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    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

乱蔓さんのレビュー一覧

投稿者:乱蔓

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本家守綺譚

2004/02/29 13:55

日本の物語

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 一見セピア色と見える世界に、季節の植物や風物の色合いが、やわらかく、しかし鮮やかに浮かび上がる。
表紙に一枝描かれた、千両の赤い色のように。
 主人公は売れないモノ書き、湖で消息を絶った友の実家の守を引き受け、移り住んだところから物語は始まる。
そして現れる様々なあやかし…と書くと、まるで稲生のモノノケのようだがそうではない。
訪れるのは、現代では忘れられかけた、四季折々の精霊とでもいうべきものたちだ。
それは散り際に暇乞いにくる桜や、啓蟄の日にふきのとうを集める小鬼、木槿の花が咲くと現れる聖母であったりもする。
 四季の移ろいとともに、現れては消えてゆくまぼろしのようなものを、時にはいぶかしみつつ、当たり前に受け止める主人公。
掛け軸を通ってあの世から亡き友が訪れ、庭のサルスベリがお前に懸想をしているぞと指摘されても、素直に受け入れてしまう辺りからすでに主人公の日常は、異界との境界線が曖昧なのだ。
 それはまるで、坂田靖子の漫画に出てくる、いい年なのに何をして暮らしているのかわからない独身男性が、アヤカシもモノノケも自然体で受け入れてしまうのと似ている。
古くから異界との交流は童子と相場が決まっているけれど、たとえ貧乏であっても、日々の生活に追われることのない、悪く言えば「極楽とんぼ」的なのどやかさが、そういったモノたちを呼び寄せるのだろう。
 もっとも、異界と共存しているのは主人公だけではない。
山寺の和尚は、庭の池にまぎれこんだモノを河童と見抜き、主人公の飼い犬に故郷まで届けさせる。
飼い犬はその後、河童と交流を続け、頻繁に行き来を繰り返す。
隣りのおかみさんは、河童の抜け殻を「一目みればわかります」と断じ、ある時はカワウソについて「かかわりあいになってはいけません」と言い切る。
後輩は亡くなった友が訪ねてくると言うと、「僕も会いたいものだなあ」と不思議がりもしない。
 洋燈のほうが頼りになるけれど、電気に臍を曲げられても困ると電燈をつけたりする、文明の進歩に乗り遅れ気味の主人公と、登場する人物やモノたちの穏やかな諧謔に満ちた言動、植物や風物の描写の細やかさ。
「百年すこし前の物語」ではあるけれど、失われてしまった情景と懐かしく読むもよし、いまだに何処かで息づいている「桃源郷」と信じて読むもよし、どちらでもこれは四季の彩り豊かな「日本」の物語だ。

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