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  3. タカザワケンジさんのレビュー一覧

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先月(2017年6月)

タカザワケンジさんのレビュー一覧

投稿者:タカザワケンジ

27 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本ダーク

2002/11/18 12:15

ミロ・サーガの新展開を示す、驚愕の物語

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 物語は遠慮会釈なく始まる。新宿二丁目に居を構える女探偵村野ミロは、「40歳になったら死のうと思っている」と独白する。40歳になるまで2年弱。かつて心を通わせながら、自らの手で刑務所に送り込んだ男が出所するのを待つことが、ミロの生活のほとんどすべてだった。ところが、男はとうの昔に刑務所で自殺していたと知る。
 男の死をミロに隠していたのは義父だった。ミロは義父を激しく罵り、問いつめる。心臓発作を起こした義父はミロの目の前であっけなく死ぬ。義父の愛人だった久恵は盲目ながら、愛する人を殺したのはミロだと直感し、復讐するためにミロの後を追う。
 ミロは、義父の金を盗み、偽造パスポートを買い、韓国に渡った。髪型も化粧も名前も変え、韓国人の愛人になったミロは、すべてを捨てたつもりだった。しかし、そこへ久恵が乗り込んでくる。久恵は同行したミロの友人、友部に腕を取らせ、見えない標的に向かって、拳銃の引き金を引いた!

 村野ミロは江戸川乱歩賞受賞作『顔に降りかかる雨』の主人公として登場して以来、長短篇で活躍している。ミロの義父、村野善三の青年時代を描いた長篇ミステリー『水の眠り 灰の夢』もあり、ミロ・サーガとでも呼ぶべき世界が展開されていた。
 ところがそのサーガが変調をきたしはじめた。乱歩賞受賞が象徴するように、それまでのミロの世界はウェルメイドなエンターテインメントの範疇にあった。ところが、短篇集『ローズガーデン』の表題作(書き下ろし)はまるで雰囲気が違っていた。ミロの前夫の視点で、ミロと善三の奇妙な関係が描かれ、ミロ・サーガのなかでは明らかに異質だった。しかし、そのインモラルで濃密な世界には強烈な魅力があった。それまでのミロ・サーガには欠けていた「匂い」があったからである。
『ダーク』は、「ローズガーデン」を先触れとして始まった、ミロ・サーガの新たな地平である。これまでの女探偵としての役割をあっさりと捨て、日常から逸脱し、犯罪に手を染め、破滅へ向かってひた走るミロ。これまで自分が属していた世界を捨て去り、なお、微塵の後悔もしない。ミロは墜ちていくことで旺盛な生命力を発揮していく。そのパワーに読者は否応なく引っ張られていくはずだ。
 この先、ミロはどこへ行くのか? その行方を想像し、次作を待つという楽しみを味わうために、『ダーク』はいま、ここで読んでおくべき作品である。 (タカザワケンジ/bk1エディター)

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ロンド

2002/11/11 18:15

芸術と死。深遠なるテーマを見事なエンターテインメントに仕上げたスリリングなミステリー

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 その絵が画廊に飾られ、人目に触れたのはたった三日間だけ。しかも、作者によって写真撮影も許されず、したがって図版も存在しない。そして、個展終了後、間もなく訪れた作者の死。同時にその絵までもが行方知れずになってしまう。
 絵のタイトルは『ロンド』。見た者はその絵が忘れられず、それどころか、その絵を見た者たちの口伝えだけで『ロンド』のイメージに魅了される者も少なくなかった。
『ロンド』が消え去って12年。作者の三ツ桐威の大規模な回顧展を企画していた学芸員、津牧のもとに、『ロンド』のありかが判明したという報が入る。『ロンド』に出会える日を願っていた津牧は喜びに震える。しかし、その日、「ロンドPart1」と題された一日だけの展覧会へ足を運んだ津牧は、そこで死体を発見する。死体はジャック=ルイ・ダヴィッドの『マラーの死』そっくりのポーズを取っていた。

 謎の絵画をめぐって殺人が起こる。しかも、犯人は、その死体に過去の名画をなぞらせ、芸術作品のつもりでいる。「ロンドPart1」と題された第一の殺人は、必然的に、第二、第三の殺人を予告するものだった。
 誰が、何のために。そして、幻の絵画『ロンド』との関係は? まだ見ぬ『ロンド』に導かれるようにして美術の世界に足を踏み入れた主人公は、犯人からその「作品」の読み解きを依頼されたのか。殺人を芸術として取り上げようとする美術雑誌までを巻き込んで、スキャンダラスな連続殺人が起こる。

 この分厚く、持ち重りのする本は、恐るべき企みを潜めたミステリーである。芸術にとって、モラルとは何か? 芸術家を魅了してやまない死とは何なのか? 微に入り細を穿って書き込まれたディテールは、作者がキャリアを積み重ねてきた木口木版画の世界にも通じる緻密さである。
 木口木版画とは西洋の古書などに登場する細密な画。柄澤齊は『決定版三島由紀夫全集』や『吉田健一集成』などで、その画を読書人たちにも知られている。謎に惹かれて読み進むうちに、いつしか濃密な芸術と死の乱舞へと招待される。最近、長い割に読み終えた後の満足感が乏しいとお嘆きのあなたに、ぜひこの『ロンド』をお薦めしたい。歯ごたえのあるミステリーである。 (タカザワケンジ/bk1エディター)

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横溝正史の世界を換骨奪胎、現代に蘇らせた長篇ミステリー

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『葬列』で第20回横溝正史賞を受賞し、プロフィールに「横溝正史を敬愛する」と書き添えてきた小川勝己の、まさしく、横溝正史の系譜を現代に蘇らせた力作である。

 智明は岡山県渕之部郡香住村字撓田(しおなだ)の中学三年生。幼なじみの同級生、将晴は地元の名家、朝霧家の跡取り息子だった。小学生に間違えられそうなほど子供っぽい智明と対照的に、大人びた雰囲気を身につけていた。
 村ではある事件が起こっていた。将晴の祖母、八千代が一ヶ月ほど前から行方不明になっていたのだ。そんな時、奇妙な殺人事件が起こる。何かのメッセージを発するかのように死体がポーズを取らされていたのだ。村に伝わる「犬使いの妖婆」の伝説が、殺人事件と何らかの関わりがありそうなのだが……。

 横溝正史の世界さながらに、登場人物の血縁、過去の人間関係が入り組み、錯綜する。殺人のトリックを解く楽しみもさることながら、その背景にあるさまざまな奇縁を読み解くことが魅力である。しかも、横溝正史の世界をなぞるのではなく、これまでの作品で著者が培ってきた「鬼畜系」とも評されるクールな描写により、土着的な世界を現代に蘇らせることに成功している。

 小川勝己は1965年生まれ。『犬神家の一族』が映画化され、横溝正史の一大ブームが起こったのが1976年だから、推測するに、著者がその多感な小学生、中学生時代に横溝正史の作品と運命的な出会いを果たしたのではないだろうか。この小説の主人公が中学三年生であり、彼らの生活を生き生きと描いている背景には、著者のノスタルジーも作用しているような気がする。
 ちなみに著者は、横溝正史生誕100周年を記念して編まれたアンソロジー『金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲』でも、金田一耕助を主人公に、「愛の遠近法的倒錯」という本書の副題ともリンクするタイトルの短篇を書いている。興味のある方は合わせてお読みいただきたい。 (タカザワケンジ/bk1エディター)

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半落ち

2002/09/25 18:15

一つの事件に関わった男たちの「揺らぎ」を描くミステリー

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 松本清張賞を受賞した「陰の季節」、直木賞候補に挙げられた「動機」などの短篇小説が好評を博した著者が、長篇小説に挑んだ話題作である。

 W県警本部教養課次席、梶聡一郎警部が「妻を殺した」と自首してきた。アルツハイマー病に苦しんでいた妻に乞われ、その手で妻を扼殺したという。嘱託殺人──警察官が、という意外性はあっても、それだけならありふれた事件に過ぎないはずだった。しかし、梶は妻の死後二日間、どこで何をしていたか、黙して語らなかった。ただ、新宿歌舞伎町へ足を運んだ形跡があるのみである。梶の自供は「完落ち」ではなく「半落ち」だったのだ。
 警察官の非行発覚を恐れた県警幹部は梶に、「死に場所を求めて彷徨っていた」と型どおりの証言をさせて送検する。しかし、取り調べを担当した刑事、検察官、新聞記者、判事補らは、梶が何かを隠していることを確信していた。だが、組織の軋轢、法制度の壁が、彼らから梶を遠ざけ、彼の真意を隠してしまう。
 梶は妻を殺した部屋に「人生五十年」と書をしたためていた。49歳の梶は50になったら死ぬつもりなのか。梶は澄み切った瞳で、取り調べにあたる男たちを見つめる。

 第一章の主人公である捜査一課強行犯指導官の志木和正(48)は取り調べについてこんな哲学を持っている。
「取り調べは一冊の本だ。被疑者はその本の主人公なのだ。彼らは実に様々なストーリーを持っている。しかし、本の中の主人公は本の中から出ることはできない。こちらが本を開くことによって、初めて何かを語れるのだ。」
 私たち読者も、本を開き、梶の物語に耳を澄ませたい。じっくりと味わいたい佳品である。 (タカザワケンジ/bk1エディター)

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キングの語り口が冴え渡るサバイバル・ストーリー

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 本書について、どんなお話か? と問われたら説明は一言で済む。「森に迷った9歳の女の子のサバイバル・ストーリー」。単純で、ありきたりだと感じるかも知れないが、さすがスティーブン・キング。1ページ目から最終ページの最後の行に至るまで、読者を夢中にする手練手管は見事である。やはりキングは天才だ。

 9歳の少女トリシアはハイキングの途中で兄と母とはぐれてしまう。歩けども歩けども遊歩道に戻れず、どんどん森の深みにはまっていってしまう。トリシアの頭の中に冷たい声が聞こえてくる。「この森から永遠に出られないかもしれないよ」。

 トリシアはあこがれの大リーグ選手、トム・ゴードンを心の支えにしながら、森についてのわずかばかりの知識と、たくましい生命力で生還しようとする。どんぐりを食べたり、チェッカーベリーを食べたりして飢えを凌ぎ、身体に泥を塗って、蚊から身体を守る。しかし、彼女のことをじっと見ている「あれ」の存在がつきまとい続けるのだった……。

 キングは、子供が持っている旺盛な生命力と、自分の心を勇気づけてくれる豊かな想像力、そして、その良質のエネルギーの隙間に入り込んでくる悪夢のような悪い想像力を巧みに描く。
 トリシアが無事に森から抜け出すことができるのか、最後まで予断は許されない。物語は野球の試合を模して「1回」「2回」と進んでいくが、どんな野球の試合もそうであるように、いつ「奇跡」が試合途中に起こるか、誰も予想することは出来ないからだ。

 タイトルにもなっているトム・ゴードンは実在の大リーガーで、小説の舞台になっている98年6月は、ちょうどゴードンが華々しく活躍し最多セーブ投手に輝いた年である。最後の打者を打ち取った瞬間に、天を向けて指を指すというトム・ゴードンの姿は、トリシアがめざす勝利の象徴なのである。

 トリシアは、果たしてこのゲームに勝つことが出来るのか。読みはじめたら最後、少女の運命から目が離せなくなるだろう。 (タカザワケンジ/bk1エディター)

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グレイヴディッガー

2002/08/23 15:15

「甦った死者=グレイヴディッガー」の獲物は何か?

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 悪党面の男がいる。少年時代から恐喝、詐欺を繰り返し、32歳の今、若々しさを失った狡猾な犯罪者の顔にできあがってしまった。そころが、その男、八神が一念発起、骨髄移植ドナーになり、病気に苦しんでいる人を救おうとする。
 入院前に自室に帰ってみると、、安全上の理由から部屋を交換していたホストの島中が、両手両足の親指を縛られ、沸騰した湯船に沈んでいた。うろたえる八神。そこへ、正体不明の男たちが乗り込んでくる。八神は反射的に逃げ出し、赤羽のアパートから、一路、大田区六郷の入院先をめざす。
 東京の北の外れから南の外れまで、水上バス、電車、タクシー、モノレールを乗り継ぎ、追っ手をまき、警察の捜査網を逃れ、小悪党はひたすら逃げまくる。

 捜査を開始した警察は、島中以外に同時多発的に殺人事件が起こっていることに困惑する。しかも、その殺し方は中世魔女狩りの時代に、イングランドで異端審問官たちを殺していった「甦った死者=グレイヴディッガー」の手口そのままだったからだ。犯人は現代の異端審問官を手に掛けようとしているのか。被害者に共通しているのは骨髄移植ドナーだという一点だけだった……。

 第47回江戸川乱歩賞受賞作『13階段』が絶賛を浴びた高野和明の第二作。俗に「二作目のジンクス」などと言われるが、高野の場合は無縁だったようだ。現代医療の最先端である骨髄移植から、中世の魔女狩り、公安のエス(スパイ)工作、カルト教団など、多彩なモティーフを盛り込み、気を逸らせない。
 スピーディーな展開もさることながら、主人公八神の憎めない小悪党ぶりと、ユーモアのセンスが緊迫感のある物語に緩急をつけ、読み応えがある。読者諸兄は、最後のページを繰って、期待が裏切られることがなかったことに満足するはずだ。『13階段』が決してフロックでなかったことを証明する傑作! (タカザワケンジ/bk1エディター)

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紙の本滅びのモノクローム

2002/08/21 18:15

風化しかけたフィルムに残された消せない過去

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 広告代理店の仙台支社に勤務する日下は、散歩がてら足を向けた仙台東照宮の青空骨董市で、英ハーディー社製の古いフライフィッシング用リールを見つける。
 売っていたのは三十代の女で、家の蔵にあった死蔵品を売っているのだというが、その品の価値をわかっていない。日下はタダ同然の値段でリールを買い取ることに成功する。
 おまけに付けてくれた缶の中にはボロボロになった古い16ミリフィルムが入っており、つまんだ1コマには山中の湖でフライフィッシングを楽しむ外国人の男性が写っていた。
 日下はフィルムを再生し、与党自公党宮城県連のCMに使うことを思い立つ。CMオタクのデザイナー、大西にフィルムの再生を依頼するが、その大西がフィルムごと姿を消してしまう……。

 フィルムに写っていたものはなんだったのか。そのフィルムを闇に消し去ろうとする勢力の正体は? 日下はリールの売り主だった月森花とともに真相に迫る。そこには、戦後、闇に葬られていた犯罪行為が関係していた。

 第48回江戸川乱歩賞を受賞作。戦時中に日本人の手で行われた残虐な事件がモティーフになっている。風化しつつある戦争の記憶は、ぼくたちが生きる現代を「戦後」ではなく、次なる戦争の「戦前」にしかねない。そんな危うい世相を背景にしたサスペンスだ。
 著者は1959年宮城県生まれ。仙台の広告制作会社を経て、現在はコピーライター。知られざる歴史的事実と組み合わせてサスペンスを産み出す技量はアマチュア離れしている。

 江戸川乱歩賞は他の公募賞に比べて、とくに大人の鑑賞に耐えうるエンターテインメント作品が選ばれてきた。この作品も重いテーマを核に置きながら、追いつ追われつのスピード感ある展開で最後まで読ませてくれる。ミステリファンのみならず、読み応えのある小説をお探しの方におすすめしたい。 (タカザワケンジ/bk1エディター)

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紙の本投資アドバイザー有利子

2002/08/07 12:15

「こんな時代やさかい」読んで元気になりたい経済小説

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 長引く不況を背景に、ペイオフ全面解禁を近い将来に控え、国民一人ひとりが自分の財産をどう護っていくか、どう有効に増やしていくかを真剣に考えなければならない時代が来た。
 そんな時代に、求められているのは、個人投資家を相手にしたお金のプロフェッショナルだ。幸田真音の新刊『有利子』は、求められるべきお金のプロを目指して奮闘する女性投資アドバイザーを主人公にしたエンターテインメント経済小説である。

 財前有利子(ありこ)は28歳。ふたば証券で個人投資家を対象とした投資アドバイザーである。有利子のモットーは、顧客に絶対に損はさせないこと。高い情報収集能力と相場を読むカンで実績を残しつつあった有利子の前に、一癖、二癖ある個人投資家たちが現れる。

 著者の幸田真音は、『日本国債』、『凛冽の宙(SORA)』などのベストセラーで、ジャーナリスティックな要素をふんだんに盛り込みながら、日本経済の暗黒面にメスを入れてきた。しかし、『有利子』では一転して、コメディータッチの明朗経済小説に挑戦している。軽快なタッチでテンポがよく、小説をあまり読まない人でも読みやすいはずだ。

 日本の小説では「投資」という言葉が出てくると、たいていは悲惨な側面ばかりが強調されがちで、教訓的にリスクは取るな、とオチがつくことが多い。小説が書かれる現場がビジネスから遠く離れていたからだろう。しかし、証券業界でキャリアを積んできた幸田真音は一味違う。『有利子』は、株式投資や為替トレーディングについて初心者にもわかりやすい言葉で描き、情報小説的な側面を持っている。
 投資には悲喜こもごもが付き物だが、研鑽を積んで腕を上げれば、その世界で成功できる──有利子のシンプルな世界観は、悲惨なニュースばかりが取りざたされる昨今、元気付けられる思いがする。「こんな時代やさかい」、この後味の良さは貴重である。 (タカザワケンジ/bk1エディター)

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紙の本晴子情歌 上

2002/06/04 22:15

母と息子の人生に、昭和という時代を仮託した意欲的な長篇小説

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 遠洋漁業に出た彰之のもとに母の晴子から百通を超す手紙が届く。そこには、母の半生が描かれていた。彰之は自身の記憶をたどりながら、母が生きてきた人生の時間を遡っていく……。

 高村薫の『晴子情歌』はこれまで作者が得意としてきたミステリー、サスペンスというジャンルに属さない長篇小説だ。しかし一方で、この『晴子情歌』が高村薫の作品に通底する、スケールの大きな「謎」をはらんでいる。

 母からの膨大な量の手紙を受け取り、その真意を測りかねながら、さりとて、その話を直接、母に尋ねることもできず、また船に乗る彰之。彼は東大理学部を出て漁師になった。それは何故か。
 晴子は自分の母親の話から回想をはじめる。大正デモクラシーの空気を吸った良家の娘と、青森の貧農の息子でありながら、秀才を買われて東京帝大に進んだ父との出会い。そして、父は、母の死をきっかけに教師の職を辞し帰郷。漁師になる。その真意は何だったのか。
 それどころか、晴子が息子にあてて百通を超す手紙を書いたのはそもそも何故なのか。手紙を受け取るたび、彰之の中に一人の女として晴子像が立ち上がってくる。あたかも、人生には謎がつきものだというように──。

 高村薫の小説の特徴とも言える、生々しい人物描写はこの小説にも見事に生きている。晴子が父を追って職を得る「鰊(にしん)場」に集う漁師たちの生き生きとした存在感や、彰之の漁船での仲間たちの鮮やかな輪郭は小説を読み終えた後でも忘れがたい。

 母と子の生きた時間を遡りながら、この国が経験してきた事件を、言葉によってかたちづくろうとする野心的な試み──高村薫の挑戦ははじまったばかりだ。高村作品のターニング・ポイントとなりそうな予感に満ちた物語である。 (bk1ブックナビゲーター:タカザワケンジ/ライター・bk1エディター)

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紙の本晴子情歌 下

2002/06/03 22:15

母と息子の人生に、昭和という時代を仮託した意欲的な長篇小説

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 遠洋漁業に出た彰之のもとに母の晴子から百通を超す手紙が届く。そこには、母の半生が描かれていた。彰之は自身の記憶をたどりながら、母が生きてきた人生の時間を遡っていく……。

 高村薫の『晴子情歌』はこれまで作者が得意としてきたミステリー、サスペンスというジャンルに属さない長篇小説だ。しかし一方で、この『晴子情歌』が高村薫の作品に通底する、スケールの大きな「謎」をはらんでいる。

 母からの膨大な量の手紙を受け取り、その真意を測りかねながら、さりとて、その話を直接、母に尋ねることもできず、また船に乗る彰之。彼は東大理学部を出て漁師になった。それは何故か。
 晴子は自分の母親の話から回想をはじめる。大正デモクラシーの空気を吸った良家の娘と、青森の貧農の息子でありながら、秀才を買われて東京帝大に進んだ父との出会い。そして、父は、母の死をきっかけに教師の職を辞し帰郷。漁師になる。その真意は何だったのか。
 それどころか、晴子が息子にあてて百通を超す手紙を書いたのはそもそも何故なのか。手紙を受け取るたび、彰之の中に一人の女として晴子像が立ち上がってくる。あたかも、人生には謎がつきものだというように──。

 高村薫の小説の特徴とも言える、生々しい人物描写はこの小説にも見事に生きている。晴子が父を追って職を得る「鰊(にしん)場」に集う漁師たちの生き生きとした存在感や、彰之の漁船での仲間たちの鮮やかな輪郭は小説を読み終えた後でも忘れがたい。

 母と子の生きた時間を遡りながら、この国が経験してきた事件を、言葉によってかたちづくろうとする野心的な試み──高村薫の挑戦ははじまったばかりだ。高村作品のターニング・ポイントとなりそうな予感に満ちた物語である。 (bk1ブックナビゲーター:タカザワケンジ/ライター・bk1エディター)

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Like a peach

2002/05/28 22:15

「蜷川ワールド」の中ではじける少女たちの魅力が全開!

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 蜷川実花の『Like a peach』は雑誌に発表された女性モデルの写真を集めた写真集だ。「SPUR」「VOGUE NIPPON」などのモード系ファッション誌から、「CUTiE」「SCawaii!」「mc Sister」などのティーンズ・ファッション誌、音楽雑誌「barfout!」など多岐に渡っているが、どの写真も見事なまでに「蜷川実花ワールド」になっている。鮮やかな原色の世界は彼女ならではのものだ。
 しかし、この写真集では、色彩の鮮やかさだけでなく、ディテールに込められたアイディアの豊かさにも注目したい。カバー写真の背景に散らばっているクッキーの可愛らしさ、水玉、ハートマークなどの背景、ボーリング場、動物のオブジェのある公園、50’風のスーパーマーケットなどロケ場所選びのセンスの良さが心地いい。さらに、花びらが浮かんだ黒い水面にボートを浮かべてラファエル前派風のイメージを作り出した一枚(モデルは千秋!)まであり、百花繚乱の趣がある。

 『Like a peach』に登場するモデルもバラエティに富んでいる。高橋マリ子、ジェシカ、黒澤優、長谷川京子、小林明美、市川美和子、市川実日子、吉川ひなのなどのモデル系はもちろん、鬼束ちひろ、bird、カヒミ・カリイなどのミュージシャン、そして安西ひろこ、千秋、MEGUMI、小野愛などのタレント、さらにはタカラジェンヌの紫吹淳、匠ひびきも登場する。そして、あの現代美術家、草間弥生(!)の姿もある。
 このラインナップこそ雑誌を横断して仕事をしている売れっ子フォトグラファーの面目躍如だろう。「旬」の人の写真をさまざまな雑誌で撮り、なおかつ、それが自身の作品なりえる個性というのは生半可なものではない。美少女モデルから巨乳アイドル、タカラジェンヌ、アーティストまで、彼女たちの中の少女が美しく花開いている。 (bk1ブックナビゲーター:タカザワケンジ/ライター・bk1エディター)

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ホームヘルパーは見た!

2002/05/28 01:23

新米ホームヘルパーが覗いた<介護>の現実を軽快に描く

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ご注意いただきたい。この本は、福祉に目覚めた心優しいホームヘルパーのハート・ウォーミングなノンフィクションでは「ない」。ホームヘルパーの仕事に興味がある方にはぜひおすすめしたいが、本書を読み終えた後でも「ホームヘルパーになって困った人の役に立ちたい!」と思えるかどうかは保証できない。
 しかし、現実を念頭においてから、自分のやりたいことを探すべきだという職探しの原則に立ち返れば、ヘルパー志望の方はまず本書を読んでこれから直面する現実への心構えをすべきだと思う。

 著者は三十代前半の主婦。家事が得意で、お年寄りの世話をするのも苦にならないから、ホームヘルパーは天職かも、とヘルパー1級の資格を取得する。時は平成十二年。介護保険スタートの年で、ホームヘルパー不足が問題になっていた。

 意気揚々と現場に乗り込んだ著者は、そこで介護制度のでたらめさに唖然とする。
 介護保険の運用はいいかげんで、とても要介護とは思えない老人がホームヘルパーをお手伝いさん扱いしていたり、老人の家族がヘルパーを使おうとしたりと厚かましい輩がわんさかいる。
 介護サービスの内容も、「家事援助」と「身体介護」「複合型」の3種類があり、ヘルパーの賃金は「身体介護」「複合型」「家事援助」の順。ところが、現場でヘルパーがふうふう言っているのは「家事援助」。生活全般のこまごまとしたことをやらされるからだ。しかし、一番お金は安い。これってなんだ? そう、例の「事件は会議室で起こってるんじゃない!」ってやつだ。現場を知らないお役所仕事の弊害が、ここにも起こっている。しかも、介護サービスは介護サービス提供事業者に委託されていて、そこでヘルパーがピンはねされる時給はも最大8割というすさまじさ。
 それでも、現場のホームヘルパーは福祉の仕事=人の役に立つ仕事と信じて働いていられるものだろうか? 少なくとも、本書の著者はプロのヘルパーとして、現状を「NO!」だと書く。

 介護されている老人たちも、一般にイメージされているような弱々しい人たちばかりではない。身体の自由が利かなければ、それだけイライラも募るし、そのストレスを誰かにぶつけたくなるのは当然。そのはけ口がヘルパーに向かうことだってある。優しくして愛されればいいかというと、そこからセクハラ事件が発生したり……。いやはや、ホームヘルパーはタフでなければ生きていけない。

 しかし、著者はすべての老人たちにうんざりしていたわけではない。「ボケたってラブリー&キュートな人々」という章では、著者の目から「こんなふうに歳を取りたい!」と思わせてくれた老人たちへのオマージュが捧げられている。ヘルパーだって人間。この人に喜んでもらえるなら、と腕まくりをしたくなるような人たちだって、もちろん、いるに違いないのだ。

 本書は著者の処女作だが、テンポがよく歯切れのいい文章はユーモアが効いていて、老人介護という重くて暗いテーマにも関わらず読みやすい。世間の常識を身につけた「普通の人」が介護の現場に入ったら、どんな世界だったのか? ぜひご一読いただきたい。

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紙の本ウランバーナの森

2002/01/23 02:32

軽井沢の森で死者たちと再会したジョン・レノン

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『最悪』で骨太な社会派ドラマを展開した奥田英朗のデビュー長篇。読みはじめて面食らった。主人公がジョン・レノンその人だからだ。しかも、音楽活動の表舞台から姿を消していた空白の時間、ヨーコとショーンと築いた家庭の「主夫」として暮らしていた夏が描かれている。
 なんと大胆な。むろん、小説、フィクションであるからジョン・レノンというフルネームは出てこない。ヨーコはケイコ、ショーンはジュニアと改められている。しかし、主人公ジョンがジョン・レノンであることは明らかだ。そして、「文庫版へのあとがき」のなかで著者自身が認めている。

 簡単にストーリーを紹介しよう。
 軽井沢の別荘で夏を過ごしていたジョンに異変が起きる。いままでに体験したことがないくらい長い便秘だ。クスリを飲んでもいっこうに効果がなく、妻のケイコにすすめられて「アネモネ医院」という診療所に通院する。そのかえり、森の中でジョンは自分の人生に登場し、心のトゲになっていた「死者」たちと出会う……。

 著者の奥田自身がジョン・レノンのファンであり、評伝、インタビューの類を読みあさったが、「主夫」時代についてはごくあっさりとした描写しかしていないことに不満があったという。そこで奥田はフィクションで、ジョンにとっての「人生の休暇」を再現しようとしたのである。結果、この世とあの世を行き来するジョン・レノンの姿が描かれることになった。

 人生のある時期にさしかかって、過去の自分を振り返り、心的外傷(トラウマ)と向かい合う……そういう物語は数多い。幽霊との邂逅という設定に限っても、即座に山田太一の『異人たちとの夏』が思い浮かぶ。『ウランバーナの森』も季節は夏、お盆だ。死者との邂逅によって自分の人生をあらためて見つめ直す──東洋思想がジョン・レノンというキャラクターとマッチングしていることは言うまでもない。ジョンの前になら、死人の一人や二人現れてもおかしくない。そして、その経験を受け止めることが出来る柔軟さに富んだキャラクターだと思うからだ。

 テーマがユニークであるだけに、読み手のイマジネーションが広がりすぎてしまい、「ここはもっとこうしてほしい」という異論があるかもしれない。ぼくも、まあ、そう思う部分もある。しかし、冷静になってみると、これくらいの軽さがかえってこの小説の魅力なのだと思う。ジョン・レノンファンだけでなく、自分の過ちが心にトゲのようにささっていると感じる人に、優しい癒しを与えてくれるだろう。

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死霊の跫

2001/12/11 20:46

静かに忍び寄る恐怖を描くホラー短篇集

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 恐怖というのは不思議な感情だ。ぬぐいさろうとすればするほど絡ついてくる。気にしまいとすればするほど、ほんのちょっとしたことにも「気配」を感じてしまうのだ。そして、本当の恐怖はある日突然、理不尽にやってくる。恐怖に震える人間たちの無力さは、人がいかにちっぽけな存在かを容赦なくあらわにする。

 雨宮町子のホラー短篇集『死霊の跫(あしおと)』はどちらかというとオードックスな「恐怖小説」である。しかし、作品それぞれに語り口、モティーフを変え、恐怖のさまざまなかたちを淡々と描いている。

 収録されている短篇の内容とちょっとだけ紹介しておこう。
 『高速落下』は、先輩教師の葬式をサボって流行の「絶叫マシーン」に乗った若い教師たちがたどった運命。『いつでもそばにいる』は、おんぼろアパートで知り合った若い男女3人が心霊現象の真贋定めに夢中になるあまりに引き寄せてしまった恐怖。『Q中学異聞』は校庭から掘り出された古い日時計とともに甦った恐るべき呪い。『這いのぼる悪夢』は獰猛な繁殖力を持つクズ(雑草の一種)と奇妙なカルトの教えが導いた破滅へのカウントダウン。『翳り』は成功した少女漫画家が味わう「あの世」を見てしまうことの不思議な感覚。『幽霊屋敷』は突然死した中年女性が残した鎌倉の屋敷が幽霊屋敷と呼ばれる理由をミステリー風に綴る。

 いずれの作品も語り口のなかに巧妙に恐怖と謎が仕掛けられている。紹介してしまってからなんだが、まったく予備知識なしに読みはじめた方が楽しめるだろう。
 注目すべきなのは、これらの物語が単なる因縁話や教訓話でないことだ。現世的な人間の思惑を超えたところに恐怖が生まれる。収録されたすべての作品が傑作というわけではなく、なかには着想を生かし切れていないと感じる残念な作品もあるけれど、どれも「恐怖」について考えられ、練られている。
 たとえば『高速落下』は、事件当事者の同僚教師が引っ越し先の大家に物語を語るという体裁を取っている。一見、迂遠なやり方のように思えるが、語り伝えられることで、恐怖が静かに伝染していく。そもそも「怪談」とはそのように語り伝えられることで恐怖を増していったジャンルのはずだ。
 「死霊の跫(あしおと)」は、静かに、しかし、すぐ背後までしのびよってくる恐怖を見事に表現している。

 著者の雨宮町子は1954年東京生まれ。第2回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した『骸の誘惑』でデビューし、ミステリー、ホラーなど幅広い作風を誇る。
 前作の『たたり』はタイトルそのままの、ストレートなホラー長篇小説だった。SF作家とその妻が山奥の洋館に移り住む。男爵の別邸だったという、いかにも歴史を感じさせるたたずまいの邸宅。夫婦は喜んで暮らしはじめるが、やがてたっぷりと恐怖を味わうはめになる。後半から結末にかけて、ややあっけない感じを受け、トータルではちょっとものたりなかったのは残念だった。
 しかし、この短篇集『死霊の跫』では、語り口の上手さが感じられ、その才能の豊かさがうかがえる。これからブレイクしそうな作家の一人として、注目しておきたい。

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紙の本水曜の朝、午前三時

2001/12/10 12:34

大阪万博を背景にしたちょっとビターなラブストーリー

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 1970年、大阪吹田市千里丘陵で大阪万博が開かれた。330万平方メートルの敷地に115館のパビリオンが立ち並び、わずか半年のオープン期間に6422万人の入場者がつめかけた。大阪万博は、敗戦から立ち直った日本経済がついに国際的な競争力を身につけたことを象徴する一大イベントだった。テーマは「人類の進歩と調和」。日本人の価値観が大きく変わろうとしていた時代だった。

 1992年、45歳という若さで一人の女性が癌で亡くなった。四条直美。彼女は翻訳家であり、名の知れた詩人でもあった。直美は闘病中に死を予感し、ニューヨークに留学中だった娘にあてて4本の録音テープを残した。そのテープに吹き込まれた告白は、直美が娘の父親と結婚する前に出会った、ある男との恋物語だった。

 東京の旧家に生まれた直美は大学を卒業して小さな出版社に務めるが、両親が決めた婚約者との結婚を先延ばしにするために、大阪万博のコンパニオンに応募する。直美は語学に堪能で、どこか冷めた印象を感じさせる臼井という青年と出会う。物語の主軸となるのは、直美が臼井に対して抱いた恋心と、その恋がある障害に阻まれていく過程である。

 深窓の令嬢が、見知らぬ地で出会った謎めいた男と恋に落ちる。恋愛小説としては実に古風な設定だ。しかし、この小説の妙味は、1970年の大阪万博を背景に持ってきたことだろう。
「人類の進歩と調和」という理想を大きく掲げた万博は、高度経済成長の総仕上げであり、国民はこれからもっと日本が良い国になることを疑っていなかった。娯楽性豊かなパビリオンの数々は、良き未来の設計図だったのである。しかし、万博の華やかな表舞台の陰には、隠された恋、隠された現実があった。作者はその恋と現実を繊細な筆致で描き出している。

 また、この小説の魅力は四条直美という女性の魅力でもある。祖父がA級戦犯だったという没落した旧家で厳格に教育されながら、時代の空気をたっぷりと吸い込んで「ボブ・ディランを聴きながらサルトルを読んでいた」ような女性。社会の価値観が大きく変わろうとしている時代に社会という海へ漕ぎ出していこうとする冒険者だ。しかし、彼女の船出は決して順風満帆ではなかった。そのドラマを、死に臨んだ45歳の女性が人生の「まとめ」として語りはじめる。

 人生の最期に語られる恋物語──その甘さと苦さを存分に味わいたい小説である。

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