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  3. 井上 繁さんのレビュー一覧

井上 繁さんのレビュー一覧

投稿者:井上 繁

14 件中 1 件~ 14 件を表示

地方分権改革で積み残しとなった地方税財政の改革課題やそのあり方,基本的視点などを提示

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 2000年代は,1990年代の地方分権改革で取り残された地方税財源のあり方をめぐる議論が活発になるだろう。現在の日本の地方財政制度は,地方交付税や国庫支出金など中央から地方への財政移転を通じて中央政府の規制を受けやすく自主性,自律性が損なわれているからである。本書は,地方税財政の分権を進めるための地方税財源のあり様を整理しながら,地方税財政の改革課題を提起するという視点で,全7章を6人の専門家が分担執筆。
 テーマと執筆者は,第1章分権化社会の地方税財源=関野満夫中央大教授,第2章住民税と地方所得税=武田公子京都府立大助教授,第3章地方税における企業課税のあり方ー法人事業税改革をめぐって=梅原英治大阪経済大教授,第4章市町村と固定資産税=川瀬光義静岡県立大教授,第5章地方交付税の改革=関野満夫中央大教授,第6章地方債制度改革の基本的課題=秋山義則滋賀大教授,第7章地方税財政改革論の歴史から=田中重博茨城大教授—である。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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近年のリベラルな政治と財政再建の両立をめざす,新しい政治文化を分析。データを基に論を展開

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 本書は日米の学者5人の共同作業で生まれた。原著は「The New Political Culture(新しい政治文化=NPC)」である。1970年代以降,世界各地に台頭してきたこの新しい政治理念を分析している。
 従来型の政治では,政治指導者は政党や労働組合などから支持を受け,たとえば,高所得者対低所得者といった対立軸のなかで,どちらかの代表として登場していた。NPCでは,市民民主主義,環境保護主義などを重視し,これら個別の争点ごとに異なるリーダーが登場する。こうした現象は,市民の教育水準や所得水準が高く,高度先端産業やサービス業従事者の割合が高い地方自治体や国ほど顕著にみられる。
 本書はこうした問題意識で,新しい政治文化を論じている。構成は,第1章この本の概要,第2章新しい政治文化—脱産業化社会における福祉国家と社会政策へのダイナミックス,第3章新しい政治文化は本当に存在するのか—最近の主要な歴史的発展からの例証,第4章新しい政治文化の国際比較,第5章自治体における政党組織—その役割と変容,第6章自治体関係者意識の国際比較,第7章日本における新政治文化と政策過程−−である。また,補遺として米国はじめ,各国での調査結果を紹介している。
 このうち,小林良彰慶応大教授の執筆した第6章は,日本,米国,韓国での調査を基に3カ国における意識の違いを明らかにしている。
 名取良太関西大講師による第7章は,日本の自治体を分析対象としている。この章では,いくつかの仮説をたて,それを実証している。「政治的競争が激しい自治体の市長は再選を果たすために,高齢者福祉予算を拡大させる」「得票率の低い市長は,より多くの公共事業の配分を求め,依存財源の拡大志向を抱く」「政治的競争の少ない自治体の市長ほど対抗者の登場を恐れ,住民投票に消極的」などは興味深い指摘である。
(C) ブックレビュー社 2000-2001

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紙の本21世紀の地域産業振興戦略

2001/02/23 00:15

地域産業の構造的な特質を明らかにしながら,その振興に取り組む地域の実態と今後の課題を究明

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 20世紀の日本の産業は外貨の獲得をめざし,輸出型産業の振興に重点を置いた。21世紀の産業は,海外との関係では,中国を含めたアジアの新たな枠組みの中で自らを位置づける必要がある。国内では,少子・高齢社会という人口構造の変化によって地域の重要性が高まる。IT革命によって距離の離れていることが障害ではなくなり,地域に大きな可能性をもたらす。編著者たちはこうした問題意識で,各地の事例を分析した。
 序章と終章以外の7章は,新たな産業振興戦略に挑む各地の事例分析である。「大都市工業の新たな展開」と題する第1章では東京都三鷹市を取り上げる。SOHO(スモール・オフィス・ホーム・オフィス),工場アパートの建設などを通じて高齢時代を意識した地域産業政策を実践している。
 第2章は,大都市近郊の工業都市である神奈川県相模原市の事例である。「株式会社さがみはら産業創造センター」などの新しい展開を紹介する。
 「地方大都市の新たな展開」と題する第3章の舞台は札幌市。ここではコンピューターを利用したソフトハウスが育っている。第4章は「地場産業都市の新局面」として家具産地の福岡県大川市を取り上げる。第5章は,「テクノポリス地域の展開」として新潟県長岡市をそ上に載せる。「地方小都市の産業振興」と題する第6章は,岩手県宮古市の事例研究である。
 第7章の「中山間地域の産業振興」では,岐阜県明宝村の事例を取り上げている。いくつかの第三セクターが地域に貢献している。特産品開発による村おこしに,女性だけで取り組んでいる会社もある。
 これらの事例を読んだ読者は地方自治体としての戦略が大事なことを改めて知るだろう。地域産業政策の主体を国から市町村に移すべきという編著者たちの主張は当然である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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コスト削減,民間手法の導入,住民参加など自治体改革に取り組む先進地域の現場からの報告

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 分権時代に入り,自治体は大きな改革が求められている。本書は,各地の自治体で先駆けとなった取り組みを現地取材で報告している。テーマは少子高齢化,環境政策,住民参加,コスト削減,民間手法の導入,教育改革,自治体再編,地方議会改革など幅広い。公務員だけでなく,住民にも読んでほしい。
 本書が取り上げている自治体は,確かにそれぞれの課題に関して20世紀における先進自治体ではあった。だが,21世紀もそうであり続けるためにはさらなる改革が欠かせない。自治体を取り巻く環境は大きく変化しているからである。努力を怠ればすぐ先を超されるだろう。
 残念なのは,取り上げている自治体はすでに新聞などで紹介ずみのところが多い点である。著者には,続編として自ら足を運んで選んだ新世紀の自治体のざん新な取り組みの紹介を期待したい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本列島破産 地域に未来はあるか

2001/01/16 18:15

地方分権時代に入り,列島各地で起きている新たな地殻変動をベテラン記者が克明にリポート

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 「列島破産」とはハッとする書名である。だが,副題に「地域に未来はあるか」,帯に「最悪のシナリオは回避できるのか」とあり,ねらいは問題提起にあることがわかる。地域経済の現状に警鐘を鳴らすだけでなく,前向きな改革の方向や,具体的な提案を盛り込んでいる。
 島根県の国営中海干拓事業の中止や,大手百貨店そごうの破綻(たん)に見られるように,公共事業による地域開発や,企業誘致に依存した地域経営が限界に達していることは,だれの目にも明らかである。だが,いまなお,多くの地域が発想を転換していない。そこを,第1章の「危機のマグマ」や第2章の「“無策”が地域を破壊する」で明らかにしている。
 一部の地域では新しい時代を模索する動きが始まっている。その具体事例を,第3章「担い手の苦悩」,第4章「脱・20世紀経済」,第5章「自立への道は築けるか」,第6章「欧州の新しい波」に見ることができる。こうした先進的な動きが各地に広がることを期待したい。第7章は「地域への提言」として5県知事を含む9氏の意見を載せている。巻末には,首長を対象に実施したアンケートの結果を紹介している。
 ただ,地域の振興は列島各地の努力だけでは限界があるのも事実である。国から地方への財源の移譲や都道府県から市町村への権限の移譲など制度の改革が大事である。とりわけ,地方が自由に使える財源の充実は,分権を定着させるためには欠かせない。
 本書は1999年4月から2000年7月にかけて毎週月曜日,日本経済新聞に連載した企画記事を基に構成している。取材,執筆,とりまとめにあたったのは19人のベテラン記者である。全国の取材網から情報を吸い上げ,一つひとつの現場を歩き,話を聞いてまとめているだけに読みごたえがある。幅広い読者を想定して,大事な内容をかみくだいて執筆している姿勢にも好感が持てる。
(C) ブッククレビュー社 2000

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自治体職員の目で見たスウェーデン・ヨーテボリ市の都市政策。自治体運営のヒントに

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 本書が紹介しているスウェーデンのヨーテボリ(イェーテボリと表記することもある)市は,この国第2の都市である。スウェーデンでは,福祉,文化,教育など市民生活にかかわる多くの権限と財源を地方に移しているため,自治体は独自の政策を実行しやすい。ヨーテボリ市の場合は,次のような施策を展開している。
 地方制度面では,人口45万人の市域を21の地区に分け,各地区に権限と財源を移譲している。一方,特別市としての同市は長い間県に属してこなかったが,1999年に県ができ,権限の一部が移った。分権と集中を使い分けている。財政面では,地方政府は自らの裁量で市中銀行から資金を借り入れる権限を持っているにもかかわらず,あえて民間の信用格付け会社に評価を委ね,起債を自主規制している。
 スカンジナビア最大級の港湾都市であり,産業都市でもあるこの都市は,長い時間をかけて公害を克服した。大学との連携による新たな産業創造にも熱心である。都市計画では,再開発地域と自然保護地域をはっきり分け,環境との調和による持続可能な都市を追求している。大型工場が移転し空洞化した跡地は複合市街地としてよみがえった。
 スウェーデンについては,これまでも福祉,環境,都市などを個別に取り上げた文献は多い。だが,例えば,福祉はその財源や社会システムの支えがなければ機能しないのに,それらについて触れていないものもある。それは学問が細分化した欠点でもある。本書は,1つの都市に焦点を当て,政策を総合的に検討している点に特徴がある。日本の自治体でも大いに参考になろう。ただ,高齢者福祉などについての記述が少ないのは残念である。
 著者は川崎市役所の職員である。20代のとき海外派遣制度でこの都市を訪れた。以後17年間,機会を見付けて現地を訪ね,研究を続けてきた。その努力を多としたい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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ちょっと待て市町村合併

2000/12/06 15:15

市町村合併に反対する立場での合併問題についての解説書。過去の合併事例を検証する

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 分権型社会を定着させ,限りある財源を有効に使って住民サービスを向上させるには,市町村合併は避けて通れない,というのが評者の基本的な考えである。こうした立場で見ると,この本の題名は挑戦的である。
 三橋良士明静岡大学教授と自治体問題研究所の編による本書は,前半と後半に分かれる。前半は,「市民が検証する市町村合併のその後」として3市の合併を振り返っている。取り上げている自治体と筆者は,東京都あきる野市=山西善子氏(あきる野市政を考えるみんなの会),仙台市と合併した旧泉市=正木満之氏(仙台市議),茨城県つくば市=直江常夫氏(つくば市職員労働組合)である。
 後半は市町村合併の制度とその論点を,合併に慎重な立場で論じている。和田蔵次・長野県地方自治研究センター前事務局長は,「市町村合併をめぐる財政のアメとムチ」と題し,長野県内の町村での事例をひきながら地方交付税の減額は小規模町村の合併の誘導と指摘する。三橋教授は「合併・広域行政の推進と市町村自治体の役割」と題し,平成の大合併の背景とねらい,地域での論点,合併の法制度,住民の心構えなどを解説している。
 本書で記述している事実関係のすべてを評者自身が確認しているわけではないし,解釈の仕方にもよるだろう。しかし,事実とすれば合併を推進するうえでも困った問題を含んでいる。合併時の約束が反古になっているといった指摘はそのひとつである。合併時の計画は自治体の住民への一種の公約である。その約束が空手形になっているとしたら,ゆゆしき問題である。合併を進める際には,バラ色の計画を立てがちなだけに心しなければなるまい。
 ただ,だからといって本書の主張のように合併にブレーキをかけるのは賛成しかねる。しっかりした自治の基盤を築くためには合併を含めた広域行政が不可欠と考えるからである。
(C) ブッククレビュー社 2000

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企業や市民生活に与えている地域経済の急激な変化の影響を,京都を素材にして検討

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 京都は古くからの伝統を守るだけでなく,さまざまな新しい事業に全国に先駆けて取り組んできた。経済や生活関連では,日本初の水力発電事業を開始し,初の市街電車を走らせた。中央卸売市場を初めて開設したのもこの都市である。個性ある技術や斬新さを売り物にする多くのベンチャー企業も輩出してきた。この歴史都市は,古くからの文化と,新しいものを融合させて発展してきたといえる。
 本書はこうした京都を研究の素材にしている。「京都市とその周辺地域に関する経済学的研究」と題する研究会の約3年間にわたる成果をまとめた報告書である。龍谷大学を中心とした8人の研究者が分担して執筆している。各章を通じて,京都府南部の変化と,その変化が市民生活や地元企業の活動に及ぼす影響,今後の行方と提言などをまとめている。京都の事例研究ではあるが,ここで取り上げている課題の多くは全国どこの地域でも適用できる普遍的なものである。
 本書は序章と2部8章で構成している。第1部の「伝統の中の革新」は,伝統産業と知的財産,皮革産業から自動車解体業へ,地域の拠点としての郵便局ネットワーク,創造と革新に挑戦する地域商業,の4つの章から成る。
 第2部の「創造性の発揮」は,地域と大学をつなぐリサーチパーク,環境政策の潮流とエコ・ビジネスの動向,高齢化社会における福祉用具と地域,金融システム改革と農業協同組合,という章立てである。 
 伝統産業と知的財産の章では,デジタルアーカイプ事業の可能性を検討している。デジタルアーカイプは,歴史的な文化遺産などの財をディジタル技術で記録,保存,蓄積し,これらの情報財を次世代情報関連産業など広い分野で利用できる環境を整えることを目的としている。
 地元では,1998年に産・官・学による仕組みとして京都デジタルアーカイプ推進機構を設立している。著者も指摘しているように,豊かな歴史,文化,伝統に恵まれた京都で,その対象は美術工芸品といったモノからノウハウまで多岐にわたると考えられる。オンライン書評の読者は大いに関心を持つに違いない。
 残念なのは,京都の地域経済を論じたにしては網羅性に欠けることである。たとえば,伝統産業や製造業についての記述が乏しい。「京都の市民と企業」という副題がついているのに,市民や市民生活に関する分析が少ないのも気になる。これは執筆者がそれぞれ自分の関心あるテーマを選んで執筆したためと思われる。
 京都を考えるうえで歴史を抜きにするわけにはいくまい。ところが,どの章でも歴史都市としての特殊性には触れていない。この点は編者もあとがきで述べているように,全国に通用する議論を意識したための弱さである。これらについては継続した次の研究に期待したい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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日本の自治体が,英国の地方分権改革に学ぶべきことは何か。サッチャー政権以降の改革を検証

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 欧州で最も大胆な行政改革の実験を繰り返してきたのは英国である。この国の地方分権改革は,財政危機を背景に中央の行政改革と連動する形で進んだ。
 それは新保守主義を掲げて1979年に登場したサッチャー政権に始まる。サッチャー政権の自治体改革を表す理念はバリュー・フォー・マネー(VFM)である。1980年に導入した強制競争入札(CCT)は,これを実現する手段と位置付けた。自治体の事務事業を入札にかけることを義務づけ,自治体自身も民間企業とともに入札に参加する仕組みである。地域の公共サービスの担い手は自治体という伝統を打破した画期的な試みだった。これは2000年1月まで続いた。
 1990年に登場した保守党のメジャー政権はシティズン・チャーター(市民への約束)に取り組んだ。自治体が市民に対してサービスの量や質の供給目標を明示し,その達成に努めるやり方である。1992年にはPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)を始めた。サッチャー時代の構想を具体化したものである。
 1997年に政権の座についた労働党のブレア首相は,ベストバリューを打ち出した。国は,ベストの追求を怠る自治体にはサービスの民間への移管などを指示する権限を持つ。
 それぞれの政権で手法に違いはあるものの,行政の透明性を高め,住民サービスの質の向上をめざす姿勢は共通している。
 本書は,こうした英国における自治体改革の手法を検証し,日本における導入可能性を検討している。「自治・分権ジャーナリストの会」の会員であるマスコミ各社の記者が分担して足で書いているだけに説得力がある。
 読者は英国における大胆な改革と,日本におけるぬるま湯的なそれのギャップに気付くに違いない。自治体改革の基本や,改革のあり方を考える好著である。
(C) ブッククレビュー社 2000

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現代の地方自治を理解するのに必要な用語を今日的視点に立って解説した地方自治の用語辞典

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 地方自治は住民に最も身近な行政である。本来,それはだれにも分かりやすくなければならない。ところが似たような言葉や専門語も多く,新語も次々に登場している。地方自治に関する言葉に疑問を持ったとき,手元に置いて確認するのに便利な一冊である。
 執筆者と担当分野は以下の通りである。いずれもベテランの専門家である。
 ▽阿部斉放送大学教授=地方自治の理論,地方政治▽今村都南雄中央大学教授=行政管理論,組織論,制度改革▽岩崎恭典中央学院大学助教授=都市問題,まちづくり,地域問題▽大久保晧生中央学院大学教授=地方自治法,地方行政,地域開発,環境,農政▽澤井勝奈良女子大学教授=地方財政▽山本英治常磐大学教授=地域社会,社会教育,福祉▽寄本勝美早稲田大学教授=自治体の行政管理,人事・職員・労働問題,地方制度,都市行政。
 本書が最初に世に出たのは1988年である。その後,1994年と1996年に改訂した。
 今回の「新版第1次改訂版」では新用語148語を追加するとともに,既存の項目についても見直しを行い,合わせて983語を収録している。
 自治事務,法定受託事務,法定外目的税といった2000年4月の地方分権一括法の施行に伴う新語も登場する。地方自治の基本的な法律や制度にかかわる用語はもちろん,介護支援専門員(ケア・マネジャー),ケア付き住宅,環境会計,ゼロ・エミッション,ダイオキシンといった福祉や環境など周辺分野の言葉も充実している。米国,英国,ドイツ,フランスなど海外の地方自治事情も解説している。
 特定の項目を引くだけでなく,分野ごとに並んでいるため,各分野を理解する入門書としても活用できる。地方公務員や学生の座右の書として薦めたい。
(C) ブッククレビュー社 2000

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紙の本市町村合併ノススメ

2000/11/01 12:16

市町村合併の必要性や運動の理念,進め方などを詳しく解説する合併運動の指南書

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 市町村合併を推進する活動が各地で盛んである。だが,せっかく署名を集めて住民発議にこぎつけても,首長や議会の反対で挫折している例も少なくない。日本の将来にとって市町村合併が必要と考える評者は,そんな状態にもどかしさを感じる一人である。
 各地の青年会議所など民間では,行政は構造改革が足りないという声が根強い。これについて著者は,財政の効率化とか,議員の数を減らせという論理では,合併の力になり得ないと疑問を投げ掛ける。
 市町村合併はまちづくりのためにこそ必要であり,それによって地域に元気が出るようになるというのが著者の主張である。すなわち,地域住民の価値観を形にするのがまちづくりであり,行政区画は絶対的なものではないから,まちづくりをしやすい単位として再編成すべきという。こうした視点で合併運動を進めれば,その活動の過程自体がまちづくりにほかならない。こうした視点はこれまでの合併論議で見落としがちだった。
 もうひとつの特徴ある視点は,市町村をコミュニティーの連合体と位置づけ,狭域行政を重視している点である。都市部でいえば,小学校区を一つのコミュニティーとし,そこが地域の防災,教育の一部,都市計画などを自主的に決定できる仕組みをつくることを提案している。このようにコミュニティーに一定の自治権を付与するというのは新しい発想である。ただ,自治権の範囲などについては大いに議論しなければなるまい。
 本書は,「全国各地で合併運動が起きている」「合併がなぜ必要なのか」「コミュニティーの再生と合併を両立させる」「昭和の大合併のつめ跡を克服する」などの章で構成している。合併の是非を論じているのではなく,合併の必要性を説き,それによる効果を高めるための戦略論を展開している。
(C) ブッククレビュー社 2000

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米国,英国,ドイツ18都市の事例研究。中心市街地が衰退する日本のタウン・マネジメントと比較

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 中心市街地の活性化は,日本の中小都市の大きな課題である。駅前や旧街道沿いの商店街は客足が遠のき,シャッターを下ろしたままの店が少なくないからである。中心市街地が衰退すると,都市全体の活力をそぐことになり,深刻な問題である。
 中心市街地活性化法に基づき市町村が基本計画を作成したものの,事業は必ずしも順調でない。実施主体となるタウン・マネジメント機関(TMO)を設立するための人材が不足していたり,肝心の商業者などの意欲が低かったり,問題が多いためでもある。
 海外の都市はこの問題にどう取り組んできたのだろうか。本書は,欧米18都市での事例研究である。取り上げたのは米国のピッツバーグ,サンアントニオ,デンバー,英国のシェフィールド,ノッティンガム,マンチェスター,ドイツのダルムシュタット,ウルムなどの各市である。米国と英国における中心市街地再活性化のための施策も紹介している。
 日本政策投資銀行の海外駐在員が直接,現地に足を運び日本人の目で取材しただけに,参考になる点が多い。
 欧米と日本の取り組みの違いの一つは,本書の終章で述べているように,欧米の場合,自分の街の市街地がなぜ空洞化してはいけないのかといった議論を公の場で行い,その費用をどの程度負担するかについて市民の間に合意を形成している点である。これに対して,いま日本に生まれつつあるTMOは,商業者が中心で,住民が株主などとして参画している例は数えるほどである。
 つまり,欧米では民間と市民が主体になっているのに,日本の場合は自治体や国が前面に出て,民間の盛り上がりに欠けている。
 読者は本書からタウン・マネジメントの真の精神を学んでほしい。
(C) ブックレビュー社 2000

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郊外に住宅地が生まれて100年。関西を舞台にこれからの「住宅地とテーマ」を考察

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 この本は郊外住宅地に関心を持って20年ほどになるという著者の郊外住宅地論である。副題に「テーマを追い求めた住宅地」とある。戦後,開発してきた住宅地をテーマタウンと位置づけ,その開発を供給側である開発者と,需要側である居住者の双方の視点から読み解こうと試みた意欲作である。
 山林を切り開き,海を埋め立てた開発地では,都市としての伝統がない。最初は土ぼこりだらけの野原のことが多い。現地を見に来た人を住む気にさせるには,まちづくりの理念を分かりやすい言葉にし,実際の都市デザインを販促用のパンフレットで表現する必要があった。これがどの分譲地もテーマタウンを目指した理由である。
 ただ,開発者がどんなにすばらしい生活様式やテーマを設定しても,居住者は日常のあらゆる場面でそのテーマに合わせて暮らすわけにはいかない。それでも住宅地にはテーマが必要と著者は主張する。まちにテーマを設定することが新たな定住者や訪問者を増やすきっかけになるからである。
 著者は21世紀の生活様式のひとつとして,個性あるテーマタウンに生活の拠点を置きながら,大都市や農村,あるいは大自然の魅力を,必要性や気分に応じて使いこなす生活をあげている。住まいと生活を楽しむ場を使い分ける考え方である。だが,新しい全国総合開発計画がめざしているような多自然居住,つまり住まいと自然とを融合させるのもひとつの生活様式である。それぞれの趣向に合わせていろいろな住み方があっていいだろう。大事なのは多様な選択肢が用意されているかどうかである。
 著者も述べているように,郊外を理想の居住地とする価値観は,世界では必ずしも多数派ではない。日本でも,地価の下落に伴い都心居住志向が強まっている。郊外住宅と都心居住との関連など著者には次の問題提起を期待したい。
(C) ブックレビュー社 2000

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98年に福島市で開催されたシンポジウムの記録。中心市街地活性化のヒントを満載

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 バルト海に面したドイツのリューベック市は,中心市街地の多くの建物を第2次世界大戦によって破壊されている。市民は以前と同じような町並みにするため,建物の外観は昔通りに復元した。中心市街地は昔と同じように住宅を確保している。旧市街地がユネスコの世界文化遺産の指定を受けたのは,こうした市民や行政の努力が評価されたためである。復興とともに、落ち着いたたたずまいのこの都市を多くの人が訪れるようになり,中心市街地のにぎわいが続いている。評者がかつて取材に訪れたときも,雨模様だったにもかかわらず,この市は多くの人でにぎわっていた。
 本書は,副題に「世界の中心市街地はこうして活気を取り戻した」とあるように,海外での中心市街地活性化の成功事例を紹介している。取り上げているのは,リューベックのほか,米国チャタヌガ,フランスのオルレアン,英国のリーズの各市などである。
 チャタヌガは環境対策でも成果を上げている。この市では70年代は昼間でも前照灯をつけなければ,車の運転ができないほど大気汚染がひどかった。街に住む企業家がバス製造会社を設立して電気バスを走らせるようになり,今では逆に環境都市として知られるようになった。車を中心市街地の入口2カ所に設置した駐車場に停め,無料の電気バスに乗り換えるようにした。大型バス製造会社はやがて全米有数の電気バスメーカーの1つに成長した。
 中心市街地の活性化が日本の都市の大きな課題になって久しい。どの都市もそれなりに取り組んでいるものの,決め手がないのが実情である。本書で紹介しているのは,それぞれの国における先進事例の1つであり,日本でも参考になる点が多い。
 とはいえ,日本でこれと同じようにやったからといって成功するとは限らない。国,あるいは都市によって制度やそれぞれの地域資源が異なるからである。ただ,どの事例にも共通しているのは行政だけでなく,市民や企業が参加している点である。企業や市民の活動が先行し,行政が後から支援している例もある。少なくともこうした手法は日本でも取り入れる余地が大いにあるだろう。
 本書は,もともとは98年に福島市で開催した「よみがえれ中心市街地」と題する国際シンポジウムの記録集である。一般の記録集のような堅苦しさはなく,多くの写真や図表などを使い,丁寧に編集しており,読みやすい。
 第3章の「市民参加は活性化の起爆剤」は,「日本における市民参加の動きについて」と,「各都市に見る市民参加の事例」で構成している。この章に限っては,テーマの割に記述の量が少なく物足りない。筆者も明らかにして欲しかった。
(C) ブックレビュー社 2000

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