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mopsyさんのレビュー一覧

投稿者:mopsy

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紙の本ニコライ・ゴーゴリ

2013/02/07 16:53

真の文学とは過去においていかなるものであったか、こんにちいかなるものであるか、将来いかなるものでなけらばならないか

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評伝なので当然ゴーゴリの人生と作品を照らし合わせて論じてあるのですがほぼ『外套』『検察官』『死せる魂』に的をしぼってあります。ゴーゴリを語ることによってナボコフの文学観がよくあらわれているのでそちらを目当てに読んでみるのもいいと思います。
たとえば以下のような箇所

フィクションが教育的であったり、教訓的であったり、民族的であったり、あるいは楓糖蜜やオリーブ油のように健康的であったりすることを要求する人々に対し、わたしは執念深い恨みを抱いている。

 まやかしの美しさをあらわすposhlustというロシア語の概念について論じた部分はこの本を読んでみようかという人なら間違いなく強い共感を覚えると思います。ゴーゴリや文学だけにとどまらず、人間の生み出すあらゆるものを評価するときに必ず役立つ概念だと思います。

何度でも言っておくが、poshlustはいかさまぶりが明らかでない場合、また、その真 似してみせる価値が芸術、思想ないし情緒の最高水準に属するものと、正当にも、 あるいは誤って見做される場合、とりわけ強烈であり有毒である。つまり日刊紙の文芸欄にかくもposhlustilyな書評が載る類の書物_ベストセラー、「感動的で深遠で美しい」小説類のことである。
 

 ゴーゴリは単なるファルスとして読まれたり、ある政治体制を風刺したものと断定されたりしがちですが、ナボコフはどちらも否定しています。ゴーゴリは創造的な読者のための作家であり、その作品は当時のロシアの読者のためだけのものではなく、より普遍的なものです。
『外套』で展開されるゴーゴリの世界についての箇所

まったき無益さの支配するこの世界、無益な卑下と無益な支配に満ち満ちたこの世 界にあって、情熱・欲望・創造的衝動の達しうる最高段階は一枚の新しい外套であ り、仕立て屋も客もこれを跪拝する。(中略)
わたしは多くの国を訪れたが、アカーキー・アカーキエヴィチの外套に似たなにもの かは、たまたま知り合ったあれこれの人々、ゴーゴリのことなぞ耳にしたこともない人々の熱烈な夢であった。

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ペレックのディストピア

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 もしもペレック作品をまだお読みでないなら、「人生使用法」を読むべきだと思います。本作は自伝的な作品なので、作者への関心を持っているほうが入っていきやすいです。
 ペレック作品を気に入った人のためにこの作品が待ちうけています。ペレックがこんなにも傷んだ心を抱えた人だったとは思わず、衝撃を受けました。解説によれば、ペレックは「『W』を書かなくても済むならトランプの一人占いをいつまでだってやっていられる」と発言したそうです。書かないわけにはいかない作品だったのです。少年時代に構想していた逆ユートピアの物語と、断片的であやふやな自伝とが交互に語られ、ひとつの像を結びます。それは六つの角を持つ星の形をしていると私は感じました。ユダヤ人であるということ、強制収容所のイメージについて、ペレックが自分を追及して、それらを克服しようともがいているのを始終感じました。
 子供の頃の思い出がないこと、これはペレック作品を特色付ける要素となり、形式や拘束を自ら設定するというウリポのゲーム性にペレックが吸い寄せられたことと強く関係しているのです。
 ヴァンクレールがペレックにとって特別な存在だということも言及されることですし、「人生使用法」で思いきり楽しんでから是非手に取ってください。

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