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レビューアーランキング
先月(2017年6月)

砂版魚さんのレビュー一覧

投稿者:砂版魚

5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本海辺のカフカ 上

2002/10/03 14:21

永遠も半ばを過ぎて

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 主人公である僕は「世界で一番タフな15歳の少年」であるとはいえ、15歳と思えない程忍耐強く、思慮深く家出を計画する。
 戦時中に起こった不思議な出来事を、戦争直後の米軍が調査する場面があるが、そこに出て来る人々の言葉使いが驚く程今日的である。
 この小説を読んでいて幾つかの違和感をいだいた部分が見受けられたが、それらは決して本質的なものではない。
 精神的なアブダクションを受け、昏睡から目覚めたナカタさんは自らを客体視するかのように「ナカタは」と自称する。まるで自らの本質がその肉体にはないかのように。
 そしてヒンドゥーの神々のように複数の様相を示す登場人物達は、しかし本質とは何かと問われそこには何もないことに気付いた時、舞台を終えた役者の様に消えてゆく。
 しかし本質が無いことに気付いても、例えそれが如何に理不尽であったとしても、現実に生きる我々には退場すべき舞台は無く、終わり無き日常を生き続けることが要求される。
 「アンダーグラウンド」「約束された場所で」「神の子どもたちはみな踊る」というかたちで理不尽な暴力にさらされた人々を「体験」した作者は、それでも生き続けなければならない悲しさと激しくも無ければ雄々しくも無い決意を本書を通じてマジックリアリズム的な手法で描いてみせる。
 9・11も過ぎて1年以上経つ今日この頃、この小説は日常で我々を苛む理不尽な悪意に対して処方されたひとつの癒しであると言えるだろう。

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呪海

2002/12/26 16:28

早く次が読みたい!!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「エリ・エリ」で小松左京賞を受賞、以降「運河の果て」「レスレクティオ」とSFを書き続けてきた作者初の伝奇ホラー小説。デビュー作「エンデュミオン・エンデュミオン」以来神をテーマとしつづけてきた彼の今回の題材も神。といっても一神教の神とは違い八百万の神々がいる我が日本神道の中でも一番混沌とした神仏習合を題材に、まつろわぬ神々の復讐の構図が浮かび上がる。
 主人公聖天弓弦(しょうでんゆづる)の父である巌が宮司を務める聖天神社からして、仏法守護神の大歓喜天を祀るという神仏習合の神社である。
 岩手県の中学校で美術教師をしながら創作活動をする作者が、その地の利を生かして設定した舞台、神嶋神社。百年に一度の秘祭、人形供養、穢れ。土着的ホラーの必須アイテムをちりばめた呪術世界で繰り広げられる、地祇との戦い。封じられた能力を持つ見習い神職、弓弦。そして黒のフェラーリ250GTを駆るダークな超絶的能力者、法印空木(ほういんうつぎ)。物語はまだ始まったばかりだ!
 個人的にはGetBackersの赤屍蔵人(あかばねくろうど)のような法印の超絶的な能力を見せ付けてほしかった気がします。それから、弓弦は強大な力を素直に伸ばすのでしょうか? それともそれゆえ苦悩する主人公になるのかな?
 早く続きが読みたくなります。

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紙の本静かな黄昏の国

2003/03/24 12:16

篠田小説の入門書です

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「女たちのジハード」、「夏の災厄」等長編中心の作家の感がある著者の1994年〜2001年の約7年間に発表された8作品を集めた作品集。意外と長期に渉って集められているため、作品内容はバラエティに富んでいます。過去の作品になぞらえるなら、「アクアリウム」の幻想性あり、「弥勒」、「ゴサインタン」の土着色の強いものあり、異色な「斎藤家の核弾頭」のようなSF色の強いもの(というより表題作は、ほぼ地続きの世界観を示している)ありと、長編作品のカタログのような感があります。篠田節子に興味を持ったらまずこれをという一冊ではないでしょうか。
個人的にはちょっとブラックユーモアとも言える「一番抵当権」と、日本がこのまま国際的地位を失っていったらこうなるのかもと思わせる「静かな黄昏の国」がお勧めです。

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いつかどこかで…

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ファンタジーノベル大賞佳作の「六番目の小夜子」、萩尾望都の「11月のギムナジウム」へのオマージュとしての「ネバーランド」、そして近作では映画大脱走にインスパイアされたという「ロミオとロミオは永遠に」、私の中の恩田陸は学園生活と分かち難く結びついている。
 その恩田の新作は昭和初期の軍事クーデター「2・26事件」を題材とした時間SFである。私的な話であるが、実は都合で手に入れるのが遅れ奇しくも読み始めたのが2/26であり、50年以上前と日付がシンクロして不思議な臨場感が生まれ面白かった。
 ストーリーは、時間遡行技術が開発され、国連によって管理されている未来世界が、その直面している問題を回避するために歴史改変を行うことから始まる。
 最初に行われた歴史改変「聖なる暗殺」とその因果で生じたHIDS(歴史性免疫不全症候群)、歴史改変管理コンピューター「シンデレラの靴」、見えない敵からのサイバーアタックと「王子の手」。数々のSF的設定、ガジェットがちりばめられている。
 しかしながら作中「聖なる暗殺」がどの時点で誰を何のため暗殺したかが明確に語られていないため、その後「2・26事件」がなぜ選ばれたか今一つ説得力に欠けるように思える。
 一般的にこの系統の物語の常套手段は、多数の資料を収集しそこから抽出した事柄から事件を緻密に再構成し、その中の重要なポイント(暗殺、結婚等の可否)に物語を絡めてゆく手法、複数の事象を並列に物語り次々と分岐して行く時間線の姿をカットバックの様に映し出し、幻惑感と過去の少しの変更で生まれる現在の変化の意外性を演出する手法が挙げられる。本書でも両方の手法が用いられているが、実はどちらも中途半端な感があり、残念ながら多少食い足りなかった。
 ただ、どこか映画を思わせるエンディングの仕掛けが清涼感を生み出し、読後感は大変良かった(でも今度は学園物が読みたいな…)。
 最後に蛇足だが、物語の中心となる軍人会館は、東京九段下に「九段会館」と名を改めて現存しています。瓦屋根の載った帝冠様式の建物を見ると物語に違った現実感が増すやも…。

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ミニチュア・ガーデン

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確かにアッと言わされます。
リコとスマイスの物語から始まり、リコの留学と研究主題であるイングリッシュガーデンの話とスマイスの先祖の話から始まる皆川成慶とその一族の話が分岐する。同時に若くなる病を得た母の話、辻斬りの話が平行して語られる。それぞれは決して均等に語られるわけでなく、また連続して語られることもない。一度分岐した物語は、関係があるような関係がないような宙吊りにされたような不思議な関係におかれ、しかして決して交わることもない。そこには宇宙的秩序を思わせるイングリッシュガーデンのような、まさしく世界の果ての庭が…。
むべなるかな悪辣さ。

それでも、私の読後の印象は幾何学庭園でした…。

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