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先月(2017年4月)

棚橋 祐治さんのレビュー一覧

投稿者:棚橋 祐治

3 件中 1 件~ 3 件を表示

21世紀の世界の政治・経済・社会をつくる“プレーヤー”の姿を立体的視点で洞察

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 グローバリゼーションの進展が日本の長びく不況の主要因の1つで,日本はさまざまな構造改革の実行を内外から要請されている。一般にグローバリゼーションの具体的事象として指摘されるのは,アジアはもとより欧米先進国に比べても相当大きい日本の内外価格差が顕在化したこと,生産拠点の海外移転と移転国からの低価格での逆輸入が活発になっていることなどだ。
 2001年初めあたりから日本経済は戦後初のデフレスパイラルに陥ったと懸念されているが,その重要な要因が,大きな需給ギャップに加えて逆輸入製品を中心とする価格破壊ともおぼしき価格低下にあると言えよう。また構造改革の方向として,規制改廃などによって少子高齢化社会に適応した福祉・医療の改革,高物価体系の是正,コーポレートガバナンスの発想など企業経営を巡る改革,直接金融市場の育成など金融市場の改革,中小企業の活性化,電子商取引を軸とする情報化社会への取り組み,地球温暖化対策と循環型経済構造の形成を柱とする環境基盤の構築などが挙げられる。
 本書は,米国経済の現状と展望や米国社会の成り立ちのほか,日本・EU・中国・インドそしてアジア諸国からイスラムまでの国々が抱える課題を一次元分析で取り上げている。また国際的な最重要課題として国際通貨体制や地球温暖化問題を考究,少子高齢化で変貌する日本の労働市場についても一次元レベルで論及じ,日米や日中,米印関係などを二次元(平面)の手法で論じている。こうした一次元または二次元の分析を,本書全体を通じて三次元(立体)構成でまとめているところに本書の優れた特徴がある。
 例えばまず,少なくとも21世紀初頭までは最強国であろう米国と日本の同盟関係の将来を考察。そして中国の急速な経済発展が共産主義体制の基盤を揺るがせ民主化が進展した場合の米国の対中政策の新しい戦略を展望,そのうえで日米中を立体的に分析するという具合である。
 EUの政治統合まで志向する流れは,EU産業の競争力強化を中核にしたものとしながら,加えて米国型市場原理への対抗と順応という相克する動機からくるものと考察。そしてEUの拡大が,米国との関係だけでなく東アジアとの三極体制をもたらすものと結論づける。
 地球温暖化問題では,大きな成果をあげたCOP6京都会議の分析とポスト京都会議の課題を予測し,21世紀型文明としてメタポリズム(循環代謝型)文明の実現をヒトと地球の共生のために不可欠としつつも,この問題が米国を中心とする先進国と発展途上国の深刻な対立のみならず,2001年3月の米国の離脱表明にみられるような先進国間でも米国とEU・日本との利害対立が大きいと指摘。
 評者は,各章の結論(試論)の全てに合意するものではないが,各章ごとの分析それ自体的確であると同時に各章が連動して論述されており,三次元的視点で21世紀の世界と日本の明日を正しく分析していることが高く評価できる。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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2050年には,健金競争「2の法則」により,人類は地球に誕生して以来の最も高度な繁栄の時代を迎える

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 「ロング・ブーム 来たるべき繁栄の時代のビジョン」を読みながら,私はアメリカの地球環境学者であるレスター・ブラウン氏の「ウォッチ・ザ・ワールド」をすぐ思い浮かべた。
 レスター・ブラウン氏は,人口の激増と膨大なエネルギー消費とで地球温暖化などをもたらし,人類が母なる大地を破壊し,21世紀にはヒトと地球との共生は絶望的であると警告をしている。レスター・ブラウン氏の見解には共感するところが多いが,毎年ウォッチ・ザ・ワールドを読んでいると,人類の将来にゆううつな思いにとらわれることも確かである。
 「ロング・ブーム」では,ヒトと地球をどう共生させるかという問題意識は同じであるが,人類の努力によりヒトと地球の共生は21世紀において十分可能であり,かつ人類誕生以来の最高の繁栄を享受できるとしている。
 物語は,名前から推測するとクリスチャンで,イスラム教の信者で,仏教徒でもあるような多国籍・多宗教人のサルマ・アブ・ラフォード君の人生と,21世紀半ばまでの地球の将来とが,だぶって進められていく。
 1980年頃パーソナル・コンピューターという革新的な技術が開発され,ビジネスの仕組みが変貌し,資本主義のルールが変わり始めた。グローバル資本主義の象徴である金融改革と組織改革の二大改革は,経済全体の生産性を著しく向上させ,政治の仕組みまで変えるようになった。
 アメリカは,1990年代にニュー・エコノミーと言われる新しいインターネット経済を成功させ,第二次大戦後の2回目の繁栄を歐歌している。そしてここから21世紀に向けてロング・ブームの時代に入りつつある。
 この書では,「2の原則」を最も重要視している。2の原則とは,政治においても,経済においても,企業経営においても,健全なシステムには常に2つあるいはより望ましくは3つのよい選択肢が存在するということである。アメリカの成功には,2の原則が重要な役割を果たしており,旧ソ連やアジア等の発展途上国においては,2の法則が欠如している。これが改善されれば,世界のすべての国が発展すると述べている。21世紀にロング・ブームを持続させる唯一の途は,環境破壊を最終的には完全になくす方法を見つけることであるとしている。
 地球の環境は,人口の豊かさと技術の3つの要素によって決まる。それを解決するのが,先端技術等のテクノロジーの進歩である。水素燃料電池,バイオテクノロジー及びナノテクノロジーの発展がカギを握る。
 日系アメリカ人は祖国の伝統文化とアメリカの先端文化を組み合わせて,アメリカにいるどの民族集団よりも,そして本国の日本人よりも成功していると高く評価している。日系アメリカ人は,新しいテクノロジーにきわめて熟達し,想像性が非常に豊かで企業家精神が旺盛であり,日本の21世紀の姿を示唆している。
 日本は今まさに転換期にあり,努力と時間が必要であるが,遅くとも5年後には日本の奇跡がみられるであろうと期待している。
 評者はこの書を読了して,著者が地球上のあらゆる民族のもつ文化と資質の長所を評価し,地球における人類のロング・ブームを見事に具体的に描いていることに,共感と敬意を表するものである。
(C) ブッククレビュー社 2000

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日経ビジネス1999/7/12

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 1991(平成3)年春に、高騰していた土地価格が暴落して始まった平成不況は、戦後では最深最長の不況である。平成3年以降、金融経済は悪化の一途をたどってきた。それを考慮すれば、1996(平成8)年頃の実体経済の一時的な回復はあっても、経済全体でみれば足かけ9年に及ぶ不況である。
 平成8年頃まで大蔵省は、金融界が抱える不良債権(潜在的なものを含めて)は、たかだか30兆円くらいで、日本の金融界の体力からすれば自己責任で十分償却できると言っていた。だから実体経済のちょっとした回復の機会を捉えて、念願の財政改革を打ち出し、時の政権も洗脳して、今回のデフレ経済をもたらした。
 本書は、「『バブル経済』の発生と崩壊」という副題にもある通り、バブル経済の栄枯盛衰を分析して余すところがない。奥村教授は、市場経済における個々人の行動は、常に「不確実性」を前提としており、そこに国が判断を誤って有効性ある行動を取らない場合に「制度変更の異変」が生じ、今回の経済のパフォーマンスの悪化と長い不安定化がもたらされたとしている。
 バブル経済下においてもバブル崩壊後においても、日本銀行と大蔵省に代表される政策当局が、土地を中心とする資産価値の乱高下のもたらす影響について、認識が相当低かったと奥村教授は指摘している。政策当局が、バブル経済の終盤に銀行融資の総量規制を一段と強化したり、地価税を創設したり、チグハグな景気政策を取ったのも、むべなるかなである。
 奥村教授は日本経済の中で、政策当局者が国民(企業及び家計)に対して選択肢を示して、国民が責任ある選択をするのではなくて、政策当局者が1つの政策を「全員一致」の偽装の下にそれ以外ないという形で、国民に提示していることに大きな誤りと危険があると指摘する。そして、現在の日本の経済システムは、不健全性を覆い隠す虚構が作られているとしている。例えば、景気回復を徹底するために公共事業をはじめとする政府の需要喚起を中心とせざるを得ないならば、統計すら不十分な公共事業の実態とその投資効果をまず明らかにすべきであるとする。
 そして、低成長が所与のものであれば、高い名目成長率を前提とした年金制度の現実との乖離と破綻をどうするかを国民に問うべきであるとする。
 実に丹念な実証分析と緻密な理論構成のもとで、政策当局だけではなくて、国民がオウンリスク(自己責任)をもっと認識し、その上で景気対策を含む日本の経済政策を進めるべきであると提言している本書は、まさしく警世の労作である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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