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レビューアーランキング
先月(2017年8月)

高月 義照さんのレビュー一覧

投稿者:高月 義照

3 件中 1 件~ 3 件を表示

体験的アメリカ流バイオエシックス入門

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 近年の医療技術の進歩がもたらした生と死の観念の揺らぎから, 生命に関する倫理問題を問う学問としてバイオエシックスが生まれた。本書は,海外での,特にアメリカでの生活が長かった著者が,自らの体験を踏まえてバイオエシックスの基本的な考え方とそのさまざまな問題群を,「生」「病」「老」「死」の4章に分けて,エッセー風につづった格好の入門書である。
 著者によれば,バイオエシックスの基本的な理念は「生命の尊重」と「人権の尊重」である。従って,人間を特定の目的達成のための手段,道具とみなすような技術開発や医療行為,患者の人権を軽視したり無視したりするような医療行為は許されない。アメリカでは早くからこうしたバイオエシックスの立場から医療のあり方を決める「公共政策」が,一部の専門家だけではなく,患者やその家族を含め,だれにも開かれた形の議論のなかで作られてきたが,日本ではまだまだ遅れている。
 これから日本でも,私たち一人ひとりが,「自分のいのちは自分で守る」という認識をもち,「医療など専門中心の価値観を問い直し,正しい人権感覚をもつようにと専門家を教育することが,私たちしろうとの責任」でもあるという著者の主張には賛成である。しかし日本の現状は,まだまだ医療の密室性や医学界の権威主義・パターナリズムの壁は厚く,「患者を中心にした医療の質の全面的な転換」を図り,「医療従事者と患者の対等な人間関係」が実現し,「死を選ぶ権利にしても,リビング・ウィルをつくることにしても,そもそも自分の手に自分のいのちを取り戻し,自分が決める」ことができるようになるまでにはまだかなりの時間がかかりそうである。
 入門者のために,巻末にバイオエシックス関連用語の解説が付き,さらに研究したい人のためには,著者の「欧文論文一覧」が掲載されている。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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猿人から人類へ,500万年の長い道のりを,わずかな手がかりを基に解き明かす進化論の世界が始まった

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 人間がサルから進化したというショッキングな内容の進化論をダーウィンが唱えてからおよそ150年,今やこの進化論は,特定の宗教家やその信者たちを除けば,恐らく疑うものは1人もいないほどに科学的な定説になっている。誰しもネアンデルタール人や北京原人やホモ・サピエンスといった人類学的用語を学校で習った覚えがあることだろう。本書は,サルから現代型人類であるホモ・サピエンス(知恵あるヒト)に至るまでの壮大な進化の道のりを最新のさまざまな研究成果に基づいて跡付ける物語である。
 物語は,「500万年前,類人猿から人類への橋が架けられた」アフリカに始まる。気候の寒冷乾燥化によって熱帯降雨林を追われた類人猿が2足直立歩行を獲得したところからヒトへの進化が始まったという。それ以来,猿人から原人へ,さらにホモ・サピエンスへと進化し,それが世界各地へと拡散していったという物語なのである。500万年の物語も,簡単に言えばこれだけのことである。しかし,これだけの物語を構成するためには世界各地で発掘された人骨の化石や遺物に関する人類学的,考古学的,古生物学的,言語学的膨大な研究の積み重ねが必要なのである。それでも,気が遠くなるような時間を隔てた出来事の連結には数少ない証拠しか存在しないのであるから,想像力と推理力が必要である。たとえば,1個の不完全な頭骨から脳の容量や年齢,性別,身長はいうに及ばず,何を食し,どんな生活を営んでいたのかまで推理する方法は,まさに推理小説や探偵小説を読んでいるような面白さである。
 人類進化の研究は,単に過去の学問であるのではなく,「現在の姿を正しく認識し,それを土台に将来を予測する」ためにあるが,進化論の世界は,まだまだ始まったばかりで,それこそ今後どのように進化するか興味は尽きないことを本書は教えてくれる。
(C) ブッククレビュー社 2000

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ヒトの履歴書

2001/02/10 00:15

続発する無慈悲な殺人事件。その根源は進化の過程で変化しなかった,ヒトの生物学的な要素に求められる

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 未成年者による異常な事件が続発している。ストーカー殺人や「人を殺してみたかった」殺人,バス乗っ取り殺人など,人を殺すことに何の躊躇(ちゅうちょ)もないかのような無慈悲で残酷な事件が報じられるたびに,私たちは「なぜそんなことができるのか」と理解を超えたその異常性に驚かされるばかりである。本書はそうした人間の異常行動を問題意識としてその生物学的由来と「文化」によるその克服の歴史を,類人猿からヒトへの進化の過程の中に跡付けるものである。
 著者たちによると,アフリカの気候変動により熱帯雨林からサバンナに変貌してしまった環境に適応することのできた「風変わりな類人猿」は,その生物学的未熟性ゆえに二足歩行を確立し,「文化」を作り上げることで社会性動物としてのヒトへと進化してきた,というのである。しかし,人間の生物学的基盤としての「衝動」はそれほど変化するものではない。つまり,「生物学的要素としての衝動は,生物の生きる活力の源泉でもあるが,無方向で無目的な暴発力でもある。生物は,長い進化のなかで,この暴発力を制御するシカケ,つまり『文化』を作り上げてきた」というわけである。
 従って,人間の残酷な異常行為も,もとより人間に備わっている生物学的要素の発現であり,その可能性は誰にでもあり,決して特異な異常人格の問題としてだけで捉えるべきではない。問題は,「『変われない生物学的人間』と『変わりすぎる文化』との間のアンバランス」にある。生物学的要素が変化しない以上,「文化を見直す」ことが必要だという。しかし本書ではそこまでの言及はない。「ヒトの生物学的基盤の上に築かれた『人間』がどういうものか」という視点から,心の問題や性の役割や家族や群れの意味といった問題について平易に解き明かすのが本書の特徴である。人間の本性を考える上に格好の読み物になっている。
(C) ブッククレビュー社 2000

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