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夏桜さんのレビュー一覧

投稿者:夏桜

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演劇人の多様性と日本の現実

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「比喩的にいえば、電車の中である男が隣にいた大男に乱暴に押されたので思わずその大男の足を踏んづけた。すると腹を立てた大男がその男をボコボコになるまで痛めつけてしまった。…この場合、強い者が思いとどまるしかないんです」(西堂行人)
国民の多くが「戦争反対」「止めろ」と小さな声で叫んでも、「時に間違う国民に正しい方向を示すのも政治家の仕事だ」と言ってはばからない、どこかの国の総理大臣は歌舞伎が大変お好きだそうである。その歌舞伎の将来について、実は頭の痛い問題があることをこのお方はご存じだろうか。答えはもちろん本書を丹念に読めば分かることだが、一度聞いてみたい気がする。
「合理主義的なことだけ考えてると潰れますよ、日本は。損得という考え方の根本を考え直していかないと、人そのものがいなくなってしまうようで怖いんです。生きていて何が嬉しいのか、楽しいのか。それは金を稼ぐためだけに合理的に進めていくことではないですよね」(渡辺えり子)
見かけも著者も気むずかしそうだし、著者の数ときたらなぜだと言いたくなるくらいに多い。おまけに対談集だから、対談者の数も加えると全部で27〜28名にはなる。その人たちがまた揃いもそろって演劇畑やその周辺の物書きで占められ、並みの読者を寄せつけない雰囲気をつくり出している。
「外国のモデルを学ぶだけじゃなくて、日本の現状を反映したものにしないと駄目だと思うんですよ。もっと何でもありにしないとね。とにかく日本の場合は伝統演劇の能や歌舞伎から新劇、アングラ、小劇場まで何でもあるのだから、その多様性を反映させるほうが健全です」(太田省吾)
扉を開けてみると、舞台の写真は多いし、文章は会話体だし、事例は卑近だし、話の中身は砕けているし、過激発言や告白もあって、こんなに外見と中身が一致しない本も今どき珍しいのではないか。これも演出かしらと疑ってしまった。演劇に限らず、広く日本の来し方行く末を考えている人々にお薦めしたい。

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