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先月(2017年4月)

kokusudaさんのレビュー一覧

投稿者:kokusuda

188 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本11人いる! 新編集版

2005/05/04 01:15

ファンの悲しいサガを実感した作品です、、、

14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

熱狂的なファンの多い萩尾望都先生の有名なSF中編です。
デビューして6年目の1975年に別冊少女コミック9〜11月号に掲載されました。
同級生の女の子に教えてもらい書店に走ったのを覚えています。
結局9月号は買えずに美容院にもらいに行きました(笑

宇宙大学国の受験者を待ちうける漂流船での奇妙なテスト。
限られた数と時間の中で、さまざまな人種と性格がぶつかり合う!
厖大な宇宙空間へ、はるかな未来へと飛翔するテスト生たちの果てぬ夢は?
(文庫初版カバー解説より)

隔絶された空間(宇宙船)の中で潜在的なトラブル(未知の11人目)をいかに処理していくか?
これが最終テストの課題です。
11人のテスト生が個性豊かに描かれています。
全員に役割があり、展開に絡んでいます。
スタートからの緊迫感がラストに至るまで途切れません。
ラストの余韻も開放感と希望にあふれるものでした。

この作品は映像化?も、さかんに行われました。
NHKドラマ、宝塚の舞台、アニメなどなど、、、
しかし、原作の緊迫感や緻密さを超えるものはありませんでした。
連載時に前後編の予定が完結編を足して3回になったのはご愛嬌ですが、、、
中学時代に友人と集まった時に偶然、11人目が来ると全員で、
「11人いる!」、、、
良い思い出です(笑

1976年に小学館文庫、1978年に萩尾望都作品集(小学館)
1986年にプチフラワーコミックススペシャル、1994年に小学館文庫より再版。
入手可能なのは小学館文庫の再版のみのようです。
他の版は古書店などでは入手は困難のようですね。

全部の版で編集が違い性格の違う本になっています。
文庫旧版は「六月の声」など初期の短編が収録されてバランスの良い短編集です。
作品集は「精霊狩り」3部作が収録されて全編SFです。
スペシャル版は続編「東の地平・西の永遠」とA4ポスター付き。
文庫新版は「11人いる!」シリ−ズでまとめています。
解説やあとがきも全部違います。
小学館の策略でしょうか?
えぇ、私は全部買いましたとも(苦笑)
その後、妹や従妹たちに持っていかれましたが初版は死守してます(爆

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紙の本ガンバとカワウソの冒険 新版

2005/07/05 17:48

三部作の完結篇、でも本当に考えるのは読み終わってからです。

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アニメにもなったドブネズミのガンバと仲間たち。
時系列的には、白イタチのノロイとの戦い(冒険者たち)、
クマネズミとドブネズミとの戦争、シマリスのグリックとの
出会い(グリックの冒険)を経て物語が始まります。

グリックの冬眠を見届けてガンバが住処の台所の床下に戻ってきました。
時は早春。
海外で春を楽しむ予定でしたが出航まで少し間があります。
住処でゆっくり休もうと思っていたガンバですが、仲間たちが訪れました。
仲間であるシジンの恋人ナギサが「四の島」で行方不明になっているというのです。
長旅の腕慣らしを兼ねて気楽に協力することにしたガンバだったのですが、、、。

実はナギサは「四の島」で何かに出会い帰れなくなっていたのでした。
彼女は何に出会ったのでしょう?
なぜ帰って来れないのでしょう?
現在はどこにいるのでしょう?
気軽に始めた人探しですが具体的な手がかりも無く、途方にくれてしまうガンバたち、、、。
ヒントは「なんじドウドウ鳥を見しや?」「川のほとり、静かな場所」という言葉だけ。
藁をも掴む気持ちで大きな川をさかのぼるガンバたち。
そして彼らも何かに出会い旅の目的は大きく変わっていく。
伝説の川「豊かな流れ」を目指して、、、。

要は絶滅しかけているカワウソをガンバたちが助けようとする話ですが、
種として滅びかけている一族をどう救おうというのでしょう?
見た目は地味な展開です。
イタチやクマネズミと違い圧倒的に力の差のある敵。
野犬、人間、環境などなど、、、。
微力な小動物たちは逃げることしかできません。
対策も方法も見付からず、希望も無く追い詰められていくカワウソとガンバたち、、、。

児童向けではありながら大人にこそ読んで欲しい作品です。
所詮は他人のカワウソの事ですからガンバたちでは解決のできない問題です。
こんな時にどう立ち向かうのか?
見捨てて逃げ出した所で誰も責められません。
利害関係も何も無い赤の他人事なのですから、、、。
心が折れそうになりながらはげまし合い支え合って旅を続けるカワウソとネズミたち。
そこに人間性を見る思いがします。
あくまでドブネズミたちの物語ですが、、、(笑

世間には「大人になりなさいよ」という人がいます。
しかし、自分だけを大事に考えて他人を見捨てることが本当の大人の態度なのでしょうか?
少なくとも私はそんな大人になりたくありません。
本作を含む三部作を読んだ子供たちが、
「本当の大人って何だろう?」と考えてくれますように、、、。

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紙の本鉄腕アトム 01

2005/08/07 00:06

連載していた当時は思わなかったんですが、、、

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

あまりに有名なので紹介するのも気が引けるんですが、、、。
初出は1951年「少年」の「アトム大使」ですが、連載は1952年から
1968年までの長期にわたりました。

初登場の「アトム大使」という題名ながらアトムは脇役でした。
その後、アトムを主人公にして「鉄腕アトム」を連載し大人気となり手塚作品の中でも、
最も有名な作品となっていきます。
この作品の中でのキーワードは「ロボット法」。
アシモフ老師の提唱した「ロボット三原則」と違って一般的では無いかもしれませんので列記しておきます。

ロボット法
●ロボットは人間を幸せにするために生まれたものである。
●ロボットは人間につくすために生まれてきたものである。
●ロボットは人を傷つけたり、殺したりしてはならない。
●ロボットは造った人間を「父」と呼ばなくてはならない。
●ロボットは何でも作れるが、お金だけは作ってはならない。
●男のロボット、女のロボットは互いに入れ替わってはならない。
●無断で自分の顔を変えたり、別のロボットになったりしてはいけない。
●大人に造られたロボットが子どもになったりしてはいけない。
●人間が分解したロボットを別のロボットが組み立ててはいけない。
●ロボットは人間の家や家具を壊してはいけない。
●その目的にかなうかぎり、すべてのロボットは自由であり、自由で平等の生活を送る権利を持つ。
●ロボット省の許可なくして無断で国を離れ行動をとるものは、エネルギー無期限差し止めまたは解体の刑に処する。
●ロボットは人間を信ずべし。

良く読んでみるとロボットは自由と書かれていても存在目的があらかじめ決められていますし、
罰則はほとんど死刑です。
そのため一部で「ロボット奴隷法」と呼ばれています。
このような設定が各所にあるため決してアニメのような正義のヒーローが「アトム」の本質ではなかったのです。

具体的には最近のアニメ版では人間に対して叛乱を起こした「青騎士」を説得するのですが、
マンガではともに叛乱を指揮します。
その後も天馬博士によって人間に従わないロボットに改造されてロボットの独立国を作るために
人間に対抗してロボットを率いて立ち上がるストーリーになっています。
しかし、アトムは人間の心情を理解し人間と対立しながらも
共存の可能性を信じるようになっていきます。

この作品の中ではロボットは何も知らない真っ白な心で生まれてきてロボット法や「教育」という形で物の見方を覚えていきます。
戦いと破壊しか教えられなかったプルートもアトムと戦いながら他者の立場を理解し自分の心に目覚めていきます。
作品の中でのロボットたちは見た目は成長しませんが、内面的には学習し大人になっていくのです。

連載当時は「鉄腕アトム」はPTAなどから攻撃されたようです。
その論点として、
1.ロボット同士で壊れるまで戦うのは残酷だ。
2.未来といえどもロボットがしゃべったり悩んだりするのは非科学的過ぎる。子どもが信じたらどうするのだ。
3.マンガはだれが読んでも分かり易いので脳の発達が阻害される。
などなど現代から考えると悲しくなるくらい情けない論点です。
「鉄腕アトム」を良く読んでみると悪役もその行為には理由があり、戦いはストーリーに不可決な要素なのが分かります。
分かり易いとしたマンガを理解できていなかった当時のPTAって、、、(笑

現在まで作品としての「鉄腕アトム」は数回、出版されていますが、出版社、再版ごとに加筆、改訂があって微妙に違います。
読み比べた中では、光文社のカッパコミックス(全32巻)や朝日ソノラマのサンコミックス(全22巻)などが印象に残ります。
何はともあれ、1度は全部を読み通しておきたい作品です。

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紙の本夢みる宝石 新装版

2006/03/06 00:34

祝!再版、彼の初めての長篇が復活して良かった、、、。

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 SFファンには割りと有名なんですが、スタージョンの法則というのがあります。
「SFの90パーセントはクズである、、、
 ただし、あらゆるものの90パーセントはクズである」
というものです。
人間の感覚による良否の分かれ目が下から90パーセントにある。
と、言い換えても良いでしょう。

養父にひどい折檻をされ、家を飛び出したホーティ少年は、
街を旅するカーニヴァルの一座に保護された。
団長のモネートルは、奇形動物や奇妙な人間を集めるかたわら、
不思議な能力をもつ水晶を探していた。
一見なんの変哲もないその水晶は実は生きており、痛みや憎しみなどさまざまな感情を発する。
そして水晶が夢みるとき土の塊から花や昆虫が、小鳥や犬が生まれるのだった、、、
幻想SFの巨匠がつむぎ出す珠玉の名品
(1979年文庫初版巻頭解説より)

主人公のホーテイは自閉症気味ですし、主要な登場人物は奇形です。
差別的な表現や迫害が描かれています。
反面、弱者に対する暖かさに溢れる視点で物語が進行していきます。
独特の癖のある作家なので読むうちに強烈な苦味やしょっぱさを感じることでしょう。
しかし、隠し味的な甘酸っぱさや暖かさがあり、鮮烈な魅力を感じる作品です。

題名の通り悪夢すれすれの幻想的な話です。
しかし、表面の見た目だけでなく、作品を読んだ時の感覚を慎重に味わってください。
少し歪んだ中にきらめきを内包した宝石のように思えてくるはずです。
彼の残した作品の中では「人間以上」が評価は高いのですが、
個人的にはこの作品の甘酸っぱい隠し味が気に入ってたりします。
今から30年以上前に初めて読んだ時から魅了された作品です。

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近くて遠い遺伝の解明

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

遺伝はSFなどに登場するだけでなく、大昔から
よく知られた現象でした。
産まれた子供が親に似ている。
人間から人間が産まれ、馬から馬が産まれる。
親の特性が子供に受け継がれているのです。
しかし、身体的、構造的に似ていることが心理的、知的に
似ていることになるのでしょうか?
それ以前に遺伝や心の本質とは何なのでしょう?
 
著者の安藤氏は行動遺伝学、教育心理学の立場から
知能と遺伝の関係を研究しています。
具体的には一卵性双生児と二卵性双生児の行動や能力を
調べ比較することによって心理や知能に対する遺伝や
環境の影響を調べているのです。
 
生命には個体差があり、特に人間は知能において同一例が
発見されないほど互いが異なっています。
個別に調べても他の例には当てはまりません。
そこで数学(統計)的手法を利用して研究を進めます。
個別では判明しなかった事実が多くのデータを集めることで
見えてくるのです。
 
実際には、この研究分野は数多くの難問を抱えています。
統計学的手法導入の是非、研究結果が人間の価値を決定
してしまうのか?など倫理的問題。
それ以前に知能とは何なのか?
遺伝によって生命の機構がすべて決定されるのか?
これらの問題点や前提が明確にならないまま見切り発車した
研究分野のように感じられます。
 
歴史的には19世紀のダーウィンの進化論から、
ゴールトンの優生学、メンデルの遺伝学や医学、生物学、
最新の行動遺伝学や分子生物学などまで様々な研究分野が
登場してきています。
遺伝がいかに複雑なシステム(仕組み)かが判明すると
同時に数多くの謎も発見されてきたのです。
現在も多くの研究者たちが様々な視点から謎の解明に
挑み続けているのです。
 
本書は私たちの頭の中で遺伝と環境が、どのように
影響を与えているのか?遺伝とは何なのか?
人間の心理、知能とは何なのか?などの一端を
垣間見せてくれています。
科学的な興味を持つSFファンだけでなく、小さな子供を
持つ親や教育関係者などにも読んでほしい本です。
 
SFファンにもメンデルの遺伝三法則くらいは
知っていて欲しいものですが、一歩進んで遺伝が知能に
及ぼす影響についても考えて欲しい気がします。
教育などの環境も大切なんですが、、、。

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紙の本魔空の森ヘックスウッド

2006/07/10 00:35

分類が難しいのですが楽しめる作品です。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

小学館から「ジョーンズの代表作」という宣伝文で出版されました。
この手の宣伝文は割り引いて読んだ方が良いのですが、
読んでみるとまんざらでもないようです。
彼女の持ち味や上手さが際立っているように感じます。

アルビオン宙域監督官ボラサスに地球から緊急報告が届いた。
地球のヘックスウッドに保管されていた古い機械の封印が解除されたというのだ。
その上、その「バナス」という機械は既に稼動していた。
最大級の危険度で機密扱いだったはずの「バナス」。
このままでは無制限に危険が拡大してしまう。
機密だったため「バナス」の止め方も不明のままだ。
調査のため監督官が自ら地球へ向かったが、、、。

ロンドン郊外ヘックスウッド近くに住む13才の少女アン。
ある日、彼女は近くのバナーズの森で謎の男モーディオンに出会った。
彼はアンの目の前でヒュームという少年を作り出す。
そして、ヤムというロボット、湖や城、王や騎士、ドラゴンまでもが登場し
混迷を深めていく。
全宇宙を支配しているという「レイナー」一族も登場。
「バナス」の危険とは?機密の理由とは?
モーディオンやヤムの正体とは?
アンやヒュームの運命は?地球はどうなってしまうのか?
いくつもの現実が錯綜し、混乱は拡大していく、、、。

同じ登場人物が同じ場所、同じ時刻に違う行動を取る。
それはなぜなのか?幻覚か?仮想現実か?記憶の操作か?
登場人物たちの記憶も過去も認識する現実さえ混乱し、何が正しいのか?
現実とは何なのか?読者に向かって問い掛けてきます。
登場人物や物語の展開が少し複雑なんですが、SFやミステリー、サスペンスの作品には
もっと複雑で理解しにくい作品も多いので問題無し、と思います。

SFの枠組みを持ちファンタジーの要素で構成されます。
しかし、展開は破綻せず全ての伏線が結末へ向かって収束していく感覚は
現実が崩壊する感覚と同時に論理が組み上がっていく感覚を味わえます。

装丁や翻訳は良い感じに仕上がっているのですが、
巻頭の登場人物やあらすじの紹介はネタバレ感があります。
すこし、本文の文字も大きすぎるような気がして、もっとシンプルにコンパクトに
まとめた方が印象的な本に仕上がって広く受け入れられたかもしれません。
ファンタジーやSFのファンだけでなくミステリーやサスペンスの読者にも
受け入れてもらえそうな内容だけに最初から選択の対象にしないのは、
もったいないです(笑

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ソラリスの陽のもとに

2005/08/13 22:59

これを読まずにSF好きと自称することなかれ、、、

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ファーストコンタクトを題材に哲学的なまでの意識や知性について描いた作品です。
実は同じタイトルの書評を書いた作品があります。
一時期、レム氏の「ソラリス」とベスター氏の「虎よ、虎よ!」を読んでいないSFファンは
モグリだと言われていました。(私の周囲だけかもしれませんが、、、)
レム氏は多種多様な作品を書いた作家です。
この作品だけで彼の作家としての力量を判断するのは大きな間違いではありますが、、、。

すみれ色の靄におおわれ、ものうげにたゆたう惑星ソラリスの海。
だが、一見何の変哲もなく見える海も、その内部では、一種の数学的会話が交され、
自らの複雑な軌道を自己修正する能力さえ持つ、驚くべき高等生命だった!
しかしその知性は、人類のそれとはあまりにも異質であった。
いかなる理論をも、いかなる仮説をも受けいれず、常にその形を変え、
人類を嘲笑するかのようにつぎつぎと新たなる謎を提出する怪物、、、
生きている〈海〉。
人類と思考する〈海〉との奇妙な交渉を通して、人間の認識の限界を探り、
大宇宙における超知性の問題に肉薄する傑作!
完訳決定版!
(初版カバー解説より)

密閉された基地の中での閉塞感。
かみ合わない隊員同士の会話。
思い出の人の謎の登場。
謎が謎を呼ぶ展開。
自分の感覚も知性も信用できなくなっていく。
現実なのか?
幻想なのか?
仮想現実なのか?

流されるままに翻弄されてください。
理解できない不思議を堪能してください。
共感もいりません。
人間を読者を突き放した物語です。
それが作者の意図なのですから、、、。

1972年にタルコフスキー監督で映画になっています。
SFファンなら映画も見て欲しいのですが、「マトリックス」がワカンナイ人にはツライ映画です。
禅問答のような哲学的な狂人のような展開が3時間近く続くのですから、、、。
2〜3回、見ないと頭に入りませんが、重く息苦しい展開で病的な気持ちになってしまいます。
ラストを理解できるところまで、たどり着けるでしょうか?

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砂漠の惑星

2006/03/05 23:52

切れ味スルドイ名作。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

リメイクされた映画「ソラリス」で再評価されているレム氏の作品です。
「ソラリスの陽のもとに」の読後感がヘヴィー級なら
本作はミドル級のスピード感やテクニックを感じます。
どちらも読者の共感や理解を拒絶するような作品に仕上がっていますが、、、。

琴座系宇宙本部で最大の宇宙船「無敵号」がレギス第3惑星に降り立った。
6年前に砂漠だらけの、この惑星から帰って来なかった「コンドル号」の探索のために、、、。
やがて「コンドル号」を発見したものの、生存者は無く船内はメチャクチャだった。
しかし、船体自体に攻撃の痕跡は無く防衛手段も使われていない。
乗組員たちに何が起こったのか?どこに消えたのか、、、?

砂と岩山を吹き抜けていく風。
打ち捨てられ動きもしない謎の巨大機械群。
金属の植物?だけで動物も植物もいない死の大地。
そして偵察機を襲った謎の「黒雲」。
無敵号の乗組員たちはハイテクを駆使して謎に立ち向かう。
しかし、偵察隊を指揮していた副長のロハンは未知の敵に直面することに、、、。

人類の挑戦をことごとく拒絶する砂漠の惑星。
人類の知恵を科学をあざ笑うように全ての作戦が戦略が失敗していく。
ロハンに残された最大にして最後の方法とは、、、?

何にせよ、関係を持つには相互理解が必要です。
そして相互理解はある程度の類似を前提にしています。
もし、「敵対する」という概念自体が無い相手に敵対しなければならない時、
何が起こるのか?
自然現象と同じ、と諦めるのか、、、?
人間として生命としての本質が問われる気がします。

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紙の本神狩り

2005/08/09 20:19

「2」が出版されたもんで何十回目かの再読で思ったこと。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

SFマガジン1974年7月号に掲載されました。
24歳の時の作品です。

情報工学の天才、島津圭助は花崗岩石室に刻まれた謎の「古代文字」を調査中に落盤事故にあう。
同行者は即死し、圭助自身は強烈なオーラを発散する男の幻影から調査を放棄せよと警告される。
事故の責を負って大学を追われた圭助は古代文字の解明に没頭する。
その結果、古代文字は人間にはとうてい理解不可能な構造を持つことがわかった。
この言語を操るもの、それは神なのか。
そして、あざわらうかのように謎の言語を提示する神の真意は?
人間の営為を覆う神の悪意に気づいた圭助は、やがて人類の未来をかけた壮大な戦いの渦にまきこまれていく。
(76年版ハヤカワ文庫カバー解説)

プロローグが少し、くどい感じがしますが第二部から第三部にかけて緊迫感があります。
手がかりを追い詰めながら指の間からこぼれおちていく感覚。
仲間たちや協力者の死、計画の挫折、、、。
はたして圭助に神に対する起死回生の一手はあるのか?

新人の作家で、これだけ書ける人は珍しいと思います。
新人でSFマガジンに一挙掲載!
どれだけ期待されていたか分かりますよ。
題名でファンタジーかな、と思う人は大間違いです。
神に対して自分の全存在を賭けて喧嘩を売る。
言語学と連想コンピュータという武器で、、、。
人間とは何か?人間の限界とは?プライドとは?
30年前の作品でありながらテーマは色あせていません。

山田正紀氏はノンジャンルのジャンル作家です。
器用にこなすんじゃありません。
SFもミステリーも評論もエッセイも全部、専門なんです。
決して読みやすい誰にでも簡単な作家ではありません。
気合を入れて読まないと足元をすくわれます。

早川書房から1975年に単行本、翌76年に文庫が出版されました。
SFマガジンで読んだ時には衝撃でした。
単行本が買えなくて文庫が待ち遠しかったこと、、、(笑

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太陽系の侵入者

2005/08/04 21:18

今の時代にこそ読んで欲しい作品なんです。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アシモフ老師がペンネームで書いたジュブナイルです。
原題は「ラッキー・スターと土星の輪」で「木星のラッキー・スター」の続編でたぶんシリーズの5作目(笑

木星の衛星にある秘密研究所へスパイを送り込んだ中心人物が宇宙へ逃走した。
その宇宙船を追跡していたラッキー・スターは土星の衛星チタンに「シリウス人」の前線基地を発見した。
シリウス人たちは宇宙国家間の世論を背景に地球を侵略しようとしていたのだ。
このまま見過ごせば太陽系のほとんどがシリウス人の手に落ちてしまうだろう。
しかし、直接に攻撃をしかけたら全宇宙国家を敵に回すかもしれない。
ラッキーはこの危機を解決するために土星へ、、、。
はたして太陽系は守られるのか?
ラッキーの考えた起死回生の秘策とは、、、?

今回は領有権など国際問題が主題です。
各恒星系の領土をどこまで認めるか?
シリウス人の主張は、
「使っていない星は先に住んだ者に権利がある」
というものでした。
例えると、道路も通らず人も来ない山奥にならアメリカが無断でミサイル基地や植民地を日本に作っても良い、
と主張するようなものです。
先住権という考えもありますが、、、。

宇宙国家は地球の植民地が独立したので同じ人類です。
しかし、地球は植民地として支配していた過去のため宇宙国家では評判が悪かったのです。
そのため軍事国家シリウスは地球に味方する国は無く領土を主張しても黙認されると予想したのです。

戦うしかないような状況でフレンチ氏(アシモフ老師)は戦わずして問題を解決する道を選びます。
しかし、最近は世界情勢のためか戦闘による解決をはかる作品が目立って多いような気がします。
権謀術数だけで問題を解決するのもどうか、と思いますが
戦争ではなく対話によって国際問題が解決していくことを願いたいですね。
本作を読んでアフガニスタンやイラクの問題、日本と中国や韓国の問題、国際問題についての
前バチカン教皇の発言などを思い出しました。
特定の宗教に思い入れはありませんが、対話と相互理解が問題解決の1番の方法、ということは
憶えておかなければならないと思います。

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紙の本あぶない丘の家

2004/07/14 23:53

あぶないあぶない読み応え!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

雑誌「ASUKA」増刊に連載されていた作品です。
緻密で繊細な作品の多いモーさまですが、一方でとんでもないコメディや
こんなスラップスティック作品も作り出しています。

マヒコこと平羅坂真比古には変わり者の兄がいる。
安曇という名なので「アズにいちゃん」とマヒコはよぶ。
性格は当然エキセントリック、時空を飛べたりもするらしい。
だからマヒコの日常はスラップスティック!
怨霊少女と対決したり、義経を追って源平の合戦を見物したり、
果ては滅亡後の地球から未来人までやってくる!
なかよしだけど正体不明、アズにいちゃんっていったい何?
(文庫カバー解説より)

副題は「あぶないアズにいちゃん」「あぶないシンデレラ」
「あぶない壇ノ浦」「あぶない未来少年」です。
いや〜、本当に間口の広いマンガ家ですよね、モー様って。
ホラー物、心理サスペンス物、タイムスリップ歴史物、
終末未来物と、こんなに違った作品がが同じシリーズで読めるんです(笑
ホラーは正統なホラーだし、心理サスペンスは
下手な2時間ドラマよりも面白い。
タイムスリップ歴史物は某NHK番組より
ためになりそうだし、終末未来物は、
これだけでもSF映画のような余韻のある美しい物語です。

学園ドラマであり、ホームドラマであり、
歴史ドラマであり、恋愛ドラマまであります。
出てくるアイデアも神隠し、怨霊、異世界、エイリアン、
予知夢、タイムスリップ、タイムマシン、人類の終末、
タイムパラドックスに至るまで、盛りだくさんです。
複数の主題を持った作品の出来について
少なからず疑問のある作品が多いんですが、
この作品は面白いッス!
この豪華な内容に、モー様の絵が揃うんです。
ファンならずともたまりません。

ちなみに巻末にはモー様ファンの森博嗣氏のエッセイもあります。
ファンの心理を代弁してくれている(であろう)、
このエッセイも一読の価値あり!です(笑

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紙の本火星人の方法

2003/01/11 06:38

古い作品なんですけど…

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アシモフ老師の1952年から1954年にかけてのロボット物以外で初めての短編集
です。
日本では1965年から1971年にかけて紹介されました。
今から50年前の作品ですよ!
でも今、読んでも面白いんですよ、これが!
表題作は現代の経済封鎖や某大国のゴリ押しを思わせる展開で火星植民地が危機に陥る
のですが、それを宇宙空間で生活する人間ならではの逆転の発想で解決するんですよ。

ハインライン先生は月植民地が戦争で独立する作品を書きましたが、アシモフ老師は
火星植民地が住民の知恵と勇気で独立する話に仕上げています。
おなじアメリカ人で同時代に生活する作家で、こうも発想が違うのか、と改めてアメリカの多様性を考えさせられます(書かれた年度は少し違うんですが…)。
他にマイペース(わがまま?)な天才と凡庸な専門家との対立を描いた「まぬけの餌」
など計4篇が収録されています。
文庫になってからでも20年経っていますが現行で入手できるのは名作の証ではない
でしょうか?

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世界の小さな終末

2006/04/01 00:03

深刻な時ほどなぜか可笑しい場合はありませんか?

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

PF(ポリティカル・フィクション)というジャンルの作品です。
このPFは「政治小説」と訳されますが、
「もし〜だったら?」という仮定を扱うことでSFにも分類されます。
「どらエモン」などに登場することがありますね。

物語はアメリカ海軍の原子力潜水艦“ライオン号”で始まります。
北極海で防衛任務についていたのですが、
副艦長のブラウン少佐が口論の末に艦長を殺してしまいました。
これが上層部に知られたら大変です。
「軍法裁判で死刑になってしまう!」
幸いにもライオン号は北極海の厚い氷の下に潜っている。
本国と連絡が取れるのは数ヶ月も先だ。
この間に対策を考え出さねば、、、。
あせったブラウン少佐が考え出したのは「海賊」でした。
潜水艦に積んである核ミサイルをネタにアメリカを脅すのだ。
といっても俗人のブラウン少佐ですから、大金と酒と女を
アメリカ海軍に用意させるだけなんですが、、、(笑

この後はブラウン少佐の要求がエスカレートしていくは、
政府関係者はオロオロするだけだは、
売名に利用しようとする女優は出てくるは、
真似して核ミサイル基地を乗っ取る救世主気取りの中佐が出るは、
ナチスの残党が核ミサイルを奪ってヨーロッパを脅すは、
あげくの果てに名前も知られぬアフリカの小国が、
核ミサイルを入手して米ソを相手に世界を要求するは、、、。

キューバ危機(知ってますよね?)の後、
世界的な核軍縮が進みますが実際はどうなんでしょうね?
核兵器の力を盾に世界へ要求する話は多いですね。
古くは「博士の異常な愛情」(「破滅への2時間」)、
マンガでは「沈黙の艦隊」などもそうでしょうか。
この作品では人類全体のことより身近なことしか頭に無い人間が
核兵器の力を手に入れてしまいます。
で、考えたことが「大金よこせ!、女よこせ!、酒よこせ!」
下世話ですねぇ(笑
各国政府も右往左往するだけで、なかなか笑えます。

このような深刻な話題をきっちりパロディに仕上げるのは、作者の力量を感じます。
作者のロシュワルト氏は1921年にポーランドに生まれています。
その後、イスラエルに移住しアメリカ、イスラエルなどで、
ジャーナリスト、社会学教授として活躍しています。
第2次大戦の最前線での経験やイスラエルでの生活などが
ユダヤ系の作家である彼に深く影響しているようです。
深刻な事態でも常にユーモアを忘れない。そんな感じがします。
大国の力の論理を端的に表しパロディにして考えさせられる。
そんな作品なので今の時代にこそ読んで欲しい作品なんですが、、、。

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補完すべき点もあるようですが、旅の終着です。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

英国の天才詩人ジョン・キーツの物語詩の題名をそのまま使っていた
「ハイペリオン」シリーズの最終巻。
やっとオリジナル?の題名になりましたが、前作の正統な続巻です。

32世紀の銀河系を支配している「パクス」から逃れた
アイネイアーとエンディミオンたち。
彼らはマゼラン星雲に隠されていた地球へたどり着き、平穏な日々を過ごしていた。
しかし、その間も銀河系ではカトリック教会、軍部、経済界、
超AI群「テクノコア」などが暗躍していた。

再び、銀河系へ旅立つことになったエンディミオンはアイネイアーたちと
別行動を取ることになった。
辺境惑星へ隠しておいた宇宙船を回収するためだ。
転送ゲートを使った河下りで惑星を目指したが、、、。
苦難の末、惑星「天山」で再会したエンディミオンとアイネイアー。
しかし、その惑星で「パクス」と対決することになる。
「パクス」と結託した「テクノコア」が送り込む刺客。
「教える者」アイネイアーの真の使命とは?
「テクノコア」の真の目的とは?
「パクス」と「テクノコア」、「アウスター」の関係は?
人類の未来が、運命が動き出した、、、。

この作品を読み終えて書きたいことは数々あります。
何を書いてもネタバレになる気がしますが、、、(笑
それでも、いくつか挙げてみます。
独立した超AI群「テクノコア」を人工生命(AL)論で謎解きしていますが、
訳のせいでしょうか?
少し、理解に苦しむ点があります。
星野力氏、白石明彦氏などの人工知能、人工生命についての著書が参考になります。
他にキリスト教の教義、小乗仏教、覚醒“RISE”の意味など
気になった点(アラ?)が、、、。

特筆しておきたいのは過去の名作へのオマージュとシモンズ氏の「ホラー作家」らしさ。
シリーズの題名自体がキーツの物語詩から取ったように様々な作品に
酷似したシーンが目に付きます。
本作の第一部でエンディミオンが訪れた惑星の景観。
第二部でのダライ・ラマとの出会い。
惑星「天山」の生活や登場する「風使い」の存在。
第三部での森林軌道スフィア、エンディミオンとアイネイアーの別離と再会など、、、。
私の分かる限り、7作以上の作品がモトネタ(本歌)として使われているようです。
また、凄惨で血みどろな場面になると描写が活き活きとしてくるところなんか、
ホラー作家らしいと言うか、何というか、、、。

前作と本作はエンディミオンの一人称で展開しています。
いろいろと仕掛け(伏線)もあるのですが、緻密すぎてワカンナイ人もいるのでは?
しかし、筆力と言うか、読ませる力は大したもので
長い作品ですがSF初心者から上級者まで楽しめます。
「ハイペリオン」から本作まで一気に読むのがお勧め!
なんですが、4作(計8冊)で4300ページを超える
普通の文庫10冊分の長さなので、、、(笑

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星の書

2006/03/30 21:15

序破急の破

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「川の書」に続く「黒き流れ」三部作の2作目です。
実は三部作といっても大長編を三分割しただけみたいです。
それに「先の展開の読める作品は決して書かない」と評される
ワトスン氏です。
最初や途中だけ読んで作品を評価しようなんて危ない(笑
最初と最後の場面だけでも違う作品のようです。
全く違う印象の場面がどうつながっていくのか?
途中を読んでいないと理解不能です。

本書のあらすじを書くだけで「序破急」の「序」だった前作の
ネタバレになってしまいます。
「序破急」の「破」である部分を敢えてボカすと、、、。
前作「川の書」では異世界冒険SFに新たな視点が持ちこまれた結果、
作品世界の真の姿が垣間見えました。
本作では主人公のヤリーンが作品世界の「川」世界を意外な(古典的な?)方法で
飛びだし「星」世界で、ある存在と対峙します。
その「星」世界や存在は私たちが良く知っているものです。
そして彼女の真の戦いが始まっていきます。

象徴的な名称や事件が登場し、冒険SFが神話の様相を示し始めていきます。
しかし、普通に予測できる展開をしないのがワトスン流。
カルト宗教、サイバーパンク、神話、冒険、異世界、宇宙、意識、無意識、
自我、現実、仮想現実からバイオ・テクノロジーまで、、、。
これでもか!と、いうほど大ブロシキを広げます。
本当に結末が来るのか?と心配ですが、、、(笑

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