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先月(2017年8月)

ゲルマンさんのレビュー一覧

投稿者:ゲルマン

1 件中 1 件~ 1 件を表示

現場の息づかいが伝わってくる大作

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 きちんとした方法的枠組みのもとで体系的に構成されている本書は、日本におけるドイツ研究の水準を高める作品として、すでにいくつもの高い評価を得ている。2002年には社会政策学会賞の奨励賞を受賞し、さらに日本経済新聞社の日経経済図書文化賞でも最終選考において「文字通りの労作」と評価された。2003年には労働関係の沖永賞を連続受賞した。
 それだけこの本が評価される理由はどこにあるのだろうか。その一つはやはり、本書が現代とみるいう時代に対して持つ意義をあげることができるだろう。
 本書は、ドイツのクルップ社を例に、19世紀から現在までの長期的な歴史的パースペクティブの中で、ドイツ大企業における企業とそこで働く人々との関係の持ち方を実証している。そして、企業はそれぞれの社会の環境要因に規定された社会的存在であり、歴史的に見るとドイツでは決してイギリスやアメリカのような市場中心主義が採用されなかったことが示されている。むしろドイツでは、19世紀の企業ができはじめた最初の頃から、簡単に首をきったりしない、長期的で企業と密接な人間関係をきずくような関係が形成され、それが基本的には現在まで続いてきたという。このことは、現在の日本における市場中心主義的な改革の方向についても考えさせるきっかけを与えている。
 もう一つは、本書の実証研究の水準の高さにあるだろう。歴史文書館の資料を渉猟し、膨大な一次資料を駆使して描きだす歴史像には、おそらくだれもが脱帽せざるをえない。その詳細な文献目録といい、堂々とした大部の重量感といい、まさに本格的大作と呼ぶにふさわしい。
 しかし、本書が人を一番ひきつけると思うのは、むしろ本書のさまざまなところにあふれている、現場主義の魅力であろうかと思われる。著者の労働への感性のするどさ、現場への徹底したこだわり、描かれた現場の息づかいまでが伝わるような臨場感。著者の他の作品にも一貫してあらわれているこうしたヴィヴィッドさこそ、著者ならではの個性である。読者を現場の世界にいざないながら、社会の本質を深く考えさせる、そういうところに本書の最大の魅力があるといえるだろう。

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