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  3. 鷲巣義明さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年8月)

鷲巣義明さんのレビュー一覧

投稿者:鷲巣義明

27 件中 1 件~ 15 件を表示

生誕30周年記念人造人間キカイダー大全集

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 70年代のアニメ&特撮TV番組を研究解析した「大全」シリーズが、ついに石ノ森章太郎原作のロボット物『人造人間キカイダー』(72年)と『人造人間キカイダー01』(73年)を取り上げることになった。今年で製作30周年を迎えるが、キカイダー熱はますます盛んで、フィギュアやトレーデイング・カードの発売、TVアニメの放送等によって、新たなファンを生み出し続けている。

 故石ノ森氏のロボット漫画には、ヒーロー物としての爽快感が少ないところが魅力である。『〜キカイダー』の他にも、『サイボーグ009』『仮面ライダー』『ロボット刑事』が代表作として知られているが、いずれも、人間社会に拒絶された孤独な存在として描かれている。とりわけ童話の「ピノキオ」を隠喩した『〜キカイダー』には、良心回路(善悪を区別する回路)が不完全のため、苦しむことになる。その不完全さを表現しているのが、キカイダーの左右半々のボディなのだ。

 本書には『〜キカイダー』が生まれるまでの過程が、プロデューサー平山亨氏のインタビューで明らかにされる。当初『0ダイバー』の題名で一度はGOサインが出かけたものの、スポンサー側が、視聴率0パーセントに跳び込む(笑)ようなニュアンスが感じられるとのことでキャンセルされたり、キカイダーを始め、ハカイダーやビジンダーのダーに韻を踏んだネーミングが生まれたいきさつが語られている。定番のキャラクター・ファイルや全話エピソード紹介、そしてダーク破壊部隊が送り出した全アンドロイドの能力を、デザイン画や写真と共に掲載している。

 しかも、キカイダー以上に人気を得ているハカイダーを、シリーズからスピンオフさせたTVシリーズの企画があったことや、故・石ノ森氏が描いた新デザイン画まで掲載されており、マニアにとっては実に感涙物である。

 またキカイダーに変身するジロー役を演じた伴大介氏のインタビュー取材で、彼が『A.I.』との共通点をあげている部分がなかなかオモシロイ。案外、『〜キカイダー』の世界観は、普遍的な要素が強いのだろう。

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円谷THECOMPLETE円谷プロ/円谷映像作品集成

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 「円谷プロダクション」といえば、東宝の特殊技術スタッフを育て上げてきた円谷英二が、企画から脚本、演出、美術、特撮の全パートを担れば、という思いで、1963年に設立した会社である。

 本書をたぐれば、「円谷プロ」の関与作品が一目瞭然。ウルトラ・シリーズはもちろんのこと、どちらかといえば、ウルトラ以外のマニア好みの特撮TVシリーズ『トリプルファイター』(73)や『ミラーファイト』(74)、『SFドラマ/猿の軍団』(74)、
『スターウルフ』(78)等を作りつつ、実写特撮とアニメを融合させた『恐竜探険隊ボーンフリー』(76)もある。ヘェーッ、こんなのも作っていたんだって思うのが、テレビ朝日の土曜ワイド劇場の夏枠で放送していた、『怪奇!巨大蜘蛛の館』(78)や『呪いのマネキン人形』(84・監督は『遊戯』シリーズの村川透)だとか、日本テレビの火曜サスペンス劇場の夏枠で放送した『乱れからくり ねじ屋敷連続殺人事件』(82・監督は『吸血鬼ゴケミドロ』の佐藤肇)や『可愛い悪魔』(82・監督は大林宣彦)だとか……とにかく世間から忘れ去られたような作品まで完璧にフォローしている。

 しかも「円谷プロダクション」の制作部門から、90年に独立した形になった「円谷映像」の作品まで紹介。立ち上げの劇場用作品になった『ウルトラQザ・ムービー/星の伝説』(89)にはじまり、駄作映画『超高層ハンティング』(91)を作ったかと思え
ば、オカルト・アクション映画の快作『エコエコアザラク』(95)、そしてオカルトTVシリーズの秀作『エコエコアザラク』(97)をはじめとする深夜ドラマ、深夜アニメ、オリジナル・ビデオ等を多数製作してきた。

 これだけ作品が揃うと、一作一作深く掘り下げることは到底できないものの、主要スタッフ、作品概要、放映リストなどを網羅することで、円谷全作品を総覧できるガイドブックとしては大変貴重である。円谷英二生誕百年の年に、今まで映像文化の影に埋もれてきた数多くの円谷作品を振り返ることができる本が出版されたのは嬉しい限りだ。

 ゲスト・インタビューとして、『ウルトラQ』(66)の人間ドラマに魅了された漫画家・ゆうきまさみ、『マイティジャック』(68)をリメイクしたいと語る監督・庵野秀明、『怪奇大作戦』に恐怖した監督・飯田譲治(68)が、円谷作品の思い出を語って
おり、それぞれのこだわりが感じられて面白い。

(鷲巣義明・映画文筆家)

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紙の本不死蝶岸田森

2001/02/07 18:55

資料的価値も充分ある。岸田森ファンなら、必携の書

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 クールで細面の風貌を生かし、映画・TV・舞台だけでなく、演出や脚本をも手掛けてきた希有な俳優・岸田森(きしだ・しん)。

 1983年に43歳の若さで亡くなった彼の業績は、現在も多くのファンの間で語り継がれている。おそらく彼の魅力をいち早く感じ取り、讃えてきたのは、『呪いの館/血を吸う眼』『血を吸う薔薇』等の怪奇映画、『怪奇大作戦』『帰ってきたウルトラマン』『ファイヤーマン』等の特撮TVドラマを見続けてきた、当時の子供たちであろう。

 彼らが大人になり、岡本喜八監督の作品やTV『探偵物語』等の出演作品を再放送やビデオソフトで再確認するようになり、更に多くのファンを獲得していった。死して名を残し、今もって熱きファンの支持を得るカリスマ俳優の素顔を知ることができるのが本書である。


 第1章「発言集・エッセイ・脚本」は、岸田森自ら執筆した原稿や雑誌で語ったインタビュー記事を転載することで、作品を見るだけでは知ることができない素顔を知ることができる。

 特に蝶に魅せられた理由と自らの演技論がリンクしていることが分かるエッセイが面白い。『帰ってきたウルトラマン』第35話「残酷!光怪獣プリズ魔」の脚本も収録。


 第2章「回想録(インタビュー)」では、交流のあった岡本喜八監督、弟のように可愛がってもらった俳優・水谷豊、血縁ながら常に客観的に見守り続けた女優・岸田今日子らが語るそれぞれの思い出が興味深い。


 そして第3章「別れの言葉」では、告別式における……若山富三郎、小池朝雄、そして葬儀委員長を務めた勝新太郎の弔辞がそのまま掲載されている。それぞれの弔辞を読むと、いかに岸田森が、俳優仲間に慕われ、才能に溢れ、尊敬されていたのかが分かる(ファンならば、涙なくして読めないくらいだ)というものだ。


 もちろん、第4章「資料室」には、彼の業績がリストになっていて、資料的価値も充分ある。岸田森ファンなら、必携の書であるのは間違いない。

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マジンガー・バイブル/魔神全書

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 1972年に誕生した『マジンガーZ』に始まり、『グレートマジンガー』(74)、その姉妹編ともいうべき『UFOロボ/グレンダイザー』(75)、神話ベースの『ゴッドマジンガー』(84)、「東映まんがまつり」等で上映された数々の劇場版、最新作の『マジンカイザー』等のオリジナル・ビデオ作品に至るまで、マジンガーに関わることなら全てを網羅した資料的価値絶大の究極本。

 全話エピソードのストーリー紹介はもちろんのこと、主要キャラや機械獣等のデザイン画(デザイナーまで明記)を現存する資料をできる限り掲載し、しかも原作版漫画とTVシリーズを準拠としたコミカライズ漫画との比較、更に放送当時に「TVマガジン」誌に掲載されたイラスト・グラビア、オモチャ、レコード、スタッフ・インタビュー等も紹介。

 ここまで一挙に掲載できたのも、原作者である永井豪の関連会社……ダイナミックプロ、ダイナミック企画、不知火プロが監修及びライターをしているから。とりわけ貴重なのが、79年前後に企画されていたらしい映画版『ゴッドマジンガー』(後の同名TVシリーズとは異なる企画とデザインの物)の企画とラフデザインが掲載され、実際に海外との合作が検討されていたらしいマニア垂涎の記事(実に惜しい!!)。

 それと興味深いのが、元ダイナミック企画の国際室に所属していたイタリア人フェデリコ・ルッピのレポートだ。海外でいかに『マジンガーZ』をはじめとするダイナミックプロ作品が人気を博していったのかが、実に面白く書いてある。70年代末、『〜グレンダイザー』がヨーロッパで記録的なTV視聴率を稼ぎ、数多くのマーチャンダイズが作られた。夢と希望を抱いて初来日したルッピが、憧れを抱いていたダイナミック・プロの本社ビルを見て愕然としたという。プールやゴルフ場付きの高層ビルを想像していたにもかかわらず、実際はツタに覆われた小さな病院を思わせる小型のビルだったという。また韓国では、Zのアニメが韓国製として放送され人気を得、意味もわからず日本語のZの歌をカラオケで歌ったり、原作者と名乗る韓国人がいて訴訟問題まで発展したらしい。

 でもダイナミックプロにとって、自社作品が世界で大人気を得ていることを知ったのは、だいぶ後になってからだという。世界に誇るマジンガー・シリーズは、やはり人気もとてつもなく凄かったということなのだ。

(鷲巣義明・映画文筆家)

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釈由美子写真集雪fromSHURAYUKIHIME

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 釈由美子のファンではないけれど、SFアクション映画『修羅雪姫』(2001年12月中旬公開)の彼女は、あまりに素晴らしい。TVドラマやバラエティ番組から受ける、天然ボケをかます、どこか、ほんわかムードが漂う釈由美子チャンとは、明らかに違う彼女を目撃する。アイドル映画なんて言わせない……女優・釈の新たな魅力を発見することになる。

 『修羅雪姫』の監督・佐藤信介は、「TVや写真集を見ていて、かねてから釈さんの瞳に強烈な印象を受け、今回の雪役をオファーしました」と語っているだけあり、彼女が演じる雪が、実にいい眼をしている。この写真集は、その雪を演じた釈由美子の写真集であり、釈由美子が演じた雪をイメージした写真集でもある。

 極端なことを言ってしまえば、雪のキャラクターが映画『修羅雪姫』を支えていると言っても過言ではない。写真集には、キュートな釈とハードな雪のそれぞれの魅力が同居しているため、釈ファンではないが、映画を観て雪ファンになった者(例えば、筆者)でも、是非、手元に置きたくなる一冊である。

 こんな1枚の写真がある。釈の白い柔肌の背中に映画用の刺青が見える。女性的なエロティシズムを漂わせながらも、映画を観たものなら、その背中に雪の戦うハードな姿をダブらせて見てしまうだろう。撮影のために筋トレをやっただけあり、女性らしさを残しながら、ややひきしまった筋肉を見ることができるし、グラビア・アイドルの頃とは違う、別の肉体が、そこにある。ある写真では、肉体の躍動を感じさせる雪がいる。釈のおっとりした今までのイメージから遠く離れ、激しいパッションに駆られ、男勝りのポーズを決めている。その姿が実に板についている。見せかけだけじゃない、役柄になりきるために本格的なアクションを積んだ釈の自身が、そうさせているのかもしれない。

 釈由美子は、『修羅雪姫』で大きくステップアップした。釈ファンではない者から見ても、彼女の今後が大いに気になる……そんな要素が感じられる写真集なのだ。

(鷲巣義明・映画文筆家)

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紙の本ウルトラQ 開田裕治画集

2001/11/07 18:16

ウルトラQ開田裕治画集

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 開田裕治氏に最初にお会いしたのは、10数年前に仕事でお会いしたと記憶する。当時は、既にゴジラ映画や東宝特撮映画、『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』などのビデオ・ジャケットやプラモデルのパッケージ・イラストを手がけ、特撮映画ファンの間では、かなりの開田ファンがいたと思う。かくいう私も、開田氏の怪獣画のファンであり、嬉しさのあまり、緊張した面持ちでお会いしたことを覚えている。その後もイベント等でお会いしたり、開田氏が参加する同人誌に執筆させてもらったりしているが、今もって、優しい笑顔を浮かべて接してくださる氏の人柄と、彼が描いた怪獣画の虜である。
 しかも今回の画集は、『ウルトラQ』(1966年、TBSで放送された特撮ドラマ)オンリー。今まで描いた画はもちろんのこと、今回新たに14点を描き下し、筆画はもちろんのこと、デジタル(CG)画にも氏の個性が存分に発揮されている。氏は、「素晴らしき円谷英二の世界」(中経出版)の“私が選ぶマイ・フェイバリット円谷作品”の中で、リアルタイムで接した『ウルトラQ』を一番に推している。

 彼は怪獣の魅力を独自に把握し、その怪獣が持つ魅力と物語を、大胆な構図を配して創造する。作品そのものの映像だけに捉われることなく、作品が持つイマジネーションをも伝えてくれるわけだ。
 例えば……「マンモスフラワー」の巨大植物ジュランの画では、ビルを突き破って開花した花と、その太い幹を思わせるような根の部分を同一画面上に描き上げ、しかも昼と夜の世界が同居したアンバランスな異空間を構築している。これって、劇中ではなかった映像である。「SOS富士山」の岩石怪獣ゴルゴスの画では、富士山麓の吉野池から噴出した岩塊が、一度はバラバラになったものの、再び結集して怪獣が形作られていく様の一瞬を見事に切り取っている。でも劇中では、地味目な怪獣ゴルゴスに、これほどカッコイイ場面はなかった。本物以上の魅力を放つゴルゴスが、あらためて好きになりそう。

 画の中の怪獣たちに、生々しい生が感じられるのは、氏の怪獣への愛情以外考えられないし、氏に多大な影響を与えた『ウルトラQ』が内包するイマジネーションの豊かさにある。そんな思いがあってか、それぞれの画に、各話のナレーション、或いはセリフの一文とストーリー、小林晋一郎氏(『帰ってきたウルトラマン』の第38話、『ゴジラVSビオランテ』の原案者)によるキャッチコピーが付けられている。これらを付記することで、アンバランス・ゾーンに誘ってくれる『ウルトラQ』の世界をも堪能できるよう構成されている。

 尚、開田氏と『ウルトラQ』の梶田興治監督、そして怪獣マニアにして『ゴジラ×メガギラス/G消滅作戦』の手塚昌明監督との対談も興味深くて面白い。

(鷲巣義明・映画文筆家)

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『猿の惑星』メイキングブック

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 映画が日米同時公開ということで、メイキング本もほぼ同時発売された(ちなみに、アメリカ版の原書には、巻末に脚本が載っている)で、場面写真はもちろんのこと、数々のイメージ・イラストやメイキング写真が満載されていて、『猿惑』ファンには感涙もの。特に監督ティム・バートンによる猿のコンセプト・アート(水彩画)が2点載っているが、これが彼らしいタッチで実に小憎らしくて可愛いのだ。

 本書には、68年のオリジナル版『猿の惑星』から始まる全シリーズを簡単に紹介し、果たしてその再映画化をして、見合うだけの成果(金銭的な採算も含めて)を得ることができるのか? という不安から、監督ティム・バートンや配役の決定、そして撮影、完成までが綴られている。豊富な図版に比べて、文書の内容がやや一般的な部分で留まってしまっているもの(大作ということで、一般読者をも対象にしているから致し方ないけど)の、随所に印象的なコメントがある。悪役で策略家の猿セード(新作一番の魅力的なキャラ)を印象的に演じたティム・ロスがこう語っている。「本物の猿みたいに演技すると。ジオグラフィック誌が製作したような映画になってしまうだろ。セードは、鮫のような感じで、何をするか分からないような感じで、できるだけ暴力的にしたんだよ」と。

 またオリジナル版の主演チャールトン・ヘストンが新作に猿役で出演しているのは分かったけれど、オリジナル版のヒロイン、ノヴァを演じたリンダ・ハリソンがどこに出ているのか皆目見当がつかなかったが、本書を見て明らかになった。もう一度映画を観直してみたくなってしまったぞ。

(鷲巣義明・映画文筆家 2001.10.17)

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《猿の惑星》隠された真実

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 68年製作の『猿の惑星』(以下、『猿惑』と明記)から始まったオリジナル版の映画シリーズ全5作、それからスピンオフされたTVシリーズとアニメ版までを含めた『猿惑』の優れた研究解析書である。特に映画シリーズが、ポピュラー・カルチャーとして社会問題と影響しあい、いかに政治的映画に成り得たのかが興味深く論じられていて、実に面白い。

 公開当時、黒人のジャズ・ミュージシャンであるサミー・ディビス・ジュニアが、「『猿惑』が、今まで観た映画の中で、最も黒人と白人の関係を巧みに描いた作品だった」と、『猿惑』の白人プロデューサーに語ったらしいが、彼らはその意味を理解できなかったという。そんな重要な疑問が湧いて、その答えを見つけ出すことで、映画『猿惑』シリーズがどのように人種間の対立を寓話として描いていたのかを解析している。第1作が、人種的対立とベトナム戦争を寓話化したのに対し、『続・猿の惑星』では、拡大しつつあったベトナム戦争への懸念、『新・猿の惑星』では、アメリカ国内の人種的対立へと変化させ、『猿の惑星/征服』では70年代前半に湧き起こったブラック・パワーを取り込んだ人権闘争へと拡大させ、『最後の猿の惑星』では白人の自由主義者とアフリカ系アメリカ人の独立民族主義者との間の緊張状態を取り込んでいると論じている。

 本書を読み進んでいくと、90年代に静かに沸き起こった『猿惑』ブームの影に、本書(アメリカでの初版は96年、増補版の第2版は98年。本書は第2版の翻訳)が少なからず影響を及ぼしていたような気がする。それだけ、読んでいてゾクゾクするのだ。

 ちなみに著者は、オリジナル版第1作が製作された68年生まれで、リアルタイムで観たのは『最後の猿の惑星』のみだという。

(鷲巣義明・映画文筆家 2001.10.17)

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紙の本空想科学〈映画〉読本

2001/10/16 22:16

空想科学映画読本

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 特撮物やアニメを実際の科学で追求し、ユニークな視点で捉えた、サブカル世代のための「空想科学読本」シリーズに、映画版が出た。例えば『スピード』の中で、切断されている工事中の高架ハイウェイを暴走バスがジャンプして、無事着地するという驚愕シーンがあるものの、本当なら(素人目にも)、絶対にあのままマッ逆さまに墜落するだろうってことは明らかだ。でも映画は、パワフルな演出によって、不可能を可能にさせてしまうことができる。ウソを承知で、思わず納得して見れてしまうのが映画マジックなのだ。あれは間違っているとか、あれはウソだなんて、言ったら元も子もない。虚構として許される範疇のウソである。本書は、ある意味、映画を観る上で邪道かもしれないが、科学的リサーチを補って、その嘘を解明している。

 だから、あのシーンが嘘だったからといって、決して映画として失敗しているわけでなく、あくまで予備知識として頭の片隅において見れば、それでそれは、楽しめていいんじゃないのぐらいの程度で知っておくと面白い。

 他にはUSA『GODZILLA』でゴジラが全力疾走すればニューヨークは壊滅するとか、『プルガサリ』の鉄を食う怪獣プルガサリは歩けば歩くほど小太りになるとか、『アルマゲドン』で巨大小惑星をギリギリまで発見できないNASAの科学力とは?……なんてのがある。とりわけユニークなのが、『ミッション:インポッシブル』のCIA本部の警備システムはコンビニ以下だった? が笑える。

(鷲巣義明・映画文筆家 2001.10.17)

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新映画宝庫Vol.3スプラッターカーニバル〜悪夢映画流血編

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 マニアックな映画を個性的な執筆陣によって紹介するシリーズで、モンスター&エイリアン映画、戦争映画に続いて贈るのが、世間から疎まれているスプラッター・ホラー物。ホラー映画の中でも、どぎつい血みどろ作品ばかりを扱っており、どのページをめくっても、凶器を持った殺人鬼、切り刻まれる人間といった残酷シーンの写真ばかりが散りばめられている。そのため電車内等、公衆の面前で読んでいたら、きっとヘンな視線を浴びたり、人格を疑われてしまうだろう(これは、電車内で読んでいた私の実体験です)。

 有名な『悪魔のいけにえ』『ゾンビ』『死霊のはらわた』といった名作から、ビデオ流通されたものの、レンタル頻度が低いということで、レンタル・ショップの棚から次々と消えていった『死体と遊ぶな子供たち』『吸血鬼サーカス団』『悪魔の入浴/死霊の行水』『アフリカ残酷物語/食人大統領アミン』等といった凄まじいタイトルまで抑えている。おそらく、血が流れるシーンのあるホラー映画の中から、書き手が書きたいと思った作品のみを優先的に選んだらしく、『ヘルハウス』『スリーピー・ホロウ』等をスプラッター物の範疇に入れてしまうのは、どうかなって思えてしまうが……(本書なりのスプラッター論を明確にして欲しかったけど)。それでも読み応え充分であり、このテのファンにとってはどこから読んでも楽しい。まさに金太郎飴ならぬ、スィーティな血のり飴といった感じです。

(鷲巣義明・映画文筆家 2001.10.11)

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紙の本大怪獣ガメラ秘蔵写真集

2001/10/10 18:15

大怪獣ガメラ秘蔵写真集

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 ガメラといえば、圧倒的に人気を誇るのは、オリジナルの昭和ガメラではなく、平成ガメラの方である。しかし、オリジナルあってこそのリメイク……ウルトラマンあってこそのセブンだし、初代ライダーあってのアギトなのだ。オリジナルを知らずして、その魅力を知ることはできない。

 でも子供の頃に熱中して見た昭和ガメラは、今見るとあまりに子供向けという印象が強く、いい大人になった今では、少々バカにして見るといった感じでもある。ガメラのユニークな造形と生態、ガメラの子供好きというなんとも曖昧な部分、ゴジラより感情表現豊かな怪獣として、妙に子供にコビているようで嫌だった。でも、本書の秘蔵写真を見ていると、ガメラの表情ひとつひとつが全く違う。モノクロ写真ということもあるだろうが、時に凶悪な面構えであったり、時に切ない表情を浮かべていたり、見るものの心に訴えかける何かが感じられる。

 まさに子供の頃に熱中したガメラがそこにいるような気がする。大人になって、昭和ガメラの心(即ち、製作スタッフの心)が感じられなくなり、昭和ガメラを遠ざけていたことが、なんとも恥ずかしい。

 敵怪獣にしても、バルゴンの爬虫類的なウロコの造形処理や、ギャオスの硬度を誇る頭頂部のディティールに至るまで、細かに映し出されている。昭和ガメラを忘れた、忘れようとした大人たち、或いは特撮ファンにも、是非手に取って欲しい一冊である。

 巻末には、ガメラの企画を立ち上げた斎藤米二郎氏と昭和ガメラ全シリーズの監督を務めた湯浅憲明氏の対談、プロデューサーの永田秀雅氏、『〜バルゴン』『〜ギャオス』『〜バイラス』に主演した本郷功次郎氏のインタビューが掲載されている。対談では、東宝のゴジラ人気に対抗すべく生れたガメラ誕生の秘密だとか、文芸映画に主演していた本郷氏が、子供向けの怪獣映画に主演することがイヤで仮病を使って逃げ回っていた話など、面白い逸話を知ることができる。

 また本書の企画・構成は、『大魔神 秘蔵寫眞集』(グラフィック社刊)と同じ編者があたっている。彼らが、旧大映の一時倒産、その後の移転等で行方知れずになっていた“昭和ガメラのスチールやスナップ写真のネガ帖”をマニア向け特撮ショップで発見し、自腹でウン万円出して購入。そして、その幻の写真を中心に、今まで公表されていた写真をも含めて、昭和ガメラの決定版ともいえる写真集を完成させたのだ。

 監修を務めた湯浅監督が、「昭和ガメラの究極のヴィジュアル記録集なのです」と記しているが、この言葉に間違いはない。

(鷲巣義明・映画文筆家 2001.10.11)

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NHK少年ドラマシリーズのすべて

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 本書のページをめくっていくと、“ああ、懐かしい”というため息が次々と出てきてしまい、ノスタルジーの世界にどっぷり浸ることになる。1972年から1983年に至るまで、NHK総合テレビの夕方の時間枠で放送されていた「少年ドラマ・シリーズ」は、名作文学や時代劇、青春物からミステリーまで、様々なドラマを提供してくれた。

 とりわけ個人的に印象深いのが、『タイム・トラベラー』『続・タイムトラベラー』(筒井康隆・原作の「時をかける少女」より)、『夕ばえ作戦』(光瀬龍・同名原作)、『なぞの転校生』(眉村卓・同名原作)、『未来からの挑戦』(眉村卓・原作の「ねらわれた学園」「地獄の才能」より)、『幕末未来人』(眉村卓・原作の「思いあがりの夏」より)といったSFジュブナイルの世界だ。

 当時の男の子にとっては、『タイム・トラベラー』の島田淳子さん(後の浅野真弓)、『霧の旗』の上原ゆかりさん(マーブル・チョコのCMでも有名でした)、『未来からの挑戦』の紺野美沙子さん(今さら、必要はないでしょう)は、憧れのマドンナ的存在だった。そんな彼女たちの懐かしい姿(写真)が拝める。

 本書は、シリーズ全99作のデータはもちろんのこと、現存するシナリオから書き起こしたストーリー・ダイジェスト、300点以上もの未発表写真、『タイム・トラベラー』で未来人ケン・ソゴル役を演じた木下清さん、『なぞの転校生』『赤い月』など多数のシリーズに出演した高野浩幸さん(『超人バロム・1』の子役でも有名)、『七瀬ふたたび』の多岐川裕美さんらの特別インタビューを掲載。「NHK少年ドラマ・シリーズ」の初の研究本でありながら、日本のテレビ放送史における子供番組の一翼を担った貴重な資料本でもある。ファン必携なのだ。

(鷲巣義明・映画文筆家 2001.10.11)

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文藝別冊円谷英二生誕100年記念

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 またまた「円谷英二・生誕100年記念」の関連出版が出ました。本書は、俳優、特撮スタッフ、特撮映画ファンの方々のエッセイとインタビューから、円谷英二の人、円谷が生んだ日本特撮映像の魅力などを浮き彫りにしているものの、研究解析本というよりは、気軽に読める読本感覚の構成が嬉しい。

 全体的には3部構成になっていて、巻頭は、『怪獣大戦争』のX星人や『ガス人間第1号』(いずれも、監督は本多猪四郎)のガス人間などで名演を見せてくれた土屋嘉男のエッセイ。宇宙旅行に現実になったあかつきには、優先的に宇宙船に乗せてもらえるという「宇宙旅行協会」という変な会に、オヤジさん(円谷英二のこと)を無断で入会させてしまった話だとか、『七人の侍』の出演後、黒沢明監督から「次の映画からは変な映画には出るな」とクギをさされたものの、「猪さん(本多監督のこと)のものなら、大目にみてやるよ」と言ってくれた話など、円谷英二作品への思い出が行間からにじみだしている。

 また円谷英二のもとで、特技の腕をふるった有川貞昌のロング・インタビューでも、特撮場での円谷英二の人柄と演出ぶりをこと細かに伝えてくれて嬉しい。生で円谷英二に接したスタッフも、いずれ誰もいなくなってしまうのだから、約30ページにわたってのボリュームは超貴重である。

 そして円谷ファンの人たちのイタンビューも個性的でメチャ面白い。「特撮はチャチ過ぎてもダメだし、リアル過ぎてもカリスマ的なものになれない」と言う唐沢俊一、「CG映像はシミュレーションでしかないが、特撮はビジュアからイメージを伝えてくれる」と言う脚本家・高橋洋、「怪獣とモンスターの違い」を説く巽孝之ら、いずれも、自分の思い入れ深い円谷作品から入り、最終的には各氏が抱く特撮論へと飛躍しているあたりが凄い。これを読むと、日本の特撮映画って、SFXになることではなく、あくまで特撮を尊重し、極めることの大切さを感じてしまう。

(鷲巣義明・映画文筆家 2001.10.04)

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シルバー仮面アイアンキングレッドバロン大全宣弘社ヒーローの世界

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 『ウルトラマン』シリーズの円谷プロ作品ほどメジャーでなく、『スペクトルマン』のピープロほどカルト的ではないが、他社にはないユニークなヒーロー番組を生んだ宣弘社を解析した一冊。70年代に制作した特撮ヒーロー物『シルバー仮面』『シルバー仮面ジャイアント』『アイアンキング』『スーパーロボット レッドバロン』を中心に、懐かしの古典的ヒーローの『月光仮面』『快傑ハリマオ』『隠密剣士』から、SF活劇『光速エスパー』、スポ根青春物『ガッツジュン』、倉田保昭のクンフー・アクションが炸裂した『闘え!ドラゴン』等を網羅している。

 今、振り返ってみると、初期の数本を除けば、ほとんどリアル・タイムで見ているのだから、宣弘社のTV番組にはかなりお世話になっていたことが分かる。しかし、宣弘社を最初から番組制作会社なんだろうと思っていたが、これが大きな勘違い。本書収録の宣弘社の会長・小林利雄氏のインタビューがなかなか面白い。最初は、戦後復興の暗さから、大衆に明るさを取り戻そうと、銀座などの広告塔やネオンサインを手がけた後、広告代理店となって、異例のTV番組制作に入るという革新的な離れ業をやってのけてしまった。

 今回は、通常の大全シリーズと異なり、宣弘社そのものと、多数のTV作品を解析しているためか、個々の作品解析に物足りなさを感じるのも確かである。しかし、宣弘社を知らなくては、個々のTVドラマの本質が見えてこないこともある。

 もちろん、特撮マニアの方には、『シルバー仮面』『シルバー仮面ジャイアント』『アイアンキング』の怪獣デザインを手がけた池谷仙克や脚本を務めた佐々木守のインタビュー等があって興味深いハズ。

(鷲巣義明・映画文筆家)

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紙の本大魔神

2001/06/05 18:17

大魔神

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 90年代半ばより『大魔神』再映画化の話が度々映画業界のニュースになり、SF作家の筒井康隆に脚本が依頼されたものの、結局、実現に至らなかった。現在も特撮映画ファンのみならず、多くの支持者を得るキャラクターだけに大変残念である。本書は、その時、筒井康隆が書いた脚本を単行本化したもの。

 時代と舞台は、徳川家康が初代将軍になって間もなくの、因幡の白石藩。藩主の目が届かぬところで、家老と悪商人が結託し、金にものを言わせて鍛冶屋や人手を多数集め、鉄砲を生産して国外へ輸出していた。鉄砲を作るためには、大量の砂鉄と炭が必要で、山の木々を伐採し、岩肌をどんどん切り崩していた。彼らは、その一方で、城下町にねずみ講を流行らせていた。現代と相通ずるテーマ“環境破壊と講”を盛り込みつつ、かつての『大魔神』の匂いも漂わせている。

 とりわけ悪人たちの企みによって先導された農民たちが、大魔神を爆破しようとするあたりらラストまで、一気に映像を思い起こしながら楽しんでしまった。洗脳された農民だって、容赦なく踏み潰すあたりなんて、思わずゾクゾクッする。新作映画『大魔神』が登場するまで、本書で、少なからず溜飲が下がること必至である。

 しかも今回の装丁が大変凝っていて、感涙のマニア仕様!(ファンにはたまらない豪華な布陣なのだ)カバーイラストをイラストレーターや『ガメラ3』の特殊美術スタッフとしても大活躍の寺田克也、カバー裏のピンナップ・ポスターのイラストを人気画集「アート・オブ・仮面ライダー」の菅原芳人、表紙の版画と帯のコマ漫画(裏側に印刷)を唐沢なをき、扉絵と挿絵を「無限の住人」の漫画家の沙村広明があたっている。とにかく印刷面があるところは、大魔神ずくしになっており、編集者の熱きこだわりが感じられて大変嬉しい。

(鷲巣義明・映画文筆家)

大魔神秘蔵写真集

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