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先月(2017年6月)

高村 寿一さんのレビュー一覧

投稿者:高村 寿一

2 件中 1 件~ 2 件を表示

「発展と問題性」を備える21世紀の中小企業。働く者の“自己実現の場”としての中小企業を多角的に解説

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 民間企業で働く5734万人の約3人に2人が中小企業に従事している,という。本書は,働く場としての中小企業を多角的に解き明かしたい,という意図から4人の中堅学者が執筆した大学生用テキストだが,内容が経営者,政策,商業,工業とあたかも21世紀初頭の「日本中小企業白書」の体裁をなしており,中小企業に関心を持つ人々に広く読まれてよい本である。
 執筆陣を代表して渡辺幸男慶大教授は「中小企業という存在は厳しくリスキーであるが,その多様性・多面性は可能性に富んだものである」と述べている。そうした可能性を従事者が現場で体感し,自己実現に結びつけることが,中小企業に勤める意義だと考えているようである。中小企業を自己実現の場として位置付ける考え方は,既に1990年代の中小企業政策に現れていたものである。バブル時代に理工系を中心に大企業が学生を根こそぎにして採用し,中小企業の新規雇用に危機感を募らせた。そんな背景から,「自己実現」論が政策的に提示されたと考えられる。
 大企業に就職した大学生の約3割が,数年のうちに会社を辞めるという。では,中小企業への就職者はどうなっているのか。データがないのでわからないが,大企業以上に転職率が高いのではないか。とすると,自己実現の場といっても現実は決してなまやさしいものではない,と思われる。これを中小企業の宿命と言ってしまえば,それまでだが,中小企業を巡る構造変化はかつてないほど大きい。
 しかし,環境変化は図体の大きい大企業にも生存競争を強いている。「発展性と問題性」を兼ね備える中小企業にとって,カオスは機会でもあるわけだ。何よりも大切なのは,中小といえども主体性をもって変化に対応していくことだろう。大型店に圧倒される中小商業に対して「ベンチャー商人」(マーチャント)たれ,と呼びかけ,消費者の徹底分析と市場アプローチを要請している点などに共感を覚える。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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中小企業政策は時代によって変容してきたが,競争政策論理に徹し切れなかった

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 明治以降今日までの日本の中小企業政策はどのような特徴を持っていたのかを追求した書である。著者は中京大学経営学部教授で専攻は比較中小企業論。全体の分量(260ページ)の6割強を戦前に充てる。中小企業は近代化した経済発展に不可欠の産業群であり,その中小零細性から常に構造的問題をはらんでいることを強調する。
 明治期の中小企業群は,政策的には輸出型産業を支える存在として重要で,ソーシャルダンピング問題と隣合わせだった。組織形態的には同業組合としてまとまり,法制度も準備された。大正期には工業組合制度が導入されたが,大恐慌の波に洗われ,業者間の無謀な競争のなかで,その政策は対症療法的なものでしかなかった。しかし,しだいに中小工業層に核が形成され,法による商業組織が政策の受け皿となる。工業では引き続き輸出分野が政府の関与するところとなったものの,実際には間接的な関与であった。
 昭和期になっても基本的には実態は同質だったが,戦時体制に入ってから統制色を強めた。工業・商業組合法が改正され,庶民金庫法による小口金融,物質統制計画実施による転業・失業への対応策も講じられた。軍需関係の下請け協力も推進された。太平洋戦争に入ると中小業者の制約は拡大,整理・再編成が加速され統制の波に翻弄される。
 本書は以上のような戦前の政策展開についての記述が詳細で参考になる。戦後期については類書もあるが,本格的な中小政策が展開された失跡も,本書は通史の視点から独自の論理展開を試みる。展開された諸政策は米国型の市場機能重視ではなく,一貫して伝統的な構造問題としての視点が維持され,農業と同様な社会政策的な論理から脱することができなかった。高度成長時代を経験した日本の中小企業政策は,競争・産業・社会の各政策を織り込んだ複雑な性格を持ち続けた。市場機能を重視する「基本法」改正法(99年)においても産業政策的な色彩が払拭されていない。
(C) ブッククレビュー社 2000

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