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先月(2017年2月)

津田典子さんのレビュー一覧

投稿者:津田典子

1 件中 1 件~ 1 件を表示

しつけは一に忍耐、二に忍耐。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 キャンキャン、ワンワン、ウーーッ! 愛らしいペットが、見知らぬ人にウーッとうなって威嚇したり、知らない人が来たら吠え続けたり、世話をしている家族さえ噛んでしまったり、飼い犬をうまくしつけることができずに悩んでいる人は多い。私はペット関連サイトの編集長をしているが、毎日掲示板には、ペットの育て方、しつけ方についての質問が行き交っている。

 子どものしつけ方にコレといった正解がないのと同じように、犬のしつけ方にも正解はない。犬によって、またそれぞれの飼い主や環境によってしつけの仕方は異なる。じゃあ、いったいどうすればいいの?とお悩みの愛犬家にぜひ、一読をすすめたいのがこの本だ。問題犬を矯正する専門家として活動してきた著者は、25年かかって独自の訓練方法「アミシアン・ボンディング」(犬に誰がリーダーかをわからせる方法)を編み出した。

 問題行動を起こす犬のほとんどは、自分がその群れ(一緒に暮らしている人間たち)のリーダーだと信じていて、その群れのリーダーとして、群れ全体を守るために、外敵に吠えたり噛んだりする。人間と同様に、犬にとってリーダーの役割を担うことは、かなりストレスがかかること。だから、飼い主がリーダー役を引き受けてくれないがために、なりたくもないリーダーにさせられて、そのストレスが問題行動を引き起こさせている犬も少なくないという。

 この訓練方法の特徴は、犬の先祖オオカミの行動にヒントを得て、オオカミのリーダーがリーダーであることを示す4つの場面に注目しているところだ
(1)外出など、犬と離れてからまた犬に会う時(オオカミ社会では、ばらばらになっていた群れが集まった時、リーダーはメンバーを無視する)
(2)誰かが家にやってきた時(オオカミ社会では、群れが攻撃を受けたり危険が迫ってきたら、リーダーが群れを守る)
(3)散歩に出かける時(オオカミ社会では、狩りに出かける時、リーダーが群れを率いる)
(4)食餌を食べる時(オオカミ社会では、リーダーが真っ先に食べる)

 過ちを犯しているのは犬ではなく人間だ。飼い主の態度が変われば犬も変わる。この4つの場面で、飼い主が毅然とした態度でリーダーの役目を果たし、誰がボスであるかを犬に教え、犬をリーダーの役目から解放してあげよう、と著者は訴える。

 ただし、動物を相手に訓練をするにはかなりのエネルギーを要する。一に忍耐、二に忍耐。理屈はわかっていても、何週間も、場合によっては何ヶ月もかけて訓練は続けなくてはならない。

 この本は、ハウツー本のようでありながら、愛犬を不幸な目に合わせてしまった辛い体験を持つ著者が、大きな愛をもって犬に接し、その行動や心理を冷静に科学し続ける過程を綴った読み物でもある。問題犬を矯正した過去の例を丁寧に説明しながら、犬、飼い主、そして著者の三者三様の心の中の謎をひもといていく。

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