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    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

裸足淑女さんのレビュー一覧

投稿者:裸足淑女

1 件中 1 件~ 1 件を表示

タブーの彼方より

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ゲイやセクシュアルマイノリティについて書かれた本にお決まりのように書かれる、「常識って、わたしたちがいつも普通だと思っていることって、何なんだろう?」などといった文句。
 実にその通りだなぁ、と思う。
「我々は、『常識』の元に存在を抹消されて来たのだ」と彼らは言う。
 全く、その通りだ。
 女のコたちはそういったゲイたちに優しい目を注ぎ、人によっては憧れに似た感情を抱いたりもする。
 それも、ステキなことだと思う。
 それにしても、そんな人たちもひとつ教えてくれなかったことがある。
「常識的な人々」によってその存在をシカトされつつ、ゲイやその他のセクシュアルマイノリティにすら快く思われていない存在。
 本書はタイトル通り、「少年愛者」に関する本だが、類書(?)のようにマイノリティ寄りのスタンスに立って、彼らのマイノリティとしての辛さを並べる内容のものではない。
 この本には、少年愛者への怒り、糾弾、告発、批判であふれている。
 少年愛者たちは、ゲイたちが自らを解放するために重ねて来た言葉を「盗用」して、彼ら自身の欲望(幼い少年とのセックス)を正当化する。
 もちろん、ゲイに非があるわけではないし、少年愛者もその総てが、上に書いたような批判されるべき人々というわけではない。本書も決して批判一辺倒のものではなく、彼らをどう社会に受け容れるべきかの考察もちゃんとなされている。
 しかし、本書の一番の力点は、「マイノリティ=弱者、善」「性被害に遭うのは女性」といった「通りのよい言葉」「判りやすい図式」の表皮を引き剥がし、その下に隠れる生々しい現実を暴き立てることに置かれているように思う。
 最後にもうひとつ、本書によって覆された「常識」はおたく男性、それもアダルトゲームなどを愛好する人々が、少年愛者の告発に一役買っていたこと、つまり彼らが、世間で思われているより遙かに理性と倫理を備えた存在だった、ということであろうか。
 既に凡庸のひと言になってしまった、「常識って、何なんだろう?」といった惹句。それを遙か凌駕する衝撃力を、本書は秘めている。

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