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先月(2017年8月)

読書録日月抄さんのレビュー一覧

投稿者:読書録日月抄

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心に残る物語の終わり

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北海道の自然を舞台にそこでくらす家族の姿を、二十年以上にわたって時代の移り変わりとともに描いてきたこの物語も、本作品がついに最後となるようだ。
「遺言」という副題といい、どう考えてもあまり明るいとはいえない始まりといい、いささか不安な気持ちで読み始めたが、その内容は、もちろん、いつもの倉本聡さんの「北の国から」だった。苦しさ、笑い、出会いと再会、忍び寄る悲しさ、そして希望と旅立ち。また、現時点(八月三十日)では、まだ放映されていないのだけれど、いつものように美しい自然も描かれているに違いない。

 シナリオを読む楽しさを、私は倉本さんの作品で教わった。はじめて読んだのが、この「北の国から」の最初のテレビシリーズのシナリオだった。
読み始めると、やがて、よく知っている登場人物たちが心の中のそれぞれの舞台で動き始める。目は確かに活字を追っているのだが、それが自動的に映像となって心に浮かんできて、あたかも自分だけのドラマを作り出しているかような喜びを感じることができる。
このような楽しみ方については、著者ご本人が第一作のシナリオにお書きになっている。

 今回もまた、新しい魅力的な人物が何人か登場するのだが、加えて、実に二十年ぶりになつかしい人物も顔を出す。このあたり、最終回を意識されたのかと、つい深読みしてしまうところでもある。そして、最後の場面で五郎さんの語る、二十年前に物語が始まったころから著者が一貫して伝えようとしてきた主題は、最終回という事実とあいまって、実に深く読む者の心にしみわたってゆく。

 この倉本聡という作家と、同じ時代に生きて、シナリオを読み、映像を見ることができるのは、いまさらながら、たいへんな幸運だと思わずにはいられない。

 次は、私たちが、この「遺言」をどう受け止めて、どのように生かしてゆくのかが、問われようとしているのではないだろうか。

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