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先月(2017年8月)

堀 勝洋さんのレビュー一覧

投稿者:堀 勝洋

3 件中 1 件~ 3 件を表示

福祉の社会保障 新訂版

2000/12/01 21:16

社会保障を分かりやすく概説,英国福祉国家の生成発展の詳しい説明が特徴

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書は1991年に出版された同名の書を改訂したものであるが,「少子高齢化社会の福祉」と題する1章を新たに加えている。本書は,社会保障について,歴史的経緯を追いながら,分かりやすく概説している。
 本書の特徴は,第1に,救貧法に始まる英国の社会保障の歴史を詳細に述べていることである。R・オウエン,T・R・マルサス,K・マルクスらの社会思想と救貧法・社会保障とのかかわりについて,具体的な歴史的事実を交えながら述べている点に特色がある。C・ブース,B・S・ラウントリーらによる貧困調査についての記述も,他の社会保障の概説書と比べて詳細である。「福祉国家の生成と発展」と題する章では,W・H・ベヴァリッジによる福祉計画からM・サッチャーによる社会保障見直しにいたるまでの福祉国家の成り立ちをたどっている。この章では,福祉国家のもう一つの代表であるスウェーデンについても,現在の福祉国家への軌跡を述べている。
 本書の特徴の第2は,社会保障と経済とのかかわりについて,経済学の基礎的な理論を応用しながら説明していることである。この点も社会保障に関する類書に見られないものである。A・ピグーによる厚生経済学(本書では「福祉の経済学」としている)とL・ロビンズによる批判が取り上げられているほか,分配の公正,平等,所得再分配,選別主義・普遍主義などについて論じられている。また,労働経済学の理論を活用しながら社会保障について論じているところも,本書のユニークな点である。
 「少子高齢化社会の福祉」を論じた章,「日本の社会保障」を概説した章は,類書と比べて新鮮さはない。むしろ,我が国の社会保障の現状を知るには不十分であり,もっと詳しく知りたい読者は他の書で補う必要がある。
(C) ブッククレビュー社 2000

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福祉国家の危機とその未来をソーシャル・ポリシーの立場から明快に分析

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書は,我が国におけるソーシャル・ポリシー研究の第一人者である著者が,福祉国家及び我が国独自の「社会政策学」に関し,ここ十数年間に発表した論文4編に書き下ろしの論文1編を加えて出版したものである。したがって,本書は必ずしも体系的に論述されているとはいえないが,福祉国家と「社会政策学」という2つのテーマを相互に絡ませながら,明快かつ詳細な分析を加えている。今後我が国の福祉国家・福祉社会を論ずるに当たっては,必読の文献といえよう。
 第1章「労働経済から社会政策へ」では,我が国の「社会政策学」が大河内理論以来労働政策に限定されてきたとし,これが国際的にみて特異であることを,豊富な参考文献によって実証している。第2章「福祉国家の危機と繁栄の80年代」では,1970年代後半から80年代にかけての福祉国家の危機という新しい事態に対し,新保守主義,古典的な福祉国家批判論者,マルクス主義者及び社会民主主義者が,どのように批判しあるいは擁護したか,また実際に福祉国家がネオ・コーポラティズム及び新保守主義によってどのように再編されたかが詳細に論じられている。ただし,福祉国家の危機が叫ばれ見直された割には,財政支出をみると福祉国家が維持されたことを実証している。
 この時期を振り返り,危機管理システムとしての福祉国家は不変であったと結論づけている。第3章「福祉国家の未来」は本書のハイライトをなす部分であり,まず1990年代の福祉国家の再編の動向が英国,スウェーデン,米国,欧州連合(EU)などについて述べられる。次いで,福祉国家における資本制と家父長制との関係を分析するとともに,福祉国家がより深層において成長問題とフレキシビリティー問題に直面していることを解き明かす。
 ここで成長問題とは,福祉国家がその存続のために要請する成長の達成が困難となっている事態を指す。フレキシビリティー問題とは,福祉国家が生産及び消費の両面においてさまざまなフレキシビリティーの要求にこたえなければその存在が困難になるという事態を指す。さらには,今後福祉国家は英米モデルと欧州モデルへと収束する可能性と,前者が後者を駆逐する可能性をも示唆する。本章は,福祉国家論を超えて,現代社会論ないしは文明論ともいうべきレベルに達している。
 第4章「労働の未来と福祉国家」では,福祉国家の未来がどうなるかは,従来指摘されてきた高齢化よりも,労働の未来がどうなるかにかかっていることを指摘する。その上で,雇用労働,家事労働,ボランタリー労働の将来の方向について考察を加える。最後の第5章「転換期の社会政策研究」では,1973年の石油危機以後の四半世紀の「社会政策学」を総括し,第1章で指摘した労働政策の学としての性格が依然として残され,「社会政策学」の再編がなされなかったとしている。
(C) ブックレビュー社 2000

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日本の公的年金制度を積立方式に移行させる各種の提案を行うが,その実現性には疑問も

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 公的年金の必要性,日本の公的年金制度における世代間の公平,政府の年金純債務等について記述・分析・推計するとともに,いわゆる「大阪大学・専修大学年金予測モデル(OSUモデル)」について解説を行っているが,本書の中心的課題は,日本の公的年金制度を,現在の修正賦課方式から積立方式へ移行させる年金改革の提案にある。
 そのため いくつかの代替案を提示し,それぞれの案につき生涯保険料率,生涯年金受給率などを推計し,その損得を計算している。しかし,公的年金の本来の目的である国民の生活保障の面で,これらの案がどのような影響を及ぼすかなど,重要な視点が欠けている。
 また,世代間の負担と給付,積立方式への移行等に関し,様々な前提に基づいて計算しその計算から直ちに政策提言を導き出しているが,その前提や計算方法にかなり問題がある。さらに、政策決定の際に考慮すべき様々な判断基準抜きに,政策提言を行っている点も問題。特に,わが国の公的年金制度を完全積立方式に移行させるには,国民の負担の増加が必要だが,その合意の確保に関する実現可能性の検証が不十分である。本書は400ページ近い大著であり,決して読みやすくはない。

(C) ブックレビュー社 2000

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