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脇祐三さんのレビュー一覧

投稿者:脇祐三

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日本経済新聞2002/01/27朝刊

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 小泉純一郎首相への極めて高い支持率、外務官僚の公金詐取や田中真紀子外相と官僚の対立、若い世代に広がる学力低下や社会常識の欠落……。様々な現象に、日本のひずみが表れる。
 小泉首相が最近の日本の首相にはなかった個性を持っているとしても、移ろいやすい大衆の情緒や、それと同じ目線のメディアに依拠する危うさも伴う。官僚組織の問題に目を奪われるあまり、グランドデザインがないまま外交政策などが機能不全に陥る懸念も強い。政治から教育まで、日本では井戸端会議に類する主張が横行し、ポピュリズム(大衆迎合主義)がはびこっている——著者の危機意識は鮮明だ。
 なぜ、こうなったのか。教養をおろそかにする反知性主義や、勉強しない子供を国がつくり出すエセ平等主義の蔓延(まんえん)。戦略的に物事を考える意識の欠如。親が忍耐やしつけを教えないまま子供をパブリックな社会空間に送り出す「一家族平和主義」。著者が指摘する問題点の多くは、日本の教育のあり方の問題でもある。
 企業経営者、政治家、官僚のいずれにも、社会への責任を自覚した「エリート」たりうる教育が必要であり、大局観をはぐくむ教養が不可欠。教養とは単なる知識の絶対量ではなく、決断や判断の確固たる根拠になるものだと著者は説く。そして「学ぶべき知識をわざわざ割愛するおぞましい国が世界のどこにあるのか」と、いわゆる“ゆとりの教育”を痛烈に批判する。
 アフガニスタンのタリバンの自閉性=世界への無知が国際社会との衝突につながったように、急激な国際変化へのシリアスな認識を欠いて政治や教育が停滞すれば、日本も危うい。本書には、そういう含意も込められている。
 外交の構想力の重要さや政治家が学ぶべき歴史の教訓について、著者はすでに『イスラームと日本政治』など旧著で触れてもいた。日本の政治の常識に照らせば理想論にすぎ、「うそをつかない美徳」といった本書の論点は逆に常識的すぎるかもしれない。それでも専門外の分野を主題にした本書は異彩を放ち、この国について改めて考えさせる。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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日本経済新聞2001/05/13朝刊

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 冷戦の終結から十年以上が過ぎた。一九八九年当時の経済生産の水準を回復して欧州連合(EU)加盟交渉に入ったハンガリー、ポーランド、チェコなど中欧諸国、構造改革が遅れたバルカンや旧ソ連諸国。各地域の経済の現状には大きな差がある。社会主義経済から市場経済への移行は前例のないプロセスだ。移行期の経済問題を理解するには横断的な比較も重要になる。
 本書は冷戦終結時までの旧ソ連・中東欧の経済体制の特徴を総括したうえで、各国の体制転換の経緯と問題点を多面的に論じ、経済グローバル化やEUの東方拡大に伴う影響まで広く取り上げている。国や専門分野ごとに筆者が異なる論集ではなく、一人の研究者が書き下ろした包括的なテキストであることが、本書の特徴の一つだ。
 著者はまず「党による経済支配」という本質こそが旧体制下で市場原理を加味しようとした改革を失敗に終わらせたと説く。そして党支配と表裏一体だった「地下経済」など負の遺産の共通性を指摘しつつも、「単一の移行の理論はない」との結論に至る。
 体制転換の当初の課題であったマクロ経済の安定化では、国ごとに「急進的なショック療法」と「漸進的な改革」の路線の違いがあった。著者は国際通貨基金(IMF)やマネタリスト派の主張と一線を画しながら、九〇年代の論争を客観的に整理。産業民営化についても、国ごとの手法の違いとその狙いや問題点、所有権の移転が経営の再構築やコーポレート・ガバナンスの確立には必ずしも結びつかないことを、バランスよく説いている。
 ただ、古い構造がどの程度変わったかに主眼を置いているため、直接投資によって新たに構築されつつある中欧の自動車産業など、ミクロのダイナミズムへの言及は少ない。著者が「未発達で貧弱」と総括する金融市場に関しても、中欧での短期資金市場発足の意味などは取り上げてほしかった。とはいえ、税制の問題や市場開放に伴う農業への打撃も含め、著者の論点は多岐にわたっており、中東欧・旧ソ連の現状を理解するうえで示唆に富む。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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