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大隈 暉さんのレビュー一覧

投稿者:大隈 暉

4 件中 1 件~ 4 件を表示

「豊かさ」「貧しさ」はGNPだけでは計れない。人間中心の開発経済学を構築しようと試みた意欲的啓蒙書

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「石垣島のお婆さんが,こう呟いていたことを思い出す。『国は私たちが貧しいからといって,空港をつくるというが,私たちが貧しいってだれが決めたんだい。私たちはそんなことを思ってもいないのに』」(本書210ページから)。
 著者の問題提起は,ここに凝縮される。これまでの発展はGNPを「豊かさ」の指標とし,開発の視点もそこに置かれた。結果,格差は拡大し貧困は増大した。開発と発展には,その恩恵が人々に浸透する「裾野の広い成長」と,後世に引き継げる「持続的発展」の理念を忘れてはならない。今日必要なのは人間中心の「内発的発展」(自然環境と調和,文化遺産の継承,人間と社会の創造性重視)なのである。本書は,従来の開発経済学を人間の視点に戻すことを試みた意欲作といえる。
 この開発経済学は1990年頃を境に変化を遂げた。「人間の開発」が新しいパラダイムになる。ガンジー,マザー・テレサ,そしてノーベル経済学賞のアマルティア・センの思想や理念の影響が大きいという。奇しくもインドに起源しアジアから発する。著者は21世紀の社会にあって,人間中心の開発経済学の再構築を図ろうとする。「グローバル化と地域主義化の現実に近い経済,社会,文化の総合的学問体系が発展/開発問題の解明に必要」であり,これは「豊かさ・貧しさの概念転換」を促す。「発展/開発問題をマクロ,メゾ(地域・社会),ミクロそれぞれのレベルの複合と考え,より現実に近い形で説明し,また再構成しようとする試みの一歩」という。「人間のための経済学」の原点が,ここにある。
 本書は,1990年代に発表した論考の集大成である。学問のための議論に終わっていないのは著者の多彩な國際経験によるものであろう。経済学の今日的状況を「開発と貧困」の視点から説くエネルギーは知的興奮を誘う。質の高い啓蒙の名著であり,世界の人々に向けた翻訳での出版を期待したい1冊でもある。 
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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日本の「みなと」(港湾)の現状と港湾に対する公共投資の評価手法を解説した手引書

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書は日本の港湾の現状と,投資評価の手法を解説した手引書。平易な説明に配慮し,見やすい表やイラストが多い。題名を「みなと」としたこと自体に狙いが読み取れる。第1部「みなとの役割」と第2部「港湾投資評価」で構成され,港湾に関する一通りの知識が得られるだけでなく,公共投資のあり方について「考える材料」を提供してくれる。時宜を得た出版である。
 日本の「みなと」は実に1088カ所(漁港を除く)。重量ベースで国内貨物の42%,国際貨物の99%が「みなと」を利用する。外国貿易に限れば東京,伊勢,大阪の三大港湾地域だけで輸出貨物の66%,輸入貨物の47%を占め,コンテナ輸送では外貿貨物の84%が三地域に集中する。他方,世界の海運は超大型船による大量海上コンテナ輸送の幹線航路方式に集約されつつある。寄港には深度15m以上のバースが必要。対応できる日本の施設はわずかに7つ。このままでは世界の幹線は日本を通過する。國際ハブ港として日本はハード,ソフトの両面でまだアジアの主要港に追いつかないと指摘する。
 「国土の均衡ある発展」がもたらした総花投資的「みなと」,他方で,國際ハブ港湾の欠如。今後の港湾投資をいかにすべきか。第1部はこんな疑問を提起してくれる。第2部は「港湾投資の評価に関するガイドライン1999」の一般向け解説と云う。著者の熱心な説明にもかかわらず,右肩上りの経済を前提とする評価手法では,金利や減価償却概念に乏しく,採算意識もやや希薄に思われる。
 公共事業に対する国民意識の厳しい今日,港湾投資評価の考え方はダム・道路・空港に共通する。評価手法が試行段階にあるにしても,せめて「みなと」の投資評価試算表や実例の一つでも示してあれば,説得力はさらに高まったであろう。そして,あとがきに言うとおり第1部・第2部で「(解説の)トーンが異なる」ことに気付く。平易を狙うのであれば,それに徹してよかったのではないか。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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世界は脱クルマ社会へ

2001/01/16 18:15

20世紀が生んだ文明の利器クルマ…その排ガスが大気汚染の最大原因。21世紀は「脱クルマ社会」になる

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 今や先進国,発展途上国を問わず,クルマは多くの都市で大気汚染物質の最大の排出源になった。本書はクルマという20世紀最大の文明の利器と共に生きる人間社会が,その弊害からいかに地球環境を守るかという自己格闘の記録であり,21世紀の進路を示すナビゲーターである。
 それは,人間が生み出した成長社会の大量消費に対し本質的な抑制の必要性を強く問う。環境保全,環境規制とは何かという「考え方の基本」を投げ掛ける。アメリカ,ドイツ,シンガポールなど足で稼いだ豊富な先進実例をもとに,根気強くひとびとの苦闘の過程を解説し説得する。文章は声高でなく静的ですらある。その分だけ読者に一段の真実味を与える。
 著者は,クルマから出る二酸化炭素や窒素酸化物などの排出ガスを大幅に削減しない限り地球環境の保全はできない,「世界は脱クルマ社会へ」向かわざるを得ないという。この指摘は極めて重い。各国の真剣な削減努力に比較して,日本はむしろクルマ利用の助長を推進してきた。
 1992年の「地球環境サミット」を経て,97年には温室効果ガス削減の数値目標を定めた画期的な「京都議定書」が締結された。社会の認識は大きく変化し始めている。だが,日本の行動は遅々として進まない。排出ガス量を規定した水準まで戻すことは不可能でないかと著者は懸念する。いま求められているのは行動の後進国から脱皮することである。
 本書は数カ月前に発刊された。その直後ハーグ環境会議は決裂している。時宜を得たタイミングが本書の意義と共感を倍化させる。文章は平易でわかりやすく具体的である。国民が共有すべき環境に対する基本認識と世界の流れを理解する上で是非一読を勧めたい。懇切丁寧な啓蒙書だけに,機会を見て,切り札とも云われる燃料電池(Fuel Cell)の開発と展望にも言及し,付随する環境保全と金融問題の一項を追加してもらえれば説得力の重みはさらに増大すると思われる。
(C) ブッククレビュー社 2000

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従来型公共投資手法に代わるPFIの日本への導入を目指した「解説と提言」の書

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書は,英国における新しい社会資本整備方式PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)の考え方と発展の経緯を金融マンの視点から解説し,この金融手法の日本への導入と課題について提言する。その原点は事業計画の経済合理性を最大限追求するプロジェクト・ファイナンスにあるとする。それは,「社会資本整備事業を行う上での効率性を測るコンセプトとして・・・Value for Money(VFM)の最大化,即ち財政資金を国民のために最大限有効活用する」ことが基本になる。英国での多くの実例を引用しPFIのプラス効果を強調しつつ,前提となる基本条件を鋭く指摘した内容は実務的示唆に富む。
 著者はロンドン・香港経験者を含む金融機関グループのスタッフからなる共同執筆陣。実務に通暁した解説は平易,しかも具体的で説得力がある。特に,第一章「PFIとプロジェクト・ファイナンス」,第二章「英国PFIの発展過程およびその特徴」は官民関係者の理解と認識を共通にする上で有益であろう。第五章以下のケーススタディー・シミュレーションも実務家にとって参考になる。
 今日,PFIは,政府,地方自治体の最大関心事の一つであり,その導入が積極的に検討されている。しかし,官民のリスク分担明確化・明文化の徹底が不可欠である。最近,国内初のPFIが千葉県の廃棄物処理施設「かずさクリーンシステム」に適用されることが報道された(7月24日付日経新聞)。大きな前進である。ただ,著者の指摘通り,日本でのプロジェクト・ファイナンス適用例は少なく経験者も多くない。実績を持つ弁護士・会計士事務所はさらに少ない。実務者の育成と開発ソフトの確立が急務。その意味で本書はガイドブックとしても有意義である。
 なお,本文ではあまり触れられなかった資金調達手法,たとえば米国にある産業免税債(IR BOND)などの証券化手法が具体化すれば,市場の評価が直接反映され,公共事業に対する国民の積極的関心がさらに拡大されよう。
(C) ブックレビュー社 2000

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