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ちゃちこさんのレビュー一覧

投稿者:ちゃちこ

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紙の本秘密の友人

2002/10/12 19:29

「パパは世界で一番強いの、ママ?」

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

精神科医ネイサン・コンラッド。仕事に疲れ、妻が話し相手になってくれる夕食を心待ちにして帰宅すると、パパとゲームをすると言ってきかない5歳の娘がまだ起きており、夕食にはなかなかありつけず、夜は夜で、上階の老人の「カッカッ」という痰を吐く音に夫婦でクスクス笑い…。そんな庶民的な暮らしをする、風采のあがらない中年の男である。そのコンラッドが、殺人罪に問われた18歳のエリザベスの精神鑑定を頼まれる。自分の妄想の世界に「秘密の友人」がいて、その男が殺人をしたのだという。コンラッドは、彼女の話に半ば引き込まれ、彼女に性的な魅力すら感じ始めていく。しかしある夜、娘ジェシカが誘拐された。誘拐犯は、殺人を厭わないどころか、むしろ殺人を快楽と感じる男たちである。家は監視され、警察に電話もできない。犯人の指示で、外に連れ出される夫と、監視下にある家に残される妻。意表を突く犯人の要求に、読者は当惑させられる。

この本の魅力は、凡庸に見えるコンラッドの人間性であろう。幼い娘と才気走った妻への底知れぬ愛情、それでいながら、妻を抱きながら美少女エリザベスのことを考えてしまう平凡さ、パパを信じて待つ娘を助けられないもどかしさ、そしてスーパーマンではない活躍ぶり(犯人との格闘シーンも、決して格好の良いものではない)。普通の人間が予想もしない事件に巻き込まれるのである。尋常ではない展開と、翻弄されていく一人の父親コンラッド。だからこそ共感を覚えながら、読者はそのストーリー展開にぐんぐん引き込まれていく。

また、著者の筆の力に感嘆させられるのが、小さな謎を簡単に解き明かしてくれないところである。妻アガサが監視下の家に一人残るときに訪ねてくる「ダヌンチオ刑事」は、果たして本物なのか。面接によって徐々に明らかになっていくエリザベスの過去は、事実なのか妄想なのか。犯人の独白に出てくる<できそこない>とは何者か。登場人物のドキドキに読者の我々までしばらくつきあわされる。

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