サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. Laylahさんのレビュー一覧

Laylahさんのレビュー一覧

投稿者:Laylah

3 件中 1 件~ 3 件を表示

位相は新月に至り

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

歴史上の政敵にして物語上の「結論」である、道満との対決に向かうクライマックス。読んでいると残りページの少なさにはらはらさせられますが、大丈夫、あと1巻出るそうです。
巻数を重ねるごとに難解さを増していた感がありましたが、この巻ではさすがに終盤だからか、晴明が心地良く語る薀蓄の内容は始原的なものに立ち戻り、ちょっとだけわかりやすくなっているのがありがたい(笑)
唐突にエジプトやギリシアのエピソードが入ってくるので最初はぎょっとしますが、読んでみると、それは晴明の置かれた状況を別の語り口で描いたものとなっており、安心して「ああ、こういうことだったのか」と頷くことができます。そのあたりも前の数巻に比べて格段に親切設計。
同時に、その二国での登場人物が辿った運命は、今後の展開への悲劇的な予言となっており、これまた読者ははらはらさせられます。
何せ、史実でも物語上の理屈でも晴明生還は確実とは言え、道満があんなことになっちゃってる以上、作者がどこまでこの物語をかっとばす気なのか想像がつかない。

終局に向かってダイナミックさを増す展開の中、この巻単独での見どころは数え上げると尽きませんが、やはり道満登場のシーンは出色かと。そして、こちらの心臓まで射抜かれそうな、月の船到来の知らせのシーン。ここでは詳しくは語れませんが、漫画という媒体はここまで出来てしまうのかと、鳥肌が立つほどです。
源高明と藤原兼家の対立を通して、政局というもう一つの視点から語られるストーリーラインも物語を奥深くしています(作中では、占も術も政に含まれるのですが)。
小難しいことをこまごまと並べましたが、要は、どのキャラクターも非常に魅力的です。各々の思惑の絡み合いが、次巻でもう見られなくなってしまうのが惜しいくらい。
秋に出るという最終巻が待ち遠しいような、勿体無いような。
それまでの間、既刊を読み返してみるのもお勧めです。思わぬエピソードが実は伏線となっていたりして、新たな発見に驚きました。

この書評の筆者は、残念ながら幾何学にも陰陽道にも明るくはありません。ですので、この漫画の面白さのうち、まだまだ多くの部分を取りこぼしていると思われます。
それでも、タロット(特にI「魔術師」のカード)や月の位相についてのちょっとした予備知識のおかげで、より細かい部分も楽しめたような気がしますので、入門っぽいおすすめ本をご紹介しておきます。
「月からのシグナル」根本順吉、ちくまプリマーブックス
「黒魔術の手帖」澁澤龍彦、河出文庫
「神道用語の基礎知識」鎌田東二、角川選書

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

デモン・シード 完全版

2005/08/12 10:41

巧みにして悪質なトラップと逆転

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

どうして評者のどなたも警告しておられないのだ(笑)
最初に書いておく。主人公に感情移入してじっくりと読書するタイプの人は、この本ではうっかりすると手痛い目に遭うだろう。作者は明らかにそうしたショッキングな効果を狙って一人称で書いている。あとがきで宣言すらしているのだ。「男性諸君、(中略)そうやすやすとは許してもらえないから、そのつもりで」と。

元の版は読んでいないため、全くの新作として接した者の視点から書かせて頂く。
現代の感覚で読むに、これはSFというより、道具立てのしっかりとしたサイコホラーだ。ガジェットの多くは我々が既にSF以外のジャンルにおいても見慣れたもので、その分、一般小説としての楽しさに必要な生活感が増している。大幅に改変されたという設定、特に、実質的な主人公であるスーザンの造形と言動は、1997年当時にはアメリカで既に広く認知されていたと思われる概念、「サバイバー」にぴったりとくる。
一部の読者は、これがどうしてSFというジャンルになるのか、これほどオーソドックスでスタンダードなストーリーがどうして「問題作」なのかと、首をひねるかも知れない——ただしそれは、ストーリーだけをとってみればの話だ。
巧みな作者の手にかかると一人称はここまで恐ろしくなる。つくづく思い知った。サスペンス要素や残虐なシーンをぐいぐいと読ませながら、読者を逃げ場の無い混乱へ容赦なく叩き込む。
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの『男たちの知らない女』を思い出して欲しい。(『愛はさだめ、さだめは死』に収録)
あの短編でティプトリーが仕掛けた陥穽が、善意と優しさに満ちたものに思えてくるほどのトラップが『デモン・シード完全版』には仕掛けられている。
……これ以上はひどいネタバレになるので書けません。心構えを済ませて手に取ってみて下さい。
読後、『ミザリー』を思わせる不快なシーンが夢に出てこないよう祈っています。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本巌窟王COMPLETE

2005/08/06 03:42

「設定資料」は少ないものの……

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

■どういう本?
全24話のTVアニメ『巌窟王』の関連書籍。
原作小説『モンテ・クリスト伯』を大幅にアレンジしつつ、絢爛たる空気を現代に蘇らせた斬新で美麗なアニメーションの、主に映像関連のコンテンツを収録している。
念のため断っておくと、ボーイズラブというジャンルに特化したアニメではない。むしろ、偏り無く描かれた濃いメロドラマ。
本の構造は、カラーページ80P、モノクロ32P、三つ折サイズのカラーポスターが三枚。ポスターのうち2枚はノベライズ版の文庫にも収録されたもので、1枚は描き下ろし(ただし構図はノベライズ版と同じような感じ)。
■内容は?
全話のダイジェストに各種デザイン画や既存のイラストレーションを付したフィルムブック。ストーリーの流れや、印象的な台詞、予告用のテキスト等が網羅されている。
デザイン画のサイズが妙に小さいが(美術設定やANNA SUIデザイン画が2、3cm単位でしか収録されてないのは痛い)、購入客層から考えて、同人誌の描画資料には充分かと思われる。各キャラクターの声優諸氏へのミニインタビューが入っているのもファンブック的。
この本の制作時期との関連からか、DVDのためのカバーイラストは4巻分までしか収録されていない。そしてサイズはやはりとても小さい。
監督の前田氏、及びシリーズ構成の神山氏へのインタビュー有り。公式サイトにはより大量のインタビューが掲載されているが、書籍収録分では、原作『モンテ・クリスト伯』からのアレンジ部分についてより深く語られているのが興味深い。
■「COMPLETE」?
この本を「設定資料集」だと思わない方がいい。
特に、このアニメーションをSFとして愛好する層や、原作小説とアニメを比較するファンにとっては、価格ほどの価値はあまり認められない。
メカニックデザインはモノクロで2ページのみ。しかもラフ画に付されたメモ書きは、縮小でほとんど潰れている。
また、設定関連においては、伯爵の常用する薬(原作小説ではオピウム)の薬効や、巌窟王というクリーチャーの性質、イフ城の機能と囚人の身体構造の変異、それに未来都市パリの構造や政治形態など、マニアにとって一番知りたい情報の一切に触れられていない。ただ、台詞ではなくグラフィックで語る『巌窟王』の性質から言って、これは明確にはテキスト化されていない部分ではないかとも思われる。
改めて全体の構成を見ると、限られた誌面と時間の中で、既存のコンテンツをできるだけ網羅しようとした努力が認められる。そのためにデザイン画が縮小されているのも仕方ないのかも知れない。内容に致命的な誤りも無いし、誤字脱字も目につかない。フィルムブック部分の下部に小さく入れられた豆知識的なメモに至っては、編集者側の心意気とすら呼びたい。
あえて極端な表現をするが、女性向のファンブックとして割り切ってから入手すれば、かえってその密度に嬉しい喜びを感じられるだろう。
■個人的に惜しかったところ
・エンディングとプロモーションムービーがサブリミナル的映像の連続だったので、この本ではもっと大きなサイズで詳しく見たかった
・二十幕のラストでは、アンドレアの「メインディッシュは」という台詞からして、ユージェニーは実際にはぎりぎりの所で助かってるはずなんだが
・ペッポさんなのかベッポさんなのかはっきりして頂きたい(原作とスペルから考えて、たぶんベッポが正解。)

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

3 件中 1 件~ 3 件を表示