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先月(2017年8月)

ミモザさんのレビュー一覧

投稿者:ミモザ

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本森のお店やさん

2005/11/09 22:09

心が柔らかくなっていきます。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

とても可愛らしい本です。
まず、はらだたけひでさんの何ともあたたかで柔らかな色の表紙に惹かれました。
森の中の動物たちのお店やさんのお話です。小さな子どもたちは、きっと、目を輝かして、森のお店やさんのお話に引き込まれそうです。
「できたての音」や「今日しか聞けない音」を聞かせてくれるお店があります。誰のお店でしょうか?きつつきのお店の「おとや」です。
かわいらしい木の葉のポケットを売っているお店、「ぽけっとや」さん。はりねずみがちくちく、ぽけっとをつけてくれます。みんな新しいポケットに大喜び。ぽけっとには、何が入っているのでしょうか?
ぎんめっきごみぐもは、金色のあみに銀色の糸で森のみんなの伝言を届けます。
森のおおらかな息吹が伝わってくるような美しくてすがすがしい短編集です。
そうそう、とっておきの素敵なお店があります。そのお店は、「おやおやや」どんな素敵なものが待っているのかは、是非、本を開いて欲しいです。
「空のおふねや」「かげ売り」e.t.c. 子どもだけでなく、大人の想像力もくすぐられます。ページをめくりながら、にこにこと表情が柔らかくなっていっていることが、自分でもよく分かります。

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紙の本家守綺譚

2004/10/30 14:55

時がゆっくりと流れていた時代。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 手にしただけで、嬉しくて幸せになる本がある。
よくよく吟味され、丁寧に作られた本。この本も、その類の本で、見返しまで、美しい。本を開くと、そこではゆっくりと時が流れ、人と人外のものがゆるやかに共存している。いつとも、どこともはっきりと記されていないからよけいに、この本の中の世界は「原風景」のようで、親しみを感じる。

 学士綿貫征四郎は、亡くなった親友の実家の家守をしている。家鳴りのする時を経た家。自然のままに生き生きと茂る草木。夜に洋燈を灯せば、漆黒の闇が浮き上がる。山の狐狸は人をだまし、河童はうっかりと庭の池に流れ込む。サルスベリの花は人に思いを寄せ、桜に心を奪われれば、花鬼が暇乞いにやってくる。不思議なことがごくごく普通に日常にあり、その不思議を当然のことと教えてくれる人がいる。

 物語はそれぞれ数ページのごく短いものなのに、文字を読み、行間を読み、気配を読み、匂いを読む。自然の質感を肌で感じて、自分の思いを辿れば、一つ一つの淡く軽みのある物語に思いもかけないほどの質量を感じる。草木の名前の付いた各々の章が28話もある至福。

 静かにゆっくりと流れていく時間や、相応の深い闇は、確かにあったはずだ。私たちは自然の中に、当たり前のように不思議を見い出し、それに名を付け、時に畏れ、時に敬い、時には親しく待ちわびたろうに。そういう自然を見て、自然の中の物語を伝えてくれる導き手もかつてはいたろうに。

 この本を読んでいると、懐かしさや、温かな思いと同時に喪失感をも深く感じる。物語を一話読み終えるたびに。本を閉じたその刹那に。失ったものを思う。忘れてしまったものを思う。もう忘れたことも、失ったことも、記憶から消えていく。失ったと思ったのに、逝ってしまったと思っていたのに、遠い世界からときおり綿貫を訪ね来る友の存在。自分の失った大切な人を思えば、羨ましさからか、本を読み終わったときの喪失感はさらに深かった。それほどに、この物語の中には「そうあるのが自然」と思える見事な世界があった。

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