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詫摩 雅子さんのレビュー一覧

投稿者:詫摩 雅子

4 件中 1 件~ 4 件を表示

アラビアンナイト風に料理された,51の不思議をめぐる科学的思考の遊び

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 書名や短い宣伝文句から想像した内容と実際の内容とに,あまりに違いがあったので虚を突かれた思いがした。もちろん書名や宣伝にはなんの偽りもなく,勝手にふくらませた想像が間違いだ。この本でアラビアンナイト風の語り口で楽しく紹介されているのは,まさに“科学”──科学の王道である。
 なにが書いてあるかよりも,なにを書いていないかを紹介した方が,中身をよく伝えられるかも知れない。著者は一般向けの総合科学雑誌の編集長で,この本の目的は科学知識の普及・啓蒙とある。51の科学の話題を王様や王女様,魔人などが語り合うという趣向だ。
 私が予想した51の話題は,こんな具合だった。まずクローンやヒトゲノムの話は外せないだろう。遺伝子組み換え作物,人工臓器などもあるはずだ。バイオ系以外では,インターネットがらみの高速通信や新素材,宇宙開発,ロボットなどといったところか──。この予想は気持ちいいくらい見事に外れた。普段,「科学と科学技術は違う」といっているくせに,科学の話題を紹介した本と聞くと,先端技術の解説書だと思ってしまう,この浅薄さよ。
 51のすべては技術とは無縁で,ほとんどは広い意味での数学や論理学,哲学だ。蔵書のすべての文字を長方形の縦横比に置き換えたり,進めば進むほど残りの道のりは長くなる話,満室なのに客が何人きても対応できるホテルなど,にわかに納得できない話題が次々と登場する。自由に思考を飛ばし,理詰めで物事を追究する──これが著者の住むフランスでイメージされる科学なのかと思うとうらやましい。
 この本で,もうひとつ興味深いのは,説明の少なさだ。各話の最後で解説をするシャハラザードは,夜明けがくると口を閉じてしまうし,物語中の魔人や宮廷科学者の説明も多くは中途半端。読者が自分で考え,試し,納得するしかない。「科学知識の普及・啓蒙」を狙った本には,説明過剰気味の本が少なくない。それに慣れていると,この本にはとまどうだろう。けれども,最後の第51夜までたどりつくころには,小気味よさを感じるようになっているに違いない。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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1999年にネイチャー誌が選んだ話題の選集。あらゆる分野を取り上げたバランスのよさは見事

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 この本の性格を知るには,Nature誌を知るのが一番いい。科学者の必読書で,あこがれの学術論文誌であることは有名だが,Nature誌には実はもう1つの顔がある──学会が発行する学会誌ではなく,民間企業が発行している商業週刊誌なのだ。商業誌としての顔を最も色濃く反映しているのが,この本のもととなった「News & Views」の欄だ。
 このコラムでは,その号の目玉となる論文に関連して,別の科学者がその研究の背景や周辺事情,その成果の位置づけなどを書いている。科学者といえども,違う分野となるとあまり詳しくないというのが実情だ。そうした,他分野の人のガイドを務めているのがNews & Viewsと言えるだろう。メーンがストイックな学術論文であるのに対し,この欄には夢も書かれているし,書き手の個人的な体験が書かれていることもある。ただし,あくまでも成果をもとにした内容であって,たとえば計画段階での誇大宣伝をしているわけではない。この点は重要だろう。
 2冊目になる本書では1999年のNews & Viewをまとめてある。1つの項目で5〜8ページほど。そのトピックスについて詳しく知りたい人には物足りないかもしれないが,この年にどういう研究成果が話題になったのかが,一目でわかる仕組みだ。ヒトの22番染色体の解読終了など,新聞でも大きく取り上げられた話題もあれば,「ハエはどうやって飛ぶか」「アリの菜園を守る抗生物質」といった話題もある。最先端のハイテクも面白いが,自然界の謎も楽しい。好奇心の強い人にはたまらない1冊だろう。
 この種の本は,もととなる素材があるので,手抜きしても本の体裁にはなる。本書は翻訳の読みやすさ,脚注の入れ方などに,作り手の意気込みや良心を感じる。難を言えば,紙が上質すぎる点か。白すぎて明るいところで読むと目が痛いし,重量がかさむ。3巻では,ぜひ改善していただきたい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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遺伝子ですべてが決まっているわけではない。過熱気味の遺伝子ブームがもたらす新たな優生学に警鐘を鳴らす

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 ヒトの全遺伝情報を解読する「ヒトゲノム計画」が終わろうとしている。ビジネスに役立つとわかったからか,“遺伝子ブーム”が過熱気味だ。このブームの中で気になるのが,「遺伝情報がわかればその人の何々がわかる」といった表現だ。この本の著者たちが強く反発しているのもこの点だ。個人や団体の実名をあげながらの批判は,著者たちの危機感の表れだろう。
 遺伝子ですべてがわかるといった考え方は,科学的にはまったく正しくない。ガンになる,好奇心が強いなどといったことが遺伝子からわかるなどとはとんでもない誤解だ。本書では,遺伝学の基礎に立ち戻りながら,実例を交えつつ,まずこの点を明確に示す。
 著者たちの説明を簡単に言うと,病気や個人の能力などに遺伝子がかかわっていることは否定しないが,遺伝子だけですべてが決まってはいないということだ。ぜいぜいガンになりやすいと確率的なことを言える程度だ。
 著者たちのもう1つの主張であり,本書執筆の動機になっているのは,遺伝子決定論が新しい優生学につながっているという点だ。病気になりやすいからといって,差別していいはずがない。ここでの“差別”には,ありとあらゆることを含み,まだ生まれていない子供も念頭に置いている。たとえば,ある人気女性キャスターの話が載っている。彼女は,先天的に指が欠けていて,娘もそうだった。2人目を身ごもったときに,同様の子供が生まれる可能性もあるのにまた妊娠するなんて無責任だとメディアを通じて非難された。指が欠損していても社会に貢献できることは,女性キャスター自身が証明済みだ。それにもかかわらず,こういう批判が起きたことに,著者たちは激しい怒りと困惑を覚えている。
 原著は1990年に書かれている。ヒトゲノム計画が本格的に始まった年だ。莫大な公費を使うプロジェクトだったため,米国ではその“効能”が盛んに宣伝されたらしい。注意深く読めば,ほとんどの科学者は必ずしも遺伝子決定論的なことは言っていない。けれども,その発言や報道のされ方は一般大衆をミスリードしたし,それはそのまま看過されてしまったようだ。
 日本では米国ほど遺伝子決定論的な考えは浸透していない。むしろ,「がんばれば誰でも必ずできる」「風邪を引くのは気持ちがたるんでいるせいだ」といった妙な精神論の方がまだ根強いように思う。しかし,昨今の遺伝子ブームで少し風向きが変わりそうな気配もある。ある雑誌が遺伝子で運命が決まるというような表現の特集を組んでいた(占いに近い,他愛のない内容だった)。遺伝子が,日本でも誤解され始めていると感じている。
 本書に注文を付けるとしたら,遺伝子を扱うすべての研究者や企業が遺伝子万能主義者であるかのように,読者をミスリードしそうな点だ。研究者の大半は,生命の謎を解く手段として遺伝子の研究をしている。たいていの生命科学者は,生命の複雑さを嫌というほどよく知っており,遺伝子だけで決まるほど単純ではないということを理解している。この点は,付け加えておきたい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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エイズに関するあらゆる情報を1冊にまとめた本。海外の事情も含め,最新データが豊富

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 162ページと手頃な厚さながら,およそエイズに関するすべてのテーマを網羅してあるのは見事。グラフや表を多用して,海外事情も含めた最新データが載っているのも嬉しい。巻末には治療の拠点病院や電話相談のリストなどもある。一般向けの解説書ではあるが,専門家も資料として手元に置いておきたがるだろう。
 日本では一時の騒ぎがおさまったものの,新規の感染者は増えつつある。エイズや原因ウイルスのHIVがマスコミにそれほど登場しなくなった今こそ,本書のような一般向けの本が必要とされるだろう。
 エイズに関しては,無防備なセックスへの警告を重視するあまり,普通のセックスでは感染の危険性は1%程度であることが伝えられないなど,真意は理解できるが,何か“隠している”と感じさせる部分もあった。本書では,そうした点にもきちんと触れているのに好感が持てる。エイズに関する本ではあるが,薬害事件や最初の感染者にまつわるエピソードなど,日本の社会も透けて見えてくる。
(C) ブックレビュー社 2000

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