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  3. 松田 博市さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年2月)

松田 博市さんのレビュー一覧

投稿者:松田 博市

12 件中 1 件~ 12 件を表示

自宅死を望む人が多いが,日本の家庭から消えた看取りや弔いの文化を私たちは取り戻せるか

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 人生の最後を,住み慣れたわが家で,親しんだできた家具や家族に囲まれて迎えたいと思うのは人情。しかし,かつてわが国で当たり前だった在宅死はいまではまれだ。病院死が半数を越えたのは1977年だからそんな昔ではないのに,私たちはもう死に瀕した家族の看取りかた,死後の死者への接しかたを忘れてしまっている。以前はどの家にも死者を見送った経験者がいて,湯灌(ゆかん)で清めた仏を北枕に安置し,逆さにした屏風(びょうぶ)で頭を囲い,線香をたて,二本の箸(はし)をまっすぐに挿した山盛りの白いご飯を供えるといった死者を送る作法が整然と行われていた。それがいまでは,死は私たちの日常から遠くなる一方である。
 理由はいろいろある。医療の高度化で治療が病院主体になったこともあるし,日本の狭い住宅空間では長期の病気治療はもちろん,葬儀,仏事の行事などできないということもある。死と直接向き合うのをさけているうち,家の中から仏壇のように死者儀礼と結びついた宗教的伝統の影も消えた。しかし死の希薄化のもたらすものは生の貧しさだ。生に限りのあることを悟らせる死は私たちに生をいとおしみ,豊かにさせることを教えてきた。
 この本で著者は,私たちがどう死に接してきたか,古い開業医,地主,巡査の日記や病院資料を通して近代日本における看取りの文化,地域医療の実態を明らかにし,現在の病院死の時代と対比している。おりしも国民医療費の抑制という課題を抱えた国は,従来の病院中心の医療から在宅医療への転換を図っており,2000年4月に施行された介護保険法でも「可能な限りその居宅において」介護を受けることを目指している。介護者や病人の経済的,精神的な不安の解消など課題も多いが,死体をみたことも,触れたこともない人が増え,看取りの技術,知識,文化が家族や地域から失われたいま,わたしたちが,自宅で安らかに生を閉じる日が本当にくるのか,考えさせられる1冊だ。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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「薬禍,手術禍の被害は女性に偏っている」と米医学界の重鎮。医者の女性軽視に対する自衛の方法はあるのか

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 前著「医者が患者をだますとき」で医者が金もうけのために,如何に病気を創りだし薬禍と手術禍をばらまいているかを告発したが,本書は,その被害が著しく女性に偏っているという事実を訴えるための続編という。2001年前半の現在からすると20年前に出版された本だが,なにしろ病院長,医学部準教授,医師免許委員会委員長などの経歴があるアメリカ医学界の重鎮が,女性は医者に差別され,だまされていると医療の実態を明らかにしたのだから,大反響をよんだ。
 そもそも女性は,子供の病気でも行くので男性の7倍も医者にかかっている。それだけでも危険なのに,現代医学では,女性は弱くてヒステリックで,女性特有の体の構造からくる精神的な悩みにさいなまれやすい生き物との認識があり,医学部の学生もそう教えこまれる。その結果,アメリカでは抗うつ剤の7割,アンフェタミンの8割が女性に処方され,同じ精神症状では男性の2倍も投薬されている。
 乳房切除,子宮摘出など女性に特有の手術はもっと問題。アメリカでは年間75万人以上の女性が子宮を摘出されているが,本当に必要なのはその2割,あとは手術以外にいくらでも治療法があるのに「不妊に便利」「将来ガンにならないため」「子宮下垂の治療」,なかには「偏頭痛の治療のため」という理由で,医者はいとも簡単に子宮をとってしまう。その結果,患者は卵巣ホルモンが急激に変化し,頭痛,抑うつ症,不眠に悩むことになる。だいたい子宮筋腫は25歳以上の女性の4人に1人にあり,そのほとんどは問題なく,閉経を迎えると自然に消滅するものなのだ。医者は男性が将来ガンにならないため予防的にペニスの切除を勧めたりはしない。
 「疑うことを知らない最高の実験動物のように扱われているのだから,女性は激怒すべき。これからは,医者に検査,薬,手術を勧められたら,簡単に受け入れず,質問し,疑い,拒否する患者になりなさい」というのが,著者からのメッセージである。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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人工光が夜を昼に変え睡眠不足の現代人。「内分泌系の混乱が肥満や病気を作る」などユニークな問題提起の本

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 1970年代からの30年間,アメリカは国をあげて「やせて健康になる」といプロジェクトに取り組んでおり,毎年8000万人もの人がダイエットを始めるといわれる。人々は「脂肪分を減らし運動に励む」という新しい宗教を信奉して,莫大な時間と費用を支出してきた。「それなのに」と,この本の著者は言う。「アメリカの歴史が始まって以来,国民がこんなに太り,病んでいたことはなかった」。実際,この間に,平均的アメリカ人の体重は13.8キロも増えている。
 なぜか。問題は,30年代以降の70年間で人類がそれまでの300万年で身につけた,地球の自転に同調して食べ,眠り,繁殖するという体内のエネルギー調整システムを狂わせたから,というのがこの本の主張だ。
 エジソンが白熱電灯を発明する前まで,人は夜になると季節によっては14時間も暗闇の中ですごした。暗闇でできることは睡眠だけだ。人工光で夜がなくなって以来,われわれの睡眠時間は大幅に減少し,その結果,光と闇にコントロールされるホルモンの分泌は混乱をきたした。免疫や代謝の担い手であるメラトニン,プロラクチン,食物と性に関わるセロトニン,ドーパミン,インスリンらは初めて経験する短い夜に戸惑っている。
 インスリンは,昼間の長い夏の間,余分に食べた炭水化物を,飢餓が待っている冬のために脂肪として蓄えようと働くが,電気のおかげで年中,長い昼間が続く現代では,せっせと脂肪を作り続けるだけで,冬がないのでは作った脂肪が使用されることもない。かくて,これまでにない多くの人が肥満,高血圧,インポテンツになり,がんや糖尿病,心臓病,うつ病になりやすい体質を作ってしまった。
 われわれは夜を昼に変えたことで体の持つホメオスタシスを変えてしまったのではないか。「こうなったら,近視眼的な科学の嘘を見破って,電気を消し,1年のうち7ヶ月は1晩に9時間半は寝よう」—大胆な仮説や推論を展開し,ユニークな問題を提起した本。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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戦後,アメリカの医療技術を日本で真っ先に実践した,世界的な心臓外科医の奮闘の軌跡

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 著者はワダ・カッター弁の考案でも知られる世界的な心臓外科医。1968年,日本で最初の心臓移植を行い,患者の死亡で「殺人罪」で告発された。この本は心臓外科医,医学教育者としての半生を自らつづったものである。その軌跡をたどると,なぜ心臓移植を行われ,それがマスコミから猛烈に批判されたかが,おのずから判然としてくる。
 著者は戦後の混乱期にガリオア留学の第1期生としてアメリカに渡り,帰国後そこで学んだものを熱心に実践しようとする。しかし,手術の術式,患者用ベッド,手術着などに新しい方法を取り入れるたびに,周囲との摩擦がおきた。当時の日本の医学,医療界の実態との落差が,あまりには大きかったのである。心臓移植後の過剰な“和田バッシング”も同根の現象といえる。今にして思えば,あれは,若い臨床医が性急に移植しようとした,アメリカ式医療や文化に対する封建的な日本の社会や医療界の拒絶反応だったのではないだろうか。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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「人間は予測・計算できる社会を作ろうとして,その内なる自然を失いかけている」と次の世代に問いかける

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 虚構に満ち,自然との本来の関係を忘れた社会について「考えるべき視点」を語った著者の講演記録。著者はこんな風に問いかける。
 戦後,日本は民主化した近代化した,というが,「都市化」したといった方がいいのではないか。都市とは人間の脳が作りだしたものだから,徹底して目的に合ったものしか置かない空間のこと。ゴキブリやドロンコ道のように設計してない,予定にないもの,つまり「自然」を排除しようとする。その都市の中で唯一,人間の設計でないもの,それは人間の身体だ。私達は計算のできる社会を作ろうとしているのに,それを作る人間という曖昧な存在のことを忘れている。予測しコントロールする仕組みにこだわるあまり,人間のもつ自然の部分を見落としている。今,自然保護がいわれるが同時に,予測も統制もできない私達の内なる自然も失われつつあるのではないか—と。
 解剖学の権威が専門の生理学の「知識」ではない自分の本音を語って耳を傾けさせる。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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人の感性に秘められている民族特有の共通感覚を手がかりに,日本民族のルーツに新説を提示

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 本書は,「輝いた」「清らかな」といった感性を表す言葉と,五感との係わりには民族によって特有の感覚があるのを手がかりに,日本人は3つの民族をルーツにしている,とする新説を提示。例えば,日本人は「輝いた」という言葉で色や気分をイメージするが,タイ人は触覚や聴覚とも結びつけて感じる。感性には民族特有の共通感覚が遺伝情報として秘められており,これを手がかりにすると民族の結びつきやルーツがわかる。
 日本人の起源も,これまで2つの民族を源とする2重構造説が主流だが,この共通感覚を基に分析すると,クロマニョン人型,ドラヴィダ族型,モンゴロイド型の3つの民族から成っているという結果になる。しかも3つのタイプには,それぞれポルトガル人,スペイン人,バスク人と共通の「心の遺跡」がみつかる。なぜ,同じクロマニョン人とルーツを同じにする民族がユーラシア大陸の両端,日本とポルトガルに生活しているのか。新しい学問的手法による問題提起の書だ。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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日本の医療に欠けているものはなにか,診療能力が高く,患者にやさしい“良医”をどう選ぶか

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 医療事故や不祥事が起こるたびに日本の医学・医療の質が問われる。では具体的にどこに問題があるのか? 著者のアメリカでの医療体験と対比すると,それが驚くほど明確になる。もっとも欠けているのは医師と患者の会話,医師同士の連携だ。日本では患者が自分の不安や治療への要望をフランクに伝える雰囲気などない。ただただ医師まかせで,医師もまた患者の顔もみず検査値だよりになる傾向が強い。
 院内感染や医療事故に会う確率が高かまるにもかかわらず日本の入院期間は必要以上に長い。医師の能力は学歴ではなく,どんな病院でどんな訓練をうけたかが大事なのに,その研修体制が遅れている。病歴の記録も不十分だ。ではどうすればいいのか。診療能力が高く,患者にやさしいホームドクターをもつことだ。巻末には信頼できる医師を選ぶチェックリストもある。そうやって無駄な診療,無駄な投薬をへらすことが日本の医療体制の改革にもつながるのだ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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微細手術を可能にしたマイクロサージャリー。外科に革命を起こしたパイオニアたちの開発・研究の軌跡

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 直径1ミリ以下の血管や神経の吻(ふん)合など,肉眼ではとてもできない微細な手術を,顕微鏡の視野の中でおこなうマイクロサージャリーは「無菌環境,麻酔導入以来の,外科における第二の革命」とまでいわれる。1921年スットクホルム大学耳鼻科の若い助手が手術用顕微鏡を使って慢性中耳炎の手術に成功したのが最初で,まず耳鼻科領域で,それまで手のつけられなかった難聴や顔面神経麻痺の治療を可能にした。その後,眼科でも水晶体から混濁した組織を取り除き患者の失明を防ぐなど画期的な成績をおさめるようになったが,マイクロサージャリーの名が一般に知られるようになったのは,事故で切断された手指の再建や移植など形成外科での成功が新聞などで報道されるようになってからだろう。
  この間この微細手術の技術は婦人科,泌尿器科でも取り入れられ,卵管再吻合による不妊治療や切断された男性器の再移植を可能にした。しかしこの技術がもっともめざましい成果をおさめたのは,やはり脳外科の分野だろう。高度に危険な脳の手術では生命の維持が最重要だが,たとえば脳血管動脈瘤の治療で血管の袋状隆起を直接遮断して治療するといったテクニックは他の手法では考えられない。新しい術式の普及は周辺の手術用機器の進歩もうながし,凝固ピンセット,ダイヤモンドエンジンバー,電気刺激装置など全く新しい医療機器も生み出した。
 この本は,そういったマイクロサージャリー開発の歴史を,それを支えた光学機器技術者,物理学者の努力もふくめ,まとめたもの。筆者はみずからも耳鼻咽喉科,頭頸部外科にマイクロサージャーリーを導入した先駆者。開発に携わった先輩,同僚,光学機器メーカーの実態に通じており歴史の証言者としたは最適任者といえよう。科学史の隙間に,東西冷戦という政治の影響,研究の足かせとなる医師社会の上下関係,研究を飛躍させた幸運な偶然など新しい技術の誕生をめぐる人間関係もかいま見えて興味深い。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本ワイル博士の医食同源

2000/12/12 21:15

長寿世界一の日本に陰りが。入り乱れる食事指導理論を整理し,具体的に「満足な食事」の選び方を明示

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 日本でもそうだが米国でもいろんな学者がさまざまな栄養情報を唱えている。彼らは炭水化物や脂肪を減らせ,植物性食事がいい,といって基礎的な生化学や統計学を引き合いにだす。だが人間の栄養はそれだけで説明できるほど単純なものではない。
 生化学を基礎とする食事指導では,たとえば炭水化物については,いまだに糖質はほどほどに,でんぷん中心にと指導している。だが問題は特定の炭水化物がグルコースに変わり血糖値を上げるそのスピードにある。脂肪はよくないと思いこむ医師は,大学での生化学の必須脂肪酸の試験には合格したかもしれないが,患者にサケという,ほかでは得難い貴重な栄養素をもつ美味を禁止する。栄養学者に悪玉にされてきた脂肪だって,摂取量ではなく種類が重要なのだ。
 我が国の栄養学の教えとは違い,べにはな油,ゴマ油,ヒマワリ油,特にマーガリンなど多不飽和植物性油が体に悪く,単不飽和脂肪の多いオリーブ油のほうがいいといったアドバイスも意外だ。
 それでもハーバード大医学部卒業後,国立精神衛生研究所の研究生活を続け,国際情勢研究所研究員として北米,南米,アジア,アフリカの伝統医学のフィールドワークを続けてきた代替医学,薬用植物,変性意識,治癒論の第一人者が,現在アリゾナ大統合医療プログラム部長として医学教育を実践している経験も含めて詳細にときあかす内容には説得力がある。生化学はもちろん人の遺伝形質とのかかわり,風土,環境との関係など,広い視点と世界各国での実地体験の裏打ち,寝ころんで読むには多少重たいが氾濫する食事指導情報を論理的に整理し納得するためにはありがたい。
 かといって理論一方の教科書でも禁欲的食事療法の書でもない。食事や栄養が健康に及ぼす影響を,この本の著者は「食は快楽の主源である」「健康食と快楽食は矛盾しない」「食事は重要な社交の場である」など7つの原則でとらえ,楽しいいことが満足な食事だという。そして食生活の改善が病気対策と健康ずくりの戦略のひとつだとして親切で具体的なガイドをしてくれる。
 「世界最悪の食事」「世界最良の食事」の章では,実際の食品名をあげて,食品の買い出しではスーパーでの加工食品につけられたラベルの読み方,外食では注意すべきメニューの選び方,そして圧巻は93ページに及ぶレシピ集,さらに著者の賛同をえた日本人管理栄養士による日本人向けのレシピ集。「食は健康を左右する因子のなかで自分でコントロールしやすい因子」と著者。食を以て薬となす,日本ではしだいに薄れゆく医食同源の考えをあらためて教えられる本だ。
(C) ブッククレビュー社 2000

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日本の名薬

2000/12/01 21:16

いまでも愛用者が跡を絶たない人気の懐かしい日本の伝統薬37の歴史と今後

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 日本には昔から100年以上も人々の生活の中で病をいやしてきた伝統薬がある。そのなかからいまでも愛用者が跡を絶たない名薬37について,どうやって生まれ,伝えられてきたかをまとめた本。
 抗生物質や化学的に合成された薬がこれだけ普及したのに,いまだに熱烈なファンがいるのはなぜか。メスで切開しないで膿をだすので後に傷が残らない京都の吸い出し膏「雨森無二膏」,刺さったトゲがひとりでに抜けやすくなると植木職人に人気の千葉の「金創膏」,東南アジア,米国,中国からの需要も多い「救心」,プロ野球巨人軍のV9に貢献したとされる胃薬「恵命我神散」など,数百年にわたって人々がその効用を確かめてきたものばかりだからだ。
 これらは文久年間や明治の初期に来日したオランダや英国の医師から教わった西洋医学の流れをくむものもあるが,ほとんどは中国医学を基礎とする漢方系の薬品が多い。しかし,生薬が原料という,その特殊事情が,いま伝統の名薬の存続を危くしている。麝香(じゃこう)や牛の胆石,ガマガエルの耳下腺分泌液などを原料とする「亀田六神丸」,熊の胃や雄イルカの門歯を使う「宇津救命丸」などは希少動物の取引を規制するワシントン条約などの制約をうけ,やがて原材料の備蓄が底をつく。
 後継者の問題もある。なかには500年も前に創りだされ製法は一子相伝の秘法とされるものある。伝承者が高齢だったり若い後継者がいなかったりで,すでに「福田蘇命散」「井上目洗薬」などの有名伝承薬が廃業している。カプセルごとポンと口に入れればすむ近頃の薬と違い,水でといたり,5分間も練り上げ和紙にのばしたりと手間暇かかる使用法も面倒がられてきた。
 明治3年の売薬取締規則からはじまる薬事法の規制もある。「反魂丹」「六一○ハップ」「一等丸」などネーミングもユニークな日本の伝承薬。このままでは日本の庶民文化が消えていくようでさびしい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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ガンと告げられたとき,終わりでなく本当に大事なことをやる出発点に変える生き方

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 もし今「ガン」と告げられたら,どうするだろう。日本人の4人に1人がガンで死んでいる。にもかかわらず,私たちはじっくり考えることをしない。そしてそのときになったら,仰天し,否定し,「なんで私が」と怒り,苦しむ。
 オーストラリアのビジネスマンだった筆者も最初のガン「白血病」で3カ月の余命と言われたとき,そうだった。医学書を読みあさり,あらゆる代替医療を試し,家族をまきこみ,悩んだ。医師は何にも言ってくれず,教えてくれる人もなく,必死に自分で生きる道を探した。そのとき「もしこんな本があったら」と幾度も思い,治ってからその本を自分で書き,2度めのガンになってからもガン患者に対するカウンセリングや支援を行っている。だから,この本にはガンと宣告されたときに何をやり,どう考え,生きるかについての親身で具体的なアドバイスにあふれている。
 ほかの医師の意見を聞くことの大切さ,主治医にすべき質問のリスト,さらに医師の気分を害するのでは,と気弱になる患者に,生き延びることとどちらが大事かと反問し,家族にはどう打ち明けるか,それも家族の年齢別にガイドする。治療についても,医師や医学にまかせきりにせず,治療しないことをふくめて自分で主体的に選ぶことの大事さをくりかえす。
 ガンのような複雑な病気について医師がすべてに答えを持っているわけではない。協力して病気に対処できるのはどんな医師か,著者の体験がものをいう。ガンに侵されている状況は変えることができない。しかし,その受け止め方は変えられる。たいていの人はガンになったことで初めて,いま自分が本当にやらねばならないことに気づく。みんな死ぬまでは生きている。その時間を仕事や医師,家族のためでなく生まれて初めて自分の意志で生きるチャンスを与えてくれるのがガンだ。そのチャンスを生かすため,絶望し,あきらめるのではなく,本当にやりたいことを「いまからはじめよう」とやさしく筆者が言う。
(C) ブッククレビュー社 2000

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早期発見が難しく治療も容易ではない肺がんの最新の治療ガイド

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 発生率は低いが死亡率が高い肺がん。我が国では男性で1位,女性も近いうちに1位になるのが確実といわれる。「フイルターつきのたばこだから」「空気のきれいなところに住んでいるから」といって安心はできない。フイルターを通った細かい煙の粒子で肺の奥にできる末梢がんが増えているし,スパイクタイヤのおかげで北海道の肺がん発生率はかなり高い。
 早期に発見できれば治る確率は高いが,できる部位や組織型によってはそうではない。特に小細胞がんは増殖も早く手術もほとんどできない。リンパ節などに転移しやすいが,脳や骨,肝臓など他の臓器に転移しやすいのも特徴で,転移した場合の治癒はかなりむつかしい。
 治療法は外科手術,化学療法,放射線治療,免疫療法などさまざまだが,この本は素人には判りずらい肺がんの治療について,最新の情報を一問一答のかたちで親切に解説したもの。治療だけでなく医師に聞きづらい微妙な問題にも専門医が正直に答えているのがありがたい。
 免疫療法とさまざまだが,がんの種類によって効果もまちまち。
(C) ブッククレビュー社 2000

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