サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. eisakuさんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年6月)

eisakuさんのレビュー一覧

投稿者:eisaku

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本キャピタルダンス

2002/11/19 22:26

分散コンピューティグシステムは面白いと思った。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「キャピタルダンス」井上尚登 著を読んだ。1997年から2001年の近年のITバブル下の東京が舞台設定になった経済小説だ。米国で「ビル・ゲイツを振った女」という異名を持つ中国系女性ベンチャー社長のアオ、林青リンチンがこの物語りの主役であり、マイクロソフト社が提示した5000万ドルの買収に応じなかった気骨ある起業家でもある。世界で最も速くてクールな画期的検索エンジン「タコボール」を開発したものの運転資金が集まらずアオは苦闘する。それはアオの会社の乗っ取りを画策する者のワナであり、サーバー室の放火や悪質なうわさを業界に流し、序々に資金確保が苦しくなるようにし自身が出資者でありながら擬装企業から、迂回して資金援助するというようなワナが何重にも巧妙に仕掛けられていたのだ。

この乗っ取り劇の本来の目的とは、アオが次に計画し開発を進めている分散コンピューティグシステムであった。これが完成されれば誰もが自由に利用できるのである。アオは公開してインターネットの恩恵をすべての人に行き渡らせるつもりである。DNAの解読や貧しい国や研究機関でも大企業や国家プロジェクトなみに研究ができるようになるのだ。アオたちは開発の非営利団体NPOを組織して、システム開発のボランタリーセンターとしての機能を担うだけで会社がシステムを独占することはないのだ。しかしコンピュータ業界の囲い込みを画策する者にとっては大きな脅威となる。そのためにアオたちが概念を確立した時から何年も乗っ取りの機会をうかがっていたのだ。

この乗っ取りの攻防を軸に物語が展開する。最終的にはインターネット時代らしい結末となるのだが。面白かったのは当時の雰囲気をよく表していることだ。物語の主人公のアオは米国でコンピュータを学び会社を起こすが、いちど潰して日本に戻って再度チャレンジして「タコボール」で成功を収めるが、日本社会では女性ということで軋轢を感じている。この林青は本当にいそうな人物である。また検索エンジン「タコボール」の名はアオの父親がたこやきを売って生活を守ってきたことからついた。その生活の中から資金ぐりに苦しんでいる娘のために100万円を送ってくるあたりなど思わずほろっとさせる。

またギークたちのひとり、伝説と呼ばれるスキルの高い若者がチャット荒らしを繰返す中でアオたちと出会い「世界があなたたちを待っている」という言葉に、自分の考えるシステムを開発することで自分の居場所を見つける。またアオが中国の李財閥の跡取りであることがわかるが、自身の会社の未来と引換えに中国財閥の跡取りと巨額の全財産の権利を放棄し、逆に乗っ取りを画策する企業へ乗っ取りを仕掛けるなど、ちりばめられたエピソードも半分ぐらいはありそうだと思った。
著者はベンチャーキャピタリストらを丹念に取材し、現実との境界線を感じさせないような設定がされている。小説に登場するビル・ゲイツ、マイクロソフトなど実在する企業や人物がイメージされ、それらの会社がどのような動きをしていたかを知っていると一層楽しめる。分散型のコンピューティグシステムとNPOの取合せは夢見ていることなので一番こころに響いたことだった。特にインターネットのことに興味のある人には一気に読める本だと思う。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示