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酒井 裕さんのレビュー一覧

投稿者:酒井 裕

1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本生物学を創った人々

2000/10/13 00:15

生物に対する理解がいかにして科学の一つの分野として構築されてきたか。その道程とそれを担った人々

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 本書は,1974年発刊の「生物学を創った人々」(日本放送出版協会)に,第6章「二十世紀の生物学」を増補し,改訂したものである。生物学の歴史,すなわち生物の原理に関する科学的認識(超自然的な説明によらない生物の理解)の形成過程について,アリストテレスから始まり,現代生物学の発展に至るまで時代を追って取りまとめ,述べられている。
 古代ギリシャの時代,アリストテレスは,その生命論でひとつの二元論を提唱した。それまでの二元論とは異なり,生命現象のほとんど全部を物質の側に引き寄せ,経験的研究の視野の中に置いた。ここから生命論の研究の大いなる進展が始まることになる。以後,主として中世を通じて実際的な経験と,物に即した知識の拡大と蓄積が進行した。このような動きは必ずしもいわゆる学者と呼ばれる人々によってのみ担われたのではなく,職人や美術家の貢献が非常に大きいものがあった。さらに解剖学,生理学の発展によって,主としてヒトを含めた動物の構造と機能に関する理解は飛躍的に深まった。19世紀後半には,「偉大な」という形容詞がまことにふさわしい重要な意味を持つ研究が生物学の各分野で展開された。ダーウィンとメンデルに代表される生物学者達の優れた業績はこの時代に成し遂げられた。そして20世紀に至って分子生物学が驚くべき発展を示し,生命及び人間の起源と進化についての理解が画期的に深まったのである。これらの成果は,現在急速かつ多様な発展を遂げつつあるバイオテクノロジーの重要な理論的および技術的基盤を構成しているのである。
 著者は,それぞれの時代を代表する生物学者にまつわる物語という形式をとって,偉大な生物学者としての彼らの業績と同時にひとりの人間としての彼らをまことに人間くさい存在として活写しつつ生物学発展のはるかな道のりを紹介している。この過程は,生命の理解が物質を基盤として深まる過程であり,また生命現象の,特に合目的性に関する理解が超物質的な存在(たとえば神)によらずに深まる過程でもある,と著者は述べているが,筆者もまことにその通りであると強く感じる。このような基本的立場を貫徹することなくしては,現代生物学の発展は決してなかったであろうし,このような状況は,たとえ外見が変わることがあったとしても生物学ある限り今後も常に存在し続けるに違いない。そう考えると,生物学研究の多くの先人達の強い信念〔思想〕と明晰な洞察力に頭の下がる思いである。本書中,多くの個所で著者は次のように強調している。すなわち,これらの生物学の発展は,各時代の生物学者個々人の強い個性,思想,明晰な頭脳が,それぞれの時代の社会的状況(社会的要請)とうまくマッチした時にもたらされる。斬新な生物学研究が時代を刺激すると同時に時代の状況が斬新な研究の出現を促す。このことは,正にそのまま現在にも当てはまる。
 本書は,生物学の発展の歴史を概観するには最適の好著である。文章表現は全体としてよく練られていて読みやすく,また一人ひとりの生物学者の個人としての躍動が身近に感じられて面白い。難しい内容をこれほど読みやすく取りまとめた著者に敬意を表したい。読み進むと,表現が硬くて読むスピードが鈍る個所に何回か遭遇する。そういった個所は,著者が論理の厳密さを損なうことなく表現を分かりやすくするために苦闘した痕跡ではないかと筆者は想像している。
(C) ブックレビュー社 2000

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