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先月(2017年1月)

伊藤 洋一さんのレビュー一覧

投稿者:伊藤 洋一

6 件中 1 件~ 6 件を表示

経済思想史辞典

2000/11/08 12:15

経済思想史の網羅的辞典。欧米のみならず日本の経済思想も相当数とりあげている

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 経済学は,「正反対のことを言ってもお互いにノーベル賞を取れる唯一の学問」と言われる。それは社会科学の一つである経済学が一つの真実を求めるというより,複雑多岐な人間の活動の多様な行動の原理,その集積としての動向を見る学問であることからくる。そこにあるのは,一つの真実を求めても求めきれない複雑多岐な,そして時代の変化とともに変わる経済事象を巡る学問としての経済学の難しさである。
 本書は,その「まえがき」で言っているとおり「古典古代から現代までを対象にして,経済思想史を構成する主要項目を網羅的にとりあげた辞典」である。しかしやたらに大部のものとはせずに,「多くの人々に親しみが持てるように,あえて中規模の辞典」とした。特徴は,欧米のみならず日本の経済思想も相当数とりあげている点で,この点において類書と一線を画す。
 実際に読み進むと,丹念に日本人の経済学大家の名前と,その業績を拾っていることが分かり,常に欧米の経済学の動向にのみ関心を払っている向きには日本の経済思想の変遷を見る上で格好の本ではないだろうか。こういう筆者も,日本の経済学の思想史にはほとんど明るくなかったため,この本で教わることが多かった。
 全体的には,最新の研究成果を盛り込み,人物と事項約1200項目を取り上げており,かなり包括的な本に仕上がっている。また,経済思想の展開からみて主要な役割を担った国については,国ごとの経済思想を扱う項目を設けて通史的理解に役立つようにした。人物項目については,主要著作の原書名をあげ,進んだ知識への手がかりとなるよう配慮している。
 本書は,経済学,経済学史,社会・経済思想の研究者はむろんのこと,ビジネスマン,学生には手頃な辞典ではないだろうか。文章は簡潔で,全体的にも平易な解説が心がけられており,さらに詳しい情報が必要な場合には欧米で出版されている経済学や社会科学の大事典を参照できるようになっている。
(C) ブッククレビュー社 2000

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強い製造業はどうあるべきか?激変するマーケットに対応するIT実装のビジネスモデル

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 日本の製造業の危機が叫ばれて久しい。言語の壁でソフトウエアではなかなか世界標準を取れない中で,モノ作りの製造業への関心が強まっているのに,その製造業でアジアやアメリカに日本は追撃されているのではないか,というのが危機意識の背景にある。「日本の製造業のIT化は,アメリカに後れを取っている」といった認識だ。
 この本は,「そうした懸念は本当だろうか」という疑念で書かれ,それを踏まえて今後の日本の製造業のあり方について具体的な提言をしている。
 そもそも日本の製造業が強かったのは,日本型経営システムの特徴として企業内,企業間で情報共有がうまく行っていたからである。製造部門では,それぞれの構成員が情報を共有して製品の品質向上に貢献するとともに,開発部門と製造部門も協力して良い製品を作り出してきた。
 アメリカにはそういうシステムが最初から無かった。従業員の回転率(転職率)が高かったし,セクター間の協力体制が無かったからである。その代わり,アメリカは情報の共有化をITで進めた。その意味では,アメリカのIT戦略は日本に対する追撃戦略であった。ということは,ただアメリカのIT戦略を取り入れても,日本では機能しないことが分かる。
 この本の筆者も,「日本の製造業は,変化するマーケットへの強い対応力の仕組みを持っている」とまず自信を持つことを進めている。しかしこの強い対応力をいっそう進めるためには,「市場または顧客を中心に置いた製品開発や設計を重視したCPC(Collaborative Product Commerce)の仕組みを取り入れてITで武装し直さなければならない」と説く。つまり,市場と顧客を大事にするシステムの構築であり,そこでITが活用できるという見方である。
 客観的に見ても,日本の製造業は依然としてダントツの強さを持つと筆者は思う。日本には世界に冠たる中小企業も多い。アメリカで車の信頼度を調査すれば日本車がずらりと並ぶ。自信を失うにはまだ早い。その意味で筆者がこの本で提示しているさまざまな提案は,日本の製造業を一段と強くするために検討に値するものと考える。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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ITマネジメント

2000/12/26 15:20

IT語り,IT知らずな日本人に。最後は環境と人間がポイントと指摘

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 今の日本は「IT礼賛旋風」のただ中にある,と言える。日本経済の再生も,日本企業の蘇生も「IT」にこそ鍵があるかのような議論がまかり通っている。本当は不良債権など負の遺産処理の方が重要なのだが,ITという新しい要素を持ち込む方に障害が少ないと思う人が多いのだろう。森首相をはじめとして,日本中がIT狂想曲を奏でている最中だ。
 この本はIT先進国の米国から,ITが本当の意味で企業や社会の改革に成功するためには「条件」が数多くあり,それがクリアされないとITが持つ力を発揮できない事態が発生したことを指摘している。ITは一定の環境がそろって初めて力を出すのである。成功のための前提条件は,それぞれの会社で違う。意思決定のプロセス,従業員の情報共有へのインセンティブなど。普遍的な適用条件などというものはないのである。
 この本で最も読みごたえがあるのは,「第6章 人間中心の情報マネジメント」である。ITを利用するにしても,「人々がどのように情報を扱うのか」を考えることから始めるべきだと説く。観察できることは,1)情報は多様な意味を付加しながら,さまざまな方向へと進化している,2)従業員は簡単には情報を共有しない,3)ITシステムを変更しても企業の情報文化は変わらない−−の3点であり,これは「ITに対する一般的な考え方と異なる」と指摘する。
 「組織内の情報の大部分,そして人々が実際に関心を持つ情報の大部分はコンピューター上には存在しない」「マネージャーは,情報の三分の二をフェース・ツー・フェース,あるいは電話による会話で入手している」などの実体も明らかにされる。
 最近米国から,「シスコシステムズが従業員間のメール使用を控え,面と向かった意思疎通を推奨し,そのためのスペースをオフィス内に設置している」というニュースがあった。IT推進も結構だが,そのためには環境の整備と,日本人の姿勢・ニーズにあった進め方が必要とされるのである。この本はIT病の日本につける良い薬と言える。
(C) ブッククレビュー社 2000

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日経ビジネス2000/10/9

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 何となく「そうではないかな」と思っていることを、「そうなんだろうな」と確認できる本である。この本が言っていることは、「良い悪いではなく、男と女は違っている」し、その違いは「たまたま同じ地球に生きている異星人くらい大きい」ということ、そしてそれがいかに自然なことであるかという点だ。
 男と女が人類の歴史の中で異なった役割を与えられ、その権利義務関係において差別されてきたことは確かであり、その差を埋めようという動きには意義がある。しかし、男と女が本来持つ特質の違いを無視した議論を展開し、自縄自縛になっている面がなかったか。また、社会のあり方に無用の混乱を招いてはこなかったか。本来の違いを認めた上での議論の方が、方向を間違えなかったのではないのか。
 この本は「男と女はちがう。どちらが優れている、劣っているということではなく、ただちがう。両者に共通しているのは、種が同じということだけ」という書き出しで始まる。「女は縦列駐車が下手だ」「男は空間能力が優れている」「男は人の話を聞けない」「女は地図が読めない」「女は、混雑した部屋に一歩入っただけで、そこにいる全員の印象を言える」などなどの現象を指摘しながら、それらの男女の多くに特徴的な形質は遺伝子と、「胎児期に作られる脳の配線と、ホルモンの働き」によって左右されているとこの本は言う。
 複雑なのは、「脳の配線とホルモンの働き」が作り上げる「男脳・女脳」の度合いによって、男でも女に近い考え方、女でも男に近い嗜好を持つ女ができるという点。「生まれか育ちか」という疑問にも一定の答えを出している。「脳やホルモンが行動を左右する」という点で、生まれの方が重要だとの結論である。
 もっとも、男と女の違いを「何百万年も請け負ってきた役割の差」「男は狩りをし、女は木の実や果実を採った。男は守り、女は育てた」という事実からすべて導き出しすぎるきらいがある。では狩猟の期間が短く、農耕民族として発展してきた民族の男女はどうなのか、と問いたくなる。書き上げるのに3年かけ、移動距離は延べ40万kmに及び、専門家にインタビューしてセミナーを開催した割には、成果が十分に出ていない印象もある。
 しかし翻訳はこなれており、読みやすい。人間の行動原理をいつもとは違った角度から見るのもよい。ちなみにこの本の中にある「男脳・女脳」テストの筆者の結果は「5点」だった。
Copyright (c)1998-2000 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

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日経ビジネス2000/8/21

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 久しぶりに読み応えのある企業本だ。よくある鼻白むようなその企業の“すごさ”を強調したものではない。徹底してフォーカスしているのは「人」で、その「人」と「人」とのぶつかり合いの中で成長してきたソニーの軌跡が語られる。戦後生まれながら急拡大し、今や世界で最も知られる日本企業となったこの会社を育て、彩った人々に関する徹底したノンフィクションである。
 主役は言うまでもなく井深大、盛田昭夫、大賀典雄の各社長・会長経験者だが、そこにとどまらない。ソニーという日本の企業の中で浮沈した3人のアメリカ人、ハーベイ・シャイン、ウォルター・イエトニコフ、マイケル・シュルホフも取り上げる。ハーベイ・シャインは「ソニー初のアメリカ人」として、マイケル・シュルホフは「ソニー一家の新しい顔」として1章を与えられている。驚くことにマイケル・シュルホフには大賀前会長の後を襲う社長の目があったという。日本ではあまり知られていないことである。
 そうした経緯にもかかわらず、日本人の中でも14人の先輩幹部を差し置いて出井伸之現会長がなぜ大賀前会長の後の社長に選ばれたのかに関する最後の章はこの本でも圧巻の部分だ。筆者は盛田さんがよく「経営者は容貌魁偉がいい」と言っていたのを思い出すが、大賀社長(当時)は「燦々」を社長の条件と考えたという。経営者は「燦」の意味する「光輝く」存在でなければならない、出井会長にはそれがあったというのだ。しかし当時社内の大部分の人は度肝を抜かれたらしい。この辺のエピソードが面白い。
 この本の特徴の1つは、日本企業に関する本ながら翻訳本だという点だ。著者は『三島由紀夫  ある評伝』や大江健三郎など日本の現代作家の小説や翻訳本が多数あるジョン・ネイスン。手法はアメリカ的な「徹底した取材、インタビュー」である。
 そしてそこから井深、盛田、大賀の3経営者の今まで表に出なかった事実(プライベートライフ)がいくつも明らかになっている。3人の強さ・すごさばかりでなく、弱みや、明らかにしたくないであろう真実まで。彼らの近くにいた人たちの膨大な証言が整理される中で、それぞれの主役の人間的なつながりが赤裸々に語られる。
 日本語翻訳本の題名となった「(デジタル・)ドリーム・キッズ」は、ソニーの製品にも刻印されているこの会社のいわば目標である。この会社がいつまでも「燦々たる」会社でいられるかは、この目標を今後何世代にもわたって持ち続けられるかどうかにかかっていると言える。
Copyright (c)1998-2000 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

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日経ビジネス2000/6/19

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 読者一人ひとりが、「自分がその時に何をしていたか」を確実に思い起こせる近過去に関する回想録である。著者は1年ほど前まで大蔵省財務官で、最前線の指揮官だった。
 全16章の大部分は、著者の大蔵省国際金融局長から財務官に至る5年間の超円高、日本の金融システム危機、アジアやロシアの通貨危機、ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)危機などに関する回想である。「超円高是正」では市場との駆け引きでの勝利を、「アジア通貨基金構想」ではアメリカとの国際通貨外交での日本の敗北が語られる。
 この本の最大の問題提起は、情報と資金移動の急速なサイバー化を伴う金融市場のグローバル化と、それが内包するに至った危機と今後いかに向き合い、どう対処するのかという視点だ。市場のグローバル化に対して各国の政治や国家機関はナショナルだ。国際通貨基金(IMF)があるが、最近の危機に対する対応能力への信頼は低い。世界には金融市場が抱えるに至った新しい不安定要因への危機管理システムや、そのシステムを組むに当たっての基本的なコンセンサスができていない。著者はその構築の必要性を説く。
 この本を読んでいてなぜかルネサンス期の賢人エラスムスの「痴愚神礼賛」を思い出した。彼は、この世は神というよりは痴愚神に支配されているとしか思えないが、だからこそ世の中はうまくいくとの逆説を述べる。市場も愚行を繰り返す。人類の歴史で繰り返し発生するバブルを見るにつけ、市場とは「痴愚神」が跳梁跋扈する場と言ってみたくもなる。しかし、「痴愚神」の行為もシステムの崩壊を招かねば、経済にとって良薬のケースが実は多い。
 著者はこの本の中で繰り返し「市場原理主義」への批判を述べる。「複数の均衡が存在し、均衡の近傍をはずれると極めて不安定になる傾向のあるサイバー資本主義」の下では、新古典派的安定は達成し得ないと。確かに監視システムは必要だ。しかしその一方であえて言うならば「政府(政策)も間違う」。「市場の誤謬」と「政府(政策)の誤謬」の回復に必要なコストとタイムスパン両面での非対称性は重要である。市場は間違いを正すに逡巡することはない。
 確認しておくが、市場の知恵は生かさねばならない。問題はその先なのだ。サイバー化する市場で最も難渋なのは市場心理との格闘だろう。「Mr.Yen」もグリーンスパン米連邦準備理事会議長もその制御にある程度成功したゆえに時に評価される。しかしそれはシステムではない。著者にもまだ解答はない。
Copyright (c)1998-2000 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

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