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先月(2017年4月)

後藤 正治さんのレビュー一覧

投稿者:後藤 正治

1 件中 1 件~ 1 件を表示

日本経済新聞2000/6/4朝刊

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 近年、国内でもいわゆる安楽死事件が起きたことは記憶に新しい。医師が薬剤の投与によって末期がん患者を死にいたらしめたものだが、患者の意思表示、痛みを除去する代替手段の有無など、その前提条件が欠如していることが明らかになった。厳密な意味で安楽死問題をわが国はまだ社会化していない。
 オランダ、あるいはアメリカの一部の州では、自殺幇助としての安楽死が合法化されている。本書によれば、オランダでは全死亡者の二%が安楽死による死であるという。本書は合法化を否定する立場からの論考である。著者はニューヨーク医科大学精神科の教授。
 安楽死へのスタンスはどうあれ、傾聴すべき意見は述べられている。
 耐え難い苦痛、前途への絶望から自殺を望む患者に対し、痛みを緩和するケア、精神的ケアが施されれば、患者の意思は変わると説く。人間の意思は常に流動的なのだ。あるいは、安楽死が合法化されることにより、オランダでは末期医療の進歩が停滞していると指摘する。
 著者はオランダにも足を運んで本書を記述している。ただ、かなり強引な記述という印象が残るところはある。当然、安楽死肯定派の反論はあろう。もうひとつの側の意見も知りたいと思った。
 医療論議は正確な情報をベースにしないと不毛な空中戦に終わってしまう。そして究極、生死にかかわるあらゆる立場は相対的である。せいぜい、自分自身はどうする、どうしたいというところに収斂していく。そのためにも多角的な情報提示が常に求められている。本書を読んであらためてそう思う。
 欧米に比べ日本における臓器移植の臨床はおよそ二十年遅れた。その経験からいえば、幸いというべきか、日本社会において安楽死が切実な社会問題となるのはかなり先のことだろう。本書は、この先活発化されるであろう安楽死論議の、一方の側の有力書の位置を占めるだろう。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000

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