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落合美知子さんのレビュー一覧

投稿者:落合美知子

9 件中 1 件~ 9 件を表示

紙の本わたしのワンピース

2001/05/25 18:36

インプリンティング時代の幼子のように、ワンピースに染まったお花・虹・お星さま

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 小さい時、描いたことがあるように思える程、親しみやすいうさぎの絵が主人公のわたし。どの家庭にも子どもが鉛筆で描いた絵の中にありそうなうさぎです。幼い子どもにとっては、大人以上に馴染みやすい絵本でしょう。でも、読んで見るとただ気安いだけでなく、心地良い音楽を聴いた時のようにふわぁとし、心が美しい自然に染まったように感じます。それは、一見、子どもの絵のようでありながら、芸術としての質の高い色彩、絵のリズム、ナイーブな画家の感性が滲んでいて、軽やかなことばとぴったりだからでしょう。
 はじめに「まっしろなきれ ふわふわって そらから おちてきた」と天からの贈り物の白い布で、わたしのワンピースを作ります。「できた できた ラララン ロロロン わたしに にあうかしら」聞き手も、自然と参加して、男の子からも「うん にあうよ」ということばが返ってきます。「おはなばたけを さんぽするの だあいすき」一面のお花の中を通ると、ワンピースは、花模様になってしまいます。聞き手とのコミュニケーションを計りながら、雨が水玉模様に、草の実模様、鳥の模様、空を飛んでおしまいには、星の模様になったすてきなワンピース。
 私は、20年以上前になりますが、娘が2才数ヶ月の頃買い求め、毎日読みました。こんなワンピース欲しいなと憧れのような気持ちになりました。母親の私には、未だに憧れにすぎませんが、一緒に楽しんだ娘は、大きくなった時、この絵本の絵もことばも楽しい時も憧れさえも体の一部になっていました。幼い頃の体験は、このワンピースと同じなのですね。この絵本を開くたびに、五感の働きによって体にプリントしている子ども時代のすばらしさを思います。大人になって、ほとんど忘れてしまっていても、無意識の底にプリントされたものは、無意識のうちに働き出しますから。
 発行されてから、もう30年以上子どもたちに夢を与え続けていて、すでにお父さんお母さんになって我が子と楽しんでいる方も多いようです。二代目の絵本になりましたが、まだまだ大活躍するでしょう。

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紙の本おにぎり

2002/06/21 14:21

おにぎり大好き。さあおにぎり作ろうっと!おにぎりは、手塩に掛けた心の味。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ぎゅっ ぎゅっと母さんがにぎってくれたおにぎりの味は、胸がきゅんとする味です。にぎってくれた人の手のあたたかさが、味の中につまっています。子どもの頃も年老いてからも変ることなく大好きなおにぎり。こんなおにぎりが、この絵本を順に読んでみると目の前に並ぶのです。梅干しの入ったつやつやしたのりのおにぎりです。

 だれもが作っているとおりのことが絵本になったのですが、読み終わったとたん口の中はおにぎりの味でいっぱいになります。そしてもっと食べたくなって、ごはんを炊いて、おにぎりを作ってしまいます。
 これ以上短いことばでおにぎりが出来るまでを説明することは不可能ですし、これ以上絵を簡単にすることもできません。が、手のあたたかさ、お米やのりの匂いまで伝わってくるみごとな絵によって、1〜2才から大人までおにぎりのとりこにされてしまうのです。

 絵本には、さまざまな魅力がありますが、この絵本は追体験の喜びを経験させてくれるのでしょう。とくに幼い子どもたちは、体験が繰り返し再現され、喜びが膨れ上がっていくようです。もちろん、この絵本自体がおにぎり作りの経験になっているようです。
 この絵本を読んだ日、それまで食事のすすまなかった2才の男の子が、小さな手に水をつけ、塩をつけ、炊き立てのごはんをぎゅっぎゅっとにぎって、おいしそうに食べたという電話をもらいました。

 わたしは、この絵本を読んだあとで、「ぎっちょぎっちょ」「おにぎりつくろ」とわらべうたで遊びながら、子どもたちとおにぎり作り(ごっこあそび)をして、たのしんでいます。

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ちいさなねこ

2001/02/09 13:22

ちいさなねこのはじめての冒険。ちいさな行きて帰りしものがたり。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ちいさなねこが、庭におりた。お母さんねこが見てないまに大丈夫?」まるで2才くらいの子が、お母さんの目をぬすんで家の外に出てしまった時のようなおはなしの始まりです。外には危険がいっぱい。さあ、どうなってしまうのでしょう。幼いひとたちに読むと、ねこが飛び出したとたん、自分もちいさなねこになって、冒険します。

素朴なあったかい絵とスピード感のある短いことばによって、ぐいぐい引き付けられてしまう絵本です。ちいさなねこが、自動車の方へ飛び出した時の緊迫した様子。犬に追いかけられ、木のてっぺんに登って、「にゃお!にゃお!」と泣くと、遠くにいてもお母さんねこが、聞きつけ助けに来てくれる喜び。家に帰ってお母さんのおっぱいを飲んでいる時のしあわせ。安心感。30年前に読んだ時も、今読んでも、子どもたちの表情は、同じです。この1冊の本によって、子どもの内面に必要なものは、いつの時代も同じであり、子どもたちは、変っていないことを教えられます。

ちいさなねこが、危険に遭遇しても、後戻りすることなく前へ前へと進んで行く姿は、幼い人たちの生命力そのものです。また、お母さんねこが、命をかけて子どもを守る姿が絵に力強く表現されていて、母親の立場からも感動します。特に子どもの命の叫びをキャッチ出来る心の太い絆をいつも持っている親子関係に見習いたいと思いました。大きなお母さんねこのやさしい眼差しに守られて安心して居られる場所があって、ちいさなねこは、次にもっと先へ進んで行くことができるでしょう。

息子が小学2年生の頃、息せき切って家に帰って来るなり、幼い時に読んでいたこの絵本を引っ張り出してきました。そして、お母さんねこがこねこを口にくわえて、家に帰っていく場面を開き、「同じだ!」と言いました。外で実際、そんなねこの親子を目にして、飛んで帰って来たのです。再確認出来た喜びにしばらく浸っていました。

初めておはなしに出会う人たちに対する真摯な思いが、この絵本(ことばや絵)の中に滲んでいて、読んでもらった子どもたちは、成長の過程で、作家の愛を感じとっていくに違いありません。わくわくしながら、絵本を体験した子どもたちが、しらずしらずのうちに、生きる勇気や智恵を体に染み込ませているのが、このような本との出会いなのだろうと思います。

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紙の本どうぶつのおかあさん

2001/09/21 13:53

おかあさんはこどもの先導者。おかあさんはこどもの天国

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 小さい子どものいる家庭にほとんど揃っているのが、どうぶつ絵本でしょう。幼い子どもたちは、どうぶつたちとも話が出来て、すぐともだちになってしまいます。絵本を開いて、ひとりでなにやら話し掛けているこどもたちの姿は、人生のほんのわずかな時です。
 そして、この時期、何より大きな存在は、おかあさん。この絵本は、大好きなおかあさんが、こどもをつれて(はこんで)いるどうぶつ絵本です。幼い子どもたちは、「おかあさんといっしょ」と嬉しそうに、しあわせそうにじーっと絵を眺めます。

 この絵本の表紙は、身近にいる犬のおかあさんとこども。おかあさんは赤ちゃん犬を口にくわえています。あたかも本物がいるかのようにリアルに描かれ、おかあさんならではのやさしい眼差しをまっすぐこちらに向けていて、気迫が伝わってきます。

 最初のページには「おかあさんねこは こどもを くわえてはこびます。」とあり、やはりおかあさんねこが、あかちゃんねこを口にくわえています。ほかの3匹のこねこたちもおかあさんねこを見つめています。同様にどのページの動物たちもありのままの姿で、母と子の姿は、命の源流のようにあたたかくて、いきいきしています。さるのおかあさんは、こどもをお腹にしっかりしがみつかせて、はこびます。こあら、かんがるー、ぞう、みんなそれぞれ違ったやりかたで、こどもをつれていくおかあさん。はりねずみのこどもたちがおかあさんのあとから、ちゃんと一列になってついていく微笑ましい最後のページまで、登場する12の動物のおかあさんの息づかいが感じられるような絵を見て、私は「天国」(新美南吉 作)という詩を思い出しました。
「おかあさんたちは みなひとつの天国をもっています。どのおかあさんも どのおかあさんも もっています。それは やさしいせなかです。どのおかあさんのせなかでも あかちゃんが ねむったことがありました。せなかは あちこちにゆれました。子どもたちは おかあさんのせなかを ほんとうの天国だと おもっていました。おかあさんたちは みんなひとつの天国をもっています。」

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紙の本てぶくろ ウクライナ民話

2001/01/12 11:13

てぶくろにいっぱい詰ったファンタジー。わたしもいれて!どうぞ!

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ロシアの地に語り継がれたおはなしは、この絵本によって、世界中の子どもたちの宝物になりました。おじいさんが、森を歩いているうちに、てぶくろを片方落としてそのまま行ってしまいました。雪の上のてぶくろが、おはなしの場面です。まず、ねずみが、てぶくろにもぐりこんで言いました。「ここでくらすことにするわ」そこへ かえるが、ぴょんぴょん はねてきていいました。「だれ、てぶくろに すんでいるのは?」 「くいしんぼねずみ。あなたは?」 「ぴょんぴょんがえるよ。わたしも いれて」 「どうぞ」というように、とてもリズムのよい会話で、はやあしうさぎ、 おしゃれぎつねというようにだんだん大きなどうぶつがてぶくろに入ります。それぞれの動物が着ているものも個性的に描かれています。てぶくろには、はしごがつき煙突、窓と少しずつ変化していきます。細かいところまで繊細な色彩の変化が見られ、空の色も自然の巧みな芸術をそのまま切り取ってきたかのようです。この絵本を読み始めると、小さい人たちは、自分も動物になって、楽しそうにてぶくろの中にもぐりこんでいます。私は、幼い人たちと一緒に読むたびに、ほんのわずかな時間で日常から離れ、別の空間に居られるしあわせを味わっています。
ある時、小学5〜6年生とこの絵本を読んだことが、ありました。懐かしそうに見ている子たちの表情は、だんだん幼い時のようにかわいらしくなりました。ところが、一人の男の子は、きばもちいのししや最後ののっそりぐまが、満員の小さなてぶくろに入ると、「そんな話はウソだ!」と叫びました。ウソ、ホントの世界の他に想像の空間があることや、その男の子が小さい時この絵本に出会えなかったことを私はとても残念に思いました。
毎年、子ども文庫や幼稚園のクリスマス会で、てぶくろの寸劇をします。それぞれ好きな動物になって、てぶくろの中に入っていくのです。繰り返したのしんでいます。小さい人たちの遊びもこのおはなしのように毎日がファンタジーであって、心はてぶくろのようにふくらんでいます。人生の限られた時期に与えられている喜びを伝えてくれる絵本です。いつの時代から語られて来たか、わかりませんが、ラチョフさんの絵がつけられて50年。いまだに新鮮で、絵本の傑作中の傑作といえるでしょう。

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もりのなか

2000/10/27 12:31

もりのなかは、幼な子の世界。みんなの心のふるさと。どうぶつたちと一緒にさんぽしよう。

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 この絵本には、幼児の心の世界がみごとに表わされています。どうぶつたちと散歩する主人公のぼくは、だれもが通り過ぎてきた懐かしい幼い頃の姿なのかもしれません。

 色彩のない(黒のコンテで描かれた)絵が、森の神秘さや清んだ空気を漂わせていて、本を開くと清々しい気分になります。よく、こんな地味な絵本は、子どもが喜ばないだろうと言って、読んでやらない方がいますが、お門違いです。白黒で描かれているからこそ、森やライオン、ぞう、くまなどの動物たちに、自己同一感が働き、想像力がふくらむのです。

 まず「ぼくは、かみの ぼうしを かぶり、あたらしい らっぱを もって、」と読みはじめると、2〜3才の子どもから、なにが起こるのだろうと好奇心と期待に満ちた眼差しになり、次のページを繰って「もりへ、さんぽに でかけました。」で心が動き出すのです。ぼくのさんぽについてくる動物たちの様子は、ユーモラスで、個性的です。行列を作ってすすんでいくと、カンガルーのたいこ、こうのとりのくちばしの音、ぼくのラッパや動物たちの声まで楽しく聞こえてくるようです。
 遊びが展開しておしまいに、かくれんぼをすると、ぼくが鬼になります。「もういいかい」といって、目をあけた時には、ぼくをさがしに来たお父さんがいました。お父さんには動物たちの姿が見えませんが、「きっと、またこんどまで まっててくれるよ」というのです。大人になると見えなくなる世界があることをわかっているお父さん。わたしは、絵本を開くたびにこのお父さんのようでありたいと思い、読んでいるうちに記憶の底にある懐かしいところへ帰っていくのです。そして、子どもたちと向き合う時の原点になっています。

 この絵本は、森の中で子供時代をしあわせに過ごした作者(エッツさん)が、夫の死で辛い経験をしたあとに、うまれたものです。「もりのなか」でたっぷりあそんだ(読んでもらった)子どもたちもエッツさんのように心のバランスをとっていくことでしょう。

 この続きに「またもりへ」という絵本があります。ぼくが、ふたたび森に行き、動物たちの仲間に加わって、無心に笑います。動物たちにも大人にも出来ないことです。2冊とも幼い時のしあわせな時が、心地よいことばと清楚な美しい絵によって描かれていて、これからも静かに心に浸透し続けることでしょう。

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紙の本しろくまちゃんのほっとけーき

2000/10/02 14:59

ホットケーキを作って、食べて、分け合う喜び

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 おやつの時間はしあわせ時間。ほかほかのホットケーキが出されたら、小さな子どもたちの心は、ほかほかしてくるだろう。この絵本では、大好きなホットケーキをしろくまちゃんがお母さんと作って、ともだちのこぐまちゃんと食べている。

 子どもたちの特にお気に入りのページは、フライパンの中でホットケーキが焼けていくところ。見開き2ページの12の絵とことば。「ぽたあん」「どろどろ」「ぴちぴちぴち」「ぷつぷつ」「やけたかな」「まあだまだ」「しゅっ」「ぺたん」「ふくふく」「くんくん」「ぽいっ」「はいできあがり」1枚分では満足できない。いつも「もう いっかい もう いっかい」と何回か読むことになる。繰り返すたびに焼けていく音や匂いが感じられて、「はい できあがり」のところで、自分で作ったという満足感を味わう。幼い時から、自分で出来たこと(主体性)が、喜びであり、成長である子どもたちを満足させるのだ。

 幼児期にお母さんに読んでもらっていたKくんが、中学生の頃のこと。幼い弟が泣いていると、この絵本を出してきて見ながら、ホットケーキを作ってやった。「しろくまちゃんのほっとけーき」は、Kくんから弟に手渡され、愛のホットケーキになった。
 繰り返すたびに焼けていく音や匂いが感じられて、「はい できあがり」のところで、自分で作ったという満足感を味わう。

 しろくまちゃんは、「こぐまちゃんえほん」シリーズのなかの1冊である。こぐまちゃんもしろくまちゃんも、ぬいぐるみのようにあたたかく、親しみ深い。それに子どもの日常がよく表現されている。橙色や黄緑などの色使いが馴染みやすいのは、日本の伝統的な色彩を明るく組み合わせているからだろう。

 私は、この絵本を見ながら、古セータでこぐまちゃんやしろくまちゃんの指人形を作って、子どもたちの仲間を増やしてたのしんでいる。

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紙の本もこもこもこ

2000/08/16 17:10

ことばのリズムが絵になって・・・未来永劫の繰り返しをたのしもう

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「しーん」てどんな感じ?夜明けまえの時間?宇宙のかなた?説明するのは難しい。
でも、この絵本の1ページめの「しーん」を読むと、じーっと絵を見ていた幼い子どもたちが、しーんとなってしまう。ことばとイメージがぴったりだから、感性の良い幼な子たちは、耳と目の窓から、しーんの感じを体中に染めてしまうのだろう。
それから「もこ」と何かが生まれる時のように動き始める絵とことば。小さく「もこっ」と盛り上がった絵。背景の美しい色。「もこもこ」「にょき」「もこもこもこ」「にょきにょき」「ぱく」「もぐもぐ」「つん」「ぽろり」「ぷうっ」「ぎらぎら」「ぱちん!」「ふんわ ふんわ ふんわ ふんわ ふんわ ふんわ」「しーん」「もこ」これだけのことばのリズムが絵になっている本なのに、まるで終わることのない生命のものがたりのようだ。

 幼いこどもに読んだ時と大人だけのところで読んだ時の反応があまりにも違うので驚いている。2・3才の子どもたちはページを繰るごとにくすぐったそうに笑いころげ、オオム返しののように「つん」「ぽろり」などが口から飛び出す。それも意識しないで、かってにことばが生まれてくるかのように。ところが、大人は、どんな意味があるのだろうと考えているような顔で絵を眺めている。感性の違いをはっきり見せてくれる絵本だと思う。

私は、この本の素晴らしさを幼いこどもたちに教えてもらった。そして「もこ もこもこ」と私の声が響くたびに、子どもたちの豊かな感性に出会えて嬉しくなってしまう。

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紙の本くだもの

2000/07/28 19:23

思わず手が出るおいしい絵本。どうぞ召し上がれ

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 保育園で初めて出会った2才の女の子とこの絵本を読みました。表紙の絵は、さくらんぼ。本をひらいて、私はまず「すいか」とゆっくり読んで大きなつやつやしたすいかの絵を一緒に見ました。次のページには、食べやすく切られた赤い甘そうなすいかがお皿にのっています。「さあ どうぞ」と差し出すような気持で読みました。すると女の子は、口をぱっと開けました。私は思わずすいかを口にいれてやるしぐさをしました。女の子はまるで本当に食べているかのようにおいしい顔をしました。次のページは、取りたてのような桃。「さあ どうぞ」のページには、一口大に切られた桃が、描かれています。甘い香りがただよってくるようです。女の子は、当然という顔つきで口を開けて待っています。私は、ホークでさすまねをして口の中に入れてやりました。

ところが、次に出てきたぶどうを「さあ どうぞ」と差し出すと、女の子は、私の手を払いのけました。自分でやるというのです。小さな手でぶどうの一粒をつまむようにして口に持っていきました。次の梨からりんごや栗やミカンやいちご、おしまいのバナナまで、わたしが「さあ どうぞ」と読むたびに、自分の手で取って、満足そうな笑顔をあふれさせていました。私も女の子につられ、すっぱい味やほのかな甘い味が口の中に広がりました。


本物以上に美しく、取りたてのようなくだものの絵(写真ではなく手描きです)と「さあ どうぞ」と繰り返しすすめることば。この絵本は、視覚や聴覚だけでなく、味覚,臭覚、皮膚感覚まで五感のすべてを働かせてくれました。もちろん、女の子とわたしは、仲良くなりましたよ。

(落合美知子/ストーリーテラー)

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