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shaktiさんのレビュー一覧

投稿者:shakti

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紙の本文化と帝国主義 2

2004/12/18 14:57

ポストコロニアル派の文学批評!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

サイードの主著であるが、この本に対して、知識人論だとか、帝国
主義イデオロギー批判のようなものを期待すると、当てがはずれる
だろう。この本の中核となるのは、著者の専門である文学批評なの
だ。文学や文学批評に関心がない人は、手を出さない方が無難であ
る。それに、政治的批評家としてのサイードは、必ずしも第一級の
人物であるとは言えないからだ。

サイードが、この本で、しばしば強調する議論のうちで、たいへん
興味深いのは次の二点である。一つは、他者との出会いにおいて、
超客観的なアルキメデス的な梃子の支点は存在しないと言うこと、
利害や葛藤から自由な特権的解釈者はいないと言う点である。文学
者を含む現実の観察者は、権力の後ろ盾を頼りにしたりしながら、
初めて存在が可能になるのだ。サイードがコンラッドの『闇の奥』
とキプリングの『キム』に賞賛を惜しまないのに、同時に批判する
のは、そういう視座があるからなのだ。また、あれほどまでにナイ
ポール文学を非難するのに、その才能を買ってしまうのも、我々が
矛盾のただ中でしか他者と出会うことができないことを、よく知っ
ているからだろう。もう一つは、帝国主義に抵抗するのは当然だと
しても、土着主義には未来がないという信念である。本書では、ア
イデンティティの観念自体が帝国主義の産物であると力説されるこ
とになる。

『文化と帝国主義』がポストコロニアルの文学批評のバイブルだと
言われるのも、こういった論点と大きく関わっているように見える
。歴史学の「帝国意識」の研究とは異なって、素晴らしい芸術の中
にただ中に、帝国主義を見いだそうとする矛盾に充ち満ちた試み、
そして、脱民族主義の観点から帝国主義を批判しようとする視点だ
と言い換えることが出来るだろう。

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