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  3. 佐藤 治彦さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年6月)

佐藤 治彦さんのレビュー一覧

投稿者:佐藤 治彦

11 件中 1 件~ 11 件を表示

IT(情報技術)革命の意味するところを文明進化の流れの中で本質的に捉えようとした意欲作

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 株式市場や一般社会での評価や評判がどうであれ,21世紀初頭の今まさに起こっているIT(情報技術)革命は,歴史の分岐点にあることだけは間違いない。激動する歴史の分岐点で生きていると,日々の変化に対応するだけで精一杯ということになりがちだが,その中でリーダーとして生きるべき人間は流れの本質をつかんでおく必要がある。この本は,そういう意味で,進行しているIT革命の意味するところを文明進化の流れの中で捉えようとした意欲作である。
 全体は3部構成。文明を考えるときの基本的な知識とものの考え方を示したあと,近代文明の進化過程を軍事文明,産業文明,情報文明の3つの波として捉え,その本質は何であったのか,どのように進化し成熟していったのかを論じている。また,サイバーアクティビズムやP2P(個人対個人)と社会の関わり方などを分析し,今後の方向性や日本が対処すべき事柄について提言。情報化が人間社会や人間そのものにどのような影響を与えるのかも論じている。著者は本質論を述べてはいるが,決して論や概念だけにはとどまっていない。現実に起きていることに論を投影させている。
 このように本書は,IT革命を乱暴に直接的に切り込むのではなく,文明の進化という歴史的な流れの中に答えを見いだし,その流れの方向性を見ようと言うもの。物事の本質を見極めるには,高いところから俯瞰してみることが必要なのである。
 本を分類する1つの基準に一般書と学術書・専門書という分け方がある。この本は非常に微妙なところにある。物事の極めて本質的なことを扱っていることから考えて入門書なのかもしれないが,内容は多岐にわたり専門的でもある。専門的な用語も多いので読みこなすにはある程度の知識と努力を必要としている。一般のサラリーマンや学生が日曜日の午後に軽く読みこなそうというものとは異なる。それを成し遂げれば,その人の考察力が確実に一段高くなっていることに気づくだろう。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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日本と企業が生き残るため,いますぐしなくてはならないことが,簡潔明瞭に書かれている名著

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 私は書店によく行く。自分の知識やネットワークでは把握しきれない新たな視点,情報を求めて本を漁るためだ。今回,この本を読んで「しまった」と思った。この本を私は見つけていなかった。読んでいなかったからだ。日本経済低迷への対策が論議されるが,その答えは簡単なのである。日本経済を引っ張っていく技術やノウハウを創出し,それを事業化する企業と人が出現すればいいのである。
 しかしこの10年間,日本はそれを怠り停滞し続けた。一方,アメリカは80年代の終わりからいくつもの「シリコンバレー」を作り上げるためにさまざまな施策を展開してきた。自由と競争の国家アメリカが,産業育成のため,ときには市場原理と反する大きな決断を下し,公的資金をつぎ込んだのかがわかるはずだ。
 シリコンバレーは自然発生しない。本書では必要な点が3つあると論じている。それは,知識の源泉(例えば,大学や研究機関)と距離的に近いところに,資金と経営ノウハウの源泉たるもの(例えば,ベンチャーキャピタル)が存在し,それらをネットワークする地域の人物や企業が必要だといっている。また,アメリカが国家として1980年に制定したバイドール法の重要性や各大学などがTLO(技術移転オフィス)を持つことの重要性を説く。研究開発がその国の未来のために重要なことは,だれもがわかっている。最近になってやっと,日本も失われた10年をキャッチアップしようと動き出した。たとえば,国立大学教官の発明による特許報酬を無制限にするという方針は,研究に対するインセンティブになるだろうし,民間への技術移転も進むだろう。いくつかの国立大学でも本格的なTLOオフィスを開設したことがあげられる。
 本書は新書だから必要なことは書いてあるが,余計なことは一切書いていない。著者が書くべきことに一点の曇りもないからだろうか,論の進め方は明瞭で,文章も簡潔なうえに自信に満ちあふれている。現代社会は正しいディシジョンを早く下した者が勝者になる。視察費用で100万円使うよりも価値のある名著である。すぐに読むべきだ。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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低迷する日本経済の現状と,今後の姿を欧米エコノミストはどのように見ているのか

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 冷戦構造が崩壊した後の世界は,民族対立などを先鋭化させた。また,経済に関しては南北対立よりも北北対立が鮮明化した。90年代はまさに,ポスト冷戦構造時代における経済戦争の時代だった。そこで,日本は完全に敗北した。市場戦争におけるルール作りにおいて,日本の主張はことごとく否定され,欧米流のルール,とくにアメリカ型のルールがグローバルスタンダードという言葉のもとでまかり通るようになった。
 昨今の経済的低迷の中から日本が立ちあがるための施策や提言は,さまざまな方面からされてきた。そして,ここにまた新しい著作が刊行された。この本の著者,ポール・シェアード氏はリーマンブラザース証券のアジア部門におけるチーフエコノミストとして活躍中の若手経済人であり,日本のコーポレートガバナンス・システムのあり方について積極的に提言をしている人物として有名である。著書の「メインバンク資本主義の危機」はサントリー学芸賞を受賞している知日派でもある。
 さて,この本の副題は「新・日本型資本主義の幕開け」とある。本書を読んでいくと,それは,大筋でアメリカ型経済システムへ日本経済が移行していくことができるのか,また,そのような立場で考えたときに,今の日本の状況はどのようなものであるか,何が不足しているのかということが論じられていると認識できる。新・日本型が,米国流経済のあるべき姿とどこが違うのかなどを,もう少し明確に論じていただけると,読者に新・日本型の意味合いがより深く理解できたと思う。
 それでも本書の議論で米国流経済と日本型経済の違いを明確にしている。その多くはすでに一般化しており,結論もほぼ出揃っているようなものではある。しかし,こうしてもう一度読みなおすと,アメリカ金融資本の考える経済のあるべき姿とはどのようなものか,明確に把握することができる。そういうことをきちんと理解しておくことは,日本への資本流入,例えば株価の動向を占ううえでも大切だ。アメリカ流経済のあるべき姿と日本がどのように違うのかということを,明確に論じた本はあるようであまりない。最新の経済状況を踏まえて書かれたこの本は,多くの人に読まれるべき力作である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本テレビ報道の正しい見方

2001/01/19 18:15

現代社会における「メディア・リテラシー」の重要性を全くのゼロから認識させてくれる

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 21世紀のキーワードとしてITとか環境問題といったことがよく取り上げられる。しかし,もうひとつ最重要なキーワードが抜け落ちていると数年前から指摘してきた。
 それは,「メディアリテラシー」である。我々の生活がメディアから受ける影響は計り知れない。それは,書籍,新聞にテレビ,ラジオ,近年はインターネットまで加わり,影響が大きくなることはあれ,小さくなることはない。この中で最も多くの影響を与えるのがテレビである。影響の度合いは大きいが,その本質は人間本来の思考する機能を活発化させ「考えさせることによって影響を与える」というよりも「感情に訴えることによって影響を与える」部分が大きいメディアなのである。
 だからこそ,我々はテレビとの関わり方について,ちょっとした警戒感を持たねばならないのである。しかし,日本人はテレビを全面的に信じ受け入れる傾向がある。感じているだけのことを,思考して吟味して受け入れたことのごとく扱ってしまうのである。これは民主主義や個人主義の進んだ現代社会においては大きな問題を含んでいるのではないだろうか。
 メディアリテラシーは自分が受けるさまざまなメディアからの情報を一度フィルターを通して読み取る能力のことをいう。この本は,その重要性をテレビの報道番組の具体例を通して教えてくれる。
 テレビ番組の本質とは何か。本来のニュースと報道番組におけるニュースとの違い。実際のニュースが番組制作の過程で歪められたニュースに変貌してしまう可能性の検証。数々の報道番組に出演し,自らもテレビの可能性と限界を熟知している著者が,具体例を用いて楽しみながらテレビの本質とメディアリテラシーの重要性を認識させてくれる力作である。およそテレビのニュースやドキュメンタリー,討論会など報道番組を見るすべての方に読んでいただきたい書物である。また,平易な文章と豊富な実例でさらに読みやすいことも付け加えておきたい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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マネジャーとして組織を動かすときに考えておくべきことが分かり,勇気がわく本

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 日本全体の景気は,未だ確実な回復の道筋が見えているわけではないが,個々の企業の業績を見ていくと,明暗がハッキリし始めている。多くの企業がリストラをし,必要な従業員に絞り込んでいる。しかし,人材は集めるだけでなく厳選されたメンバーを組織化しなければならない。それを,最前線で行うのがマネジャーである。マネジャーが優秀でなければ,人材は活かされず企業の将来も明るくない。
 今までもマネジャー向けの本が出版されてきた。成功したマネジャーが自らの成功談を綴ったものなどだ。しかし,それらが必ずしもすべての組織で有効だとは言えない。
 ギャラップ調査ときけば,世界中で最も信頼性が高い世論調査の会社のひとつだと多くの人が認識する。しかし,実際はギャラップ社は一般に知られているような世論調査をするだけでなく,大企業へのコンサルテーションサービスがその中心なのである。この本はギャラップ社が全米のマネジャー8万人と従業員100万人に対して行った調査に基づいて書かれたものである。したがって,ある有名マネジャーや経営者が,自らの成功経験を元にして書いた「私はこうして成功した」というものとは違う。もっと多くの事例を分析,比較し,普遍的な答えを導こうとしているからだ。
 そして,この書は成功している。
 どうやって,自らの会社の状況を把握すればいいか?マネジャーは人事における決断において,どう考えるべきなのか?ということについて,多くの説得力のある提案をしている。自分の与えられた職場を計る大切な物差しとして「12の質問を使うテスト」を提案する。次に業績をあげていくために,マネジャーが知っておくべき4つのカギを提案する。それは,才能に恵まれた人材を選び出す,目標とする成果をはっきり示す,部下の強みを徹底的に活かす,部下の強みが生きる場所を探り当てる,といった具合だ。文章は平易で,リズムもあって読みやすい。
 この本に書かれていることは,ひとつも奇異なことなどはない。しかし,読んでいるうちに,すべてにうなずいて,前々から自分もそう考えていたんだと思っている自分に気がつくだろう。本当にいい本とは,そういうものだ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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飛びぬけた面白さ。読みやすく金融危機の本質に肉薄。記録,読物,生きた経済学のテキストとしてお薦めする

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 おもしろい。ダントツのおもしろさである。90年代に日本の金融界が失速した理由の一つは,バブルに浮かれた80年代後半のおよそ人間業と思えない不動産への過剰融資と株式投資家の実際の経済実態を無視し株価が上がり続けるだろうという妄信である。問題が発覚する時期も悪かった。ポスト冷戦時代で新時代への対応が必要な時期と重なったからだ。
 激変時代に求められる強いリーダーシップのある人材が経済界はもとより,政界にもいなかった。社会が大きく変わることは国民も求めていなかった。何しろ,当時はバブルで多くの市民が豊かな経済を享受していたからだ。あの饗宴時代は続くことは望んでも,変わることは求めていなかった。そして,危機は無視された。小規模で問題が露呈してもすぐにおさまるだろうと無視された。問題の解決を図るのではなく先延ばし,有益なアイデアはあっても判断をしなかった。こうしてみぞうの大不況に陥っていったのだ。
 この本は,この10年の経済危機には何がどうして起きたのか? 問題の解決が放置されたのはなぜか? 誤った判断をしたのは誰か? といったことが書かれている。
 私は冒頭でダントツの面白さだといった。その理由は多くの書物がドキュメントと言いながらも,過去を今の視点で振り返り,結果として歴史を創造してしまうものが多いからだ。本著は当時の日経記者のメモを基にして過去をそのまま再現することにこだわって書かれたものだ。そのため,回想録などに感ずる「取り繕い」も本著からは感じられない。当時はあまり知られなかった具体的なエピソードも書かれており,読んでいて当時の空気まで感じられる。内容は濃く文章がとても平易であることも私が自信を持ってお薦めする理由だ。
 経済や政治に興味のある人,日本文化や社会を鳥観してみたい人,経済学と経済の違いを知りたい人,人間ドラマが好きな人,高校生から退職された人まで,およそ多くの人に読んでいただきたい本である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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今が旬のベンチャーの旗手8名の思いと野心を竹中平蔵氏が探る。なぜ彼らは独立し成功することができたのか

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 これは,表題の通り,日本のベンチャー系ニューエコノミーの若手旗手と気鋭の経済学者竹中平蔵の最新対論集である。これらは週刊ダイヤモンド誌上において1999年12月25日号以降に掲載された対談を収録している。最新の生鮮食料品のような本なのである。
 登場するのは情報システム構築のためのコンサルティング・インテグレーションを手がけるフューチャーシステムコンサルティングの金丸恭文,深夜時間帯も営業するディスカウントストア,ドン・キホーテの安田隆夫,在宅介護サービス事業のコムソンを傘下に持つ人材アウトソーシングのグッドウィル・グループの折口雅博,ビジネススクール事業が異彩を放つグロービスの堀義人,プロバイダー事業とネット広告を行うインターキューの熊谷正寿,ソニーの出資が話題をよんだインターネット専門の証券会社であるマネックス証券の松本大,ネット商店街が新しい流通の形として注目を集める楽天の三木谷浩史,ネットオークションのDeNAの南場智子という具合。
 これらの多くが30代の若手経営者である。そして,多くが一度社会に出てサラリーマン生活を経験した上で転身したという経歴の持ち主でもある。前述したように,これは非常に新しい対談集である。そして,竹中平蔵はインタビュアーとしての興味の中心は,彼らがどうして企業社会から独り立ちできたのかという部分だ。彼らが転身した動機や過程にこだわって質問しているのだ。昨今の独立開業ブームでは成功者だけでなく多くの敗者を生んでいる。この時点でどうして彼らが輝いているのか,短期間で成功者としてたどり着いた理由を知るのにも格好の書物である。
 各インタビューの終わりは「竹中平蔵はこう考える!」と題する締めくくりの感想。また,対談とは別に約25ページでベンチャー経営の条件やどういう人間や力がベンチャリストとして必要なのかという趣旨の文章も掲載されている。
 対談は平易な文章で分かりやすくまとめられ,無駄が一切ない。登場人物のプロフィールや会社案内も適切である。21世紀の企業経営を考えるヒントが満載された本著は,企業経営者から若手サラリーマンまで多くの人に薦めたい。週末の2時間をこの本に使うことで「労なくして益」を得たと実感するはずだ。週刊誌上での連載でなく,こうして1冊の本にまとめられ8人の若手経営者の言葉を通して読み比較することは多くの収穫があるのだ。
 最後に私がこの本をお薦めしたい裏の理由を述べておこう。前述したようにベンチャーは成功と失敗が表裏一体である。ここに登場する人たちの会社でも,その後は業績が思ったように振るわなかったり,社内トラブルや社会的問題を引き起こしているところがある。読者はそうしたニュースに対峙したときに,その理由もこの対論を読むことで想起できるからだ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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21世紀の産業・社会を再構築する概念「ゼロエミッション」とその具体論を明解に記した名著

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 全世界が豊かさと成長を求め血みどろの戦争も起こした20世紀は単純消費の世紀であった。しかし,我々の将来と次世代の未来を考えると,こうした単純消費は世紀が変わるのとほぼ同じくして終わらなくてはならない。今世紀までの人類は地球上の資源を好きなように用い生産し消費してきた。そして大量の廃棄物を排出してきた。そして,地球環境を破壊してきたのである。
 21世紀は環境の世紀とも言われる。そのためにも人類が採用するのは「ゼロエミッション=廃棄物ゼロ」の概念であろう。これは,ある産業の生産工程から排出される廃棄物を他の生産工程で用いることで,最終的には資源にならない廃棄物を出さないようにするものである。たとえば,現状では農林業の生産高のうち5%しか有効利用されておらず平均して95%は処分されている。この95%を活用する。つまり,ある製品を作るということを考えると不要な廃棄物であっても,実は他の製品にとっては有用な資源であるはずだという概念だ。たとえば砂糖の原材料であるサトウキビは砂糖として使える部分は全体の17%でしかない。83%は廃棄され焼却される。そして,地球温暖化の一因となる。しかし,排出される部分の5割はセメント板の強化材として使えるし,製紙産業にも用いることができる。砂糖を作るためだけにサトウキビを注目するのではなくサトウキビから何が作れるのかということに着目するべきなのだ。
 この考え方は産業システムを大きく変える。とくに過去10年間リストラによってダウンサイジングしてきた世界経済をアップサイジングにハンドルを切らせるものであるという。本書は,新たな経済システムは資源の増加がなくても生産性は高まり,巨大な雇用創出を生み,莫大な廃棄物の流れも絶つことになると指摘する。ただし,このゼロエミッションとアップサイジングのシステムは,人類が強引に作り出すのではなく自然界に存在する免疫システムを研究し,マネジメントに取り入れることによって実現するべきであると主張する。ゼロエミッションを単なるコンセプトではなく現実化させていくものにするために経営を免疫マネジメントのコンセプトで再構築することが必要なのである。
 日本はゼロエミッションに関しては世界をリードしている。すでに大手ビール会社はゼロエミッション工場を実現し,自動車会社の中にも国内組み立て工場をゼロエミッションとする計画を発表している。廃棄物ゼロの街のモデル地区を建設している市町村もある。このゼロエミッションが浸透していくと企業や生活から株価にまで与える影響は多大なものになるはずだ。
 環境の21世紀における社会システムの軸のひとつとなるゼロエミッションのコンセプトと方法論をこの本では提示している。内容は具体的で文章に難解なところがなく適時に図表が取り入れられ理解を助けてくれる。21世紀も生きていくすべての人に読んで頂きたい一冊である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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平成の鬼平が語る中央銀行と金融政策入門書の決定版。およそ経済に関わるひと全員に読んでほしい名著

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 本のタイトルは論語からの引用である。この種のタイトル本は概してつまらないことが多い。精神論で透徹されるからだ。しかし,この本は違う。副タイトルでも分かるように前・日銀総裁の三重野氏が杏林大学で行った3年間の講義をまとめたものだ。中央銀行と金融政策の基本について網羅的に図解も入れた解説が中心だ。
 それも,さすが総裁だけあって簡潔である。大学で経済原論の授業はよく分からなかったとか,日本経済をもっと理解したいという方にとって,三重野総裁の授業を追体験することで,自分の知識を総点検ができる。日本銀行や中央銀行について,きちんと書かれた本は少ない。そう言う意味でもこの本は大変貴重である。
 もちろん単なる解説書ではない。いわば,三重野氏の回顧録的な面や文章の端々に「平成の鬼平」らしい発言が見え隠れしておもしろい。例えば,中央銀行の役割は物価の安定と金融システムの安定としながらも,それは「景気が悪くなったから,単純に元の好景気に戻すという短期的な発想でなく,より中長期的な観点に立つものである」と氏の基本姿勢を示す。また,「物価安定のための措置は概して世の中の評判はよくない。それは宴会の真っ最中にお銚子をさっと引き上げてしまうようなものであって,これは政治ではなかなかやり難いからである」とか「民主政治における政治力学は,景気をよくするためにカネをつかいたがる傾向がある」と政治や世論とのギャップに悩む日銀総裁の苦しい胸の内を吐露している。そして,氏の引き締め策が一因となった土地価格の急落を意識しながら「資産価格は物価そのものではない。従って,資産価格の安定は,金融政策の直接的な目標ではない(地価の安定は,第一義的には税制,都市政策の対象である)」と言い切るのである。戦後の日銀総裁の中でも最もセントラルバンカーで,氏の誠実で無骨なまでの思いが語られるのが大変興味深い。
(C) ブックレビュー社 2000

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超低金利&自己責任時代に健全な個人投資家になるためのバイブル

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 もし,あなたが金融資産を1000万円以上持っているのであれば,この本は読んでみるべきである。また,これから自分の金融資産を積極的に増やしていきたい,もしくは,既にそのための行動を取り始めているという人もこの本をひもといてみる必要があるだろう。そして,もしもあなたが駆け出しの金融関係者であるならば,取りあえず買っておいて本棚に次に読むべき本と印をつけて置いておくべきである。
 今のような超低金利時代に自分の貴重な人生を豊かにするために,ある程度のリスクをとって金融資産を増やそうという人は少なくないし,それは,ごく当然の流れとも言える。しかし,株式であれ外貨預金であれ,リスク商品に投資をするということは,世界の金融市場で何100億円という資本を動かす名うての輩と同じ土俵で戦うことなのである。そして,多くの個人投資家がこの戦いに勝つために多くの市場理論や儲け方について書かれた著作を読んだり講演会に出掛けたりして勉強する。しかしながら,株式を高値買いしたり,底値で損切りしてしまうなど,多くの個人投資家が手痛い失敗を経験しているのである。失敗する理由の一つとして,リスク性のある金融商品に資産の一部を投資する人の多くが市場での経験が不足しているということがある。そのために瞬時にして変わってしまうことのある市場の流れを敏感に読みとれないのだ。また,その時々で風潮される色とりどりの相場の予想や説は,多くの投資家の心をつかむことがあり,時には半永久的な真理を示しているようにも思えることがある。しかし,一時的には有効でも永遠に続くことはない。個人投資家は擬似的であったとしても市場経験を積み,様々な理論に対する批判精神を持つ必要がある。この本は,その両方のニーズを満たしてくれる。アメリカ市場での話ではあるが日本の投資家にもそれはすべて有効である。
 以上のように本書は十分にお薦めできる書籍だが,最高ランクとは言い難い。海外のビジネス本にありがちなことなのであるが,説明があまりにも丁寧すぎて,時々回りくどく感じることがあるからである。
(C) ブックレビュー社 2000

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日本でも重要性が高まるプライベート・エクイティ。そのプロ向け入門書として手元に置いておきたい1冊

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 ナスダック・ジャパンや東証マザーズが活性化していくことをいちばん祈っているのはプライベート・エクイティを手がける人たちではないだろうか? 株式未公開企業を対象とした投資手法を総称するプライベート・エクイティ(PE)は,現在のところ日本ではあまり一般的な投資手法とは思えない。しかし,21世紀の日本経済を引っ張っていく企業が育つには,起業家だけでは実現しない。リスクテイクして資金が流れ込むシステムが必要なのだ。次世代企業が求められているいま,日本でもプライベート・エクイティの重要性は高まってきているのだ。
 いったいプライベート・エクイティとは何であるのか? どういう姿勢で投資するべきなのか? どうやって利益を生むのか? 投資するときに注意すべきポイントは何か? 投資したあとになすべきことは何か? 米国人弁護士でプライベート・エクイティに携わってきたマイケル・J・コーパー氏を著者とする本書はアメリカ人向けに書かれているわけではない。なぜならこれは,『週刊東洋経済』に1998年4月から半年間にわたって連載された「金融ビッグバンセミナー」をまとめたものであるからだ。日本の経済誌に掲載することを想定して書かれた文章であるので,日本の実情を踏まえながら米国の事情を説明するだけでなく,わが国の抱える問題点も指摘している。欧米でベストセラーになったものをそのまま日本語に翻訳したものとは本質的に異なるのだ。
 文章は少々だらけるところもあるが何10万冊を売り上げ目標におくわけではない専門書の水準からすると優秀である。この本は金融関係者や数億円の金融資産をお持ちの富裕層の方でプライベート・エクイティについての知識があまりない人で初歩から知りたいと考えている人,プレイベート・エクイティについての基本的な知識をまとめておきたいと考えている人にお薦めしたい。私としては日々変化するプライベート・エクイティの実情に併せて,改訂版を定期的に発行していただきたいと思う。
(C) ブックレビュー社 2000

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