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  3. 吉田くにさんのレビュー一覧

吉田くにさんのレビュー一覧

投稿者:吉田くに

37 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本長英逃亡 上巻

2003/08/26 11:22

幕府の執拗な追跡と逃亡者の苦悩を生々しく描く。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 物語は、地獄ともいうべき環境の獄中の長英から始まる。
このまま牢獄内で朽ち果てるか、それとも一生逃亡者の身になっても
自分の知識を国の為に役立てるか。究極の選択の末、長英は脱獄を決
意する。

 高野長英は幕府が洋学者らを一斉弾圧した「蛮社の獄」により永牢
に処せられた。弾圧、といってもほぼとある人物の私的な感情による
もので、当時の目付・鳥居耀蔵が長英や優れた知識と画才を持つ渡辺
崋山ら多くの蘭学者達の勢力の拡大を嫌悪し、幕府の外交姿勢や国内
防備に意見する長英らを幕政批判を理由に粛清したのである。
特に鳥居の長英に対する嫌悪は激しく、獄中でさえいつ長英は鳥居の
陰謀によって殺害されてもおかしくはない状況にあった。そんな過酷
な獄中生活の中で生への執着が捨て切れない長英はついに牢屋に火を
放ち、脱獄を決行する。

 幕府の捜査網と追跡が予想以上に厳しく執拗な中、潜伏先を次々と
変えねばならない長英は危険を承知で自分をかくまってくれる知人達
に対し、これまでの自分の傲慢さを反省するようになってゆく。揺れ
動きながらも徐々に変化してゆく長英の心の内を巧みに表現している。
だが知人がいつ幕吏に通報するかわからない不安におびえ、次第に形
相も変化してゆく程の長英の苦悩する姿を実に生々しく描いている。
また、綿密な情景描写も筆者の技術ならではの魅力だ。
 あらゆる人間を駆使し日本の隅々にまで捜査網を張り巡らせ、長英
捕縛に躍起になる幕府。江戸幕府が長年続いたのも犯罪行為の徹底取
り締まりがその理由の一つといえるだろう。犯人検挙率の高さを誇る
幕府の執拗な追跡に読者は読み進むにつれて冷や汗をかくだろう。

 長英は年老いた母に一目でも会いたいという思いの末、捕縛される
危険度の高い故郷岩手県の水沢へと向かう。長英は無事、母と再会で
きるのだろうか。そして彼の運命は一体どうなるのか。
下巻の展開に更なる期待を寄せる。


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紙の本羽生善治挑戦する勇気

2003/05/07 17:01

「また将棋やろうかな」。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書は羽生さんが語る将棋との出会い、将棋の魅力、歴史、プロ棋士と
しての意識が満載の本です。将棋では今はやり言葉の「微妙」の状態や
「引き分け」がありません。偶然で勝利することもなく、指しているうちに
必ず勝敗が決定的なものになります。私も幼少時から父と対局し、現在の
コンピュータソフトとの対局に至るまでどれ程負け続けてきたことでしょう。
意地でも勝ちたくて相手から取った駒を使ってルール違反をしたり見え見え
の敗北に嫌気がさして対局途中放棄等、負けを潔く認めなかった思い出が数
多くあります。我ながらやたら勝利に飢えていた悪ガキでした。
本書からは将棋が非常に奥深い競技であることや羽生さんの語る将棋の魅力
がわかり易く理解できる一方で、意外な面も知ることができます。駒の再利用
が日本独自のものであったり、負けっぱなしの私のような人の為に「相手に
よってレベルを変化させ負けてあげる・接待ソフト」の開発も行われていると
いうこと、等です。また、プロ棋士は時代の流れに敏感でなければなりません。
どの世界でも共通していえることなのですね。常識を超えた「ありえない発想」
がまかり通ったりすることもあるのでプロの棋士とて油断大敵、常識という枠
を外れて物事を考える柔軟性、日々の積み重ねや経験を熟考・研究・再利用
する等、プロ棋士としての羽生さんの意識・向上心の高さは必見といえます。
それでも不安や悩みもつきものでそれら心の葛藤といかに戦うかといった方法
も将棋を通じた羽生さんの考え方は大変役に立ちます。
私は素人ですし将棋には相変わらず弱いのですが老若男女誰とでも対局出来
楽しめる雰囲気が好きです。昔ほど卑怯な手を使ってでも勝利にこだわりはし
ないと思いますが「また将棋やろうかな」、そんな気にさせてくれた一冊でした。

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紙の本花神 改版 上巻

2003/01/23 23:19

大村益次郎になるまで

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 仏頂面で必要以上の事は一切しゃべらない。風変わりな身なりと性格だが物事を数値ではじき出す力、先を読む直感力において右に出る者はいない。将来は村医者で終生過ごすはずの男が面白い程人間の出会いに恵まれ時代が求める男となっていく様を描いている。本書の中では「村田蔵六」とまだ大村姓を名乗る段階ではないがのちにこの蔵六が幕府を倒す人物になろうとは。
 過激な志士が横行する時勢の中、淡々と与えられた任務をこなす姿、同じ適塾出身の者達がやがてそれぞれの運命で道が分かれていく人生の面白さを司馬氏は巧みに描き、読者をひきこむ。「運命の糸」というものは本当にあるのかもしれない。司馬氏の文脈の中で単に出会ったけれどすれ違っただけの人、単なる偶然というべきなのか何度も出会う人などを重ね重ね読むうちに「よくよく考えると過去も未来も人間の出会いほど不思議で面白いものはないのかもしれないね」というようなメッセージを感じずにはいられない。さらに生誕の地を愛し誇りに思う心、何のために勉学をするのか、日本人の生まれ持っての器用さなど、現代人が知らなかったりかつ欠けがちな心を司馬氏によって再認識させられたように思った。

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龍馬自身の声を聞く。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 今、龍馬が脚光を浴びている。
小説だとどうしても人物像が誇張されている気がしてならない。
真の龍馬の姿を知りたい方にはこの本をおすすめしたい。
この本の中では現存する龍馬の手紙や文書の中でも特に重要なものを
24編選び、誰でも手紙内容が理解できるように丁寧に解説されて
いる。

 龍馬の手紙は実にユーモアに富んでおり、他の志士達と比べると
現代人でも原文で内容がそれとなくわかる程、読みやすい文で綴られ
ている。だが随所に綴られている龍馬の人生観には並々ならぬ思いを
感じる。そして他の幕末の志士達もそうだが龍馬も決してがむしゃら
に国事に奔走していたのではなく、大いに様々な事に悩んでは時機を
見て慎重に事を運んでいた事が文面からよくわかる。また危機的な状
況下においては寺田屋遭難事件など実に生々しい報告をしている事か
らいかに当時毎日が命がけであったかがわかる。
一方で妻としたお龍さんを家族に紹介したりイラスト入りで新婚旅行
を報告する面もあって、龍馬の性格がにじみ出ている文面にじかに触
れるとその死が本当に残念でならない。

 司馬遼太郎氏による名作「竜馬がゆく」のように作家によって脚色
された龍馬の小説も勿論楽しめるのだが、なんら誇張の無い、龍馬自
身から発せられた声を聞き龍馬の考えや伝えたかった事を理解する事
にも大いに価値があり、幕末と同様先の見通しが立たない今の時代に
は自分の生き方と照らし合わせるなど色々な意味でためになる本とい
えるだろう。それにしても龍馬暗殺を命じたのは一体誰なのか、今も
謎に包まれている人物の事を昼も夜も暇さえあれば考えてしまう今日
このごろである。

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マキオちゃんとチアキちゃん。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書は宇宙飛行士・向井千秋さんの夫である向井万起男さんが妻の宇宙
飛行への道のりをご自身が非常に楽しみながら愛情たっぷりに綴った本と
いえます。
 にらめっこから始まったお二人の出会い、結婚、千秋さんの生い立ち、
性格と夢、世界の宇宙飛行士などについて万起男さんの性格がにじみ出て
いる文章で書かれており、こう言っては失礼ですがお医者様とは思えない
程愉快です。常識を超越した妻の食事の量に度肝を抜かれたり、お洒落に
無頓着な彼女から逆に衣服を巻き上げられてもやはり何といっても屈託の
ない妻の明るい笑顔が大好きなようで文面から愛情を感じますし、つられて
読者もニンマリしてしまいます。一直線に夢を追い続ける千秋さんに時折
力になってやれず夫として無力感を感じたこともあったようですがそれでも
見守り続けて、食事など出来る限りの応援をして一緒に喜びあったりする
姿が非常に純粋で良いです。
 また性別や年齢にこだわらず、夢に向かってひたむきに頑張る向井千秋
さんは同姓から見ても凛々しく、おまけに彼女の面白い個性には思わず笑
いころげてしまいます。近頃笑っていない方、大きな夢をお持ちの方に本
書をお薦めしたいと思います。
 妻の千秋さんと夫婦になったことによって日米の夫婦観の違いなども直
接肌で感じたり、万起男さんの男として、夫としての視野が毎回大きく広
がっているように思いますし、千秋さんにとっても万起男さんが自分の夢
を応援してくれるかけがえのない夫なのでお互いに「チアキちゃんじゃな
きゃ!」「マキオちゃんじゃなきゃ!」と微笑ましい位必要としあってい
ます。美味しそうにお二人でご飯をほおばる様子は本当に楽しそうです。
改めて生涯を共にするパートナーの温かさと大切さを実感できる本です。
お互いの呼び名である「マキオちゃん」と「チアキちゃん」、ちょっと
個性的なお二人がこれからもずっと幸せでありますように。

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紙の本白い犬とワルツを

2003/02/18 22:36

理想と現実・現代人へのメッセージ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 最愛の妻に先立たれ自身も病に蝕まれながらも余生を送る一人の老人のもとに突如白い犬が現れ、老人と犬との不思議な生活が始まる。権力や世間体への見栄に執着せず、ただ愛する人にそばにいて欲しいという純粋な夫婦愛が心に響く。真っ白な犬の白さはまるで汚れのない真実の愛の純白さを象徴しているのかのようである。同時に核家族化や少子化の進む現代人に伝えるメッセージかのように「家族」という絆をも温かく描いている。
 たくさんの愛情を注がれ惜しまれながら「死」を迎える。死後も生前の存在を長く愛され続けてもらえたら理想的だ。しかし現実は老後夫婦間で介護疲れが原因となり殺人沙汰となったり、親の面倒を見る見ないの件などでも家庭内での意見の衝突や問題は後をたたないのが現実ではないだろうか。理想はいくらでも築くことは出来るが現実は思い通リにいかないものだ。理想と現実との差を考え出すと複雑な気がしてならない。しかし温かい家庭は誰もが望むものであり、人間が生きている中で最も素敵で大切な空間である。本書は家族というものの絆、人と人とのつながりを忘れかけた現代人の心を潤してくれる物語としては申し分ない作品であるといえる。また、映画化されたビデオも必見の価値があるのでおすすめしたい。

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紙の本ハードボイルドに生きるのだ

2003/08/23 19:44

ユニークな病理医さんが綴る面白エッセイ。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 常にハードボイルドでかっこいい人生を送ろうと努力している向井
万起男さんによるエッセイ。マキオさんはオカッパ頭にヒゲを生やし、
外見から既に独特の雰囲気を放っている。宇宙飛行士・向井千秋さんの
ご亭主だ。人相を誤解され、テロリストと怪しまれた事も幾度かあると
いうから失礼と思いつつも笑ってしまう。

 何といっても、一つ一つの話のテーマや内容がユニークだ。
特に大リーグに関する話の熱の入りようはぶっ飛んでいる。
自称“日本屈指の大リーグ通”と名乗るだけあって、知識の豊富さは
勿論、「そこまでは誰もやりゃあしないよ!」と言いたくなる程著者自
らが様々なデータ分析までしでかしている。大リーグ好きな方は是非、
マキオさんに挑んでみるといいと思う。
 だが一人で大リーグ熱を帯びて読者を無視し暴走しているわけでは
ない。マキオさんは様々な話の中で実に多くの本を評価し、紹介して
くれている。ユニークなものの見方や考え方、語彙の巧みさはおそらく
マキオさん自身の膨大な読書量からきているのであろう。本人はそのつ
もりはなくとも、さりげなく光る読書のすすめの連鎖はやはり病理医な
らではの緻密な技術を以てしての事なのであろうか。それとも天性の才
能なのだろうか。それにしても豊富な知識の量には驚くばかりである。

 病理医という仕事はあまり日本で知られておらず、国内における人数
も少ないという。だが需要は高まりつつあるのが現状だ。
私も知らなかったのだが病理医とは患者と直接接する事がないにしても
遺体を解剖したり患者から採取された臓器や組織を細かく見ては診断す
るのが仕事だ。当然未知のウイルスや病原菌に接する事もあるのだろう
から、病理医自身の命はいつも危険と隣り合わせなのである。
 そんな危険と日々戦いながらもユニークな発想を持つマキオさん。
時にはホロリとさせながらも大いに笑わせてくれる本書は、ありきたり
のものの考え方には満足しない、新発想を求める方に最適といえるだろう。

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ほのぼのとした物語。

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 精神的にイライラしていたある夜、布団の中でTBSラジオの「講談社・
ラジオブックス」という番組で本書が朗読され、聴いているうちに和やかな
気持ちになったのは、つい最近のことである。

 著者にとっては本書がデビュー作。かつて実在したダックスフントをモデ
ルに本書を執筆したという。
主人公は「ビーノ」というダックスフントの犬で、ちょっと変わっている。
胴が自由に伸び縮みするのである。伸びるだけなら「ノービ」と命名された
はずだが逆に縮むこともあるので「ビーノ」と名付けられたのである。
名付け親はビーノの飼い主のおじいちゃんで、奥さんを前に亡くしているが
料理と冗談の大好きな心温かい人間で、ビーノとの交流が実に微笑ましい。

 自分が大芸術家ミケランジェロの生まれ変わりだと信じ込んでいる親友、
ナルシストの猫・「ミケ」やビーノの胴が自由自在に伸び縮みする不思議
な能力を気味悪がってなじる意地悪ブルドックの「ブル」、ビーノと同じ
く外見で特別視されしまう金髪で青い眼をした少年ジョーダンらに囲まれ
一話一話、ビーノは悩み、そのつど成長していく過程を丁寧に描いている。

 ビーノは「不気味な犬」、ジョーダンは「外人」、と普通と違うからとい
って特別扱いされてしまうが自分をそういう目で見る人が世間にいることを
受け入れて試練を次々と乗り越えていき、そして外見よりも世界にたった一
つしかない「自分らしさ」の大切さに気付くことを、本書はほのぼのとした
物語の中においてもしっかり読者に伝えてくる勢いを感じる。「今の自分の
ままでいいんだ!」と大人も子供も元気が沸いてくるはずだ。
 恐くても一歩踏み出す勇気や友達を思いやること、家族との愛情というも
のがいっぱい詰まった心温まる一冊に仕上がっている。小さな子には読み聞
かせるのに最適あり、大人も和やかな気持ちになれる良書といえる。

 不思議な犬を通して改めて実感する「自分らしさ」、はなかなか新鮮だ。

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紙の本田中耕一という生き方

2003/06/15 09:39

大人が学ぼう。

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 2002年、民間企業に勤める一人の作業服姿の男性がノーベル科学賞を
受賞した。京都市内の島津製作所に勤務する田中耕一さんである。
 マスコミの報道は瞬く間に過熱、控えめで謙虚な田中さんを「癒し系」だ
とか「理想の夫」などと本人が困惑する人物像を勝手に作り上げてしまった。
田中さんも欠点があって当然の人間だというのに、どうも日本は外見や肩書
きといった間接的な判断に重きを成しすぎる気がしてならない。

 本書は真の田中さんの姿を追う。生い立ちからノーベル賞受賞に至るまで、
そして受賞後もあらゆる物事に果敢に挑み続ける一人のエンジニアの姿を見
ることができる。自分を「変人」と自称している田中さん、だが彼の言動に
は素晴らしいものが多い。例えば「切磋琢磨」という言葉が好きだという。
地道に努力を重ねることや周囲の協力者の存在を常に大切にする。自らの失
敗談を人に語っては「失敗は次への手がかりとなる」と伝え、失敗を恐れず
常識にとらわれない思考を育てることを勧める。一見謙遜しているように見
えてもエンジニアとしての強い仕事魂が誰にも負けておらず、魅力的だ。

 そして利益を独占したりせず自分を支えてくれた家族や恩師、同僚、知人
に深々と感謝をする姿、今の世の中に田中さんのような大人があまり存在し
ないからこそ本書の彼の生き方は読む価値があり先ず大人に必見といえそう
だ。人を思いやることもなく、当たり前のマナーも守らない、「自分さえ良
ければそれでいい」という大人が自己中心的な行動をとり、凶悪な事件も後
を絶たない今日。かつての誇り高き日本人の姿はどこへやら、模範となる大
人がいないから子供達も荒れるのである。

 田中さんの生き方と功績は世界に通用し全世界をうならせた。
 偉業を成し遂げた人からは実に多くのことを学べる。
 先ず、私達大人が学ぼう。そう思える一冊である。

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自分に幸運をもたらしてくれる「運命の人」と出会うには?

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 「運命の人」といえばよく耳にする「赤い糸で結ばれた人」を想像します
が本書では自分の人生に幸運をもたらしてくれる人のことを主に指します。
 豊臣秀吉であれば織田信長が運命の人であり、俗に言う「あげまん」とい
う女性はパートナーとなった男性を次々と成功の舞台へと導くので、男性側
からすればまさに運命の人となるわけです。
私も過去に数人出会ったような気がします。共通して言えることはその人は
陽気なオーラをいつも放っていて話せば楽しく、今思うにプラスのパワーを
もらい自分もツキに恵まれたような気がしてなりません。
 
 ではどうすれば「運命の人」と出会えるのでしょう。
本書からは運命の人といち早く出会う為の平生の心がけ3ヶ条や、自分と出
会った人が運命の人かどうかを見抜く方法、どういう人が運命の人と呼べる
のか・その条件などを知ることができ、人との出会いに期待感が持てるよう
になり眼力に磨きがかかること間違いなしといえるでしょう。
また、運命の人との出会いは場所・時期共に不特定、更に自分にどんな影響
を与えるのか全くわからないので人と会うたび「この人かな?」とドキドキ
感を抱いてしまうのはきっと私だけではなくなるはずと思います。ですが、
構えて待っている時にやって来るような人ではないんですよね。なぜか不意に
現れる。苦笑してしまいますがそれが人の縁の面白いところだと思います。
 それにしてもどれ程の人が「運命の人」と呼べる人に出会った経験がある
ことやら、人間の出会いというものほど不思議で面白いものは他にはないよう
な気がします。

 著者の植西氏は多数恋愛本も執筆されていて文章の中に常に励ましとあたた
かみが感じられ、読者を元気付けてくれます。運命の人に出会いたければああ
しろ・こうしろなどと決して命令口調はしませんし、読者にとって身近なエピ
ソードを効果的にまぜながら消極的に考えがちなマイナス思考を外へ外へとプ
ラス思考に向けてくれる文章の力を私は特に気にいっています。
本書は読書の良さをじっくりと味わうことができ、明日へのエネルギー源を与
えてくれる良書といえると思います。

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紙の本スキ。

2003/06/11 09:04

恋をしている人に心地よく響きます。

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 恋をすると気分は詩人。
けれど自分の想いを文章で書くのは恥ずかしいものです。
そんなあなたにどんな恋であれ、今恋をしている人に本書の言葉が
きっと心地よく響くことでしょう。
恋することによってわかる新しい自分、好きな人に会った後の幸せ
な帰り道など、あらゆる恋心を素直に表現した数々の文章が読者を
癒し、元気付けてくれます。
また、手をつなぐカップル・街の風景・空に浮かぶ雲・海など何気
ない景色のようですが本書の中の様々な色彩に富んだ写真集が胸の
想いを一層強いものにします。
 いつ何時にでも、引っぱり出して読みたくなるような本です。
また、10代・20代・30代・40代と歳を重ね恋をするたびに
本書を読んだなら、毎回違う感じ方ができて一層面白くなりそうな、
「保存版」になる恋の本といえそうです。

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マニアでも初心者でも読みやすい本です。

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 「有閑倶楽部」は良家の現役高校生・男女6人組がアクション・恋愛・
オカルト・コメディありと学校生活そっちのけで毎回様々なことを繰り広
げる痛快少女漫画です。
本書はこの一冊の中に「有閑」の全てが凝縮されており、物語を読むにあ
たってありとあらゆることがわかってしまう良書といえます。
物語を楽しむには、まずは登場人物の区別が要。本書は個性溢れる6人の
キャラクターをわかりやすく細部までデータ分析してくれています。
初心者にとっては有難く、マニアにとっては6人のファッションチェック
や名場面集もあって感激度満点!といえます。
内蔵されている「有閑倶楽部・百科事典」も利用価値・大です。何せ物語
に出てくる脇役達、舞台となった地名、主人公らと関わる団体名、あらゆ
るジャンルのアイテムらが全て詳しい解説付きで掲載されているのでいつ
でも復習可能なわけです。勿論予習にもモリモリ使えます。
そして一条ゆかり先生ご自身も登場されます。有閑倶楽部の創作にまつわ
る全てのことを語って下さっているので必見です。その他にも実在するな
ら通ってみたい6人の通う聖プレジデント学園の入学案内あり、色彩とペ
ンタッチの美しさに見とれてうっとりしてしまうカラーイラスト・ベスト
セレクションありと、本書はマニアにとっても初心者にとっても楽しめる、
非常に読みやすい本として仕上がっています。
歴史も長く、男性読者もジワリジワリと増えつつある「有閑倶楽部」。
本書は必ずや「有閑」読者のためになる一冊となることでしょう。

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人を元気にするためのメイクって、いいですね。

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 本書はかづきさんの人生を通じて、メイクが人に与える影響としてどれ程
大きいことかを知ることができ女優でもモデルでもない一般人の女性が今よ
りもっと魅力的になれる方法や顔にコンプレックスを持ち、心に傷を抱えた
方々を元気にしたい!とリハビリメイクに情熱を燃やすかづきさんの素敵な
姿が満載の本です。
 男性の方々、女性に「化粧が長いよ」などと声をかけたことはありますか。
かづきさんはその一言に女性の化粧への偏見と軽蔑が表れているとおっしゃ
っています。誰にでも顔のコンプレックスがあることと思います。私もニキビ
がひどかった時期、お洒落したくてもひどいニキビ面・醜い顔で外出するのが
嫌であげくの果てには何もかもに対して気分が滅入ってしまった経験がありま
す。それでも少しでも隠せたらと必死の思いで化粧したりした時、化粧に対す
る何気ない一言が時にどれ程人の心を傷つけることでしょう。
 かづきさんの魅力はかつての私のようなデパートの化粧品売り場に行けない、
また美容院にも行く勇気がないといった容易に社会の表に出てこれない方々を
「元気」にするためにメイクをする所にあります。流行メイクではなく化粧を
することによって気持ちが前向きになれてその人の魅力が更にイキイキと溢れ
出るメイクを病人であれ誰に対してでもするのです。中でもかづきメイクの基
本・心から笑ったりして精神をリラックスさせて非常にいい表情になった上で
メイクをするということ、素晴らしいと思います。しかし人の心に触れ直接顔
に触れさせて頂くということは中途半端な気持ちでやれば逆にその人の心の
傷を大きくしたりしてしまう場合もあるのです。常に重い責任を背負う仕事、
それが「フェイシャルセラピスト」なのですね。
 日本の社会は外観に様々な事情がある方々にとってはまだまだ冷たいといえ
るかもしれません。しかし口先で不満ばかり述べるのではなく自分の技術が少
しでも目の前で現に苦しんでいる人達に役立つなら、すぐにでも飛んでいって
メイクを通して元気を与え前向きに生きる力をつけてもらおう!というかづき
さんの情熱的な生き方はより多くの方々に知ってもらいたいと思います。それ
とリハビリメイクの存在が更に一刻も早く広まって欲しいです。本書を読んで
心が救われる人が一人、二人と増えるかも、そんな可能性を秘めていると私は
思うのでこの場で本書をお薦めしたいと思います。かづきさんの文章から元気
をもらえて気分が明るくなる、本書はそんな本です。

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豊富な人材の中のニコポン。

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 長州藩出身の政治家というと松下村塾生を思い浮かべがちだが桂太郎は
違う。彼は自身の処世術にも綴っているように「まず人に使われる」こと
によって確実な道を歩み人の上に立つ手法をとった人物だ。久坂や高杉、
伊藤博文らに一歩遅れをとって出世したというものの残した功績は多い。
中でも日本が西洋諸国とようやく対等の地位にたどりつけるようになった
「関税自主権の回復」は最も偉大なものだ。また現在の拓殖大学の学祖と
なる等、直接の松陰門下生ではないにしても長州藩出身の志士達は共通して
何らかの人間どうしの連鎖があって、実に不思議で面白いのである。太郎の
場合中谷正亮が叔父にあたり、この中谷という人物は太郎に世界情勢への目
覚めを促した超本人であるばかりか高杉晋作を松下村塾にひき入れた者でも
あった。自然と松陰に少しでも関わった者達は刑死した彼の遺志を継ぐよう
に、終焉の地を囲うような形で自らが学祖となり大学を設立している。太郎
も現在の拓殖大学の学祖となり、人材育成に努めた。何気なく聞く大学名の
学祖となった人物に長州志士達が多数占めていた事実を本書で知り改めて松
陰のまいた種の絶大なる影響力に驚く。
 また著者古川氏の長州を愛する心、志士ら一人一人を後世に伝えようとし
ている心のこもった文章はいつ読んでも素晴らしい。人物・自然描写がまる
でスクリーンを見ているように思えるのである。政界という策略に満ちた闇
を想像させる世界で「ニコポン」ともアダ名された桂太郎は少々ユニークで
笑ってしまう。ニコニコと笑ってポンと肩をたたく面白い処世術の持ち主な
のだ。人物のおおらかさを想像させられて勝手に人物像まで思い描いてしま
うが締める所は締める、日露戦争・その他数多くの困難を乗り越えてきた男
でもあり、当時の政界が激動の時代ながらも人材の宝庫であったことが本書
からわかる。性格も思想も異なった人間達が国を築くために一丸となった明
冶維新、軍国主義へ進む日本。現代から見ればそのエネルギーがあまりにも
大きく、はかりしれない。
ニコポンこと桂太郎の処世訓は必見だ。
物事を学んだり労働する際に、まず根本を理解してから取り組むべし。

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「覚えるだけじゃ、ダメかしら?」

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 歴史の勉強をするのに年号・事柄暗記ほど退屈で
視野の狭い学習方法はない。睡魔に襲われる、時代
背景を知らずに終わる、よって応用問題に歯が立た
ず玉砕、の見事な三拍子の結果となる。これでは全
く歴史を勉強した事にはならず時間の無駄遣いである。
年号詰め込み暗記マシーン化するのはご免だと思って
いた矢先、本書と出会った。
 260年余にわたり続いてきた強固な幕藩体制が
なぜ?どのように崩壊し、数々の戦争を経て豊かな
現代日本が成立したのかこれまでの時代の流れを疑
問と推理を交えて著者が語る。「戦争放棄」を唱える
日本国憲法がどれ程多くの犠牲の上に成立したもの
なのか、や女性の地位をめぐる闘いについて、また
過去に日本が行った蛮行を事細かに学ぶ事が出来、
平和な時代に生きる自分の幸せを改めて実感した。
歴史の真実に触れた気がした。中でもがんじがらめ
の身分制度ののち身を都合良く道具として扱われ、
国家を支える重労働にも耐え、それでも生き抜き現代
女性のめざましい社会進出に至るまでの女性の歴史は
同姓ならば必見といえる。本書は幕末から現代に至る
までの時代の流れについて学べるが他にも古代から
南北朝、室町・戦国から江戸と時代ごとに分かれて
いるので「覚えるだけじゃ、ダメかしら?」と勉強
方法に疑問を抱いている方や、教科書や参考書とは
一味違った歴史の見方をしたい方におすすめしたい。

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