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『月刊司法改革』さんのレビュー一覧

投稿者:『月刊司法改革』

25 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本鉄槌!

2001/06/25 15:47

タイトルの鉄槌は誰に振り下ろされるのだろうか。

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 全弁護士必読の書!! 司法研修所前期民事弁護教材に最適!! 早くもロースクール初期教材有力候補!!(これだけ!!をつけておけば、目に留まるだろう)。

 著者は極めて普通の人である。ただ、人よりちょっと意地っ張りだったこと、なにより漫画家・エッセイストとして表現手段を持っていたことが彼を民事訴訟の被告の座につけてしまう。彼の最大の不幸は、慰謝料100万円を請求されている被告事件の着手金として、200万円+消費税を堂々と請求する弁護士Wに依頼したことであり、狂想曲はそこで幕を上げるのだが、本書最大の読み所は彼の眼から見た弁護士の姿である。

 まず弁護士にとって職業上の武器であるはずの文章がなっていない(122、124頁など多数)。本書の校正にあたって原文のまま引用した準備書面がことごとく修正されて戻ってきたため、彼はいらぬ苦労までしている。裁判が始まっても十分な連絡や説明がないまま不安な状態に置かれ、年末進行期に一方的な時間指定で呼び出される。彼が接したなかで最も信頼していたK弁護士さえ、元同僚Wの不祥事を知るや驚くような対応を見せる(その時点ですでにWは懲戒請求を受けて退会しているのだが、彼がそれを知ったのはごく最近である)。

 彼の結論。「弁護士は、能力が低くてもできる仕事だ」。司法試験は難関だが「単なる受験技術のあるなしの問題で、裁判官や弁護士としての能力には関係ないようだ」
 

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異論・反論こそ、執筆者の望むところであろう

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 司法制度改革論議の過程で結成されてきた多様なグループのなかで、政治家へのロビイングを行う行動力と提言の大胆さで際立っているのが、「司法改革フォーラム」である。「フォーラム」は、鈴木良男(旭リサーチセンター社長)を会長として、著名な財界人、法学者、司法試験予備校経営者を含む総勢15人のメンバーからなる。本書は、そのほとんど全員が執筆したもので、編者で自ら執筆もしている福井秀夫(法政大学教授・行政法・元建設省)と川本明(経済産業省)は、「フォーラム」の事務局的役割を務める中心的メンバーである。

 本書の基調は、司法サービスへのアクセスを拡大し、消費者の負担を軽減しながら司法サービスの質を向上させるために、徹底した規制緩和によって競争を導入し、質量両面での司法の飛躍的改善を図ろうという、じつにわかりやすいものである。司法研修所不要論、キャリア裁判官批判、行政主導型ADR批判論等は、著者らの経済学的アプローチに同意しない者も賛同するであろう。

 しかし、消費者(弁護士個人の能力・実績を事前に知りえない市民)に対するリスクを過小評価して、現在の過剰規制(司法研修所入所試験と化した司法試験)のゆえに繁栄している者(司法試験予備校)と、国際基準の安全基準すら達成したくない生産者(法科大学院へ行かずに法曹になろうとする者)の利益を擁護すること(法科大学院反対論)にも、多大のスペースを割いている。なぜだろうか。

 異論・反論こそ、執筆者の望むところであろう。
(C)現代人文社

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数年前ならまず考えられない企画が実現、見所盛りだくさんの市民と裁判官の対話

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 裁判官が街中で、司法制度をめぐって市民と対話する。数年前ならまず考えられない企画が実現した。時は2000年9月17日、日本裁判官ネットワーク第3回シンポジウム「裁判官と考えよう!」においてである。

 対話する市民の顔ぶれが実に多彩でユニーク。裁判ウオッチング会員・人権活動家・犯罪被害者・経済団体事務局・元裁判官の弁護士。それぞれにメンバーが1人ずつ向き合って「対話」するかたちでシンポは進行する。時にはヒートアップし、経済団体から「業界」の拡大を喜ばない法曹関係者の「縮み志向」が痛烈に批判されるや(43頁)、研究者からその経済団体自体の改革提言の「縮み志向」が指摘される(53頁)など、見所盛りだくさん。キャリア裁判官による事実認定を箱めがねで海底を覗く様になぞらえる元・現裁判官のやりとりも奥深い(59、68頁)。

 最近最高裁当局もネットワークの活動を意識してか、裁判説明会や出前講座など第一線裁判官の犠牲のうえに必死であるが、彼我の違いは明らか。個々の裁判官の自発的な欲求に基づくものでなければ、上意下達を脱しえない。自分たちに都合のいい情報開示に終わっているうちは、「宣伝」ではあっても「対話」は成立しない。その点、このシンポで裁判のテレビ放映をめぐる石川氏や飯室氏のつっこみに冷や汗をかいている森野判事の姿は、実に新鮮ですがすがしい。そこから初めて何かが生まれるのだと思う。

 「裁判官の世界には有能競争、物知り競争、そんな競争がありました。私はそのような競争には、自分は合わないと思いました。今は弁護士を非常に楽しくやっております」という元裁判官の感慨(64頁)は重い。
(C)現代人文社

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紙の本実況中継まちづくりの法と政策

2001/06/05 20:08

ナニワの弁護士4日間の集中講義は、笑いを交えたわかりやすい解説

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 一般市民向けの講演などを頼まれると、いかに法律家が一般衆生に理解不能な火星語をしゃべっているかを痛感するときがある。

 本書は、そうした心配とは無縁な人、まちづくり、都市問題といえば大阪弁護士会に坂和ありと謳われる坂和章平弁護士が、ふるさと松山の愛媛大学で行った4日間の集中講義「都市法政策」を、文字どおり「実況中継」で活字化した本である。

 大阪阿倍野再開発訴訟で事業計画決定の争訟成熟性を最高裁に認めさせた敏腕弁護士が、実際の訴訟でのエピソードを交え、弁護士でも敬遠しがちな都市法制について、その概要と問題点を学生・市民にわかりやすく解説していく。「モーニング娘。」や浜崎あゆみ(カラオケで歌い込んでいるとみえる)を話のマクラに、国と地方自治体を親子関係にたとえるなど笑いを交えた一席は、落語家桂小春団治をしてオビで「かないまへんナ、お株をとられては。」とぼやかせている。

 神戸の震災復興まちづくりに関しては、自らまちづくり協議会に関与した体験をもとに、行政と住民の対立はなぜ起こるかを解き明かし(179頁)、行政批判に偏した「原理派」論者の姿勢(112頁)や既存の弁護士の都市問題への関与のあり方を斬る(205頁)。

 ナニワの弁護士、恐るべし。
(C)現代人文社

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実務家として司法制度の問題点を身をもって感じてきた著者の説得力ある教育論

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 この1年半ほどで、「法科大学院」ないし「ロースクール」構想が、全国の大学にこれほどまで波及していくことをだれが予想できたであろうか。いまや具体的な制度設計の青写真を提示しなければならない段階にきている。しかし、ここで忘れてはいけないことは、司法制度改革の一つの柱として法科大学院構想があるということである。

 その意味で、本書は時期をえたものである。著者は、第二東京弁護士会法曹養成二弁センター委員長として、これまで弁護士会のロースクール構想のグランドデザインを創ってきた一人である。単なるカリキュラム提示にとどまらない、その実践に裏打ちされた視点があるからである。

 序章「ロースクール構想の実現」では、ロースクール構想と法曹一元や陪審など司法制度改革全体との相互関連性を重要視する。序章は本書全体のガイダンスでもある。

 また、実務家として司法制度の問題点を身をもって感じてきただけに、教育論には説得力がある。たとえば、第1章「法科大学院における新しい民事実務教育の指針」では、裁判の基礎をなす証明度についての教育がなされていないため、現在の訴訟運営に重大な欠陥があると指摘し、証拠優越準則の導入を提案する。

 法科大学院構想は、「新しい法律家の誕生を展望させ」(本書はしがき)るものである。産みの苦しみを本書とともに共有したい。
(C)現代人文社

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紙の本司法経済は問う

2001/06/05 19:46

放置してきた領域の広さと奥行きに圧倒される

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 「経済界の要請」などと言うと、必ずアレルギー的反応をする業界人がいる。あたかも自らは市場原理から逃れているかのように。しかし、「政府・財界の策動」と拳を上げないまでも、「自由と正義」の担い手にふさわしい話題ではないと自然に耳をふさいできた者が多くはなかったか。

 日本経済新聞の好評連載を単行本化した本書を読むと、改めてわれわれ弁護士がそうした雰囲気のなかで放置してきた領域の広さと奥行きに圧倒される思いがする。

 PF(プライベート・ファイナンス・イニシャティブ)、SPC、行政手続法、コミットメントライン、ナスダック、ビジネスモデル特許——ほーら、あなたはだんだん頭が痛くなる(本当に痛くなってきた)。

 そこでメルヘン。「風の谷の弁護士村は、腐海の森の毒に直接まみれることのない、平和な世界でありました。村の住人たちはそれぞれに熟練の技でいい仕事をしてきましたが、腐海の闇の深さには多勢に無勢、腐海の中には未法化社会の毒が充満し、民を苦しめておりました。しかし、時あたかも21世紀。勇ある者たちが、腐海の森に進み出て、腐海の毒を浄化する闘いに乗り出したのでありました——。」

 壮大な戦いの物語は今語られ始めたばかり。誰もその結末を知らない。とべ! 法曹たち。

 PS 市場原理で申すなら、「第二東京地裁」は必須です。「うちは印紙が安いよ、遅いけど」なんてね。
(C)現代人文社

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単なる田舎弁護士の呟きにとどまらないところに、特別な価値がある

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 地方における弁護士偏在・過疎問題が深刻であることについては、これまで報告がたくさん出されている。しかし、地方における弁護士が実際どんな活動をしているかは、これまで断片的にしか紹介されてこなかった。

 本書は、仙台市内で3年間イソ弁後、宮城県気仙沼市と岩手県一関市で通算27年間、地方都市で弁護士業にかかわっている著者によるものである。裁判所支部がある地方都市で開業する弁護士は、少額事件を多数処理しなければならないので、受任件数は絶えず数百件を越えるという。「法的サービス業務の独占という恩恵を受けている弁護士は、なによりも市民のニーズに応えなければならない」と休日も返上して事件処理の日が続く。

 田舎弁護士の事務所経営、所得、事件処理の実情、地元弁護士会活動が、統計資料に基づいて比較紹介されている。さらに地方都市における業務拡大の可能性など将来展望を静かに語る。

 本書は、単なる田舎弁護士の呟きにとどまらないところに、特別な価値がある。依頼者との関係、数少ない弁護士同士の関係の取り方など、弁護士倫理の問題まで発展させている。「末端事件を切り口に、法律がどう機能し、どう運用されているかを見きわめ、その生の情報を中央や全国に提供する」ことにみごとに成功している。
(C)現代人文社

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医療裁判の在り方に一石を投じる貴重な記録

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 医療過誤裁判の記録をインターネットのホームページですべて公開し、弁護士もネットを通じて見つけ、医師や看護婦、薬剤師たちが続々と医学的助言をしてくれるようになった。法廷に立って証言してもいいと申し出てくれる医師も現れた──。ネットを利用したそんな裁判の歩みを、1冊の本にまとめたのが本書である。

 放送作家の海野祥子さんは、4年前に母親を乳がんで亡くした。入院していた大阪の病院の医療行為に疑問を感じ、提訴した。半年間の入院でカルテがわずか3枚、血液検査がたった2回。CT(断層撮影)検査はまったくなく、拒否していたはずの抗がん剤が勝手に投与され、苦しさを訴えても「気のせい」にされて適切な処置がされない。

 あまりに不誠実でずさんで異常な担当医の対応に、海野さんは「医療ミスや医療被害というよりも人災です」と訴える。ホームページには、カルテやレセプト、看護記録などの証拠を画像で公開し、陳述書も載せた。提訴さえしてしまえば情報公開しても問題はない。「医療過誤裁判は難しい」と躊躇する弁護士が多いなかで、意欲的な弁護士を見つけたのもネットを通じてだった。

 特筆すべきは、医療関係者の応援がネットから得られたことだろう。医師は仲間をかばい合って同業者の批判はしない。被告病院の近隣で、患者や遺族に協力してくれる医師を探すのは大変だが、利害関係のない医師らが助けてくれるようになった。医療裁判の在り方に一石を投じる貴重な記録だ。
(C)現代人文社

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愉快な裁判官

2000/11/21 15:35

裁判官の現状をめぐる問題点をこれだけ面白くかつわかりやすく伝えられる才能は賞賛に値する。

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 京都出身。鋭い舌鋒で相手のミスは決して見逃さない。マジなのか後付の屁理屈なのか判断しかねる面白がり方(189頁)。ある種の大人気なさ。マニアックなファンの多い芸風は上岡龍太郎を思わせる。
 ともかく、裁判官の現状をめぐる問題点を印象的なフレーズを交えて、これだけ面白くかつわかりやすく伝えられる才能は賞賛に値する。
 「最高裁は公正らしさ論を持ち出すだけで、国民の公正らしい裁判を受ける権利を認めているわけではない」(251頁)、「裁判官がどういう考え方をしているか分からない方が安心だなどというのは、およそ民主主義社会の国民に相応しい態度とは思えない」(267頁)。
 いわくスタンドプレーが過ぎる、いわく本来味方にすべき者(最高裁少数意見や伊東判事)まで攻撃するといった声を受けても、彼の問題提起の刃にひるみは見えない。
 けれども果たして彼に「迷い」はないのだろうか。懲戒対象となった集会参加を前に揺れ動くようすなどからは、表に出さない彼の「悩み」がありそうにも思えるが、明晰な論理の裏から今ひとつ彼の肉声が伝わってこないのが残念である。
 124頁あたりは言わずもがなで、彼の尊敬するN判事(154頁)をもその刃で切りかねない。論理のさわやかさと裏腹に、読後には清涼感より「あーやっちゃった感」が漂う。あえて言おう。寺西君。「愉快がるにも限度あり」。(C)現代人文社

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弁護士任官裁判官 随想

2000/11/21 15:27

弁護士と裁判官の感覚や生活の違いについて感じた体験談

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 25年半弁護士をした後、裁判官に任官して11年半裁判官生活を送った筆者が、弁護士と裁判官の感覚や生活の違いについて感じた体験談を豊富に記している。弁護士時代から個性派と言われていた筆者が、裁判官になってもユニークな存在として、周囲に影響を与えていたであろうことが伝わってくる。裁判官が狭い範囲の経験しか積んでおらず、現場に行かずに理屈で判断しようとしがちだという点も、体験を踏まえて説得力がある。
 最大の問題の法曹一元については、筆者は大賛成であるとして、法曹人口を大幅に増加させつつ、漸進的かつ段階的に法曹一元を実現させるべきであると提言する。そして弁護士任官の実績と現実を直視して、法曹一元への実行可能な方法を立案する必要があるとする。これまでの弁護士任官者への評価は極めて辛く、キャリア裁判官と同等の仕事をしている人は多いとは言えないのが現状であると断定する。しかし、この評価には、弁護士や任官者からの異論が出されたためか、掲載誌論文よりは、本書では表現を工夫している。
 筆者自身これまでの人生でさまざまな困難を自己の努力によって乗り越えてきたようであり、裁判官として行ってきたことについても自信に満ちあふれている。他方、筆者の裁判を経験した弁護士からは批判が多く出されているとのことであり、その評価の大きな違いがどこから生じるかを考えながら読むとたいへん興味深い。(C)現代人文社

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法壇から見た弁護士に対する激烈な批判

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 法曹一元になれば裁判はどう変わるのだろうか。弁護士などの当事者経験が大事というけれど、件数をこなしている裁判官とそんなに違うのだろうか。そんな疑問をもっている人に是非この本を読んでほしい。
 筆者の田川元判事は、30年を超える弁護士生活ののち判事になった人。まさに弁護士任官、法曹一元の理想形を体現した方であり、最近の裁判所内部での体験をふまえた発言は、司法改革論議のなかで千金の重みがある。
 「癒し」ばやりのなか、良寛さんブームである。中坊公平氏が本書オビの推薦文で田川さんを良寛に擬しておられるように、田川さんは自ら希望して赴任された司法過疎地の一人支部で、法廷や和解室を地域住民の癒しの場とするべく、実にさまざまな創意工夫をされている。その発想自体、当事者と事件を通じて心通わせ弁護士任官者ならではのものである。
 キャリア裁判官の実像・病理についても鋭い指摘が多いが、本書の白眉は、法壇から見た弁護士に対する激烈な批判であろう。裁判官の努力のうえにあぐらをかいて、おざなりな仕事で報酬を稼ぐ「おまかせ主義」弁護士の多さ、自己改革の必要性について認識や危惧感の乏しさに対する怒りが紙背から立ちのぼる。
 良寛さまの柔和な顔の奥に秘められた怒りと悲しみを多くの弁護士が知るべきである。(C)現代人文社

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弁護士業務の実像と万年氏の苦悩が見えてくる。

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 「私は、ときどき弁護士という仕事は因果なものだ、自分は道を間違えたのではないかと懐疑的になるときがある」という一文から、本書は始まる。日頃の萬年氏の言動からは想像がつかない弱気な発言である。
 本書は、「弁護士稼業」、「弁護人の涙」、「倒産」、「騙しのテクニック」、「仁義ある闘い」、「女の決断」、「会社犯罪」の6部からなっている。債権回収担当者が読めるものをめざした連載をまとめただけあって、債権回収や破産処理の実態に詳しい。債権者と債務者の攻防、金融機関とのやりとり、ヤクザとの対決など『ナニワ金融道』を彷彿させる。読み進んでいくと、弁護士業務の実像と氏の苦悩が見えてくる。萬年氏が考えている弁護士の役割論や職業倫理観がいかなるものかが、知らず知らず理解できる。
 民事紛争の多くは、人々の欲と欲のぶつかり合いから起きている。弁護士は、その欲のいわば代理人のようになるといっても過言ではない。弁護士は、その欲を法的ルールにうまくのせて解決する役割を負っているのだろうか。
 本書で氏は「依頼者や顧問会社に振り回される弁護士は、本当の弁護士ではない。しかし、依頼者や相手方の心の痛みも同時に理解できる弁護士にならなければならない」(本書243頁)という。結局、当事者が納得する解決は、単に法的な処理では生まれず、人情の問題にいきつくというのである。確かに弁護士(萬年氏)だからできることである。(C)現代人文社

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最高裁があの大野正男でさえ変えてしまうことが改めてよくわかった

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 これまでにも最高裁判事経験者が、その最高裁での経験をなんらかのかたちで本にするということは決して少なくなかった。しかし、最高裁入りした弁護士の著作は、初めてではないだろうが珍しい。しかも大野正男氏といえば、早くから弁護士界の論客として知られ、裁判史に残る多くの事件を手がけた大弁護士である。ご本人はまったく承知していなかったということらしいが(67頁)、92年から実施された「公募制」という新しい方式で日弁連から推薦された一人でもあった。そんなこともあって、いやが上にも期待は大きかった。
 その著者が、「判決に付した個別意見と共にその経験」を書いたものであり(286頁)、「生身の裁判官の生活や仕事ぶり」を知る一資料にはなっている。また、そこそこ改革・改善への意見を聞くこともできる。しかし、結局は、自分は現状のなかでそれなりに良心的に精一杯努力したという「自慢話」の域を出るものではない。しかも、その判決の正当化となると醜悪でさえある。とくに、密室での「調査」という方法(266頁)による事実認定の正当化が許されるという感覚は、かって冤罪の研究・弁護に携わった弁護士のものとはとうてい思われない。最高裁入りということがそういうことであるということがあらためてよくわかった。(C)現代人文社

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紙の本犯罪被害者 いま人権を考える

2000/11/21 14:55

この本に著された、多くの被害者の声はひとつひとつが重い。

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 これまでの司法制度の中で、置き去りにされてきた「犯罪被害者」。著者(現・朝日新聞社会部記者)の真摯な取材によってこの本に著された、多くの被害者の声はひとつひとつが重い。丁寧に読み、その一言一言の裏で抱えている計り知れない思いを考えると、「被害者の人権」と言われながら、自分も含め、あまりにもその実情・思いは理解していなかったことを知る。
 この本で紹介されている、暴力事件の被害者となった女性は、「捜査や裁判から疎外されたことに、事件以上に傷つけられた」と言う。とくに刑事事件の捜査や裁判手続きの過程で、参考人や証人として、プライバシーに踏み込まれ、事件当時の記憶を思い出すことを求められ、つらい思いを再び強いられる。一方で、事件の当事者でありながら、裁判の過程からは疎外されることで、回復のきっかけを失うこともある。そもそも従来の司法システムが本質として被害者を傷つけるものであり続けてきたとも言える。
 著者は最後に、犯罪被害者の問題を考えるには、「既存の価値基準を離れて見ることが必要になる」として、発想の転換を提示する。被疑者・被告人の人権保障という観点で進んできた戦後の司法システムのあり方が後退することは望ましくない。その上で犯罪被害者にさらなる被害を与えないために、また「癒しや償い」を与えられる司法システムのあり方とはどのようなものなのであろうか。(C)現代人文社

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書名は堅いけれども、これは陪審制のスーパーマーケットだ。

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 こんな本を待っていた。書名は堅いけれども、これは陪審制のスーパーマーケットだ。
 市民が主役の陪審制を、陪審に興味を持っている市民の目から、あるいは現に裁判に関わっている裁判官や弁護士などの目から、また多くの人の海外での陪審の見聞から、そして日本における陪審法の制定と停止の経過、世界の陪審制の紹介などは研究者が、それぞれの視点で陪審制を語っているのが特徴である。
 陪審制に関心をお持ちの方なら、どのページからでも興味のおもむくままに読み進むことのできる本である。
 とりわけお勧めが2つ。司法への市民参加が叫ばれて久しいが、それは果たして「参審か陪審か」とお悩みの方には、44頁以下の第2部、シンポジウムをぜひお読みいただきたい。東京大学名誉教授平野氏と、立命館大学名誉教授佐伯氏らの一歩も譲れぬ大議論である。読み終えて、その場に自分もいたかのような錯覚を覚えるくらい力のこもった議論が再現されている。
 218頁以下の第6部、陪審法改正案とコメントは「陪審制を復活する会」の活動を集大成したものと言えるし、国会にこの法案を提出しようという意気込みが感じられる。市民にとっては、読む気さえ起こらない文語体を口語体にしたことだけでも拍手喝采であり、研究者がこれをベースに理想的な陪審法案に発展させるなどの活用が期待される。(C)現代人文社

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