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滝田洋一さんのレビュー一覧

投稿者:滝田洋一

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日本経済新聞2001/2/18朝刊

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 表題である「根拠なき熱狂(イラショナル・イグジュービュランス)」は、グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長の米国株バブルへの警句である。同議長が疑問符を投げかけたのは一九九六年十二月だった。実際の株価はそれからさらに三年余りも高騰し続けた。
 本書の原書は、二〇〇〇年三月に刊行された。その直後の昨年四月に、米店頭株式市場(ナスダック)のバブルは破裂した。日本に置き換えれば、バブルの頂点だった一九八九年十二月に、警鐘を鳴らしたようなものだ。
 エール大学の経済学部教授であり、ニューヨーク連銀の諮問委員も務める著者の勇気は称賛に値する。タイミングの良さが紙価を高め、ベストセラーに顔を出したが、一読すれば明らかなように際物ではない。
 インターネット時代の到来、ビジネス至上主義、ベビーブーマー世代による株式投資など、本書は株高を促した十二の要因を冷静に分析。投資家たちの自信過剰と楽観が熱狂を増幅するメカニズムを活写している。
 投資に成功した人が道徳的にも優れているとみなされるようになり、出遅れた人はほぞをかむ。株式投資は精神的な満足感をも約束してくれる。単なる経済学の枠組みを超えて、文化的、心理的な要因にまで踏み込んでバブルという社会現象を解き明かしていることも、本書の説得力を増している。
 効率的市場仮説に浸り、複雑な数式作りに淫(いん)するエコノミストたちは、バブルの渦中にあってしばしば熱狂をも合理化してしまう。彼らが見逃しているのは、「期待」のちょっとした変化によって右往左往する人間という頼りない存在である。設備投資や消費も「期待」の産物にほかならない。
 「期待」の下振れを恐れているからこそ、グリーンスパン議長は年明け早々からあわてて金融緩和に踏み切ったのではないか。バブル崩壊後、十年たっても、投資家心理の機微が分からない日本の政策当局者やエコノミストたちこそ、猛省して本書に学ぶがよい。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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