可能性がある放射線汚染(p.57-62)
 中国の認識「希釈すれば汚染の問題は起こらない」(p.63)
 核兵器開発過程で排出される水銀も,川に直接垂れ流し(p.62)
 ココノル湖,カラチ湖に投げ込まれる核廃棄物(p.62-67)
 ココノル湖の魚は一切口にしない科学者(p.67)
 核廃棄物地下貯蔵施設完成時期を公表していないのは旧ソ連と中国だけ(p.74-75)
 外国の有害物質のごみ捨て場とされているらしいチベット(p.76-79)
 チベット人は,そこにあるのが核関連施設だとは知らされていないという証言(p.80)
 危険な放射能レベルの作業に投入される囚人労働者(政治犯含む,p.87-90)

 チベット最大のウラン鉱山,ギャ・テルセダ(p.92-93)
 鉱山労働者は元兵士,鉱山のごみ捨て場で働くのはチベット人(p.93-94)
 鉱毒でチベット人が多数死んでいるいるとの亡命者情報.黒く変色している川の水(p.95-101)
 30年分しかない,中国のほかの地域,湖南省と江西省のウラン埋蔵量(p.96)

 70年代にはモスクワも射程に収めることになった,チベット高原に配備されている核ミサイル(p.110)
 90年代に入り,アムド地域に新しく設置された核ミサイル師団(p.110) 本書には記述はないが,近年開通したチベット鉄道の裏の目的は,これへの兵站のためかも.
 核爆弾装備の航空隊も(p.117-119)

 証言しか証拠のないもの(とはいっても亡命者の証言も含む)もあるが,中国側文献によって裏付けられている記述もあり.
 また,本書中でも情報のクロスチェックが行われ,「この情報は本物,この情報はガセ」と選り分けており,その点でも単なるプロパガンダ本とは異なる.
 さらに巻末には,参考文献・脚注が多数並ぶ(p.134-157)
 よって信頼性は比較的高いと愚考す.

 解説文はペマ・ギャルポ.
「日本のマスコミも,自分たちの判断で自由に報道しているんだといいますが,残念ながら報道する側のほうが少数意見とか,自分たちに不都合なものに対して抑圧的な態度をとってきているように思えます.
 これはある意味ではペンによる暴力ではないでしょうか」
 2008年チベット暴動における,まるで新華社通信の劣化コピーでしかないような,日本の報道の異様さを考えるに,このペマ・ギャルポの言葉に対して反論の余地なし.

 チベットでは暴動が繰り返されているが,こんな杜撰でムチャなことをやり続けていれば,暴動が起きないほうが不思議.
 死の危険すら感じさせるような健康被害があるなら,そりゃあどんな温和な人でも抗議するだろう.

 類書なし.
 希少情報の包み.
 買え.
【関心率43.33%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】

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紙の本天魔 新装版

2007/01/09 21:57

「隠居・島耕作」

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 簡単に言えば,「隠居・島耕作」.すなわち御隠居ファンタジー.
 サラリーマン・ファンタジーである「島耕作」シリーズが,上役に恵まれ,仕事に優れ,女にももてて,人望もある……という「ぶっちゃけ,ありえな〜い」人間なのに対し,本書の主人公,秋山小兵衛も,田沼意次という(本書においては)理解ある偉い人とのコネクションに恵まれ,剣術に優れ,娘のような妻を持ち,人望は山の如し……といった,現実には滅多に存在しない「ゴージャス隠居」.
「こういうことをきちんとせぬと,今の世の剣術遣いは飯の食い上げになってしまう」
「人間の不思議さ」「もともと,人間なんてものが,わけがわからぬものさ」
「こんなことはお前,剣術をつかうよりも楽なものさ」
……などというセリフは,「生と死の境界へ身を置くことに,小兵衛はあまりにも体験が多過ぎた」からこそのもの.現実には,権力を背景にした隠居老人なんて,巨泉かナベツネのようなのしかいないって.
 というわけで,本シリーズを未読の,ある意味不運な読書家諸氏におかれては,ファンタジーだと割りきった上で楽しむべし.実際,ハリー・ポッターよりも楽しめる.
 八百長試合の意外な結末と,小兵衛の意外な弱点.
 斬ったことが「なぐさめ」
 むささびのように飛び跳ねる怪物も登場.
「同じやり方で」
 「奪って打つ」ことができるほどの老剣士が,「しわ腹を切って果て」ねばならなくなるかもしれなかった理由.
 善良な詐欺師(オチは,そんなオチでいいのか?というものだが)
 小ネタも効いている.
「このごろは江戸に,仕掛人とか呼ばれて,金づくで人を殺す連中が増えているそうな」
と,しれっと書く著者.
 「あれほどの剣術の名人が,たかが鯰にしてやられ」た理由.
 饅頭に纏わるアネクドート.そこだけ抽出し,落語のバレ噺としても使えそうなほど上手い.
 買え.
【関心率,約67%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】

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はじめの一歩

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 入門書的内容.
 先行研究文献まで紹介されていて(p.22-23)便利.
 参考文献の案内も詳細.

 日本における近代諜報の始まりは?(p.9-10)
 日露戦争当時に比べ,それ以後はなぜ劣化したのか?(p.11-)

 通信諜報の過大評価(p.14-)
 WW2における通信諜報の活動内容は?(p.16-)
 実は高かった,日本の暗号解読能力(p.21-22,27-)
 諜報分野における,ポーランドとの繋がり(p.27)
 日本外務省の暗号解読までやっていた日本陸軍(p.34)
 中共暗号の解読状況(p.36)
 ソ連暗号の解読状況(p.37-41)
「人員を増強していれば」(p.41)
 海軍による通信傍受(p.80-)
 24時間以内に日本海軍の暗号を解いていた英国諜報機関(p.84)

 対ソ・ヒューミントの状況(p.42-60)
 ソ連側からの敵視と誇張(p.44)
 ロシア・ファシスト党工作(p.45)
 機構改革の内容は?(p.46-48)
 国体学(p.47-48)
 対中ヒューミントの状況は?(p.60-)
「一枚の絵にできる支那通がいなかった」(p.61)
 松機関,梅機関(p.61)
 南方でのヒューミント(p.63-)
 貧弱だった対米ヒューミント(p.65-)
 不適材だった対米諜報人員(p.66)
 ヒューミントに否定的だった日本海軍(p.87)
 漁船活動(p.88)
 特務部とは?(p.88-)
 単独情報源に頼りすぎ(p.100)

 防諜の主力,外地憲兵(p.67-)
 電力遮断しての電波探知(p.70)
 領事館などへの侵入(p.72-)
 「ジミー」事件(p.74-)
 陸軍省調査部とは?(p.75-)
 防諜にも甘かった海軍(p.102-107)

 陸海軍における情報分析の段取りは?(p.111-114)
 軍上奏部の,情報分析に対する認識不足(p.114-118)
 民間の人材に頼ることを嫌った軍部(p.117)
 内閣情報部とは?(p.119)
 なぜ陸海軍情報部には優秀な人材が集まらなかったのか?(p.119-)
 仏印進駐に際し,タッチさせて貰えなかったフランス通将校(p.121)
 意見を聞くことすらいやがった参謀本部作戦課(p.122)
 情報部の手を離れたところで行われていた,南方作戦のための事前の情報収集(p.124)
「作戦や政策部局が情報を扱い出すと,どうしても目的に合った情報収集,分析を行ってしまうので,客観的状況把握ができなくなってしまうケースが多くなる」(p.132)
 生情報や加工された情報の流れをコントロールできていなかった情報部(p.137)
 欺瞞情報が極秘情報に化けた例(p.137-138)
 作戦戦闘における情報利用の成功例(p.144-)
 戦術的インテリジェンスの金字塔,真珠湾攻撃(p.147-149)
 シンガポール失陥の一因となった,英軍情報部の対日偏見(p.150-155)
 その原因は?(p.155-158)
 陸軍は連合軍をどう評価していたか?(p.158-)
 海軍は連合軍をどう評価していたか?(p.163-)
 タイムラグ(p.168)

 「雑音」として処理された,親独的な情報以外の情報(p.173-)
「松岡外相が具体的な情報要求を発しなかったため,情報部による情報収集・分析は行われなかった」(p.176)
「当時の政策決定過程で重要とされたのは,組織間のコンセンサスであり,情報ではない」(p.178)
 「ゴミ箱モデル」(p.181)
 ハル・ノート直前の,中国大使館の情報リークに右往左往する日本首脳部(p.186-189)

 「情報の政治化」の問題(p.194-196)
 JICとは?(p.197)
 現代とも共通する問題点は?(p.204-)

 第2次大戦に関心のある者,また,日本の諜報に関心がある者にとっては必携.
 買え.
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コサックの旅路

2009/02/12 22:23

あるコサックの死

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 どうも最近,当方の「コサック・スイッチ」がonになったようで,コサック関連の本ばかり読んでいる.

 このスイッチonのきっかけとなったのが本書だが,その中に,「エレーナ」というタイトルの1章があって,これが興味深い.
 少々アレンジを加えて紹介してみたい.

 エレーナはごく平凡なロシア人主婦.
 夫の名前はゲンナジー・コトフ.
 空挺軍リャザン軍事大学を中退後,原発機器工場従業員.
 工場内の共産党新聞の記者であり,コムソモール(共産主義青年同盟)のリーダーとして,市の代議士になったこともある.
 2人の生活は,ソ連という枠の中では順調であるかに見えた.

 だが,1993/2/9,彼は死亡する.
 彼が死んだのは,エレーナが新聞でしか聞いたことのない,ボスニア・ヘルツェゴビナという場所だった.

 なぜそんな場所で?

 その頃ゲンナジーが,工場をやめ,フリーのジャーナリストとして戦場を渡り歩いていたことは,エレーナも知っていた.
 不在がちな夫と,そのことで口論したりもした.
 でも,まさかボスニアとは……

 やがてその地域のコサックの本部から情報がもたらされた.
 ゲンナジーは,90年になってコサックの復古運動が始まると,彼はその運動に没頭するようになっていた.
 その情報によれば,ゲンナジーは狙撃されて死亡し,その地で埋葬されたという.

 エレーナは大変な苦労をして,その地,ヴィシェグラードに向かった.
 自分のその目で遺体を見るまでは,彼の死を信じることができなかったからだ.

 ヴィシェグラードのセルビア人たちは,彼女を暖かく迎えた.
 彼らは言った.
 ゲンナジーは,セルビアのために命を落とした英雄だ,と.
 セルビア兵たちは言った.
 ゲンナジーの戦闘能力の高さはズバ抜けていた,と.
 ゲンナジーのボスニア・ヘルツェゴビナ紛争での「顔」がようやく分かった.
 彼はコサック義勇兵を指揮する小隊長だった.

 それはどうやら,それ以前のナゴルノ・カラバフ紛争などでも同じだったようだ.
 いつからそうなったのかは分からない.
 しかし間違いなく,ある時期から彼は戦場ジャーナリストではなく,義勇兵として参戦していた.
 他の多くのコサックが義勇兵として参戦していたのと同じように.
 でも,なぜ?

 参戦中,彼らに払われる給料は僅かなものだったという.
 コサックたちは,金が動機ではないことを強調する.
 彼らにとってはロシアを守る戦いこそがアイデンティティなのだという.

 コサックは冷戦時代,弾圧の対象だった.
 コミュニティは解体され,コサック指導者は抹殺され,歴史資料は焼却された.
 ロシア革命に協力したコサックもいたにかかわらずである.
 その自由な気風をソ連当局は恐れたのだろうと,同書では推測している.
 ゲンナジーも,自分がコサックの血統であったことをそれまで知らなかったという.

 冷戦後,コサックはようやく復活したが,抹殺期間が長かったため,伝統は完全に途絶えており,欧米に残る資料を頼りに,幾多の試行錯誤が続いているという.
 ゲンナジーにとっては,そして他のコサックたちにとっても,戦いはあいまいなアイデンティティーを強固なものにする,唯一の手段だったのかもしれない.

 チェチェンでも,そして2008年のグルジア・ロシア紛争でも,コサックは参戦したという.
 これからも,多くの「ゲンナジー」たちが戦い続けるに違いない.
 コサックとは何か?
 アイデンティティーとは何か?
 この問いへの答えを求めて.

 他にロシア・コサック史,シベリア東進史などのパートも興味深し.
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