サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. 戸川 隼人さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年2月)

戸川 隼人さんのレビュー一覧

投稿者:戸川 隼人

6 件中 1 件~ 6 件を表示

入試にも,生活にもすぐ役に立つ(それでいて面白い)数学読み物

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この本をめくって,最初に感じたのは「なんとマトモな!」という驚きを最初に感じた。書名や装丁は素人むけの「数学読み物」を連想させるが,書きかたは数学的にきちんとしていて,専門家の立場から見ても好感が持てる。取り上げられている内容は,ベクトル,多次元空間,座標変換など,高校の後半から大学の初年級にかけての数学の重要テーマで,それを非常にわかりやすく「語っている」のが本書の特色である。
 一般の人を対象にした「茶の間の数学」という類の本は,これまでにもたくさんあった。そういう本は確かに面白いが,あまり役に立たないのが普通である。たとえば,素数とか正多面体などの話は,面白いけれども日常の生活にはあまり縁がないし,工学や社会科学との接点も少ない。一方,学習参考書は,目いっぱいサービスに努めているものの,結局,宿題のお手伝いとか期末試験の一夜漬けの友であるから,例題と解答とその解説が中心となり,面白さには限界があった。本書は,その壁を乗り越えた点が素晴らしい。
 著者の略歴を見ると,予備校の先生をしていたという記述がある。おそらく,人気のある先生だったのだろう。その授業をそっくり活字にした感じである。だから,語り口は,なんとなく予備校的であって,アカデミックではない。「若い人むけ」である。30代の人達には抵抗なく読めるであろうが,50を過ぎの人には親しめないかもしれない。また,ある程度「頭のいい人」を対象にしている。「林檎」(りんご)が読めないようなレベルは相手にしていない。知的好奇心旺盛な人のための本である。
 最初の2つの章では,剰余定理と対数をテーマにして,その「面白さ」を語っている。著者はそこで,数学が「なぜ」そうなっているのか(そう決めたのか)を説いている。そういう本はこれまでなかったと思う。
(C) ブッククレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

現代には珍しい超人的な天才とその友人たちが織りなす美しいロマンを背景に,純粋数学の魅力を語る

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 面白い本である。読み始めたら止められなくて最後まで一気に読んでしまった。その「面白さ」にはいろいろな要素があって,笑いがあり,驚きがあり,ドキュメンタリーな迫力があり,知的な収穫も大きいが,最も感動的なのは,常識はずれの天才をとりまく支援者の優しい心と,エルデシュ自身の純粋で真摯な生き方である。金銭に執着せず,持っている金は困っている人にあげてしまい,研究の業績に対して贈られた高額の賞金も奨学基金に寄付してしまう。論文の発想を惜しみなく若い研究者に分け与え,数多くの後輩を育てた。
 日本語版の書名の通り,エルデシュは類いまれな天才であり,自宅を持たずに友人の家を泊まり歩く放浪の数学者であった。また奇行の多いことでも有名で,表紙にはコミカルなイラストが掲げられ「宇宙一おかしな男」というキャッチコピーが添えられている。
 しかし,本書は変人を追いかけたゴシップ集ではない。確かに想像を絶する「常識はずれ」のエピソードがたくさん紹介されているが,それだけが本書の目的ではない。原著の書名は“The man who loved only numbers”(数学だけを愛した男)であって,1日に19時間も数学の研究に打ちこみ,83歳で亡くなる瞬間まで研究を続け,1475本もの論文を書いた学究エルデシュと数学のかかわりあいを詳しく紹介している。
 著者はサイエンティフィックアメリカンの編集者などを歴任したジャーナリストで,エルデシュの魅力にとりつかれ,十数年にわたって取材を続けた成果が本書である。さすが一流のジャーナリストによって書かれただけあって読みやすい。数論やグラフ理論の面白さを,一般の読者にも理解できる言葉で巧みに解説している。
 取り上げられている話題は広く,エルデシュが直接手がけたグラフ理論や数論のほか,数学基礎論,暗号理論,非ユークリッド幾何学など周辺の話題にもかなりのページを割いている。また,ラマヌジャン,ハーディ,ゲーデル,カントール,グラハム,レーマー,ベルマン,ノイマン,クラインなど,同時代の数学者もたくさん登場する。
 エルデシュは1913年にハンガリーのブダペストに生まれた。そのハンガリーの歴史や第1次世界大戦,第2次世界大戦を経て今日までの社会的背景(特にユダヤ人問題)の記述も興味深い。
 昔,数学者岡潔の生涯を描いた「好人好日」という映画があったが,そこでは数学的内容についてまったく触れていなかった。それに対し本書では,エルデシュが研究した数学の問題をかなり詳しく紹介しており,数学の面白さが生き生きと描かれている。素数や図形の好きな数学愛好家に最適の読み物。訳文はこなれた日本語で読みやすく数学的にも正確である。
(C) ブックレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

ポストモダン解析学

2000/12/26 15:29

有限要素法や差分法の基礎理論を学ぶのに適した最短距離の数学テキスト。理工学研究者の貴重な情報源

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 昔(1950年代),モダン・アナリシスという名著があった。理工学研究者の必読書と言われ,大学院生は皆これを読んだ。内容は特殊関数と無限級数を駆使して微分方程式を解くテクニックに特色があり,当時はそれが応用数学の定石であった。しかしその後,コンピューターの時代になり,差分法や有限要素法が応用数学の主流になって,それらの基礎理論を勉強するための教科書が必要になってきた。本書はそのような期待にこたえて書かれた,いうなれば「新しい時代のモダン・アナリシス」である。
 内容は,微分積分の基礎理論や微分方程式入門といった高等学校卒業程度のレベルで読めるやさしい話から始まって,位相空間論の基礎概念を導入し,バナッハ空間の微積分,ルベーグ積分,ヒルベルト空間など,関数解析の基本的な事項を詳しく説明し,変分法,ソボレフ空間,楕円型偏微分方程式論までを扱っている。これらを一貫して学べる教科書がこれまで無くて,位相空間論あたりから先は数学の専門書しか無く,変分法やソボレフ空間に関しては扱っている本が少なかった。この広範な内容を要領よくまとめた本書は,理工学研究者にとって貴重な情報源となるであろう。
 ただし,記述の形式は定理・証明の連続で,解説がほとんど無い。そういう本を読める学生が最近は非常に少なくなった。講義の教材としては最適であり(とはいうものの,本書をまともに教えられる数学教師は工学部には少ないかもしれない), 断片的に勉強した人が頭の整理をするために読むにも適しているが,普通の人の独習には「ちょっと難しいですよ」と警告しておきたい。用語辞典のように必要に応じて拾い読みする目的で座右に置いておくのはいいかもしれない。
 翻訳は的確。索引も親切。印刷(特に式組み)はきれい。装丁もいい。
(C) ブッククレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本パラドックス!

2000/12/20 21:15

古今東西のパラドックスのコレクション。最近の話題,特に経済学や政治学のパラドックスが面白い

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ラフランスという果物がある。洋梨の一種。これまであまりおいしいと思ったことがなかったが,このあいだ極上品をいただいたら,そのうまいこと! エレガントな味と香りとみずみずしさ! ラフランスってこんなにいいものなのか,と認識を改めた。
 それと似た意味で,本書はパラドックスの解説書の極上品である。パラドックスを扱った本は少なくないが,こんなに面白い本は珍しい。本書と比べたら,これまでの本はみんな色あせて見える。
 誰でもパラドックスのことは少しは知っている。たとえば,アキレスとカメの話とか,飛んでいる矢は静止している,といった話はよく知られている。論理学を勉強した人なら「クレタ島の人はみんな嘘つき」という話を習うし,SFの好きな人ならタイムトラベルにまつわるいろいろなパラドックスを知っている。だから,みんな「パラドックスのことは十分よく知っている」と思っている。しかし本書を読めば「パラドックスの世界には,これまで自分が知らなかった,こんなに豊かで新鮮な話題があったのか」と改めて感心させられるであろう。
 本書の特色の一つは,一般にはあまり知られていない,最近の話題をたくさん紹介していることにある。それはアキレスとカメに飽きた人に新鮮な刺激を与えると思う。本書のもう一つの特色は,数学,論理学,哲学の問題だけでなく,経済学,社会学,政治学など,非常に広い話題をとりあげている点であり,いわゆる「文系」の人にとっても面白く役に立つ内容を持っている点である。また,文章がいい。11人の著者それぞれの個性が光っていて,楽しい読み物になっている。パラドックスについて深い思索を重ねてきた第1級の著者を集め,絶妙な章立てを企画した編者林晋氏にも拍手を贈りたい。
(C) ブッククレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

4次元の世界とはどういうものかを具体的に描いたSF。示唆に富むイラストを多数収録

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 これは「4次元の主題による数学的幻想曲」といった感じの本である。普通のSFとは違って,勝手に作った夢物語ではなく,大勢の数学者の協力を得て,コンピューターを駆使して描かれた4次元の世界像である。ストーリーはもちろんフィクションだし,4次元の世界が実際に存在するわけでもないのだが,フィクションの部分はただの進行役で,数学者が目いっぱい夢を広げて4次元の世界の片鱗を描いてみせる,その数学的冒険の方に本書の魅力がある。
 4次元の数学を書いた本は非常に少ない。相対性理論に出てくる「3次元空間に時間軸を加えた4次元」を論じた文献ならばたくさんあるが,空間だけで4次元というテーマを扱った本は皆無に近い。私は洋書を1冊だけ知っているが,それはあまり面白い本ではなかった。そういう意味で,本書は非常に貴重な存在である。
 私は小学校の頃,4次元の世界のことを海野十三の文章で読んだ。それは,幽霊が急に現れたり,消えたり,壁を通り抜けたりできるのは,たぶん幽霊が4次元の生物だからで,その事情は,仮りに紙1枚のような「2次元の世界」があるとすると,私達3次元の人間は自由に「2次元の世界」に入ったり出たりすることができるであろう,それと同じことである,と書いてあった。
 本書で説明されている4次元の世界のメカニズムも,本質的には海野十三の説明と同じである。4次元の世界には,3次元の世界とは違う不思議で面白いものがありそうなものだが「そうではない」というのが数学的真実で,4次元の文献が少ないのもそのためである。しかし,本書はあえてその「不毛の4次元」に挑戦し,さまざまな演出によって4次元の世界を面白く見せることに成功しており,図版を見ているだけでも楽しい。
(C) ブッククレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

数学が分かるための秘訣と問題の解き方のコツを高校生向けに解説した読み物

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 数学が好きだ,という学生にその理由を聞いてみると「問題が解けたときの喜び」をあげる者が多い。逆に,数学が嫌いだ,という学生の多くは「解けない」「わからない」を理由にあげる。
 本書はその鍵となる「問題が解けたときの喜び」をテーマにして「わかるとは何か」を論じ,わかるためにはどのようにしたらよいかを考えさせ,多角的な物の見方が重要であることを説き,豊富な例を示して検証している。また,問題を解くにもいろいろな道があって,それぞれ一長一短があることを説いている。
 例題として使われている問題は,小学校,中学校のレベルから高校の高学年レベルまであるが,高度な予備知識を必要とするものはなく,一見むずかしそうでも,よく考えれば誰にもわかる問題である。中には,大学入試によく出る問題も含まれているので,受験生が読んでおけば受験のとき役に立つかもしれない。
 本書のもう一つの特色は,高校で教えない,もっと上の数学(高等数学,現代数学)を紹介して,その面白さを語っていることである。その部分は当然,式や証明を省き「お話」として書かれているわけであるが,それなりに「わかる」ように説明されている。大学の数学科に進学したものの,現代数学のフォーマルな理論展開に圧倒されて意味を見失っている学生が読めば開眼の契機になるかもしれない。
 本書は高校の数学の先生が学級に配った「えうれか」という数学通信を1冊の本にまとめたものである。数学の話だけでなく,人生,社会,自然などについての随想も含まれていて,読み物として面白い。特に資料価値があるので注目したいのは,冨田稔先生の回想の部分で,偉大なる数学者の生きざまを直弟子の立場から描いていて興味深い。
(C) ブッククレビュー社 2000

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

6 件中 1 件~ 6 件を表示