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    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

山花郁子さんのレビュー一覧

投稿者:山花郁子

5 件中 1 件~ 5 件を表示

ほたる

2000/08/16 17:08

“「特攻おばさん」の遺言”

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 毎年夏になると、私はこの一冊を抱えてどこかで読んで話をするのです。それはこの絵本の主人公である特攻隊員・宮川三郎軍曹に、最後のうどんを食べさせた島浜とめさんの遺言を胸に抱えているからなのです。

 昭和20年、終戦間近いときに、本土の最南端の陸軍特攻基地となった知覧にあった、軍の指定食堂・富屋食堂が舞台です。とめさんは特攻隊員たちに「おかあさん」と呼ばれ慕われていました。ある日、とめさんのうどんを食べ終わった宮川さんが“今夜出撃するけれどおばさんのおいしいうどんをもう一度食べたい。もしこれないときには、ほたるになって・・”と、言い残して飛び立ち、そしてほんとにほたるになって戻ってきたというお話ですが、このあたりのことをとめさんは実にリアルに私に語ってくれました。
 私が現在の富屋旅館に一泊したのは、1985年8月の雨の日でした。
当時、とめさんは83歳、足がご不自由でしたが、まだまだ口調もはっきりとお元気でした。表に面したうす暗い畳の部屋に案内してくださったとめさんは、
 「このへんからでしたよ。宮川さんの螢がすう〜っと入ってきたのは。6月5日の夕方です。“いよいよ明日僕は出撃するけれど、でも明日の9時頃、螢になってここに戻ってくるから、そしたら追っ払ったりしないで、みんなで同期の櫻を歌って迎えてよね”って宮川さんが言ったんです。そしてね、翌日、ほんとにきっかり9時に螢になって戻ってきてくれたんですよ」と、ガラス戸の外を指さして話してくれました。
私はそのとき、とめさんと一緒に螢になって入ってきた宮川さんの姿をはっきり思い描くことができました。

 1992年4月、「知覧飛行場の特攻おばさん島浜トメさん死去」の新聞記事をとらえたとき、「山花さん、子どもさんがたに、話してくださいな。戦争はダメですよって」というとめさんの遺言をあらためてかみしめたのです。生きている限り忘れずに伝えたい..と。

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“ばばあがおばあさんになったトキ”

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この絵本を手にする度に、ある日の小学校3年生の教室の風景がなつかしい。
その日私は、何冊かの絵本を見せてどれを読んでほしいか子どもたちに聞いてみることにした。とたんに、“ばばあの本がいい!”と叫ぶ男の子。つられてゲラゲラ笑い出した何人かが“ばばあ、ばばあ”の連発。60代後半の読み手の私をからかう的が出来たとばかりに、その子たちがさし出したのは『とうもろこしおばあさん』であった。
 “わかりました”とばかていねいに答えた私(けっこうくやしがってる)、明るくおおらなか色づかいとデザインでいかにもアメリカ・インデアンの民話の雰囲気にさそわれる表紙の全面を大きく見開いて、ことさらに題名のおばあさんを強調して読みはじめた。どんなきっかけであろうとも、子どもたちは読んでもらうのが大好き、けっこう落ち着いた視線が集まる。

—— どこでも一夜の宿を断られてきたが、ある日快く受け入れてくれた若者の村にとどまることになったおばあさんは、やがて村人たちの日常の糧となるトウモロコシに化身するというこの話、日本の民話『つるの恩がえし』とも共通するものがあるが、命を引き継ぐ行為のすさまじい葛藤を描くものである。実は読み手にとって、子どもの反応が気になる一場面があった。おばあさんが着物の裾をめくり自分のももからとうもろこしのつぶをぽろぽろとかき出すところで、とうもろこし大好きの私にとってはなんともリアルで気色悪い。案の定“ぎえー”という声が上がった、しかし、意外と静かであとにつづく者がいない。

 読み終えた時、子どもたちはほっとため息をつき、一緒に聞いていた先生は興奮して私の手をとった。「空気が動くのが分かりました。ばばあがおばあさんになったその瞬間に」
 一度きりの出会いの中で、先生と子どもたちと心をむすんだ緊密なひとときが忘れられない、いのちの絵本である。

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紙の本ぺちゃんこスタンレー

2000/07/28 19:50

元本保障で遊べるペチャンコ人間

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 ギャングエイジの子どもたちに間違いなくよろこばれるこの一冊、挿絵が軽妙洒脱な絵本作家・イラストレーターとしておなじみのトミー・ウンゲラーであることもうれしい。
 
 ある朝突然のストーリーはけっこう多いが、ここでは主人公のスタンレーがベッドの上で父親の買ってくれた掲示板の下敷になっているのを弟のアーサーが発見!大さわぎになるところから物語が開始。しかし並の大さわぎでないところがおかしい。家族の会話がどこかとぼけていて、騒ぎながらもゆったりのどかなのだ。何しろお父さんお母さんがあわててかけより、のあとが「よいこらしょ」と板をどかす余裕がおかしい。パンケーキみたいになっちゃった息子を嘆く父、でも「なんてこった」というセリフがつづくと、“あらまあまあ”という感じ。そしてお母さんはいう。
「とにかく朝ごはんを食べましょう。それからスタンレーをお医者につれていかないと」と、まずは腹ごしらえして腹を据えてかかるということか。さあそれからぺちゃんこの大活躍、その身を生かせば、便利至極。排水溝に落ちたお母さんの指輪もおまかせあれ、遠方の友を訪ねるには、航空便で安上がり。くるくる巻きで運ばれればらくちん。こんなお兄ちゃんが羨ましい弟は、百科辞典を体の上に積み重ねてあがいてみたり。クライマックスは、美術館から絵を盗むプロの泥棒の額縁の絵におさまり、見事つかまえ一躍有名人にというくだり。けれど結末はやはり元のさやにおさまらなければ落ち着かない。弟の力を借りて無事元の姿にかえり、家族大団円で結ばれる。

 “おれだってさ、もとにもどれるんならなってみたいぜ”の声は、この本を紹介してあげた3年生の男の子。そりゃそうよね。元金保障つきでためしてみたいことはさまざまある。まあ本の中で楽しく遊べれば、利子もそれなりにふえるはず。

(山花郁子/子どもの本研究家)

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紙の本あおくんときいろちゃん

2001/07/12 21:00

シンプルな世界をひらくたのしさ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

世界中の人々に愛されてやまないこの絵本、私も図書館員時代から基本リストに欠かさなかった絵本の一冊です。

広告紙のちぎり絵でお孫さんと遊ぶうちに出来上がったことは、有名なエピソードですが、その遊び心が、年齢を問わずそれぞれのイメージをふくらませ、自分の物語をどんどんくりひろげてくれるようです。

白地中央に青のちぎり絵を配して、「あおくんです」という紹介は、まことにシンプルできっぱりしていて、原文のThis is Little blueを最大限に生かしてくれた名訳だと思うのです。こんなふうにまっすぐにむきあってくれる人がいてほしいのよね、と、私は思わずあおくんに語りかけます。またLittle blue Little yellowの呼称に、She,Heのことわりなんかありませんが、くんとちゃんにしたことで、いっそう親しくそれぞれのイメージはふくらむ気がします。例えば、カーキ色の家の囲いの中におさまるぱぱとままについ?子どもたちは、パッと我が家のぱぱままの姿を重ね、太った方を“まま”と指さして笑わせてくれたり。よみきかせの過程でも子どものことばの楽しいひろがりがイメージの世界をいっそうふくらませてくれました。そして、私が最も魅かれた場面は、重なり合って_れなかったために、ぱぱやままに自分を見分けてもらえなくなり大泣きするくだりです。泣いて泣いて二人が全部涙になってしまったときに、あおのなみだはあおくんに、きいろのなみだはきいろちゃんに戻るなんて、すごい発想です。これが“いま泣いたからすがもう笑った”の子どもの世界、大人の涙はこうはいきません。

おわりに緑が中央におかれて幕となりますが、幼稚園で色みず遊びの実験にとりいれて作品を楽しんだという報告もあります。人種問題を云々する見方もふくめていいじゃありませんか。作者・訳者共1999年御高齢で亡くなりましたが、大きな芸術遺産をしっかりと私たちに手渡してくださいました。

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紙の本森のお店やさん

2000/08/01 15:10

ふんわりあったか気分でいろんなお買い物が楽しめます

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 静かで上品な雰囲気漂う表紙に一息ついてそっと頁をくれば、予想にたがわぬ上質な味の12の短編が楽しめます。やわらかな色調でおっとりあったかな挿し絵は、どれもお話にぴったりで、ゆっくり、ことばとむかいあうことができます。

 まずは「きつつきの商売」をのぞいてみることにしましょう。「できたての音、すてきないい音、おきかせします。しぶおんぷ12につき、どれでも10リル」とのご案内でかかげる看板は『おとやさん』。早速白うさぎがえらんだのはぶなの木でした。そのぶなの木がぶなの森にコーンとこだまする・・なんてすてき、すてき。私はその余韻を楽しみながら、次々と珍しいお店をのぞいてみました。

 森の仲間がみんな幸福になる商売を考えてたぬきが開店したのが『おみくじや』。木の幹の穴にさまざまな木の葉を集めてお客さんを待ちます。きれいな黄緑色のはっぱをひいたうさぎのおくさんは『幸福』と出て大よろこび。きつねの若者は深緑のはっぱで『幸運』を、さるはまるっこい葉っぱで『しあわせ』をつかみます。ここでうさぎのおくさんの文句が入ります。“ちょっとちょっと。たぬきさん。もしかして、このおみくじ、どれもこれも『幸福』とか『幸運』ばかりなの?”と。ほかにも『ラッキー』とか『ついてる』とかいろいろいいのがあるというたぬきの答えに、大凶とか不幸つづきとか縁起の悪いものがなくちゃありがたみがないと不満が続出。「おみくじや」の店をはるのが、たぬきというのがまたとぼけていておかしく、しかし笑いをさそいながら人の心理もついていてなかなかうまい仕上がりではありませんか。
 
 こんなふうに森の自然にとけこんだ動物たちのお店はそれぞれ工夫をこらし、思いもよらないすてきなものを用意してお客をよろこばせてくれます。だから私は、さわやかな森の空気を吸いながらおとやさんの音を意識しながら、どの店も心たのしくコツコツとノックしたのでした。

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