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先月(2017年1月)

ハルさんのレビュー一覧

投稿者:ハル

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本海辺のカフカ 下

2003/01/08 23:53

村上作品は新しい段階へ進んだ、のかな?

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タフな15歳にならなければならないという主人公の家出少年に、最初、まったく共感できなかった。父親から拝借した40万のお金があり、精神的にも肉体的にもいたって健康な15歳の少年が、平和な自分の国を一人旅するのにいったい何が苦労なのだろうかと思った。自由きままな〈休暇〉としか思えない。そんな風に思うのも、1990年頃に東アフリカに300人の子どもばかりの難民の集団があったという話を知ったばかりだからだろうか。ティーンエイジャーをリーダーにして下は幼児までの集団。水と食べ物を求めてさすらい、大人はまったく信用せず、わずかな危険を察知すれば、真夜中でもあっという間に移動する。飢餓、内戦の続くその世界では、子どもたちは逃げ続けなければ、麻薬漬けの少年兵にされるか、売春させられるか、無残に殺されるか…。豊かな北の社会では、子どもをあまりかまわない父親に育てられて、お金持ち中学に通う男の子が家出をすると言っても、それだけでは悲壮感も切迫感もない。王子さまが乞食の子と入れ替わる『王子と乞食』よりスリルがない。特に主人公カフカの場合、肉体的にも精神的にも自分を思い通りにコントロールできている。この年頃の少年や少女は、それが出来なくて自分を受け入れられずに悩んだりするんじゃなかったのかなあ?
 『海辺のカフカ』では、私たちの抱える〈悪〉、この社会の〈悲惨〉があまり描かれていない。ジョニーウォーカーなどで暗示されるだけ。しかし、これまでの村上作品に比べて、硬質な印象が薄れ、柔らかいしっとりした温かみを感じる。それが読んでよかったところ。村上春樹は今後はこっちの方に行くのかな。これまでの作品が面白かったのは〈悪〉と闘い必死になって主人公が勝つところだった。『ねじまき鳥クロニクル』なんて本当にスリリングだった。そうした意味では『海辺のカフカ』はあまり面白くないのだけれど、何か新しいものが生まれてきているのかもしれない。この新しいものについては、すぐにはナンダカ分からないのだけれど。

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