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三橋 規宏さんのレビュー一覧

投稿者:三橋 規宏

4 件中 1 件~ 4 件を表示

水不足が世界を脅かす

2001/05/24 18:16

20世紀は石油争奪の時代だったが,21世紀は水をめぐる争奪が深刻な国際紛争に拡大してくる懸念が強い

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 20世紀の急速な経済発展の結果,世界的に資源が枯渇してきている。石油や金属資源のような有限な資源は,掘り尽くせばやがて枯渇してしまうが,森や水のようにうまく循環させて使えば,持続性のある資源までが最近では不足してきている。20世紀は石油の争奪をめぐって各国が争ってきたが,今世紀は水の争奪をめぐる国際紛争が激化してくるかもしれない。石油がなくても人は生きられるが,水がなければ直ちに死に直結してくるだけに,コトは深刻だ。
 本書は,米ワールドウオッチ研究所の特別研究員で,水資源問題の一人者,サンドラ・ポステル女史が,なぜ今水問題が深刻になってきたのかについて,水と人類の歴史にまでさかのぼり考察しており興味深い。人は,計画的に食糧を生産する技術を習得してから,文明を発展させてきたが,食糧を作る農業には水を安定的に確保する潅漑(かんがい)施設が欠かせない。だが,潅漑施設が充実していた古代メソポタミア文明は,潅漑による塩分の農地蓄積が一因となり滅びてしまった歴史があり,潅漑施設は,危険な刃を持っている。。
 現在,世界の食糧の40%は,世界の農地の17%に過ぎない潅漑農地から供給されている。しかもこうした潅漑基盤の60%が20世紀後半の半世紀に集中的に建設・整備された。その結果,これらの潅漑農地では,膨大な水需要が発生し,周辺を流れる河川の多くが深刻な水不足に陥っている。地下水も,降雨などによって補給される以上にくみあげられており,枯渇気味になっている。本書は,インド,パキスタン,中国の華北平原,アメリカ西部などの世界有数の食糧生産地域の水不足の現状を克明に調べあげており,説得力がある。
 結局水不足を解決するためには,人口とそれに伴う水消費量を抑えていくという長期的な展望に基づく対策が必要である。そのうえで,自然の水循環の枠のなかで,水を効率的に利用するため,水の料金設定,水資源の生産性を高めるためのさまざまな技術革新,地域共同体による水の管理などの具体的な提案が行われている。著者は,高い水利用効率,環境と共生できる農業として,日本の水田を高く評価し,世界に広げていく価値があるとも指摘している。今世紀の水問題を考える入門書としてぜひ一読を奨めたい良書である。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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最新の地球環境情報と的確な対策提示が魅力

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 米ワールドウオッチ研究所が,毎年発行している地球白書(英文名はSTATE OF THE WORLD)の最新版(2001—02年)である。地球の各地で起こっているさまざまな環境破壊の現状を具体的に紹介し,警告を発し,対策を提示する手法は,創設者のレスター・ブラウン氏が84年に第1回白書を創刊して以来変わっていない。現在,30数カ国語に翻訳され,行政,大学,企業,NGO,NPOなど環境に携わる人々の生きた教科書として愛読されているのも,その内容の濃さによるものだろう。
 最新版は,冒頭から,温暖化に伴なう恐ろしい話からはじまる。
 日本の面積の6倍近くあるグリーンランドの氷が,年間約510億立方メートル(ナイル河の年間流水量にほぼ等しい量)も溶けている。グリーンランドの氷床が,すべて溶けてしまうと,海面水位は,7メートルも上昇するという科学者の論文を紹介している。海面が7メートルも上昇すれば,日本の工業地帯は壊滅的な打撃をうけるだろう。そんな悪夢を否定できない事態が進行中なのだ。
 2001年の地球白書は,水問題にかなりの焦点が当てられているのが大きな特色だ。20世紀は石油をめぐる争奪が目立ったが,21世紀は水問題が深刻化し,その奪い合いが表面化してくる可能性が大きい。第2章の「しのびよる地下水汚染を防ぐ」は,欧米では50%以上,全世界では15億人から20億人もの人々が依存している,飲料水源としての地下水に焦点を当てる。その地下水は,農業潅漑(かんがい)と工業化に伴なう水需要の拡大によって,急速に減少しているうえ,さまざまな化学物質に汚染され,危機的状況に陥っている。地下水の枯渇と水質汚染を避けるためには,資源を酷使し,化石燃料依存型の大規模工業・農業経済から,再生可能なエネルギーを使ったコンパクトな都市,生態系を損なわない経済への移行を急ぐべきであると指摘している。
 このほかの部分では,4章の衰退する両生類からの警告,5章の水素エネルギー経済への挑戦,6章の持続可能な交通手段を選択する…などが面白く,新鮮だ。本書1冊を丹念に読み込むと,結構環境問題のエキスパートになったような気にさせてくれる。数ある環境問題の本をあれこれ読むよりも,本書をじっくり精読することを奨めたい。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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環境経済学入門

2001/04/05 18:16

熱力学上の法則を駆使,地球の限界と折り合える経済の持続的発展を目指した環境経済学の総合的な入門書

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 21世紀最大の難問,地球環境問題に対して経済学の貢献度はあまり高くない,との批判がある。従来の経済学でも,外部不経済などの形で環境問題への取り組みは見られたが,基本的には地球の限界(環境破壊や資源の枯渇化現象,環境ホルモンの発生など)を意識した論理構成が欠落,物的豊かさと引き換えに地球環境を著しく悪化させてしまった。
 本書は,悪化する環境破壊を阻止,環境再生の方法として,従来の経済学に決定的に欠けている環境に焦点を当て,地球の限界と折り合える持続可能な発展のための経済学の構築に挑戦している。本書の最大の特徴は,熱力学の2つの法則を出発点にしていること。第1法則はエネルギー保存の法則。エネルギーは創造も破壊もされず,その形態を変えるだけであるという法則。第2法則はエントロピー増大の法則で,使用不可能なエネルギーを使用可能なエネルギーに変換するのは(他のエネルギーを利用しない限り)不可能というもの。
 地球上にある物質(原子の質量)量は,不変である。たとえば,自動車を造るのにさまざまな物質を原材料として動員,使用期間を過ぎた自動車は廃棄物として処理される。しかし,自動車を造るための原材料,自動車として存在している時,廃棄物になった後の各物質量は形態こそ異なるが全て同じ。ならば,エントロピーが増大した廃棄物の姿ではなく,エントロピーの小さい原材料を効率的に使う,あるいは自動車として使える時間を長くした方が好ましい。
 このような物質循環の基本を踏まえ,本書は市場機能の失敗とその修正,費用便益の考え方など従来の経済学の中で環境政策に応用できる手法をピックアップしながら,環境税の導入など環境保全のためにどのように市場経済を利用していけばよいかなどの核心に迫っていく。温暖化問題や酸性雨,オゾン層破壊などホットなテーマも取り上げ,真正面から解決策を検討しており,質の高い環境経済学の入門書に仕上がっている。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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地球環境問題は,突き詰めれば人口問題に行き着く。人口爆発に歯止めをかけないと人類の明日は暗い

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 著者のレスター・ブラウンと言えば,環境問題に関心のある読者にとっては,あこがれに近い存在だろう。1974年に米国・ワシントンDCにワールドウオッチ研究所を設立して以来,毎年,地球環境の現状を克明に記録した「地球白書」を発表し,悪化する地球環境の現状とその対策を提案し続けている。地球白書は27カ国語に翻訳されており,世界で最も読まれている環境問題のテキストになっている。特にこの数年は,経済の勃興期を迎えた中国が21世紀には食糧の輸入国に転じ,世界的な食糧不足の時代を迎えると警告を発してきた。この数年は,中国,インドなど人口大国の水不足問題が深刻化し,国際問題に発展するかもしれないと指摘して注目を集めている。
 日本にも年数回訪れ,講演で各地を飛び回る。スニーカーをはき,蝶ネクタイで演題に立つ姿はユーモラスだが,豊富な資料を駆使した話しぶりには,説得力があり,つい引き込まれてしまう。評者は,5月に来日した際に懇談したが,「地球の状況はますます悪くなっているが,明るい兆しもあり,私は悲観していない」と語っていたのが印象的だった。
 その著者が人口問題に焦点を当て,深刻な現状を紹介し,解決策を示しているのが本書である。経済学者のトーマス・マルサスは,約200年前に「人口論」を書き,その中で「人口は幾何級数的に増えるが,食糧供給は算術的にしか増えないので,大量の食糧不足と飢餓はさけられない」と予言し,「憂鬱な科学」と呼ばれた。マルサスの予言は,その後近代工業化の過程で,忘れ去られたかにみえたが,21世紀を直前に再び,現実味を帯び出した。
 世界人口は,1950年の25億人から現在の60億人へ膨れ上がっている。国連人口基金の予想によると2050年には,90億人程度まで増加しそうだ。その人口増加の大部分が途上国に集中する。この人口増加は明らかに地球の許容力を上回っており,水不足,漁獲量の低下,エイズなどの感染症のまん延,森林破壊などさまざまな形で危険を知らせるシグナルが発っせられている。
 マルサスは人口問題の解決に悲観的だったが,著者は「人口転換の3段階」説によって解決はできるという視点を示している。歴史的にみると,人口増加率は,前工業化段階では,出生率と死亡率がともに高く,増加率はゼロに近い。これが第1段階。その国が近代化し始めると,死亡率が低下するが,出生率は高いままで,人口増加は年率3%近くに上昇する。これが第2段階。経済が成熟した第3段階では,少産少死が低いレベルで均衡し,人口が安定する。
 日本や欧州などの先進国はこの第3段階にある。このことから,問題解決の道は,第2段階にある多くの途上国の人口をできるだけ速やかに第3段階へ移行させることが重要になる。そのためには,自国の扶養力(食糧や水)に対して人口が多過ぎることを国民に徹底させるとともに,女性の能力開発や家族計画の実施などにより,出生率を抑制する国家プロジェクトを強化させることが必要だと提案する。一読を薦めたい本だ。

(C) ブックレビュー社 2000

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