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田中 一光さんのレビュー一覧

投稿者:田中 一光

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米国はドルの価値を維持する努力を怠らない。3極通貨化の流れ,ドル化の動きに国と市場はどう関わるのか

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 横軸に時系列を,縦軸に汎地球的な地域的広がりを置いて,現代に至る通貨の国際化と通貨主権の変転ぶりを鳥瞰(ふかん)している。明治維新前後のころ既に,英仏米3国間で統一通貨実現の試みが討議されていた,領土内通貨が経済のグローバル化に寄りそうようにして流通範囲を地理的に拡大してゆくなどの動きを鮮やかに次々と目の前に展開しいる。そして時系列の右端,現在の姿は米ドルを覇権の頂点においたピラミッド型に各通貨が群れるビジュアルな姿を提示する。
 一方,この原著がいつ出版されたものかの表示がなく(原著者前書きにも不思議なことに日付が落ちている),辛うじて Copyright 1998 by Cornell Univ.からユーロ発足(1999.1)前と推測して読むことになる。
 ただ,ユーロについては“発足も未だなので言及しきれないが将来への疑問は多い”としてこの折角のビジュアルな通貨ピラミッドには,ぼけた存在としてしか登場してこないのは残念であった。我々読者の時系列上は既に発足から丸2年が経過し,2002年には現物ユーロ紙貨幣への切り替えが実行される所まで事態は進展している。訳出がやや遅れたと見られる点残念だが,原著者による現物ユーロを踏まえた再考察を大いに期待して待ちたいものだ。
 ピラミッド構造の中層,基底部には,ドル化する国,目指す国,また,対ドル・ペッグ(自国通貨をドルとリンクさせる)する国々のなかには,カレンシー・ボード制(途上国などの中央銀行が為替相場や物価を安定させるために,自国通貨を主要国通貨と一定の比率で無制限に交換することを約束する制度)を採用している国々もありと,対応が様々で,また流動的である。そして全世界流通通貨の1/4−1/3が発行国以外の場所に存在しているともいう。さらに最適通貨圏構想,資本移動仮説などに触れながら,単なる市場主義の限界を示し何より政府による強い政治意思を抜きにした,経済的判断からだけの,国際金融改革は絵空事に近いとしている。通貨は政治という主張でもあろう。
 米ドルのグローバル化(貿易通貨の半分,国際金融資産の3分の1以上が米ドル),しかもこのトレンドは増大中で,米ドルへの需要の強さはまだまだ持続力に溢れている。この需要は,政治的安定,インフレ抑制実績,金融市場の効率性・開放性・流動性に加えて取り引きネットワークが世界中に広がっていることに支えられている。そしてこの地位を維持する強い政治意思という供給サイドの条件を前提に,米ドルの衰退はいずれはあるとしても遠い先のこととしている。日本円については需要サイドばかりが論議されるがそもそも政治的意思が伝わってこないと冷たい。
 前書き冒頭いきなりPESとでも多分あったもの(スペイン・ペセタ)をメキシカン・ペソと誤訳してあるのはご愛敬としても,この手の誤訳は興を削ぐ。また,序章第1章にかけ,どういう訳か翻訳が硬く,ここらは飛ばして第2章領土内通貨から時系列を追った方が読みやすい。その上で原著者のいう地理学なるものに尚興味を感じられたら冒頭に戻ることをお勧めいたしたい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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