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先月(2017年6月)

柴崎 信三さんのレビュー一覧

投稿者:柴崎 信三

3 件中 1 件~ 3 件を表示

高等教育政策の展開と功罪を追いながら,岐路に立つ日本の大学の教育・研究両面の役割を問い直す

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 戦後日本の大学は,進学率が5割に及ぶ大衆化の波と少子化による定員割れで厳しい経営環境に置かれている。国の高等教育政策が国立と公立,私立という異なった設置形態の下で教育研究を一元管理するという隘路を,大学が通ってきたためである。過大に見積もった定員がもたらした経営危機に直面する私大も,独立行政法人化を巡って統合や再編を迫られて曲がり角に立つ国立大も,この高等教育政策を通して国が進めた規模や教育研究の質の管理が呼び込んだ結果という点で,戦後の護送船団型システムが招いた制度疲労の典型と見るべきだろう。
 本書は,教育問題記者として中教審や臨教審などによる一連の教育改革を取材し,大学紛争後に新たなモデルとして生まれた筑波大学に転じて高等教育行政の研究にかかわってきた著者のライフワークともいうべき著作で,これらの審議会を通した高等教育計画の展開とその改革に起因する功罪を通史的に丹念に跡づけている。8年前に書かれたものの新版だが,補章として書き加えられた「2000年前後の大学改革の状況」は,国立大学の独立行政法人化を巡って日本の大学が抱える問題を論じて示唆が多い。
 日本の大学が規模としては飽和点を迎えながら,これまでの改革論議の中では国や審議会,大学とも,この国立大学の設置形態と教育予算の財政配分のあり方について本格的に論議するのを先送りし続けてきた。しかし,行政改革に伴う公務員の定員削減の一環として独法化問題が焦眉の急となったいま,著者が指摘するように「国立学校だけが現状維持」を決め込むのは困難になってきており,こうした状況を踏まえ,私学を含めた大学全体から教育,研究の両面の役割を再構築する必要があろう。
 その観点からすると,本書は日本の大学政策の意思決定のプロセスを解き明かす中で,結果的には教育市場の動向と政策のアンバランスを浮き彫りにした著作とも読める。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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情報革命に対応した教育現場のディジタル技術利用を実例で紹介する「新しい教室」のテキスト

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 情報技術(IT)の広がりが日本の社会を大きく変えているなかで,対応の著しい遅れが目立つのが小,中,高校などの教育の現場である。ハード面では全国の学校へのコンピューター整備計画が1994年から始まり,2001年度末までには公立の小,中高校を中心に全国の4万校すべてでインターネットの接続と校内LAN(構内情報通信網)が整備される予定だが,これに対応してコンピューターを教室で学習指導に扱える教員は文部省の調べで全体の26.7%に過ぎない。平均で40歳台後半という教員の高齢化と,ディジタル化に遅れた教材や教室など学校文化の影が,現代の「読み書きそろばん」ともいうべき情報リテラシーの劣化としてあらわれ,日本の若者たちに大きなハンディをもたらしかねない。
 「二十一世紀の学びを拓く最先端の教育の情報化プロジェクト」とうたった本書は,そうした教育現場の現実にむけてコンピューターやインターネットの情報技術を生かして成果を上げた63の具体的な教育事例を通し,教員が実際に活用できるようにホームページやネットワーク構築や学習者への指導のノウハウをビジュアルに紹介した,すぐれて実践的なテキストである。1998年度の補正予算で「教育の情報化推進事業」(ラーニング・ウエブ・プロジェクト)として組まれたものだが,教員から学習者個人へ一方通行的に知識を教え込む教育に代わってディジタル情報をコアにした知的資源の活用で学びの共同体を目指す新たな試みは,「学校」の姿そのものを大きく変えることを実感させる。
 2002年から小中学校に導入される「総合的な学習」に向けてインターネットと携帯端末をつないだ「ハイブリッド水族館」のモデルなど一般の学校向けコンテンツばかりでなく,長期入院の小児患者を対象に双方向の動画通信で構築した「バーチャル院内学級空間」や社会人対象のネットワーク型起業家教育モデルなど,多様に広がる学習空間へ向けて開発された実例は情報技術の応用で拡大する教育の可能性を浮かび上がらせ,教育現場に大きな刺激をもたらすに違いない。通産省のプロジェクトという性格もあって,大半のモデルを手掛けたのが民間の企業やシンクタンクなどだったことは,ディジタル技術を応用したこれからの教育コンテンツの開発や教育現場での展開が既存の学校社会だけでは担えないことも示している。
 日本の教育問題といえば若者の学力低下やいじめ,不登校といったネガティブなテーマが目立つが,IT革命に伴う情報空間の変化は画一的な教材や指導のあり方を変質させ,「学校」という伝統的な文化そのものを組み替えてゆく可能性も高い。     
(C) ブッククレビュー社 2000

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学力低下という問題を引き起こす大学教育の基盤崩壊に歯止めをかけるための実践的教養テキスト

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 大学生の学力低下が大きな問題となっているが,その中心的な論議はここ10年来進む「ゆとり」と「個性化」を目指した教育改革による絶対的な学習の質量の低下に原因を求める。その理解に誤りはないが,若者を覆うのはそれ以前の知的な関心そのものの劣化ともいうべき現象だ。少子化で大学の定員割れが本格化するなかで大学が学生確保に走れば,勢いその入り口(入試)や教育内容が顧客(学生)に迎合的になることは必然で,そのなかで教員がどうすれば若者の知的な関心を引き出しながら大学教育の基盤を維持できるかが問われている。
 本書は大学のヒエラルキーの外からそうした教育の現場に立ち合った著者が,「社会史」という授業の枠組みのなかで多様な現代の知のありようを説いた記録とも言うべきものである。したがってアカデミックな系統性や総合性はあらかじめ放棄されており,その上でもっぱら自らの「趣味的」な知のアイテムを自在に論じる一種の教養講座的な展開になっている。「石原新税」「アカウンタビリティー」「徂来学」「没落士族」など,登場するアイテムはあたかも百科事典のごとき縦横無尽の広がりで,そこから歴史や社会像が緻密な分析や構想性をもって立ち上がるわけではない。しかし,現在若者たちが手がかりとして必要としているのはこうした実践的な教養のガイドブックとでもいうべきものなのかもしれない。
 「教養の崩壊」はイデオロギーや冷戦構造の終焉とサブカルチャーの広がりとともにもはや争えない現実となった。にもかかわらず,専門主義という新たな現実に見合った「教養」が不可欠なことは,オウム真理教事件などが証明する。その隘路を破ろうとする著者の志は多とすべきだが,視野にきわめてサブカルチャー世代の色合いが強いのは皮肉というほかない。
(C) ブックレビュー社 2000

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