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国金スタッフが送る創業マニュアル本の王道

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　創業するとはどういうことか？　創業して成功するにはどうすればよいのか？　この二つの問いは、創業予定者と創業支援者の両者が直面する問題である。なぜなら、創業ブームとは裏腹に、創業の実態と、創業して生き残る秘訣についての情報は、十分に流通していないからだ。
　９０年代半ばの中小企業創造活動促進法の制定を機に、日本において創業支援ブームが起こり、それを追いかけるように現在の創業ブームが生じた。しかし残念ながら、創業する側も、創業を支援する側も、ともにブームに乗っただけで上滑りしている感が否めない。個人に幸せをもたらし、ひいては日本経済の繁栄へといたるような創業や創業支援は少ないように思える。
　本書は、そうした現状に一石を投じるべく、創業支援の実務家によって記された本格的な創業マニュアルである。著者たちは、５０年以上の業歴を持ち、年間２万６千件に及ぶ実績を誇る創業支援機関（国民生活金融公庫）に勤めるエコノミストだ。そのなかには、経済白書や日本経済辞典に名前が載っている有名人もいる。そうしたスタッフが、長年の創業支援の実務経験を活かして執筆した本書は、類書にないリアリティーと説得力に満ちている。
　本書の内容は、創業の現状、創業の成功事例、創業のイメージ作り、創業のノウハウと、創業について必要な知識のほぼすべてを網羅している。奥行きのある内容でありながら、一般人向けの言葉で丁寧に書かれており、非常にわかりやすい。随所に独自のアンケート調査結果や、ヒアリング事例が織り込まれていることも、説得力を増している。創業者の大半は一見「普通の」企業を起こしていること、創業者の平均年齢は４０歳強であること、創業にあたって自己資金が必要な理由は…といった、他では読めない話題が満載である。
　創業には当然にリスクがつきまとう。すべての創業者が成功するわけではない。そんな現実を見つめ続けてきた著者たちだからこそ語れる言葉には温かみがあり、血の通った創業マニュアル本という、味わい深い印象を受ける。
　創業を考えている人だけでなく、創業を支援する人にも読んでほしい一冊だ。