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金子 雄一さんのレビュー一覧

投稿者:金子 雄一

2 件中 1 件~ 2 件を表示

ノーベル賞受賞者アマルティア・セン教授が経済的不平等の問題を徹底的に議論

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 アマルティア・セン英ケンブリッジ大学トリニティカレッジ学寮長はインド人で,1998年アジア人として初めてノーベル経済学賞を受賞した。彼の業績は「経済学の倫理的側面」を復権させたことにあるとされる。それ以前の厚生経済学が市場機構によって効率的な資源配分をいかに実現するかに集中していたのに対し,センは所得分配や権利・自由の配分など経済学の倫理的側面に正面から取り組んだ。所得や富だけでなく,社会制度やルールの制約の下で人が望ましいと考える生き方を選択できる権利を保証されているかどうかで,経済システムのパフォーマンスを判定するというアプローチを提示した。
 本書は,73年に出版され経済的不平等の分析の先駆となった『不平等の経済学』と,セン及び共同研究者であるジェームズ・フォスター・バンダービルト大学教授による補論「四半世紀後の『不平等の経済学』」からなる。原著は,功利主義など既存の厚生経済学を批判的に吟味しながら不平等の測定・評価の問題に挑戦したが,補論ではその後なされた不平等と貧困の計測に関する膨大な研究を引用し,吟味・位置付けながら,議論を包括的にするとともに実践的な課題に対応させることを意図している。
 緻密な理論的概念,推論が続き,専門外の読者には歯ごたえがあるが,筆者の動機はあくまで実践的なものであり,技術的部分は飛ばし,結論だけつかむことも可能なよう配慮してある。経済的不平等に関する議論を整理するのに格好の書である。またセンの開拓した,人々の持つ選択肢に注目する潜在能力アプローチは国連援助機関による発展途上国支援のあり方にも影響を及ぼすなど,実践的な意義も大きい。国民所得は世界最高レベルにあり,所得分配の不平等も比較的小さいにもかかわらず,豊さが実感されず,閉塞感が強いわが国にも,本書はメッセージを送ってくれる。
 翻訳は,日本における厚生経済学の権威である鈴村興太郎一橋大学教授ら。
(C) ブッククレビュー社 2000

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現代に通じるハイエクの自由主義思想をわかりやすく紹介。名著『隷属への道』のエッセンス

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 ハイエクは,1974年にノーベル賞を受賞した20世紀を代表する経済学者の一人だが,政治哲学,思想面でも大きな業績を残した。国家による計画や市場への介入を排する徹底した自由主義の立場に立ち,社会主義やケインズ主義に対抗したほか,近年も英国のサッチャー,米国のレーガン政権の思想的基礎をなした。本書は,1944年出版の代表著作『隷属への道』を一章ごとに読み解く形で,ハイエク思想とその現代的意義をわかりやすく解説したものだ。『隷属への道』は,著者によれば20世紀後半にマルクス主義の影響から人類を解き放ち,ソ連を崩壊させた理論的根拠となった歴史的著作である。
 ハイエクの基本的考えは,各個人の天性・性向の発現こそ最も尊敬されるべきであり,その自由な行動が経済的繁栄の原動力となるという,徹底した自由主義,市場重視にある。そうした考えから,当時欧州を覆ったファシズムだけでなく,社会主義政策も経済の統制を図る点で同根と批判した。
 今日に適用すれば 課税による所得再分配や福祉国家制度も社会主義的政策であり,人間の自由,経済発展を損なうものとして否定される。現代日本において行政改革,規制緩和,税制,社会保障改革など構造改革のあり方を考える際,ハイエクのラディカルな思想は改革推進派の1つの後ろ盾となろう。
 著者も指摘するハイエクのもう1つの特徴は,徹底した自由主義だけでなく,自由主義から離反する危険を警告した点にある。人間には一面で計画化を望む本性があり,自由主義経済で要求が満たされないと,逆にそれをのろうようになる。そこに高まいな理想を掲げた少数者による支配が忍び寄る。
 原著によらず,警世の書ともいえる『隷属への道』のエッセンスを世に紹介することに本書の意義がある。
(C) ブックレビュー社 2000

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