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  3. 中嶋 正典さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年2月)

中嶋 正典さんのレビュー一覧

投稿者:中嶋 正典

10 件中 1 件~ 10 件を表示

世界的に定評のある戦略マネジメントのテキスト。戦略思考を強める日本企業の道標となる

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 情報技術の革新がもたらすグローバル化による単一市場の出現やニューエコノミーなど,市場環境が激変している。さらに,環境問題への取り組みが企業の社会的責任となっている状況では,具体的な戦略を持たずに進むことは,羅針盤を持たずに荒海に船出するに等しい。これからいっそう戦略思考を強める必要のある日本企業にとって,まさに教科書的に懇切丁寧に詳しく述べている。
 まず,戦略的マネジメントは質的に,また量的に情報を処理し,客観的,論理的,体系的な意思決定を必要とするが,一方で純粋科学ではない側面を持つ。人が持つ経験,判断,感情に基づく直感は,効果的な戦略決定に欠かせない。しかし,直感に重きをおく経営で成功している経営者がいるものの,現在の激変する環境のなかで直感や経験に頼る経営は不適当との指摘もある。
 戦略マネジメントは3つの段階で成立している。1)戦略の策定(ミッション→ビジョン→長期目標設定→戦略策定・分析・選択),2)戦略の実行(方針・年度目標の作成→経営資源の配分),3)戦略の評価(パーフォーマンスの分析評価)である。
 外部・内部環境要因における自社の強み,弱みの分析が戦略策定の主要素となる。戦略の分析・選択にあたって,おびただしい種類のマトリックスが開発され,使用できる。企業文化や企業政治が,戦略の選択にかなり影響する一方で,こうした要素は戦略に合わせ管理しなければならない。戦略の実行には,各機能や部門の活動など,日々のマネジメント,生産,オペレーション,一切が含まれる。戦略の評価とは,戦略の管理であり,内外環境の変化とともに戦略を検討,見直し,評価し,それを戦略の策定,実行段階へ常にフィードバックすることである。
 我々はややもすると,ミッション,戦略,戦術,日々のオペレーションを個別に考えているが,この戦略マネジメントでは,全体を戦略の策定,実行,評価と捉えることにより一体的な戦略マネジメントの流れを良く理解できる。
(C) ブッククレビュー社 2000

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企業での主要な価値を形成するもの(バリュー・ドライバー)は何か,を解明しその活用の戦略を追求する

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 経営の考え方と科学は,この10年で革命的に変化した。非能率から能率化へ,年率 15%の生産性の向上といった飛躍的高能率を実現した。多層なヒエラルヒーは取り払われた,利益を生まない事業は売却された,役に立たない人間は逐次排除された。
 資本市場の高度化,株主価値の考え方の優勢,地域独占の終焉,市場の世界競争化,などがこの背景にある。
 グローバル化の熾烈な競争の中でスピード化が求められる。インターネットに関連してビジネスのやり方が加速度的に変わる。こんな状況を受けて企業は常に自己変革を続けなければならない。経営者や管理者は自分の会社の価値創造の為のバリュードライバーを追求し,それを効率的に活用しなければ,つまり企業戦略が無ければ競争に勝ち残れない。
 企業戦略とは同じ企業の傘の下でSBU(戦略的事業単位)の構成を支配する論理である。企業は先ずこれら傘下のSBUの価値が如何に創造されるかを詳細検討することによりSBUの特性をつかむ必要がある。問題の一つは顧客要求の性質は何かであり,もう一つはその要求を満たすためのスキルないしコンピタンシーは何かである。これにはSBUの競争する市場と企業のバリューチェーンの,広範な分析と評価を必要とする。
 次にこれらSBUを,企業内での重要性により格付けをする。これには企業の総売上高及び利益への貢献度,潜在成長力,市場占有率等を考慮する。
 かくして企業は,これらSBUに特定の企業によって保持統合されるべき強い論理を与えなければならない。企業運営上のシナジー効果はあるのかどうか。企業はSBUを正しく組み合わせ運営しているかどうか,またこれらをポートフォリオとして適切な運営をしているかどうか,SBUから増加的価値を引出すメカニズムが無いなら,コーポレートストラクチャーは株主にとって意味を持たない。
(C) ブッククレビュー社 2000

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DBMは21世紀にも存在意義を有するか,そして日本のDBMの現状と21世紀への展望をさぐる

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 20世紀のマーケティングの発展を回顧すると,マス・マーケティングから1960年代以降にセグメント・マーケティング,ニッチ・マーケティングに変せんし,20世紀末にはデータベース・マーケティング(DBM)が登場した。DBMは先行の3つの古典的マーケティングを否定し新しいマーケティング・パラダイムを主張する革命的なものにみえる。なぜ革命的なのか。それは古典的マーケティングと違って,標的を複数の顧客から単数に切り替えたことであり,個々の顧客欲求の明確な把握による顧客満足効果の増大こそが21世紀の新しいマーケティングとして,多くの人が予感しているからである。
 加えて,DBMは顧客の単なるニーズの把握に満足せず,よりレベルの高いウオンツの把握へ,さらに,商品基軸データベースから顧客基軸へ,売り手主導マーケティングミックスから買い手主導へ,顧客創造目標から顧客保持目標へ,画一的商品供給の拒否,中間業者の排除,均一価格制の否認,画一的情報伝達の否定,ペーパー情報からの脱出,等々。これらの特徴はコンピュータに収納されたデータベースを使い,インターネット環境の下で初めて効率よく実行されうるものである点でも21世紀的といえる。
 先進の米国に比べて日本企業のDBMの現状はどうか,顧客データベースの構築自体はかなり行われており,日本人の約半数が顧客データとして補足されている,一方顧客データの活用の点ではまだ低いレベルにとどまっている点が多い。21世紀時代への適応の点で,先進的な企業はDBMが21世紀を主導するコンセプトとして認識している。特に金融,証券,保険業はDBMの内部体制を整えているが,逆に最も先進すべき小売業が最も遅れているようにみえる。
 企業各社は消費者顧客が見えているか,そのウオンツに的確に応答できるDBM体制を築いているか見直し,経験効果が大きいDBMをでき来る限り早く始め,断念せず改善に取り組む心がけが必要だろう。
(C) ブッククレビュー社 2000

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入門「戦略財務」経営

2000/12/01 21:16

企業財務を取り巻く環境急変の中で,戦略財務遂行上の重要テーマを殆ど網羅した全経営者にお薦めの書

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 戦略財務経営への転換のために,日本企業の行うべきことは,株主・株価重視経営であり,(あまりに低かった)利益率の向上,株主の期待収益率(資本コスト)を上回る利益目標の設定,国際化市場での社債格付けの重視,増大するリスクの管理体制の見直し,株主・債権者を中心としたコーポレート・ガバナンスの正常化,などを本書では挙げている。
 また戦略財務の核となる財務部門の役割は,適正事業ポートフォリオの構築に常に参加する,コーポレート・ガバナンスの遂行窓口として,株主,社債,CP保有者,証券アナリスト,格付け機関,銀行との緊密なリレーションの維持,事業部門の業務遂行に関し,予算・実績管理,資本コストの設定などへの参加助言であるという。
 日本版金融ビッグバンの進展の中で,外為法改正,会計制度の変更,グループ経営効率化のための商法改正,証券化手法の多様化,通貨ユーロの成立など,日本企業にとって戦略財務の枠組みを考えるインフラが国際的なレベルで整ってきた。課題で残るのは,このインフラを生かし切るための企業の意思決定メカニズムが欧米の優良企業並みになってきたかという点である。財務部門が経営陣にもたらす情報は,経営の変革をもたらす貴重な情報であるが,これに対応する経営陣の判断や意思決定がなければ,有効になり得ない。
 日本企業の意思決定メカニズムの問題点として挙げられているのは,
1)グループ経営に関する業績評価の仕組みが確立されていない。子会社に対する権限と責任,子会社と親会社の統合事業部門ごとの業績評価の不明確さ。
2)いまだに残る,収益性よりも人材配置を優先した子会社づくりは,連結利益の最大化を目指すことに反する。
3)経営陣の役割は事業部門の業績評価,経営資源の最適配分,事業ポートフォリオの見直し,株主へのグループ経営の成果報告が中心となるべきであるが,日本では取締役は部門の代表の様相を呈している。
 これからの日本企業が負担しなければならない事業リスクは,手本のない新しいコンセプトの世界での莫大な投資であり,この種リスクテイキングは株式市場を主体に考えるべきである。つまり株式資本を主とする調達力の差が,結局企業の長期的競争力の差につながる傾向が益々強まるであろう。
 株式の持ち合いを前提とした従来の経営の意思決定システムを維持する余裕はなくなる。
(C) ブッククレビュー社 2000

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優れた経営,優れた経営者とは何なのか。ジャック・ウェルチの簡単明瞭な経営スタイルから,明快に導く

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 カリスマ的リーダーが無力な大衆を引っ張るといった伝統的なリーダー観はその根底が失われつつあり,新たに登場したニューモデル・リーダーの代表格がジャック・ウェルチである。
 リーダーとは組織の頂点に鎮座する偉大な人間ではなく,従業員の意欲を高め,彼らを育成し,彼らが正当に報われるよう心を砕く。一人の偉大なリーダーではなく多彩なリーダーシップ能力を備えた集団こそ重要であり,権限委譲し部下の果たす役割への関心を高める。個人や組織がより力を発揮できるよう計らうリーダーである。彼らは実際的で,柔軟で,仕事優先よりも人間的で謙虚であることが求められる。自ら牛耳ることに喜びを感じ,権力の魅力に溺れてしまうタイプでは決してない。
 ウェルチの経営観は簡単で「ビジネスは試行錯誤の連続で,科学なんかではない,ミスは付き物,ひたすら前にボールを蹴り進み,誰もがゲームに参加するよう気を配り,一人でも多くの人が勝利の喜びを味わえるようにする」。常に前進し,失敗を認め,そこから学ばせる。
 かくしてウェルチはGEの未来を築く作業に従業員を巻き込むことに成功した,その過程がワークアウト(仕事の整理・合理化)追求の導入である。
 またウェルチはKISS(Keep It Simple, Stupid) を信奉し,分かりにくさや,ハッタリが幅を利かすような経営スタイルを好まない。したがってGEの特質はざっくばらんを大事にする。食品雑貨店に大事なことは,航空機エンジンにも大事だ,小商店のように経営すればいい。
 ウェルチは,常に学べと説く。人間の成長は何をどれだけ学んだかによって測定される。何を学ぶか,まずは実際の業務を通しての専門技能,組織の一員としての基本といったことが重要だが,最後の決め手は人の扱いであり従業員への心配りである。この辺がMBA組と違うところで,人はどうしても評価しやすい専門技術に注目しがちだが,最後の決め手は人の扱いなのである。
(C) ブッククレビュー社 2000

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女性の社会進出につれ発展する家庭料理代行業,そこは女性の知恵と感性が売り物,女性が開く新市場である

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 フード・ビジネス市場61兆円に加え,家庭料理代行業40兆円市場が出現しつつある。従来GNPに含まれない家事労働が,女性の社会進出,高齢化社会に伴い表舞台に登場してきた。毎日のメニュー,食材調達,調理,後片付けなど,煩わしいことを代行する,料理のケータリングはこれから確実に伸びる女性の分野。厨房機器の輸入販売をしていた著者が行きがかりで総菜の店を始め,その苦労の中で,女性から多くを学び,女性の能力,強さを改めて感じまた発見した。その思いを本にした。
 年功序列,終身雇用の世に身をおもねた男性に比べ,女性はもともと厳しいリストラ的雇用条件の中で変化にさらされて生きてきた。覇気をなくした男性に比べ,頼もしい元気な女性。女性起業家も増えており,女性の社会進出の本格化はまだこれから。主婦,女性パートを含め,女性の能力を生かすことが着実に生き残る秘訣である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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大企業,官民のつながりなど従来の資源を巧みに活用するしなやかなイントラプレナーの育成が日本再生の道

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 ベンチャー・ビジネス礼賛の時代,若者を扇動するような政府主導を含む数々の支援インフラの設置などがある。しかし転職市場も未発達の状況でベンチャー・ビジネスで一攫千金を得ることが人生の成功者との雰囲気作りは問題である。しかるに企業に勤める大多数のサラリーマンがいかに活力を見いだすかが最も重要と著者は説く。
 企業はベンチャー新会社をやたらと立ち上げるのではなく,要は器より何をやるかがポイント。しからば従来の企業資源とか社内インフラを活用する,もっと日本独自の強みを生かした戦略が必要である。
 リスクを取る社員が浮かばれない従来のシステムと違って,リスクとリターンを明確に認識し,市場価値に基づいた評価をする体制を作り,イントラプレナーの活躍の場を企業は作るべきであり,またイントラプレナーに賭けるリスクを企業は取るべきであるとする。
 企業はイントラプレナーのインキュベーターとして多くの戦略的人材の梁山泊を作れば,21世紀に向けた最強の資産となるはずだ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本国際課税の基礎知識 5訂版

2000/10/13 00:15

ヒト・モノ・カネの国際化が進む中で,ますます必要な国際税務を極めて解りやすく説明した入門実務書

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 モノ(の国際化):日本は戦後いち早く貿易立国,輸出の拡大でモノの国際化を実行した。
 カネ:「日本版ビッグバン」により海外預金,海外証券・不動産投資などの自由化にともなうさまざまな国際課税対象源泉の新たな発生と増大。
 ヒト:単なるモノの交流にともなうものから,専門分野や文化・学術交流などさまざまな形態のヒトの交流が拡大し,種々課税問題が発生してきた。
 社会・経済活動の国際化の進展と共に,海外ビジネスにかかわる人に加え,海外に投資する人,海外に暫く移住する人,等々,ますます多くの人達が公的,私的な局面で外国の課税制度にかかわりを持ち,またその適用を受ける。国際課税とは,これら各国の違った課税制度の中で,国際間の二重課税を排除し,また課税制度の違いを悪用した脱税や租税回避を防止し,さらには他国政府の不当な課税権の行使に対して自国民を保護すべき,といった問題点の中から出てきた考え方の集積であり,各国間の租税条約とか国際間の税務協力条約とかに具体化している。
 本書は理論よりも入門実務書として,複雑多様な国際課税にかかわる各国の基本用語の定義とか,細かい考え方の違いから始まって国際課税の歴史,最近の動きまで,初めて読む人にも分かりやすく解説しており,この関連の業務に従事する人は一度通読すると日常業務に直ぐに役立つキーワードや考え方の理解ができる。また全体を通読せずとも,差し当たっての自分の問題部分を拾い読みしても即座に役立つ虎の巻でもある。より深く理解したい人には巻末の最新の参考文献が役立つ。
 たとえば,次のような基本用語は私たちが日常接していながら,理解はあまりしていないものである。これらは一度この本を読んで税務の切り口から理解しておくと相当に役立つであろう。
 「居住者」と「非居住者」,それに関連した「恒久的住居」・「常用の住居」・「国籍」,「内国法人」と「外国法人」,「国内法」と「租税条約」の関係,「国内源泉所得」と「国外源泉所得」,海外進出に関する「駐在員事務所」・「支店」・「現地法人」,「外国税額控除」と「外国での課税」,等々,これらは新聞でも日頃みる言葉でもある。
 さらには,近年とみにクローズアップされている,国際的な脱税や租税回避防止のための下記税制・対策も本書により理解しておくと大変役立つであろう。
 「タックスヘイブン対策税制」:タックスヘイブン国を利用しての租税回避を認めない。「移転価格税制」:海外関連会社との取引価格の操作による租税回避を認めない。「過小資本税制」:海外子会社に対し出資に代えて融資を増やすことによる租税回避を認めない。「条約あさり」:条約上のベネフィットを不正に享受することの禁止。「国際間の税務協力」:国際レベルの租税回避を,調査や徴収面で各国が協力し対処する。
 このような公正な知的インフラの整備が国際化の健全な発展を,一方で支えているのであろう。
(C) ブックレビュー社 2000

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M&A成長の戦略

2000/10/06 15:22

成長の戦略「株主価値創造」重視の経営姿勢と「規制撤廃」努力で,漸く日本でもM&Aが市民権を得つつある

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 終身雇用をベースとする企業中心カルチャーの日本では,企業の売買は何とも風土に馴染まないものと思われてきた。特に外資による買収などは嫌悪の対象といえた。
 一方で最近のグローバル化に代表される経営環境の諸変化により,M&Aを経営の基本選択肢として,つまり成長の戦略として,取り込まなければならなくなってきている。
 著者は過去10年以上ゴールドマン・サックスでのM&A投資顧問の経験をベースに,この変化を極めて平易に解りやすく説明している。さらにM&Aの考え方,進め方など具体的にその手法,合理性を説明しており,説得力があって,実務にも役立つ本である。
 最近は日本の経営者も従業員も,会社を売ることも買うことも抵抗が少なくなってきており,外資による日本企業の買収案件が顕著に増えている。その背景は何か。著者は本論を進める上でのキーワードを「株主価値の創造」と「規制撤廃」の2つとしている。
 日本の経営者が株主価値に無頓着でいられたのは,高度成長の中で日本全体の価値が上昇していたからである。右肩上がりの2桁成長を前提とした銀行による過剰間接金融,株高,株式持ち合い,不適切な情報開示,過度の雇用優先,役所の不透明な裁量行政,などはもはや許されない。企業の競争は世界的になり,自国市場も含めたグローバル市場で一定の共通ルールにのっとった競争に生き残れる企業だけが生存権を得る。
 つまり日本の現状は,日本の企業が世界の舞台で競争力を獲得するための,必要な方向転換を実施せざるをえない状況であり,これに乗り遅れると二度と再び世界という舞台で,勝負することはできない。そしてそのための処方せんが,経営者による「株主価値重視」経営であり,もう一つが「規制の撤廃」を通じた裁量行政の排除であると説く。
 別の言い方をすると,日本企業の最大株主である機関投資家,つまり日本の金融機関は,高度成長の結果を享受し,ものいわぬ株主でもつじつまが合っていた。しかし今は機関投資家もグローバルな競争の中で,その運用成績いかんで顧客から選別される。また企業間の持ち合い株も資産効率が悪いものからどんどん放出せざるを得ない。結果として株主が経営者に対してものをいい,選別を始めたのである。
 かくして企業経営の最大の目的を株主価値の最大化に置く企業は,その経営形態を時々の商品市場や資本市場に合わせて縦横無尽に変化させる必要がある。株主価値を最大化するためには,企業経営者にとっては採りうる手段が多様であればあるほど好ましく,このための法制の整備,規制の撤廃なども必要となる。特にM&Aは欧米では企業形態の迅速な変化を達成する必要不可欠な手段の一つである。
 M&Aを支える「規制撤廃」は,著者はあえて「規制緩和」ではないという。米国の「ディレギュレーション」は原則規制撤廃であるが,日本は原則規制温存の意味で「規制緩和」といい,裁量行政が温存された。しかし日本のこの始まったばかりの変化がさらに進展し,日本企業が本当に国際競争力がある企業となるためには,一歩進んだ「規制撤廃」がどうしても必要だと著者は説く。
(C) ブックレビュー社 2000

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経営の環境変化と人材の流動化,市場化のもとで如何に人材経営を行うかを包括的かつ具体的に提言する

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 社員も投下資本であり,その価値は投資リターンによる。また社員はあくまで流動資産であり,その価値はマーケットバリューによる。つまり人材も1つの資源としてとらえる経営の視点が当然となってきた。終身雇用の閉じられた雇用社会では,人事は経営の一部下働きのスタッフに過ぎなかったが,開かれた雇用社会では経営戦略に不可分なライン的業務に変ぼうしなくてはならない。開かれた社会では,会社と社員は対等な関係となる。有能な社員はいつでも人材市場で他のパートナー(会社)を探すことができる一方,会社は経営戦略上必要な社員を雇い,能力開発し,リテインしなくてはならない。
 このためにはトップはビジョンを明確にし,強力なリーダーシップで社内の価値観,ベクトルを合わせ,ビジョンが貫く人事のバリューチェーンを再構築し,顧客・市場に新しいバリューで寄与する体制を取らなければならない。従来型の単なる人事制度・施策の改革では社員の意識改革やベクトルの方向づけができず,結局は社員のやる気をなくし,リテインに失敗する。——論理明快な本である。
(C) ブックレビュー社 2000

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